トラッドスタイル=スーツスタイル
この図式は多くの方がイメージすることではないでしょうか。
普段からトラッドという言葉を一纏めにしていますが、アメリカントラッド・フレンチトラッド・クラシコイタリアなど、その国々における伝統的・保守的な服飾文化のことを指しています。
そしてそれらのトラッドスタイル、特に男性においては英国紳士のスーツスタイルが源流にあると言われています。
映画「キングスマン」より
うん、こんな感じです。
問答無用でカッコいいですよね。
私もこのような完璧なスーツスタイルに憧れを抱いています。
一方で本ブログはトラッドという言葉をキーワードに掲げていますが、ここまでスーツについて記事で取り上げたことはなく、休日のいわゆる私服についてのみ触れてきました。
スーツは好きです。
でも色々とあるんです…
そもそもスーツを着ないのか?
いいえ、私も多くのサラリーマンの皆様同様に仕事でスーツを着用しています。
なので、部屋着を除けば最も長い時間を過ごす服装はスーツになります。
スーツは好き、しかも着用機会は多い。
であれば、本腰を入れてスーツスタイルに取り組むことが自然だと思いますが、どうもその気になれない理由が2つあります。
限定的な職場環境
私の職種は内勤のため、オフィスから外に出ることは滅多にありません。
出歩くことは少なくとも、以前であれば来客者が多く外部の方との接点もありましたが、コロナ禍ではリモート面談が圧倒的な主流となり当然来客も減少しました。
また、私が所属する事業所自体はそれなりに社員数はいますが、毎日顔を合わせる人はある程度限られています。
女性は私服なのである程度気を使っているように見えますが、男性で格好よくスーツを着ている人はまずいません。
スラックスのプリーツが消えているような人もいて、完全にスーツは作業着でしかないのでしょう。
一般的な営業職がないことが理由なのかもしれませんが、もう少しちゃんとすれば良いのにと思うばかりです。
普段から洋服は他人からどう思われるかではなく、自分のためだと言い聞かせていますが、そんな作業着でしかないスーツしか着ない人の中で、本格的にスーツへ向き合えないというのが本心です。
まぁ、情けない言いわけなんですけでね…
これが公共機関を利用した通勤で不特定多数の方に目に触れるとなれば、また意識も違ってくるかもしれませんが、私の場合は車通勤なので会社以外だとマンションのエントランスでたまに住人とすれ違うくらいなものです。
ネクタイ着用不可!?
どちらかというと、こっちの方がモチベーションを下げる理由です。
私の会社では、5年程前から「通年ネクタイを着用しなくても可」とルールが変更されました。
文面だけみれば、「着けても、着けなくてもどっちでも良い」と捉えるのが普通で、導入後しばらくの間、私はネクタイを着けて勤務していましたが、ネクタイなしの方が楽なのは明白なので、あっという間にノーネクタイ派は圧倒的な多数派となり、同調圧力に弱い典型的な日本人の私もその軍門に下ることとなったのです。
関東の事業所ではネクタイ着用を続ける方もごく少数いますが、我々九州の各事業所では既に絶滅してしまいました。事実上「ネクタイ着用不可」なのです。
伝統的にスーツはネクタイを着用することを前提としたデザインなので、ネクタイなしではどうも間抜けな印象が拭えません。
クールビズ期間は致し方ないですが、通年ノータイ推奨は理解に苦しみます。
スーツと違ってジャケパンスタイルならノータイであることも想定されているので、ネクタイなしでも違和感はありません。
が、しかし我が社の服務規律では明確にジャケパン不可との旨が記されているのでありますw
ノータイ推奨でジャケパン不可
よく分からない会社です。
2.自分なりのスーツとの向き合い方
残念ながらスーツスタイルを満喫できる環境にはありませんが、服好きとしてはスーツを単なる作業着にはしたくありません。
やっぱり男を一番格好よく見せてくれるのはスーツです。
ある程度お金をかけて理想のスーツスタイルを追求しようという高いモチベーションはありませんが、こだわりたい事と諦めざる得ない妥協点のバランスを取って自分なりのスーツライフを楽しんでいます。
普段着ているスーツは?
私のスーツは百貨店のオーダーサロンや低~中価格帯のオーダースーツ専門店でお願いをしています。
オーダーといってもいわゆるパターンオーダーで、価格も一着6~10万円程度になります。
この価格をどう捉えるかは人によるかと思います。
スーツ量販店なら既製品で3万円前後がボリュームゾーンで、もっと安いスーツもあるでしょう。
一方で本格的なテーラーであれば、パターンオーダーでも最低ラインが10万円オーバー、ビスポーク(フルオーダー)となれば20~30万円は当たり前で上をみればキリがない世界です。
そんな中で私が購入しているスーツはオーダースーツの入門編的な立ち位置のお店です。
オーダースーツの良いところ、そうでもないところ
高級テーラーのスーツは経験がないので比較できませんが、青山やAOKIなどの量販店やSHIPSなどのセレクトショップオリジナルの既製品スーツを選ばないことには一応の理由があります。
まず素材の質や縫製技術に関しては、量販店の上級グレードのスーツであれば、私が利用しているオーダー専門店のスーツと大して差はありません。
では、オーダーなんだからサイジングが完璧なんだろうと思われがちですが、パターンオーダーとはあくまでも、元から決まった型の中から自分に一番合う型を選び、それから可能な範囲で調整をしているだけです。
ウエストや着丈であれば既製品でも調整可能なのでサイジングに関してもパターンオーダーが劇的に優れているというワケではありません。
では、なぜわざわざオーダーするのか?
一番の理由は既製品の中から選ぶと選択肢が限定されるためです。
オーダー専門店では数百種類の生地の中から選ぶことになりますが、既製品の場合は店舗のスペース的に品数に限りがあります。
気に入った生地・デザインの既製品スーツがあっても店舗にマイサイズが無いなんてこともありますが、オーダースーツの場合は生地の在庫さえあればその心配はありません。
ただ逆を言えば、気に入ったデザインで自分に合うサイズであれば、既製品のスーツでも全く問題はないということですね。
お店にもよりますが、既製品のサイズ補正も侮れません。
当たり前ですが、同等のグレードの生地であれば既製品の方が安価で経済的です。
もう1つオーダースーツの利点をあげるならば、細かいディテールを自分で選べることでしょうか。
裏地、ボタン、ベント、スラックスのタック…ここら辺にこだわりのある方にはオーダースーツの利点があります。
既製品でもお直し屋さんに持っていけばカスタム可能ですが、その場合はだいぶ高く付いてしまいます。
最後に良いスーツを手に入れるという本質からは逸れますが、生地やディテールを選ぶ行為そのものが楽しいということです。
結果として実際出来上がるスーツは既製品でも同じようなモノがあったりするので、必ずじもオーダースーツである必要性があるとは感じませんが、その過程に価値を見出だしている側面もあります。
スーツは仕事着なのか? スーツスタイルの今後の展望
ここまで、スーツは仕事で着ることを前提に話を進めてきました。
実際に私もそうですが、一般的に仕事以外でスーツを着る場面は冠婚葬祭くらいです。
一方でここ数年、ビジネススタイルのカジュアル化が進んでいるという話をよく聞きます。
ジャケパンスタイルの営業マンも見かける機会は増えましたし、業種や職種によってはジャケットの着用を強要されない方も多いのではないでしょうか。
仕事着=スーツというイメージは着実に薄れてきています。
私としてはこの流れは歓迎しています。
自分の会社のノーネクタイ推奨を非難していたくせに、何を言っているんだと思われるかもしれませんが、要するに単なる作業着として中途半端にスーツを着るくらいなら、そんな文化は無くなって欲しい。「仕事着=スーツ」の図式が消えれば、プライベートでタイドアップしてスーツを着ても違和感は無くなるのではないかと思うのです。
なんだかんだで、私は 人目を気にする人間です。
プライベートでスーツを着ていると、「あの人休日出勤かな?」と思われそうで躊躇いがあります。
今後は「全くスーツを着ない人と趣味的にスーツを楽しむ人の二極化が進むのではないだろうか」というファッション業界関係者の方の意見をよく見聞きしますが、まさにその通りだと思います。
ここ数年のオーダースーツブームとスーツ量販店の衰退がそのことをよく表しています。
図らずもコロナ禍でその流れは加速傾向にあるので、「休日にジャケパン」と同じような感覚で「休日にタイドアップしたスーツスタイル」が市民権を得る日を心待ちにしています。
まとめ
半分くらいは愚痴のような内容で失礼致しました。
スーツは男性を一番格好よく見せてくれる洋服です。
仕事でしか着ないのはもったいないですよね。
そしてせっかく着るならビシッとタイドアップしたいものです。
2月中旬に麻布テーラーで春夏用のスーツを一着オーダーしていました。
まだ完成したスーツを確認できていませんが、近々記事で取り上げようかなと思っています。
今回は以上です。
参照;https://www.imn.jp/post/amp/108057201217