トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

私が愛するMaker’s Shirt 鎌倉(鎌倉シャツ)の凄さを伝えたい。

ビジネスマンの皆様、仕事用のシャツは何枚お持ちでしょうか?私は2週間に1度のローテーションで回したいので、10~12枚は揃えるようにしています。(実際はもっと多いのですが・・・)

 

今回の記事では、そのうちの大半を占めるMaker’s Shirt 鎌倉(以下、鎌倉シャツ)を取り上げたいと思います。品質・価格のどちらをとっても素晴らしい、私が最も頼りにしているシャツメーカーです。

 

日本を代表するシャツ専業メーカーなので、手に取ったことのある方も多いかと思いますが、持っている方にはその魅力の再認識に、未経験の方には興味を持つきっかけになれば幸いです。

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鎌倉発!世界にも目を向けて

1960年代のアイビーブームを牽引した「VAN」でアパレル業界の経験を積んだ貞末良雄氏(現会長)が、1993年に神奈川県鎌倉市にて創業。当初はローソンの2階で夫婦二人だけでひっそりとスタートした小さなショップは、「高品質・適正価格」を信条にした真面目なシャツ作りが評判を呼び、現在では国内に25の店舗を構えるまでに成長を遂げています。

 

さらには2012年に洋装の本場・ニューヨークのマンハッタンへの出店を皮切りに上海(中国)、バンコク(タイ)にも販路を広げ海外進出にも力を入れています。

 

残念ながらコロナ禍の影響でニューヨークの店舗は2020年に撤退を余儀なくされましたが、貞松氏は自身のファッションのルーツであるアメリカ進出は諦めたわけではなく、時期を見て再度挑戦したと語っています。カジュアルファッションにおいては世界中でユニクロが大成功を収めていますが、シャツやスーツのようなドレスアイテムを主力にする国産ブランドが海外で成功するケースは稀なので、鎌倉シャツの今後には是非とも期待したいところです。

 

鎌倉シャツの特徴

日本の職人による高い縫製技術

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参照:メーカーズシャツ鎌倉 公式通販| Maker's Shirt KAMAKURA

 

創業以来、鎌倉シャツでは国内の縫製工場で熟練の職人の手により、高品質なシャツを作り続けています。

 

メイド・イン・ジャパンというのはある意味ブランドでもあり、安心感があるのは間違いありませんが、盲目的に国産だから素晴らしいと言っているわけではありません。鎌倉シャツには高品質たる所以を見て取れる2つのポイントがあるのです。

 

①緻密な運針

一般的なシャツは3cm間に16~18針縫われていますが、鎌倉シャツでは21針とより緻密に縫われています。縫い目のピッチが狭まるほどに形状維能力と耐久性が向上します。

 

②巻き伏せ本縫い

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巻き伏せ本縫いとは縫い合わせた生地の端が肌に触れないように、巻き込んで縫う技法です。上の写真は私が所有する鎌倉シャツの裏地です。パッと見ただけでは表地と勘違いしそうですね。

 

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こちらは量販店のドレスシャツでよく見られるロックミシンを使った縫い合わせです。効率的で大量生産に向いていますが、生地の端が肌に引っ掛かる感覚があります。何より腕捲りをした時に、この縫い目が剥き出しになるのは少しカッコ悪いですね。

 

巻き伏せ本縫いは、手間と一定の技術が必要となりますが、直接肌に触れるシャツなので、そのメリットは文字通り肌で感じることができます。

 

上質な高番手の生地

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参照:メーカーズシャツ鎌倉 公式通販| Maker's Shirt KAMAKURA

 

番手とは糸の太さを表す単位で、数字が大きくなるほど糸が細くなります。一般的に80番手以上が高番手と呼ばれ、より高番手な糸ほど滑らかで肌触りが良く、光沢感を持っています。そして鎌倉シャツのドレスシャツは80~100番手がスタンダードで、その質感は同価格帯の他のシャツとは一線を画しているのです。

 

原料となる綿にもこだわっており、アメリカ産のスーピマコットンやインド産のスビンゴールドなど希少で上質な素材を使用しています。

 

本格シャツの証・天然貝ボタン

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参照:メーカーズシャツ鎌倉 公式通販| Maker's Shirt KAMAKURA

 

皆さんは良いシャツの条件ってどこを見て判断しますか?生地の肌触り、体に沿ったシルエット、襟回りの雰囲気・・・色々あると思いますが、私の場合、まず一番に見るのはボタンの素材です。本格派のドレスシャツには美しい天然貝のボタンは必須。そして、もちろん鎌倉シャツでは天然貝(高瀬貝・白蝶貝)のボタンを採用しています。

 

タイドアップしていれば見えることのない前身頃のボタンも、通年ノータイを推奨している私のような職場では、体の中心に並ぶボタンは絶対的な存在感を示します。せっかくの良いジャケット、上質な生地のシャツも安っぽいプラスチックボタンでは台無しになります。プラスチックボタンでもチープに見えないものならまだマシですが、やっぱり貝ボタン特有の光沢が放つ雰囲気には敵わないでしょう。

 

多様なサイズ展開

 S・M・Lのような表記のカジュアルシャツと違い、ドレスシャツは首回りと裄丈(肩の中央から手首まで)の組み合わせで、より細かくサイズが分かれていることは一般的ですが、鎌倉シャツのサイズ展開はスリムフィットとクラシックフィットを合せて全35パターンと豊富に揃っています。

 

特に需要の高いネックサイズでは裄丈の選択肢が多く、スリムフィットのネックサイズ39では4パターン(39-80、39-83、39-87、39-90)も用意されています。ドレスシャツはジャケットから除く袖口の幅がとても重要なので、私のような普通体型なのに腕だけ長い人間にとって裄丈の幅が広いのはとてもありがたいことです。

 

良心的な価格設定の秘訣は?

製造から販売まで

ここまで鎌倉シャツの特徴を書いてきましたが、どれも高級シャツであれば当たり前の要素だったりします。

 

でも鎌倉シャツは高級品ではありません。売れ筋のベーシックシャツは5,900円(税込み6,490円)という価格設定なのです。高級シャツ然とした要素を備えながらもこの良心的な価格、その最大の秘訣はSPA(製造型小売)という業態にあります。

 

ファストファッションでお馴染みのSPAとは製造メーカーが卸業者を経由せず、自社の店舗でみ販売する手法です。そのため鎌倉シャツの製品はセレクトショップや百貨店の紳士服コーナーでは買えませんが、卸売業のマージンを省ける分、コストを抑えられている側面もあります。

 

ファストファッション的な在庫管理

SPAを代表する世界的4大ブランドはユニクロ・H&M・ZARA・GAPと言われていますが、各ブランドが利益を上げる(コストを抑える)手法は大まかに2パターンに分かれています。

 

ユニクロとGAPは時代に左右されないベーシックなアイテムを毎年のように大量に作り続けることで、生産効率を高めコストを抑える業態をとっています。

 

一方でH&MとZARAは流行の最先端を取り入れた新商品を少量生産して売り切り、再生産はせずに次の新商品を投入することで在庫を抱えない業態で、ファストファッションとは本来こちらのことを意味します。

 

意外にも鎌倉シャツは後者の方に当てはまり、短いサイクルで商品を入れ替えることで、余剰在庫を待たないようにコントロールをしています。一部の定番品を除き、シーズン単位ではなく、週単位でどんどん新商品が店頭に並び、気が付いた頃には売り切れているのです。過敏に流行を取り入れているわけではないので、当然ファストファッションではないのですが、商品棚の新陳代謝を高めコストを抑える点では似たところがあります。

 

中間業者を省いて

一般的に鎌倉シャツのように自社工場を持たないアパレル企業は中間業者を介して縫製工場への発注や生地・副資材の仕入を行っています。

 

なぜ、こういった中間業者が必要なのかという話を書くと長くなるので詳しくは割愛しますが、簡単に説明すると、一企業では生産ロット数の少なさから取引先に敬遠されたり、仕入れ先が複数企業に跨るがることから品質管理・納品管理が難しくなるので、企業と企業を繋ぐエキスパートである中間業者が必要になるのです。

 

ところが、鎌倉シャツではその中間業者を省いて業者と直接取引をしているというのです。中間業者に支払う金額も馬鹿にならないので、省略できるに越したことはないのですが、業界は違えど私もメーカー勤務の人間なので、それがいかに難しいことかはよく理解出来ます。

 

www.nec-nexs.com

 

創業者・貞末氏のこちらのインタビュー記事で、アパレル業界の新たなビジネスモデルを作り上げるまでの経緯や経営者としての理念が書かれてます。

 

原価率は驚異の60%

SPA方式、余剰在庫を抑える商品展開、業者との直接取引など様々な工夫と企業努力により、鎌倉シャツの商品原価はなんと約60%に設定されています

 

ユニクロで約40%、原価率自慢のTOKYO BASE系列のブランドが50%と言われているので、鎌倉シャツの60%という数字の凄さが分かります。

 

驚異的な価格設定の鎌倉シャツですが、その代わりに基本的にセールは行っていません。常に適正価格で勝負するという企業の姿勢が表れていますね。

 

鎌倉シャツのラインナップ

ベーシックドレスシャツ

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参照:スリムフィット(37-81 白): メンズ | メーカーズシャツ鎌倉 公式通販 | 日本製ワイシャツ ドレスシャツ ビジネスシャツ カッターシャツ ニットシャツ ネクタイ ブラウス

 

ブロードやロイヤルオックスフォードなど、光沢感の強い生地を使った定番のドレスシャツ。価格は手頃な5,900円(税込み6,490円)。襟型はレギュラーカラーよりやや広めのスプレッドカラーかカッタウェイで、裏前立てに胸ポケットなしとドレスシャツらしいディテールを備えています。

 

 ボタンダウンシャツ

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参照:スリムフィット(37-81 ブルー系): メンズ | メーカーズシャツ鎌倉 公式通販 | 日本製ワイシャツ ドレスシャツ ビジネスシャツ カッターシャツ ニットシャツ ネクタイ ブラウス

 

鎌倉シャツの基本はドレスシャツですが、ボタンダウンシャツに限っては表前立てに胸ポケットが付くなど、カジュアル要素が強くなります。

 

トラベラーシリーズ

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参照:スリムフィット(37-81 ブルー系): メンズ | メーカーズシャツ鎌倉 公式通販 | 日本製ワイシャツ ドレスシャツ ビジネスシャツ カッターシャツ ニットシャツ ネクタイ ブラウス

 

鎌倉シャツの天然素材100%の生地は洗濯後にしっかりシワが入るのでアイロンは必須です。ものぐさな私も頑張ってアイロンをかけていますが、イージーケアを求める方にはこちらのトラベラーシリーズがおすすめ。ポリエステル混合の生地ですが、肌に触れる面はコットン100%なので、柔らかな着心地は変わりません。

 

カジュアルシャツ 

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参照:カジュアル<デニム>(37(S) ブルー系): メンズ | メーカーズシャツ鎌倉 公式通販 | 日本製ワイシャツ ドレスシャツ ビジネスシャツ カッターシャツ ニットシャツ ネクタイ ブラウス

 

鎌倉シャツのカジュアルライン「カジュアル134」のシャツ。オフにも使いやすい素材感やシルエットのシャツが揃っています。

 

高番手シャツ

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参照:スリムフィット(37-81 白): メンズ | メーカーズシャツ鎌倉 公式通販 | 日本製ワイシャツ ドレスシャツ ビジネスシャツ カッターシャツ ニットシャツ ネクタイ ブラウス

 

ベーシックなドレスシャツは80~100番手の生地が使われていますが、さらに高番手の150~400番手のシャツが用意されています。400番手ですか。実物は見たことありませんが、光沢が凄そうですね。

 

ハンドメイド ナポリシャツ

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参照:ナポリドレスシャツ(37 ブルー系): メンズ | メーカーズシャツ鎌倉 公式通販 | 日本製ワイシャツ ドレスシャツ ビジネスシャツ カッターシャツ ニットシャツ ネクタイ ブラウス

 

国産にこだわる鎌倉シャツですが、ナポリシャツシリーズのみイタリア製。さらにこちらはハンドメイドモデルなので、部分的に手縫い処理されています。普通、手縫いのシャツといえば4万円くらいするものなのですが、なんと2万円以下。個人的に手縫いの魅力はイマイチ分からないのですが、好きな人にとっては堪らないでしょう。

 

オーダーシャツ

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参照:メンズ オーダーシャツ -Made To Mesure- | メーカーズシャツ鎌倉 公式通販 | 日本製ワイシャツ ドレスシャツ ビジネスシャツ カッターシャツ ニットシャツ ネクタイ ブラウス

 

オーダーシャツも9,800円(税込10,780円)から作ることが出来ます。既成品で概ね満足していますが、私は左右で腕の長さが少し違うので、より良いフィッティングを目指すためにもオーダーシャツにも興味はあります。

 

所有品の一部を紹介 

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最近買ったものを含め、私は鎌倉シャツを11枚所有しています。今回はその中から3枚だけピックアップしてご紹介します。

 

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まずは定番の白のブロードシャツから。

 

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サイズは色々試した中で辿り着いたスリムフィットの40-84です。

 

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ドレスシャツなので、タックインしても裾が飛び出さないように十分な長さの着丈に設定されています。 

 

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タックインするとこんな感じ。スリムフィットといえ、見ての通り身幅には余裕があります。もう1サイズ下げた方がシルエットはキレイなのですが、腕の長さが少し合わないんですよね。そろそろタイトフィットが似合う年齢でもなくなるので、これぐらいの身幅のゆとりは許容範囲内だと思っています。

 

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定番と紹介した白シャツですが、私は仕事の場で着ることはほとんどありません。コロナ禍で出番が少なくなりましたが、友人の結婚式や会社の式典で着る光沢のあるブラックスーツに合わせたりしています。仕事で着なくても冠婚葬祭あらゆる場面で使える絶対に必要な1枚ですね。

 

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続いてブロードのストライプシャツ。柄の色は分かりにくいですが、ダークブラウンです。目がチカチカするとよく言われますが、お気に入りの柄です。襟型はノータイで映えるカッタウェイ。

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サイズは先程の白シャツより1サイズ下の39-83。パッと見てこちらの方がフィットしているように見えますが、袖丈が足りません。

 

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ジャケットを羽織ると分かりやすいですね。左は問題ありませんが、右は袖口からシャツが全く見えていません。腕の長さが左右で違う弊害ですね。スーツのジャケットはオーダーする時に調節が入っていますが、既製品のシャツはこうなってしまいます。袖口からの見え方が左右で違うのはオーダーシャツでない限りどうしようもないのですが、「片方だけ全く見えない」より「両方見えて長さが少し違う」方がマシかと思い、裄丈が1cm長い40-84をマイサイズとしています。

 

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最後に淡いブラウンのドレスシャツです。当初は仕事用に着ていましたが、さすがに色味がカジュアル過ぎるかなと感じ、今ではプライベート用に。

 

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私の所有品はブラウン系のジャケットや靴が多いので、このシャツは秋口になると重宝しています。

 

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ちなみに鎌倉シャツの襟にはカラーキーパーが付属しています。カラーキーパーは外すかどうかは人によって分かれるところですが、鎌倉シャツの襟は柔らかいのでノータイで着るならカラーキーパーは外さない方が個人的にはおすすめ。ちなみにカラーキーパーは店舗で20本300円くらいで売ってくれます。

 

まとめ

スーツやジャケットと違いシャツは消耗品です。服好きとしてはシャツにもこだわりがありますが、正直シャツに2万、3万は出せません。本格的なシャツをお値打ち価格で提供してくれる鎌倉シャツには本当に助かっています。

 

ネット通販全盛の時代ですが、ジャケットやパンツと比べて、シャツは実物を手に触れ、袖を通さないとその良さが分かりづらいので、実店舗で試着してみることをおすすめします。一度マイサイズと生地感を把握したら、後はオンラインショップを利用すればよいので、是非ともまずはお近くの店舗へ。

 

鎌倉シャツはいつか記事にしようとタイミングを伺っていましたが、少し前にセールをしないはずの鎌倉シャツを安く買える機会にたまたま遭遇して、まとめ買いに成功したので、記念に今回取り上げることにしました。

 

まとめて買い足したシャツに関しては近いうちにご紹介できたらと思います。

 

今回は以上です。