個人的な今年の目玉である、Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)の紺ブレザー。
実は今年の7月に購入していたのですが、本格的にジャケットスタイルを楽しめる季節に入りましたので、満を持してのご紹介です。
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やっぱりMadison(マディソン)に惹かれるのです。
4月に投稿した記事ではブルックスブラザーズの紺ブレは種類が多すぎて悩んでいると書いていましたが、結局行き着く先は最もスタンダードなモデルでした。
そう、やっぱりMadison(マディソン)です。
ブルックスブラザーズの紺ブレのバリエーションについては過去記事でまとめているので、詳細はそちらをご覧いただきたいのでが、マディソンを含む3種類の型について簡単にご紹介します。
◆Madison(マディソン)
約100年前に誕生したNo1.サックスーツの系譜を継ぐボックスシルエットで、最もゆったりとしたフィット感のトラッドモデル。私が購入したのはコレ。
◆Regent(リージェント)
ウエストに程よいシェイプがきいており、マディソンと比較すると全体的に細身のモデル。スリムモデルという立ち位置ですが、決して細すぎことはなく、十分にクラシックな雰囲気があります。
◆Milano(ミラノ)
リージェントより更に細身のモデル。ミラノという名前の通り、クラシコイタリア系のジャケットを普段着用されている方であれば違和感なくフィットするかと思います。
普通のテーラードジャケットとして選ぶなら間違いなく、リージェントかミラノでしょう。ドカンと太いボックスシルエットのマディソンは一見すると野暮ったく、手持ちの服とも少し合わせづらいような気がしました。
正直迷いましたが、「なぜブルックスブラザーズのブレザーじゃないとダメなのか?」ということを考えると自ずと答えは出てきます。
紺ブレザーはベーシックなアイテムなので、テーラードを得意としているブランドなら、大抵はラインナップされています。それでも紺ブレを手にするならブルックスブラザーズと決めていました。ラルフローレンでもJプレスでもタリアトーレでもリングヂャケットでもなくブルックスブラザーズの紺ブレがいいんですよ。
その思いは、ブルックスブラザーズという歴史あるブランド、ひいてはアメトラそのものに対する憧れや敬意からくるものでしょう。
紺ブレという「モノ」自体と同じくらいに、その背景にある歴史や文化を特別視しているわけです。要するに「ロマンを感じる」ということです。
となれば、最も伝統的なマディソンを外すわけにはいきません。逆にリージェントやミラノなら他のブランドでもいいんですよね。
初めて袖を通した時には違和感があったマディソンも、何度か試着を重ねるうちにしっくりくるようになり、「やっぱりこれだなと」購入に至りました。
王道のディテールをご紹介
バンカーに掛けたままだと分かりにくいですが、ウェストのシェイプがほとんどないボックスシルエットがマディソンフィットの特徴です。一般的なテーラードジャケットに見られるフロントダーツも入っておらず、胸元から裾までストンと落ちています。
前述の通り、型はマディソンフィットを選びましたが、生地もフランネルやトロピカルウール、コットンジャージー等々複数のバリエーションがあり、その中でもスタンダードと言えるファインサージにしました。サージとは毛羽立ちが抑えられ、光沢感を持った生地のこと。ビジネスで使われるスーツの生地をイメージしてもらえたら分かりやすいかもしれません。そこに「ファイン」という形容詞が付くので、通常より繊維が細く上質な生地ということでしょうか。確かに手元のスーツよりも光沢感は高めで、非常に滑らかで触り心地の良い生地となっています。一方でその質感が仕事着としてのイメージを強めてしまうのも事実です。
近年のブルックスブラザーズの紺ブレでは、イタリアの老舗ファブリックメーカー「Vitale Barberis Canonico」の生地を採用しています。生地のブランドについては、そこまでこだわりはありませんが、最近はスーツにジャケットと気が付けばカノニコ製の生地ばかり手にしています。何かと縁があるみたいです。
ブレザーと言えば金ボタン。中には銀ボタンやメタルボタンですらないものも存在しますが、ブレザーの王道はやっぱり金ボタンなのです。もちろん刻印されているのはブランドの象徴「ゴールデンフリース」です。
フロントは段返りの3つボタンで、袖口にはそれぞれ2つのボタンが取り付けられています。諸説ありますが、アメリカのジャケットやブレザーのボタン数はフロントと袖口が合せて5つになるようにとの暗黙のルールがかつては存在したようです。フロントが3つなら袖口は2つ、フロントが2つなら袖口は3つといった具合です。ブルックスブラザーズでもそのルールに従ったジャケットはほとんどありませんが、伝統に則ったマディソンフィットの紺ブレザーでは昔ながらのボタン付けとなっています。
肩周りはアメトラらしいナチュラルショルダーとなっています。ナチュラルショルダーとは重厚な型パッドを入れるイギリス式のジャケットに対して、薄手の肩パッドを使った自然な肩周りのことです。現在のスーツで厚手の肩パッドが採用されることはあまりないので、一般的に販売されている既成スーツと同等、もしくはそれよりもやや薄手の肩パッドが入っているというイメージで宜しいかと。
ラペル幅は一般的な約8.0cmです。トラッドモデルなので、もっと幅広かと思いきや以外と普通でした。コージラインは現在の主流と比べるとやや高めな気がしますが、そこまで違和感はありません。
サイドポケットはフラップ付きのパッチポケットを採用。個人的にブレザーのポケットは絶対にコレが良い。
いつ以来だろうか分かりませんが、かなり久しぶりのセンターベントです。ブレザーの王道はフックベントのイメージがありますが、ブルックスブラザーズでは伝統的にフックベントはほとんど採用していないようです。いずれにせよ、ここ数年はサイドベンツしか着てこなかったので、ちょっと新鮮な感じです。
裏はこんな感じで背抜き仕立てとなっています。夏以外の3シーズン着用可能とされていますが、春と秋の着用がメインなので総裏よりも背抜きでよかったです。裏地の素材は滑らかな袖通りと着心地が魅力のキュプラです。
気になるマディソンのサイズ感は?
サイズチャートを見ても他の型より明らかに大きめに作られているマディソンフィットですが、サイズ選びさえ間違わなければ大丈夫。身長173cm体重65kg肩幅44cmの私は「36SHT」を購入。SHTというのはショート丈のことを指し、レギュラー丈(REG)も存在しますが、サイズ39以下はショート丈しかないみたいです。
まずはフロントボタンを留めて正面から。どうでしょうか?確かに普段着慣れているジャケットと比べると胸元やウエストにゆとりがあるサイズ感ですが、そこまで大袈裟な感じではないですね。
ボタンを外すとボックスシルエットならではの太さが強調されます。カジュアルな服装に合せるなら基本はこの形だと思いますが、パンツの種類を少し選ぶかもしれません。
後はこんな感じ。フロントボタンは留めています。月皺が出るのは私の体形の問題で、既製品でこのくらいなら許容範囲内。着丈はお尻がスッポリと隠れてしまう長さです。現代的なジャケットより明らかに長めですが、クラシックな雰囲気を味わうならこのくらが良いんじゃないでしょうか。ベントの切り込みは思っていた以上に深いようです。
こちらは横から。肩周りも自然な感じですね。袖丈はかなり短かったので、2cm程調整してもらいました。
試してはしていませんが、肩幅や身幅的にはもう1サイズ下げても着れそうではあります。ただ、このモデルの性格を考えればタイトに攻めるのではなく、ある程度ゆとりを持って着るべきでしょう。
ちなみに、リージェントとミラノならもう1サイズ上がちょうど良い感じでした。
まとめ
2年前頃からいつかは買おうと決めていたブルックスブラザーズの紺ブレザーをようやく迎え入れることが出来ました。手が出ないほど高価なものではありませんが、色々なモデルで迷っているうちに随分と遅くなってしまいましたね。でもこのサージのマディソンという選択は間違いないと思っています。迷った時はやはり王道です。
いつもならレビューと合わせてコーディネートも載せていますが、着こなしに関しては思うところがあるので、次回別記事として取り上げようと思います。
今回は以上です。