前回に続きBrooks Brothers(ブルックスブラザーズ)の紺ブレザーについてです。
長い間、ブレザーが欲しいという漠然とした思いがありながらも、いつも着ているテーラードジャケットとは少し性格が違うことから、コーディネートのイメージがイマイチ掴めていませんでした。実際に難しさを感じる点もありますが、先人達が実践してきた着こなしを参考に自分なりのスタイルを模索しています。
サージのマディソンフィットは着こなしが難しい!?
前回お伝えした通り、悩んだ結果王道と言われるファインサージのマディソンフィットを購入しました。
このモデルでよく言われることはオンオフ兼用で使い回しが効くということです。実際にその通りで、出自から考えてカジュアルジャケットであるブレザーですが、光沢感が強いサージの生地はビジネスシーンでも様になるドレッシーな趣があります。まぁ、私の会社はブレザーどころかジャケパンが禁止でスーツしか認められておらず、仕事で着る機会はないのですが、問題はその素材感からカジュアルとして使うには少し考える必要があるということ。
ご存じの通り、スーツのジャケットを単体で使うことは基本的には推奨されていません。その理由はポケットの形状などのディテールにもよるところもありますが、素材感の違いが大きいでしょう。同じウール素材でも、ビジネスで着用するスーツは一般的に光沢感のある生地で、ジャケパン向けのテーラードジャケットは表面が起毛していたり、粗目に織られたざっくりとした質感の生地が特徴です。
こちらの写真は今回ご紹介しているブレザーのサージ生地です。上質な光沢感を持ち、それに魅せられたのですが、ちょっとドレスに寄り過ぎているのも事実でしょう。メタルボタンやパッチポケットとブレザーならではのカジュアルな要素はありますが、私服として取り入れるなら、他のアイテムでもう少しカジュアル寄りにバランスを取る必要があります。同じブルックスブラザーズの紺ブレでもフランネルやトロピカルウールならそこまで考える必要はありませんが、サージは少し違います。
マディソンフィット特有のボックスシルエットも難しさを感じるところです。リージェントやミラノではなく、敢えてマディソンを選んでいるので御託を並べるのもどうかとは思いますが、いつものジャケットと同じというわけにはいかないんですよね。
普段着ているテーラードジャケットはイタリア由来のアンコンジャケットで、シルエットもボディラインに沿った細身のものが中心です。そうなれば、必然とワードローブにはスリムなパンツが多くなります。Yラインシルエットという言葉もあるので、太めのボックスシルエットに細身のパンツがダメというわけではありませんが、私自身あまり慣れていないので、少し気を遣う必要があります。
素材感とシルエット。気にしすぎと言われればそうかもしれませんが、その点も踏まえてコーディネートを考えてみました。
コーデサンプル
王道アメトラコーデ
ジャケット:ブルックスブラザーズ
シャツ:ブルックスブラザーズ
ベルト:ユニクロ
パンツ:インコテックス
靴:ジャランスリワヤ
時計:オメガ
まずはコテコテのアメトラコーデから。ボックスシルエットのブレザーにボタンダウンシャツとレップタイ、ベージュのチノパンに足元はコインローファーと色々な雑誌で見てきたようなアメトラのお手本です。もはやコスプレみたいなものですが、これがしたいが為にレップタイを買い、ついでにシャツも新調しました。チノパンはタック入りでややゆとりがあるのがポイントです。もう少し太めのストレートシルエットでも良い感じです。
ちなみにメタルボタンに合わせて、時計やベルトの金具類をゴールドに統一しています。こういうところを意識するのも楽しいですね。
この格好で休日に街を歩いてもそれはそれで粋ですが、やはり場所は選ぶでしょう。先日、結婚記念日だったので、久々にちょっといいレストランに行きましたが、その時に全く同じ格好でした。スーツだと堅すぎるけど、軽くドレスアップしたい場面には良さそうですね。
ビジネス対応コーデ
ジャケット:ブルックスブラザーズ
シャツ:ブルックスブラザーズ
ベルト:シップス
パンツ:インコテックス
靴:ジャランスリワヤ
時計:フレデリックコンスタント
基本的には上のコーデと同じですが、パンツをチノパンからウールパンツに、コインローファーをストレートチップに変更。職場によっては先程の組み合わせでも問題ないかもしれませんが、ビジネスで使うならこれくらい落ち着かせた方がいいでしょう。なんだかんだ言っても基本的にブレザーはカジュアルジャケットです。
アンディ・ウォーホルにならって
ジャケット:ブルックスブラザーズ
シャツ:ブルックスブラザーズ
パンツ:リーバイス
靴:G.H.BASS
アンディ・ウォーホル氏をご存知でしょうか?60年代~80年代にかけて活躍をした「ポップアートの旗手」として知られています。
参照:https://www.pinterest.co.uk/pin/676243700281825334/
特に有名なのは、こちらの鮮やかすぎる色使いで描かれたマリリンモンローの肖像画です。きっと一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
(画像右がアンディ・ウォーホル氏)
参照:アンディ・ウォーホルが愛したトラッド名品:「ブルックスブラザーズ」のシャツ&「リーバイス」のジーンズ
そんな彼はファッションアイコンとしても知られており、ブレザーにボタンダウンシャツとジーンズの組み合わせを好み、その格好で多くの場に姿をあらわしました。
画像参照元の記事にも記載がありますが、彼はブルックスブラザーズのボタンダウンシャツとリーバイスのジーンズを偏愛していたそうで、私もそっくり真似をしてみました。足元はきっと彼も履いていたであろう、歴史あるアメリカのシューメーカーG.H.BASSのタッセルローファーです。
Tシャツでカジュアルに
ジャケット:ブルックスブラザーズ
Tシャツ:ナノ・ユニバース
パンツ:A.P.C
靴:ジャランスリワヤ
時計:オメガ
さらにカジュアルに寄せたらこんな感じでしょうか。普段はジャケットのインナーにTシャツは使いませんが、この「ジャケT」ならたまにはOK。履いているA.P.Cのデニムは先程のリーバイスよりもタイトなシルエットで、ゆったりとしたブレザーとはアンバランスと思いきや、意外と悪くないですね。
ドレスとカジュアルのバランスという意味でデニムという選択は正解だと思いますが、あまりにも色落ちが進んだデニムは光沢のあるブレザーの素材感と差がつきすぎるので、リジッドもしくは濃厚のデニムが無難でしょう。
スポーツスミックスもトラッドに
ジャケット:ブルックスブラザーズ
ニット:フレッドペリー
シャツ:ブルックスブラザーズ
パンツ:インコテックス
靴:コンバース
時計:フレデリックコンスタント
流行りのスポーツミックスを取り入れて・・・ではなく、あくまでもトラッドなスポーツミックスです。諸説ありますが、ブレザーの発祥はボートレースチームのユニフォームといわれており、またチルデンニットはテニスウェア、コンバースのチャックテイラーはクラシックなバスケットシューズなので、スポーツ由来のアイテムで固めています。それでも上品にまとまるのはトラッドスタイルの魅了ですね。
また、ブレザーのアームホールが大きめなので、このチルデンニットのようなやや厚手のローゲージニットを中に着ることが可能で、インナーの選択肢が広がりますね。
ミリタリーパンツとも好相性
ジャケット:ブルックスブラザーズ
ニット:エディフィス
パンツ:ジェルマーノ
靴:リーガル
時計:オメガ
前述のとおり、ブレザーはスポーツ由来という説が有力ですが、軍服由来という説もあるようです。ということで、ミリタリーパンツとも好相性。そもそも、このマディソンフィットのブレザーには太めのパンツがよく似合います。
フレンチトラッド風
ジャケット:ブルックスブラザーズ
ニット:ユニクロ
シャツ:鎌倉シャツ
パンツ:リーバイス
靴:ジャランスリワヤ
時計:フレデリックコンスタント
アメトラの代名詞であるブレザーですが、フレンチトラッドの定番アイテムでもあります。そもそもフレンチトラッドが何たるかをあまり理解していないのですが、個人的にはボーダーのバスクシャツとホワイトデニム、そして靴はコインローファーのイメージがあります。手元にバスクシャツがなかったので、ボーダーのコットンニットで代用しました。あくまでもフレンチトラッド”風”ということで。
モノトーンでシックに
ジャケット:ブルックスブラザーズ
ニット:ユニクロ
パンツ:インコテックス
靴:PIEVE
時計:オメガ
トラッドとは反対に位置するモードな要素を追加。ブレザー以外はモノトーンでまとめてみました。他のコーデとは違いブレザー特有のコンサバな感じが抑えられてシックな印象がありますね。
まとめ
現在のワードローブでつくれる、8パターンのコーデをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。この他にもラガーシャツやデニムシャツなんかとも相性が良さそうですね。
確かに難しさを感じるところもありますが、その着こなしの幅広さは流石といったところ。今後はワードローブの主力として大活躍してくれそうです。
トラッド好きを自称していながら、迎え入れるのが遅すぎましたね。もっと早く買っていればと軽く後悔しています。(笑)
流行り廃りとは全く無縁のアイテムなので、私のスタイルに共感いただける方なら間違いなくおすすめの一着です。
今回は以上です。