トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

INCOTEX(インコテックス)の名品スラックス「N35」が支持を集める理由はどこにある?

ドレス好きの方なら一度は通るであろう、イタリアのパンツ専業ブランド・INCOTEX(インコテックス)。そこそこ値が張るので頻繫には買えませんが、私もインコテックスのパンツは現在3本を所有しています。

 

今回はその中から特に人気が高いモデル「N35」をご紹介します。

 

 

インコテックスについて

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1951年に警察官や鉄道会社職員のユニフォームを製造する工場として創業。1970年代に入ってからはパンツ専業となり、長きに渡り熟練したイタリアの職人による高品質のパンツを作り続けています。PT TORINOやGTAなどイタリアのパンツ専業ブランドはここ日本でも高い人気を集めていますが、それを牽引してきたのは間違いなくインコテックスと言えるでしょう。

 

そして日本でのインコテックスの人気と直結すると言っても過言ではないのが、今回ご紹介する「N35」というモデルの存在です。

 

本国イタリアで定番のスリムテーパードスラックス「30」を日本人向けにアレンジを加えた「J35」というモデルが登場します。西洋人と比べると我々日本人は足の長さはもちろんのこと、お尻や腿の肉付きも全く違うので、実はジャケット以上にインポートのパンツ選びは難しいのです。今でこそ日本モデルを用意するパンツブランドは増えていますが、インコテックスはその先駆けとなりました。

 

「J35」は惜しまれながら2014年に生産終了となりましたが、後に「N35」として細部がアップデートされ登場することになります。日本人の体型にフィットしてより洗練された「N35」は瞬く間に評判となり、国内でのインコテックスの人気は不動のものとなりました。ちなみに「N」はNIPPONとイタリア語で新しいという意味のNUOVOから取られているようです。

 

現在セレクトショップに並ぶインコテックスのスラックスは、ほとんどが「N35」かその派生モデルとなっています。インコテックスのパンツには豊富なバリエーションが存在しますが、日本では「インコテックス=N35」という図式が成り立つほどに定着しているのです。

 

インコテックスのN35をレビュー

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こちらのN35は昨秋に購入したもの。一見すると何の変哲もないグレースラックスですが、ディテールとシルエットに拘りぬいた逸品です。

 

ディテール

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生地には柔らかい手触りと艶やかな雰囲気が魅力のサキソニーウールを使用。秋冬の定番で風合いが似ているフランネルと比べると、起毛が控えめで薄っすらと光沢があります。また、近くでよく見ると斜めに織柄が入る特徴があります。季節を感じさせる温もりと上品なドレス顔の両立をさせてくれる素材です。

 

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N35はシンプルなノープリーツですが、N35をベースにワンプリーツに変更したN24というモデルも存在します。実のところ昨年私が探していたのはN24の方でしたが、私の地元では見つからずに、ネットでも希望するカラーとサイズが無かったので、N35の購入に至りました。まぁ、これはこれで気に入っているんですけどね。

 

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エストの中央に突起物がありますが、これはピンルーフと呼ばれるベルトのバックルピンを通してバックルを固定するためにあります。他のスラックではあまり見かけないディテールですが、インコテックスのドレスパンツには必ず付いています。使ってみると意外と便利なのですが、ベルトレスでタックインするような着こなしをすると、ピンルーフはちょっと目につくかもしれませんね。

 

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前開きはスタンダードなジップフライ。イタリア製のスラックスでよく見られる前開きの内側につくボタン留め、いわゆる天狗鼻も装備。天狗鼻にはパンツの位置を安定させるだけでなく、下腹部を抑える効果があるので、気付かないうちに恩恵を受けているかもしれません。

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エストの内側にはマーベルトと呼ばれるシャツ止めが付けられています。シャツをタックインすることが前提のドレスパンツには必須のディテールです。ウエストで必要以上にシャツがもたつくのはみっともないですからね。このマーベルトで注目なのは、シャツと擦れ合って、共に消耗してしまわないように、巻き縫いのステッチで表面にアタリがでないようにしている点。これは履き心地にも影響します。まさに「神は細部に宿る」とはこういうことでしょう。

 

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背後にはVスプリットが入るので、ある程度ウエストのサイズを攻めてもストレス無く行動出来ます。

サイズ感とシルエット

身長173cm体重65kgの私が履くのはサイズ46。このサイズとして、ウエストは緩くもきつくもないので、普段履いている一般的なパンツと同じ感覚で選んでいただいて問題ないと思います。

 

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実際に履いた状態でまずは正面から。特段スタイルが良いわけではない私が履いても、キレイに見える黄金比のテーパードシルエットです。スペック上ではわたり幅が31.5cm、裾幅が18.5cmなので現代のドレスパンツの基準では細身と呼べるほどのものではありませんが、だからこそ良いのです。

 

少し前ならさらに細身のパンツが主流で、今ならドレスパンツでも太めのクラシックモデルが好まれるところですが、所詮トレンド。パンツはメンズファッションの中で最もトレンドサイクルが早いアイテムなので、いずれは履きづらくなります。このパンツのように時代を反映しない定番モデルは、いつでも買える、いつまでも履けるという安心感がありますね。

 

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こちらは横から。オリジナルの「30」とN35の一番の違いはヒップにあります。西洋人と比べるとお尻のボリュームに欠ける日本人が向こうのモデルをそのまま履くとシルエットが崩れることがありますが、N35は日本人向けにヒップのシルエットを調整しているので、私のような平均的東洋人体系でもお尻の形がキレイに見えますね。

 

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最後はお尻を向けて失礼します。私自身この写真で自分の後ろ姿を初めてマジマジと見ましたが、このパンツを履くと我ながらキレイに見えるものですね。(笑)

 

また、ヒップポケットはオリジナルモデルよりやや上に取り付けることで、視覚的にお尻が垂れてみえないように工夫されているそうです。

 

コーディネート

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ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)

ニット:ユニクロ

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

靴:REGAL(リーガル)

時計:OMEGA(オメガ)

 

同じくイタリアの人気ファクトリーブランドのラルディーニのジャケットと組み合わせたコーデ。秋冬だとグレーの色味もこれぐらい暗めの方が使いやすいですね。

 

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ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

ネクタイ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

靴:JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)

時計:FREDERIQUE CONSTANT(フレデリックコンスタント)

 

打って変わってこちらはアメリカの老舗・ブルックスブラザーズのブレザーを使ったコーデ。ボックスシルエットのブレザーとも相性が良いこのパンツの懐の深さを感じます。

 

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ジャケット:TOMORROWLAND(トゥモローランド)

ニット:EDIFICE(エディフィス)

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

靴:PIEVE(ピエーヴェ)

時計:FREDERIQUE CONSTANT(フレデリックコンスタント)

 

最後は前回の記事からそのまま転載。上2つは革靴を合わせましたが、個人的にはむしろ足元はスニーカーの方が相性が良いのではないかと感じています。

 

まとめ

秋冬で最も着用頻度が高い、汎用性抜群の定番スラックスのご紹介でした。やはり体格に合ったパターンというのは重要ですね。

 

私の会社はジャケパンが認められていないので、休日のみの着用ですが、ビジネス使いも全く問題ない、正にどこでも使える一本なので、誰にでもおすすめ出来ることは間違いないでしょう。

 

ただ問題は価格。定価で4万円なので、ちょっと考えますよね。パンツで出せる金額として、私の中ではこれが上限です。だからこそセールが狙い目ですが、マイサイズの46はすぐなくなるので、結局定価で買わざる得ないという・・・。

 

なので、運よくセール価格で買えそうなら絶対におすすめですよ。

 

今回は以上です。