トラッドマンに憧れて

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Felisi(フェリージ)の定番ブリーフケースをレビュー!3年間使ってみた分かった使用感と取扱い方。

ビジネススタイルの多様化といわれて久しい昨今ですが、男性が仕事用に持つ鞄も同様で、トートバッグどころかバックパックだって今では当たり前に市民権を得ていますね。

 

しかし、それでも私は断然にブリーフケース派。

 

ビジネスバッグの王道と呼ばれる一方で、機能面で劣るというイメージから、年々その利用者が減少傾向にあるブリーフケースですが、凛とした姿はスーツスタイルの相棒として他のバッグとは一線を画す特別な存在だと思っています。

 

今回は私が3年間使用しているFelisi(フェリージ)の名作ブリーフケース「8637/2/DS」をご紹介します。

 

なお「8637/2/DS」は既に廃番となっていますが、後継の「1772/1/DS」が引き続きフェリージを代表する定番モデルとしての地位を不動ものにしています。また「1772/1/DS」は今回ご紹介する「8637/2/DS」の基本的な特徴を引き継いでいますので、これから新しくフェリージの定番ブリーフケースの購入を検討している方の参考にもなるかと思いますので、是非ご覧になってください。

 

 

フェリージについて

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参照:イタリア製レザーブランド | Felisi(フェリージ)公式通販

 

1973年にイタリア北部のフェラーラにて革製品工房として創業。フェリージといえば、異なる素材を組み合わせた鞄が有名で、特に1992年に発表したバケッタレザーとナイロンのコンビ素材のバッグは現在に至るまでフェリージを象徴するアイテムとなっています。他にも「コロコロ」の愛称で親しまれる蛇腹式の折り畳み財布も人気がありますね。

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「コロコロ」の愛称で親しまれる「3500/A」

参照:折り財布(3500/A)ライトブラウン(バケッタレザー)|Felisi(フェリージ) | Felisi(フェリージ)公式通販

 

日本での展開は、現在ユナイテッドアローズ傘下となったフィーゴが1987年より取扱いを開始。百貨店などに入っている直営店の他に、全国のセレクトショップでもフェリージのアイテムを見かける機会は多いのではないでしょうか。

 

ちなみに、フェリージ直営店の中でも、名古屋・神戸・広島・博多の店舗では、洋服や小物など他ブランドのインポートアイテムも取り扱うセレクトショップの形態をとっています。そのラインナップは王道から少し外れた、他所ではあまり見かけないようなセンスが良いアイテムが多く揃っており、意外な掘り出し物が見つかるかもしれません。私も過去に何度かフェリージの店舗で洋服を購入したことがあります。

 

tradman-dc.com

 

このジェルマーノのカーゴパンツも実はフェリージの店舗で買ったものでした。

 

8637/2/DSをレビュー

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こちらが3年間使用しているフェリージのブリーフケース「8637/2/DS」。ネイビーとブラウンの配色も含め、これぞフェリージというモデルです。その分、街中で他の人と被る可能性がもの凄く高いんですけどね(笑)。

ビジネスの場では浮いてしまいそうな少し派手な色味ですが、ネイビーとブラウンは私を含めて男性のスーツスタイルによく使われカラーなので、実際に持ってみると意外にもしっくりきますよ。

 

ちなみに「8637/2/DS」という型番は、86年に37番目のデザインとして考案され、その2世代目で、主素材であるナイロンのマテリアル記号(DS)を意味しているそうです。

 

こだわりの素材

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本革部分には、イタリアのトスカーナ地方に1000年前から伝わるとされる伝統的な鞣し手法によるバケッタレザーを使用。その特徴はオイルをたっぷりと含み、使い込むことによって味わい深く変化する色味と、表面の美しい艶です。現在主流のタンニン鞣しやクロム鞣しと比べて、バケッタレザーは圧倒的に手間と時間がかかり、また極一部の限られたタンナーでしか作ることが出来ないため、希少な素材とされています。

 

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そして、表面積の大半を占めるナイロンはリモンタ社製のものを採用。リモンタナイロンといえばナイロン製品に定評があるプラダが使っていることで有名で、深みのある上品な光沢と滑らかな手触りが特徴です。高密度に織られた上質な生地は「ナイロン=安物」という価値観を覆します。

 

完成された美しいデザイン

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このブリーフケースの人気を支えるのは、やはりイタリアブランドならではの色気を感じる美しいデザインにあるのではないでしょうか。ブリーフケースといえば、直角的で堅牢なイメージがありますが、フェリージのブリーフケースはこのモデルを含めて、どれも丸みを帯びて柔らかい雰囲気を纏います。

 

また、画像では自立しているように見えますが、壁に立てかけているだけなので、実際にはその柔らかい造り故にすぐ倒れてしまいます。コシがないので、側面がくびれるように軽く折れ曲がっていますね。個人的にはこのくびれも色気を感じるポイントです。

 

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一般的なブリーフケースには底面が床に触れないように底鋲が取り付けられますが、伝統的にこのモデルに底鋲は付いていません。すっきりとした見た目を優先した結果なのでしょうが、その代わりに底面には他よりも厚みがあるレザーが使用されているので、耐久性の面でも幾分か安心出来ますかね。といえども、基本的には自立しない上に型崩れのリスクがあるので、立て掛ける置き方はあまりおすすめしません。

 

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個人的なお気に入りのポイントなのがこの持ち手。丸みを帯びたレザーのハンドルの中にはコットンのロープが芯として入っているので、しっかりとしていながら、柔軟性があり手馴染みが良い造りとなっています。手に直接触れるだけに、他の部分より革の色味が濃く変化してますね。

 

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このモデルにはネームプレートが付属しています。まぁ、名札を入れて使う人はほとんどいないと思いますが、アクセサリーとしてちょっとしたアクセントになってます。

 

痒い所に手が届く収納力

見た目も大事ですが、鞄としての機能性、つもり収納性も軽視は出来ないポイントですね。W40×H32×D11cmというスペックからも分かる通り、決して容量は大きくありませんが、ビジネスマンにとって痒い所に手が届く絶妙な収納を備えています。

 


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まずは内側から。奥側はにはちょっとした書類やハンカチなど雑多の物が入る大型ポケット、手前には名刺ケースやメモ帳が収まる小型ポケットが2つ、鍵など小さな貴重品を仕舞うのに便利なフラップポケットが1つ、そしてペンホルダーが2つが取り付けられています。

 

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外側正面のフラップを開けるとファスナー付きの収納が出現します。ここは普段使わない物を入れておくのに丁度良いですね。私は常備薬と予備のマスクを入れています。

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そして背面にも仕切られた大きなポケットが2つ。パスケースなどすぐに取り出したいものはここに入れておくと捗りそうですね。補強のためにある逆三角形のガゼットは、見た目の上でもいい感じ。

 

持ちやすいは正義

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年間200日以上は出番があるこのバッグですが、とにかく持ち運びやすいということに秀でています。先述の通り、丸みを帯びたレザーハンドルは手馴染みが良く、まさに疲れ知らず。そしてなんといってもナイロンを主素材としている特性上とにかく軽いということ。プライベート用ならいざ知らず、毎日の様に使う仕事用となれば持ちやすく負担が少ないということは重要なファクターですね。

 

取扱い方とメンテナンス

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人気が故に街中でも度々遭遇するフェリージのこのバッグ。でも結構な割合でくたびれた状態の物を見かけませんか?私もそれを見ていたので、それなりの値段がする割に長く使えないのではないかと懸念があり、購入を躊躇ってた時期もありました。

 

悪い状態の例として、他の方の所有品を載せるわけにはいきませんが、メルカリ等で出品されている物を見てみてください。上から押し潰されたように型崩れを起こして、革はひび割れ、ナイロンはみすぼしい程にボロボロ。こんなのがたくさん見受けられます。

 

でも大丈夫。適切な取扱いとメンテナンスを行えば、きれいな状態を維持出来ることをこの3年間で実感しました。

 

まずは日々の取扱いです。このバッグは自立しない程にコシがなくて、柔らかい造りとなっています。そのため、普通に立て掛けるだけでも自然と上から力が加わり型崩れを起こしてしまう原因となります。会社でも家でも移動中であってもバッグを置くときは、横置きが基本です。底鋲がないことによる底面へのダメージを考慮しても縦置きはNGと思ってください。

 

次に革について。バケッタレザーは鞣しに膨大の時間をかけているため、オイルが革の芯まで染み込まされている特徴があります。そのため、普段のメンテナンスは軽いブラッシング程度で十分ですが、半年に一度くらいは革製品用のクリームを塗って栄養補給をしてあげましょう。バケッタレザーらしい経年変化を楽しむなら、無色のクリームであまり手を入れすぎない方が無難です。

 

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最後は軽視されがちなナイロンについて。化繊=メンテナンスフリーと勘違いしている人も多いようですが、ナイロンだって洋服で使用されているコットンやウールの生地と同じ織物です。埃や塵が隙間に溜まれば劣化の原因となります。週1回くらいで良いのでブラッシングをして汚れを落として、繊維を整えてあげましょう。専用のブラシじゃなくても洋服用のブラシを使い回してもらって十分です。

 

1772/1/DSとの違い

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参照:ビジネスバッグ(1772/1/DS)ネイビー(ナイロン)×ライトブラウン(レザー)|Felisi(フェリージ) | Felisi(フェリージ)公式通販

 

冒頭でも触れている通り、「8637/2/DS」は後継モデルの「1772/1/DS」へ世代交代をしています。でもパッと見た感じでは変化はありませんね。サイズ感も全く同じみたいです。そうはいえども、型番が変更となっただけあって幾つかの変更点があり、その中でも特に目に付く3点をご紹介します。

 

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参照:ビジネスバッグ(1772/1/DS)ネイビー(ナイロン)×ライトブラウン(レザー)|Felisi(フェリージ) | Felisi(フェリージ)公式通販

 

まずは底鋲が取り付けられたということ。先述の通り、私は縦置きを推奨しないのであまり必要としませんが、どうしても床に立て掛けざる得ない場面もあり、潔癖気味の人には必須なディテールだと思うのでこれは理解出来ます。

 

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参照:ビジネスバッグ(1772/1/DS)ネイビー(ナイロン)×ライトブラウン(レザー)|Felisi(フェリージ) | Felisi(フェリージ)公式通販

 

別売のショルダーベルトを付けられる金具が両サイドに登場。個人的にスーツスタイルの肩掛けは最高にダサいと思っているので、これは完全に不要ですかねー。デザイン的にも金具の存在はマイナスのような気がします。しかも側面のレザーパーツの割合が少なくなっているのも微妙・・・。軽量化を謳っていますが、十分軽いのでそこまでする必要はあったのかと。

 

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参照:ビジネスバッグ(1772/1/DS)ネイビー(ナイロン)×ライトブラウン(レザー)|Felisi(フェリージ) | Felisi(フェリージ)公式通販

背面にはキャリーケースのハンドルに差し込めるように、スリットが入るように変更されました。出張が多い方にとっては便利そうですね。ただ、私は背面ポケットをよく使っているので、ポケットの面積が小さくなってしまったのはちょっと残念。

 

といった具合に、多少の贔屓目もあって「8637/2/DS」の方が良かった的な内容になってしまいましたが、明確に「1772/1/DS」の方が優れているポイントもあります。それは価格の面ですね。レザーの面積が少し減ったとはいえ、価格上昇が続くインポート勢の中で正価を1万円近下げたというのはなかなかの英断ではないでしょうか。

 

ちなみに「8637/2/DS」を現在でも購入することは可能です。まずはフェリージの公式オンラインショップですが、こちらでは定番色の取扱いが既に終了して、少し奇抜な配色しか在庫はないみたいです。一方で楽天市場に出店しているお店では定番色もまだまだ残っているので狙い目かもしれませんね。その場合は並行輸入品も混じっているので注意は必要ですが。

 

まとめ

スマホと財布を除けば、おそらく最も過ごす時間が長いブリーフケースのご紹介でした。

 

実用性と趣味性を兼ね備えたナイロン×レザーのバッグはビジネスバッグの最適解じゃないかと思う程で、そしてナイロン×レザーといえば、やっぱりフェリージですよ。

 

少しカジュアルな印象もありますが、色味を間違えなければ、余程お堅い職場でない限り問題ないでしょう。

 

一方で年齢的にも、次は渋みの効いたフルレザーのブリーフケースやダレスバッグなんかも良いんじゃないかと思案中・・・。

 

まぁ、購入時の想定以上にこのバッグが長持ちしそうなので、少し先の話なんですけどね。

 

今回は以上です。