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MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュロンドン)のダンケルドMLをレビュー!あの名作のDNAを継ぐステンカラーコートの実力は?

過去の記事でも少しご紹介していましたが、今回はMACKINTOSH LONDON(マッキントッシュロンドン)のダンケルドMLのレビューをお届けします。

 

手元に届いて約1ヶ月。積極的に着用を重ねてきましたが、期待していた以上。あの名作コートの名を冠しているの伊達じゃないみたいですよ・・・!?

 

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マッキントッシュロンドンについて

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少しでも洋服に関心があれば、一度は聞いたことがあるであろう英国ブランドマッキントッシュ。防水性が高いゴム引きコートが特に有名で、バーバリー」「アクアスキュータムと並び英国3大コートブランドの一つに数えられています。

そして、マッキントッシュロンドン」は日本の三陽商会が手掛けるマッキントッシュのライセンスブランドとなります。つまり、三陽商会が本家マッキントッシュにロイヤリティーを支払うことで、ブランド名や一部製品のデザインを使用して製造・販売を行う権利を得ている日本のブランドだということですね。日本ブランドなのにロンドンなんて付くからややこしい。また、同じ三陽商会が展開するライセンスブランドマッキントッシュフィロソフィー」の存在も分かりにくくさせている原因ですね。一応「ロンドン」がトップラインで、「フィロソフィー」がセカンドラインという位置づけになっていますが、「フィロソフィー」の方が歴史が長かったり、さらに本家マッキントッシュセカンドライン「トラディショナルウェザーウェア」が日本でも高い人気を集めているなど、とにかくマッキントッシュに関連するブランドはややこしいのです。これについては後日別記事でまとめようかと思うので、詳しくはそちらで。

 

少し話が逸れてしまいましたが、マッキントッシュロンドンは2015年にスタートしたまだ新しいブランドになります。これは有名な話ですが、長年に渡り日本で親しまれてきた英国バーバリーのライセンスブランドバーバリーロンドン」のライセンス契約が終了したことにより、後継として三陽商会マッキントッシュに白羽の矢を立てたことに始まります。

 

ライセンスブランドといえば服好きの方からしたらどうしても下に見られがちですが、そう簡単に侮れないのがマッキントッシュロンドン。確かにオリジナリティーには欠けますが、クオリティーは決して引けを取りません。

 

企画元の三陽商会終戦直後にレインコートの製造で名声を得た国内屈指の老舗アパレルメーカーで、先述の通り40年以上に渡り英国バーバリーディレクションの下にライセンス商品を製造してきたことから、特にコート類に関しては高度なノウハウを持っています。

 

バーバリー然り、マッキントッシュ然り、海外の有名ブランドの名を借りるライセンス戦略が目立つ三陽商会。嫌味な言い方をすれば「他人の褌で相撲を取る」ことを得意としていますが、その真の実力を世に知らしめたのが、自社ブランド「SANYO COAT」から登場した100年コートでした。長年蓄積してきた技術の集大成ともいえる100年コートは、その名が語る通り一生モノに値する素晴らしいクオリティーで高い評価を得ています。

 

100nen COAT | SANYOCOAT 1946 JAPAN

 

話をマッキントッシュロンドンに戻すと、三陽商会が取り扱うということは、高い技術力に裏付けされた確かな品質が保証されているというだけではなく、日本のメーカーが日本人のための製品を作っているということに利点があります。私達日本人と西洋人では肩周りの特徴や丈感が異なるということは周知の通り。インポート物でデザインは最高だけど、体型が合わないなんて経験も一度や二度はあるかと思います。ところが、マッキントッシュロンドンは本家のニュアンスを感じさせながらも、あくまでも日本のメーカー。サイジングの面で苦労するということはあまりないはずです。

 

まぁ、本家マッキントッシュと比べてどちらの方が気分が上がるかと言われれば、正直ロンドンの方に勝ち目はありませんが、価格の面(ロンドンの方もそれなりですが…)も含めて、ライセンスブランドという選択肢もありじゃないかと思いますよ。

 

ダンケルドMLをレビュー

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この度、縁があって迎え入れことになったマッキントッシュロンドンのダンケルドMLマッキントッシュの絶対的アイコン・ダンケルドの名を冠したこのステンカラーコートは、オリジナルの意匠を限りなく忠実に再現しつつ、現代の日本人のライフスタイルにアジャストした一着となっています。

 

ディテール

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高密度で打ちこまれて、適度にハリがあるコットンギャバジンを使用。表面の毛羽立ちを取り除く処理が施されており、美しい光沢と滑らかな手触りは一目で上質であることを感じさせてくれます。クタクタになるまで馴染ませた生地も雰囲気があってカッコいいですが、それとはまた違うパリッとした高級感のある生地です。シワが残りにくいという点も普段使いする上ではありがたいですね。

 

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ダンケルドといえば、2枚の生地の間に溶かしたゴムを流し込み圧着させて防水性を高めさせた所謂「ゴム引き」が特徴ですが、このコートには採用されていません。現代においてゴム引き自体は既に過去の技術で、防水性を高める手段は他にいくらでもありますが、ある種のアイデンティティーとして好まれています。もちろん独特の質感など替えがきかない面もありますが、機能性としては既にその役目は必要とされていません。バブアーのオイルドコットンのようなものですね。でも男なら意味が無くともそういう要素には惹かれるものです。私だってそうですよ。

 

とはいえオリジナルが持つ古典的な素材には、その魅力と引き換えに取扱いにくさというデメリットがついてきます。まずゴム引きコートは、一般的なクリーニング店では取扱が出来ず、国内で唯一マッキントッシュからの公認を受けているラヴァレックスに依頼することを推奨されています。それに経年により生地に挟み込んでいるゴムが剥離する可能性があり、その場合は高額な修繕費がかかるケースもあります。人によってはゴム特有の匂いが気になることもあるでしょう。最近ではゴムに代わるハイテク素材を挟んでいるモデルもありますが、いずれにせよ経年による剥離の問題は残っています。

 

その点で言えば、このコートはゴム引きを採用せずに、ダンケルドとしての個性には欠けますが、生地には撥水加工が施されており、上の画像のように少しぐらいの水分ならはじいてくれます。レインコートとして使うつもりなら別ですが、日常生活の中では十分でしょう。何よりも取り扱いやすいというのは重要ですよね。

 

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ゴム引きではないものの、オリジナルのDNAをしっかりと引き継いでいるダンケルドML。無駄を削ぎ落したミニマムで洗練されたデザインとなっています。もちろん前立ては比翼仕立てです。また、クラシックなステンカラーコートといえばラグランスリーブのイメージが強くありますが、本家ダンケルドを倣いセットインスリーブを採用しています。

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よりダンケドらしい雰囲気が出るので、私はチンストラップを垂らして着用していますが、襟裏に収納することも可能。お好みでどうぞ。

 

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そして、もちろんチンストラップを前で留めて襟を立たせることも可能です。ちょっと気恥ずかしさもあり、なかかなか出来ませんが、風が強い日に襟を立てて街を闊歩したいものですねー。

 

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トラディショナルウェザーやフィロソフィーを含めて、マッキントッシュ関連のボタンといえばブランド名を白抜き加工された刻印が印象的ですが、マッキントッシュロンドンでは色を変えずに刻印が施されています。確かに主張は控えめで目立ちませんが、奥ゆかしくて、これはこれでいいんじゃないですかね。

 

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ウェルトポケットの縫製もとても丁寧。寒いと無意識にポケットに手を突っ込みたくなるので、コート類はポケット周りがダメになることもよくありますが、この縫製なら安心ですね。

 

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袖口にはボタンやカフスベルトなど一切の装飾が省かれています。ひたすらシンプル。実用性のない単なる飾りは付いていません。

 

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コート内が蒸れないための通気口の役割を果たす、ベンチレーションホールもちゃんと備えています。これも昔ながらのクラシックなディテールで、ダンケルドの象徴でもあります。

 

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裏地とライナーには全面的にハウスチェックが施されています。普通に羽織っていても意外と目立つので、ここは好き嫌いが分かれるかもしれませんね。

 

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そしてライナーは簡単に着脱が可能となっています。これが中綿入りのキルティングなので、結構暖かいんですよねー。そのおかげで春と秋のイメージがあるコットンのコートですが、インナーを気を付ければ冬でも問題なく着用可能なのです。まぁ、さすがに雪が降る程寒い日は厳しいですが、シーズンが限られるコート類の中でも着用可能な期間の長さは屈指です。

 

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ブランドタグにはフィロソフィーでは採用されなかった本家マッキントッシュと同じロゴを使用。ちなみに現在の本家タグは白地に黒文字です。

 

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右側の裾裏には取り扱い方法が記載されたケアタグが貼り付けられています。日本人に向けた日本のブランドなのに、英語表記なのは変な感じですが、これもオリジナルのディテールを再現したもの。位置的に結構目立つので、それなりのこだわりがあるのでしょう。

 

サイズ感とシルエット

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身長173㎝体重65㎏肩幅44㎝の私が選んだのはサイズ38。インナーにはシャツとニットを重ね着していますが、ジャケットの上からも羽織れるようにアームホールと身幅にはまだ余裕があります。一方で着丈や袖丈はオリジナルと比べると、日本人向けにやや短めに設定されています。このサイズ感はさすがですね。私の体格で本家のダンケルドを着ようとすれば、身幅か丈感のどちらかを諦めるか、大幅なお直しが必要になりそうです。

 

そして特筆すべきはこのシルエット。数年前まではこのモデルでもすっきりとしたIラインシルエットが採用されていましたが、ここ最近の時流を受けてか往年の優雅なAラインシルエットが復活しました。やっぱりトラッドなコートといえばこれですよ。ハリ感の強い生地も相まってシルエットがきれいに出ていますね。

 

コーディネート

この手のステンカラーコートがスーツとの相性が良いことは想像に難くありませんが、私は現時点で仕事用としてこのコートは使ってないので、カジュアルコーデのみご紹介します。

 

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コート:MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュロンドン)

ニット:EDIFICE(エディフィス)

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

靴:PIEVE(ピエーヴェ)

 

まずは晩秋から冬を想定したコーデ。タートルネックのニットとウールのパンツを合わせれば季節感は十分にとらえられているのではないでしょうか。また、ベージュのステンカラーコートはどうしてもビジネス色が強くなるので、シューズには革靴ではなくスニーカーを持ってくると上手くバランスが取れますよ。

 

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先程と全く同じコーデですが、上2つのボタンだけを留めています。そうすることでAラインシルエットがより強調されて、ちょっとした「こなれ感」ってやつも演出できるので、変化をつけたい場合におすすめです。

 

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コート:MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュロンドン)

シャツ:無印良品

パンツ:A.P.C(アーペーセー)

靴:JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)

 

こちらは春をイメージしたコーデ。爽やかな白シャツにロールアップしたデニム、足元には地肌を見せるように履いたローファーを合わせて軽やかさを重視しています。それにライナーを外してしまえば、着心地もかなり軽くなりますよ。トップスはボーダーのカットソーとかでも良さそうですね。まぁ、正直このコートなら何と合わせてもそれなりに様になりそうです。

 

まとめ

汎用性が高く使い勝手が良い定番コートのご紹介でした。これからも長い間活躍してくれそうです。

 

マッキントッシュ=ダンケルド=ゴム引きコート」と容易に連想できる程にパブリックイメージは定着していますが、そのデザインやニュアンスだけを楽しみたいのであれば、マッキントッシュロンドンのダンケルドMLという選択肢も大いにありではないでしょうか。

 

ただ、定価だと本家マッキントッシュのダンケルドとさほど金額が変わらないので、そこをどう捉えるかですね・・・。だからこそセールにかかるタイミングが狙い目かもしれません。

※本家:セールなし、ロンドン:セールあり

 

今回は以上です。