トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

REGAL(リーガル)の本気。愛用しているウィングチップ「W10BDJ」をご紹介します。

多くの方が一度はお世話になったであろうREGAL(リーガル)の靴。「ちょっと良い革靴」として日本のビジネスマンに長らく愛されてきました。

 

今回はそんなリーガルから。既に廃番になりながらも、コアなファンに語り継がれる名作ウィングチップ「W10BDJ」をご紹介します。リーガルに対するイメージは人それぞれだと思いますが、このウィングチップは「リーガルの本気」を感じる紛れもない逸品です。

 

 

日本人の足元を支えてきたリーガル

1902年創業。当時は「日本製靴」という社名で主に陸軍に支給される軍靴の製造を請け負っていました。第二次世界大戦終戦すると、軍需の縮小と共に民間向けの革靴製造へとシフト。

 

1961年に米・ブラウン社(現クラレス社)とライセンス契約を締結。同社が展開する「リーガル」ブランドの国内製造を開始します。現在まで続くリーガルの誕生です。1960年代当時の日本ではアイビールックが大流行。アメリカ生まれのリーガルの靴は当時の若者達にアイビーの定番として愛されたそうです。

 

その後もベーシックな革靴を日本人にあった木型で作り続け、不動の人気を獲得。1990年には社名を現在の「リーガル」に変更しています。

 

名実ともに日本を代表する革靴メーカーとなったリーガルの靴は、直営店や百貨店の紳士靴売り場だけではなく、ABCマートなどの量販店でも取り扱いがあるように、実に幅広いレンジの商品展開がなされています。

 

そういった背景もあり、本格紳士靴に造詣が深い方からしたらリーガルは必ずしも高く評価されているわけでないといのが事実です。実際にボリュームゾーンである2万円代の靴はセメント製法が中心でも革質も値段なり。

 

でも、これは仕方がないことですよね。リーガルの顧客はあくまでも大衆。わざわざ玄人を満足させずともビジネスは成り立ちます。自動車でいえばトヨタみたいなものですよ。リーディングカンパニーの宿命です。

 

まぁ、その大衆向けの靴だって流石と思わせる箇所が随所に見られますが、本質とはまた違います。「それなり」で済ますことができない存在。そう思わせるような本気のリーガルが時折顔を覗かせます。今回ご紹介する「W10BDJ」はまさにそんな一足です。

 

W10BDJをレビュー

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このモデル「W10BDJ」は2014年に登場。記憶が曖昧ですが、私が購入したのは2017年頃で、廃盤となったのもどうやらその頃のようです。

 

デザインとしては、全体に施されたブローギング(穴飾り)と大きく張り出したコバが特徴的で、革靴好きの人であればトリッカーズの「バートン」を連想するのではないでしょうか。アッパーの色味は経年により飴色に変化していますが、購入当初はもっと黄土色ぽっかたので、よりトリッカーズ感が出ていたかもしれませんね。

 

そしてトリッカーズの靴といえば、良い意味でカントリーシューズらしい大味な野暮ったさが魅力の1つですが、それと比較するとこのリーガルのウイングチップは精巧に作りこまれていて、図らずも日本らしさを感じてしまいます。

 

この靴は秋冬のプライベートシーンで最も着用頻度が高くなるほど重宝していますが、その理由はブラウン系のジャケットやコートと好相性の色味だけではなく、ぼてっとした丸みを帯びたフォルムにあります。

 

カジュアルスタイルに革靴を合わせる場合、重要なのは如何にビジネスシューズのイメージから遠ざけるか。個人な見解ですが革靴のオンオフ兼用ってどちらかといえばナシなんですよね。私が春や夏にローファーをヘビーユーズしている理由も革靴の中で比較的に仕事用の印象が薄くなるからです。

 

その点でいえば、この丸みのあるフォルムや張り出したコバという特徴はビジネスシューズとしては適していない要素なので、逆にカジュアル用として実に使い易いのです。まぁ、個人的にはフルブローグの外羽根ウィングチップの時点でフォーマル使いには難しいように思いますが。

 

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アッパーには国内屈指のタンナー・山陽のキップレザーを使用。キップレザーとは仔牛と成牛の中間にあたる牛革で、キメが細かく柔らかいという特徴を持ちながら、仔牛であるカーフよりも高い強度を兼ね備えています。

 

他の方が所有する「W10BDJ」の画像を拝見すると経年変化の仕方にかなりバラつきがあり、私の物は日焼けたようなライトブラウンに変化しました。個体差というよりはメンテナンス方法の違いによるところが大きいような気がしますが、育て方によって姿が変わるという革製品の醍醐味を味わえる素材です。

 

この靴のベースはやはり英国のカントリーシューズであることは間違いありませんが、幾分かカントリー感を抑えられているように感じるのは、ブローギング(穴飾り)の仕様によるものかと思います。ブローギングの幅や深さ、処理の仕方はブランドやモデルによって様々ですが、この靴では一つ一つの穴もやや小ぶりで、丁寧に処理されています。ドレッシーとまでは言いませんが、無骨さや泥臭さは少し薄れてますね。

 

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シューレースホールにはカジュアルさを強調するハトメ付き。一方でシューレースはこの手の靴(それこそバートンとか)にありがちなロープ状の太めの紐ではなく、ドレスシューズのような細紐が採用されています。ここについては賛否があるようで、シューレースを交換している方もいらっしゃいますが、先ほど触れたブローキング同様にカントリー感を抑え、ジャケットなどのドレススタイルにも馴染みやすい要素として私は結構気に入っていたりします。

 

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こちらは横から。アウトソールの上にミッドソールを挟んだ所謂ダブルソールが採用されています。見た目的にも迫力があり、ドレスシューズとは明らかに異なるポイントです。また、このダブルソールもこだわりの日本製で、革製品でお馴染みの栃木レザーの皮革を使用。もちろん製法はグッドイヤーウェルトです。

 

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ダブルソールの特性上、つま先の返りはあまり良くないので履き始めた当初は驚くぐらいにトゥの先端が削れていましたが、それも最初だけですぐに馴染んでくれました。アウトソールはほぼノーメンテですが、栃木レザーならではの風合いの良さは若干残っているような気がします。

 

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裏側には美しいネイビーのライニングが施されています。アッパーの色味とのコントラスでアズーロ・エ・マローネ的な艶やかさも感じます。

 

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そしてライニングには誇らしげな「MADE IN JAPAN」のプリントと共に、アッパーとライニングには山陽、ダブルソールには栃木レザーの皮革が使用されていることが明記されています。革靴で原材料について、ここまで分かりやすく表示されているものは他に記憶がありませんが、それだけにこの靴に関しては純日本製であることにこだわりがあるのでしょう。

 

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最後に着用感について触れておくと、サイズ選びに少し失敗した結果、完全に満足いくようなフィッティングは得られていません。というのも、深く考えずにいつもリーガルで履いている25㎝を選んでしまいましたが、このモデルはやや大きめな造りとなっているので、おそらくハーフサイズ下が正解だったような気がします。

 

ただ、指先にかなり余裕がある割には、意外にもシェイプが効いたシルエットのお陰で土踏まずがしっかりとホールドされ、サイズが合っていないなりに不快感を覚えるほどではない、それなりの履き心地となっています。

 

コーディネート

いずれも過去記事からの転載です。

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ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)

ニット:EDIEICE(エディフィス)

パンツ:A.P.C(アーペーセー)

靴:REGAL(リーガル)

時計:OMEGA(オメガ)

 

この靴に合わせるパンツはスラックスでも悪くはないのですが、一番相性が良いのはやっぱりデニム。特に深い濃紺のデニムですね。ブラウンやベージュ、カーキなど所謂アースカラーのジャケットと合わせたらカントリージェントルマン風のコーデの完成です。一方で万能そうな紺ブレやグレー系のジャケットだとあまりしっくりこないという、取り扱いにくい一面も。

 

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コート:LONDON TRADITION(ロンドントラディション)

ニット:FRED PERRY(フレッドペリー

シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

靴:REGAL(リーガル)

 

私は身長の割には足がやや小さめで、さらにタイトフィット信者でもあるので、ダッフルコートのようにボリュームがあるアウターとバランスが取れる靴があまりないのが悩みの一つですが、この靴は張り出したコバの分だけ存在感があり、特に重量感のあるコートを着る冬場には重宝しています。

 

まとめ

リーガルの靴は今まで何足か所有してきましたが、その中では間違いなくベスト。

 

アメリカにルーツを持つリーガルが、純日本製にこだわって英国式の靴を作ったと考えるとなかなか面白いじゃないですか。

 

時にこんな靴が出てくるからリーガルからは目が離せないのです。

 

ここ最近、仕事と私生活で慌ただしくしていたので、更新が少し滞ってしまい中途半端な下書きが溜まっていく一方。

 

まぁ、無理なく続けていきますよ。

 

今回は以上です。