「若者の間でフィッシングベストが流行」
数日前のこと。毎朝出勤前に垂れ流している情報番組がそのような話題に切り替わった瞬間に、思わず身支度の手が止まり、テレビ画面に視線を向けていました。
「フィッシングベストって釣り人のおじさんが着ているアレが!?」と驚きもありましたが、話を聞くうちに妙に納得させられる一面も。
今回はそんな話です。
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そもそも本当にフィッシングベストが流行しているのか?
その情報番組では渋谷や原宿でフィッシングベストを着ている若者を見つけてインタビューを行っていました。少なくと私が暮らす福岡ではそんな着こなしをしている人は見たことがない(記憶にない)ので、流行の最先端を走る東京で、一部の尖った感性を持った若者に限った話では?と思いましたが、どうもそうではなそう。
インスタで「#フィッシングベスト」で検索をかけると、膨大な数のコーデ投稿が引っ掛かり、ビームスやジャーナルスタンダードのような大手セレクトショップでも普通に取り扱われているようです。
いやはや、これは私が想像していた以上。市民権を得たとは言いませんが、フィッシングベストがファッションアイテムとして浸透しつつあるようですね。定着するのか一過性なのは分かりませんが。
そこには意外と納得できる理由があった
インタビューに応じる若者達が挙げていたフィッシングベストを選ぶ理由は大きく2つ。
まず1つめは収納力の高さ。これは容易に想像できますね。あそこまでポケットが付いている服は他にありませんから。最近はあらゆる物のスマート化が進み、手荷物が少なくなった影響もあり、これならバッグは不要ということで支持を集めているようです。個人的には服のポケットには一切の物は入れたくない派ですが、その気持ちも分からなくもないですね。
そしてもう1つの理由はシンプルになりがちな春夏のコーデでアクセントとなるデザイン性。カッコいいかどうかは別として、確かにあのデザインはインパクト大です。いつもの白Tの上に羽織るだけで、随分と印象は変わることでしょう。
現代のライフスタイルに則した実用的な機能性と、街着としては目新しさもある特徴的なデザイン性。それがフィッシングベストが受け入れられた要因みたいですね。
じゃあ、その理屈ならポケットが6つぐらい付いてるオーバーサイズのシャツでも作ればヒットするのかと言えば多分それは違います。
つまり、服としてのデザインには説得力が必要ということ。ファッションの為だけにイチから生まれた純粋なオリジナルデザインは基本的には成立しないのです。特にメンズの場合は。
過去の記事でも似たようなことを書きましたが、あらゆる服には発祥のルーツがあります。ジーンズは鉱山労働者の作業着、ダッフルコートは漁師の防寒着、ポロシャツはテニスウェアといった具合です。それらが少しずつアップデートされながら、現在のように街着として定着していきました。人気カテゴリーのミリタリーやワーク系だってそうです。
だから、ファッションアイテムとしてのフィッシングベストは突拍子もないように見えて、実用性に基づいた完成されたデザインなので、取って付けような嘘くささがなく、意外と理に敵っているのではないかと思います。
そもそも最近はアウトドアファッションが人気を集めているので、その一種と考えれば分からなくもないですね。私の感性からすると難易度はかなり高そうですが・・・(笑)。
まとめ
一見すると奇抜に組み合わせに見えても、カジュアルファッションの成り立ちを考えると案外腑に落ちるぞというお話でした。
当たり前のことなんですけど、このフィッシングベストの話題が改めて再認識するきっかけとなりました。
釣りと同様に獲物を捕らえる系のレジャーが由来のウェアといえば、サファリジャケットやハンティングジャケットがありますね。
バブアーのビューフォートを着ている人が「今から狩りにでも行くの?」なんて言われないように、街でフィッシングベストを着ることがなんら違和感のない時代がもしかしたらやって来るのかもしれません。
今回は以上です。