トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

休日ジャケットのすすめ。

今月2度目の台風も過ぎ去り、いよいよ本格的な秋を迎えようとしています。

 

そして秋は一番好きな季節でもあります。なんたってジャケットスタイルを存分に楽しめる季節ですからね。気が早いもので7月の終わり頃からそわそわしてました(笑)。

 

でも、そんなジャケットスタイルですが「休日に私服として着るのはちょっと・・・」と抵抗を持たれる方も実際は結構多くいらっしゃることかと思います。カジュアル全盛の現在はなおさらです。

 

今回は「休日にこそジャケットを着よう!」という提言とともに、私なりに思うジャケットスタイルの始め方を書いていきます。

 

ジャケットはビジネス用と割り切ってしまうのは本当にもったいないですよ。

 

なお、前提として普段は仕事でスーツを着用している30代以上の男性をイメージして話を進めますが、所謂ビジカジや私服勤務の方にもご参考になるかと思いますので、是非ご覧になってください。

 

 

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なぜ、休日こそジャケットを着るべきなのか?

オフの日の服装、つまり私服なんて好きなものを着れば良いんです。そのことを踏まえた上でなおジャケットスタイルをおすすめしたい理由をいつくか挙げいきます。

男性を最もカッコよく見せてくれる装い

これは決して私の主観なんかじゃありません。会社でスーツを着ている姿がカッコいい上司も、私服は残念なんてことはよく聞く話ですね。スーツ、とりわけジャケットは男性がカッコ良く見えるように進化した結果の完成系です。程度の差はあれど誰でもカッコ良く仕上がるのがジャケットを取り入れたスタイルなんですよね。さらに年齢を重ねるにつれて似合うようになってくるという点は多くのカジュアルファッションとの決定的な違いでもあります。

 

大人に求められる清潔感と誠実さを体現

何歳から「大人」なのかということは置いておいて、ある程度の年齢になるとファッションは派手さや個性よりも清潔感と誠実さが重視されます。その点ビジネスシーンにも流用可能なジャケットスタイルは間違いないでしょう。

 

幅広いTPOに対応

ファッションにおいて最も重視すべきことはTPOです。好きな装いを楽しめば良いといっても限度があります。30代以上にもなれば格式のあるレストランや目上の方が同席する食事会、お子さんがいる方なら授業参観などスーツを着るまではなくとも、いくらかキチンとした装いが求められる場面がありますよね。だからこそ「俺は絶対カジュアル派だぜ!」って方でも一着ぐらいはジャケットを持っていれば必ず役に立つことでしょう。

 

どのようなジャケットを選べばよいのか?

以前会社の後輩から「仕事で着ているスーツの上だけを私服として使い回しても大丈夫ですか?」と聞かれたことがあります。当然ダメです。スーツのジャケットと単品のテーラードジャケットは全くの別物。では私服で取り入れるジャケットがどういう物なのか考えてみましょう。

 

生地感

大事なのはいかにビジネス感(=フォーマル感)を排除するのかということ。一般的なビジネススーツで使用される生地は強い光沢を放つウールサージが主流です。であれば極力そのイメージから離れた生地を選びましょう。

 

まず手っ取り早いのコットンですね。普通のビジネスマンならまず選ばない素材で、柔らかな風合いはカジュアルな装いにも相性抜群です。実は私が初めて手にした私服用ジャケットもコットン素材だったりします。

 

もちろんウールのジャケットでも全く問題ありませんが、同じ素材でも織り方や加工方法で違いを付けましょう。春夏であれはざっくりと目が粗いトロピカルウールやホップサック、秋冬であれば表面が起毛したフランネルツイードのジャケットを選らべば間違いありません。ポイントは艶感があまりない生地を意識してみることです。

 

色と柄

ジャケットの色や柄については多くファッション誌等では「無地のネイビーを持っていれば間違いなし」と推されています。何にでも合いますからね、私も基本的には同意です。

 

でも個人的にそれよりもおすすめしたいのがチェック柄のジャケットです。その理由は先程から述べている通りビジネス感が薄れるから。仕事用のスーツといえば無地かストライプが基本でカジュアルな印象が強くなるチェック柄が入ったスーツを選ぶ人はそんなにいないはず。かくいう私も現在手元にあるスーツ8着の中でチェック柄は1着だけですよ。しかもダークトーンで薄っすらと入っているだけなので目立ちません。

 

だからこそ、あえてしっかりとチェックの入ったジャケットはビジネス感が弱くなるんですよ。特に着用している本人の気分的に。

 

色に関しては、ネイビー・ブラウン・グレーの系統であればなんでも良いと思います。でもブラックだけはやめてくださいね。一昔のホストかV系バンドマンみたいになっちゃうんで。

 

ディテール

仕事用のスーツとオフタイムに着るべきジャケットは生地だけじゃなく、細かい仕様にも違いがあります。

 

まずは仕立て。一般的なスーツのジャケットはかっちりと構築的な作りになっていますが、カジュアル用途のジャケットは極力パッドや芯地が廃されたアンコン(アンコンストラクト=非構築的)仕立てのジャケットが好まれます。一番分かりやすいのは肩パッドですね。皆さんがお持ちのスーツは肩パッドがしっかりと入っているものが多いかと思いますが、私服と合わせる場合はパッドが全く使われていない、若しくは極薄いジャケットを選びましょう。実際に手で触ったらすぐに分かるはずです。

 

また、目に見て分かりやすいポイントとしてはポケットの違いも挙げられます。必ずしもそうとは限りませんが、スーツは蓋付きのフラップポケット、カジュアルジャケットは外付けのパッチポケットが主流です。

 

■フラップポケット

 

■パッチポケット

上の画像見比べてもらえれば、なんとなくお分かりいただけるかと思います。ダメというわけではありませんが、全体のバランスが取りにくくなるので、意識してパッチポケットのジャケットを選んでみてください。

 

サイズ感とシルエット

オーバーサイズ全盛の昨今ですが、ジャケットはあくまでもジャストフィットが正解。ジャケットのフィッティングに関して書き始めると長くなりそうなので割愛しますが、その手の内容を解説した記事はネットで検索すればいくらでも見つかるはずなのでご参照ください。とりあえずは普段着用されているスーツと同じような感覚でよろしいかと思います。

 

最近はルーズフィットのカジュアルジャケットも見かけますが、その着こなしはかなり難しくなるので、ますはジャストサイズを選びましょう。基本を知った上での応用です。

 

どこで買うべきか?

洋服の中でもジャケットは特に価格とクオリティが比例するアイテムです。だからこそ出費を惜しむことなくそれなりのジャケットを選ぶべきだという意見を見聞きしますし、私も概ね賛成ですが「良いジャケット」って一般的な感覚だとかなり高額な商品なんですよ。

 

各所で評判のリングヂャケットやラルディーニだって普通に買えば10万円じゃ全然足りません。物の良さは間違いないのですが、そんなに高額なアイテムをこれからジャケットスタイルを始めてみようという方におすすめすることは私にはできません。お金に余裕のある方はどうぞ(僻み)。

 

では庶民の味方ユニクロはどうでしょうか。良い意味で価格に見合わぬ素敵なアイテムを連発するユニクロは私も大好きでよく利用していますが、ジャケットを始めとしたテーラード系は例外です。感動ジャケットやコンフォートジャケットなど最近のユニクロはこの分野にも力を入れているようですが、さすがに1万円以下だと出来上がる物にも限界があります。チープな感じは否めません。いや、実際に安いので当然のことなんですが、定評のあるニット系アイテムのように驚くようなコスパを発揮しているということは全くないんですよね。天下のユニクロにも得意不得意はあります。

 

そこで個人的におすすめするのが、大手セレクトショップが展開するオリジナルアイテム、所謂セレオリです。セレオリと聞くと微妙な反応をされる方もいらっしゃる方も多いかもしれませんが、入手性の高さと価格(4~5万円程度)を考慮したらベターな選択ではないか思っています。生産は国内外の有力テーラードファクトリーに外注しているのでクオリティだって馬鹿にはできせんよ。

 

また、普段着ているスーツはオーダーしているよって方であれば、そのお店でジャケットをオーダーしてみるの良いですね。大体スーツの7割程度の価格でオーダーできるかと思います。

 

ジャケットと合わせるアイテムはどうする?

さぁ、主役となるジャケットは決まりました。次に脇を固める他のアイテムについて考えてみましょう。ポイントはジャケット選びと同じで「いかにビジネス感を薄めるか」という一点です。

 

インナー

選択肢は色々ありますが、まずおすすめしたいのはポロシャツニット(タートルネック・モックネック)です。重要なことはスーツスタイルで合わせることはなく、かつ上品さを感じられるアイテムであること。その点ポロシャツとニットなら申し分ありません。

 

一方で芸能人を始め多くの方が実践しているジャケットにTシャツを組み合わせるという着こなしに関しては否定しておきます。見た目の好き嫌いは別として、ジャケットへのダメージを考慮したら避けるべきでしょう。

 

仕事で1日中着用していたシャツの襟裏ってどうなってますか?どんなにきれいに着たつもりでも薄っすら黄ばんだ汚れが付着しているはず。皮脂汚れって本当に凄いんですよ。シャツは毎回洗濯機にかけるので別に問題ないのですが、インナーをTシャツにするということは、ジャケットの襟裏と首がダイレクトに干渉してしまうということです。

 

毎回クリーニングに出しますか?結構なお金と手間が掛かりますね。そもそもドライクリーニングという行為自体、大なり小なりダメージが蓄積するので、むやみに回数を増やさない方が良いのです。

 

ポロシャツとタートルネック・モックネックのニットを挙げたのもしっかりと首元を覆っているからという理由がありました。

 

そして最後に忘れてはならないのはシャツです。ジャケットのインナーとしてはベストチョイスのシャツですが、圧倒的な相性の高さ故にかっちりとした雰囲気が協調され、敬遠したかったビジネス感が強くなってしまいます。

 

であれば普段のスーツでは合わせないような素材のシャツを選びましょう。一番分かりやすいのはデニムやシャンブレーなのどのカジュアル素材です。

 

また、ドレスシャツで定番のブロード生地の場合でもダークネイビーやブラウンなどビジネス・フォーマルシーンで相応しくない色味なら逆に使いやすかったりします。

 

パンツ

最も簡単なのはデニムパンツです。カジュアルファッションの象徴であるデニムなら容易にドレスダウンを可能にします。皆さんも1本ぐらいはお持ちのことでしょう。ただ、デニムなら何でも良いというわけではなく、ダメージ加工や過度な色落ち、ワイドシルエットのパンツはジャケットと合わせるのは少し難しいですね。スリムテーパードの濃紺デニムが無難でしょう。リーバイスで言うと511あたりです。

 

デニム以外のカジュアルパンツだと同じく馴染み深いチノパンなんかも使い勝手が良いですね。もちろんクリーンな風合いですっきりとしたシルエットのパンツを選びましょう。

 

ストレッチセルビッジスリムフィットジーンズ (MEN) | ユニクロ (uniqlo.com)

スリムフィットチノ (MEN) | ユニクロ (uniqlo.com)

 

もし手元になければユニクロのここら辺のパンツで間に合わせてもらってOKです。

 

カジュアルという意味ではワークやミリタリー由来のパンツも人気がありますが、少し難易度が高めなので、最初のうちは避けておいた方が無難ですね。

 

「スーツ=革靴」という切っても切れない固定概念があるわけなので、休日ジャケットスタイルの足元にはスニーカーを合わせることで、その抵抗感も薄れます。

 

ひとえにスニーカーといっても様々な種類がありますが、存在感のあるハイテクスニーカーは全体のバランスを崩しかねないので、主張控えめなローテクスニーカー、特にアッパーがレザー素材のものが望ましいですね。具体例を挙げればアディダス・スタンスミスコンバース・オールスタークップあたりです。

また、革靴を取り入れるなら紐靴よりもローファーです。理由は散々申し上げている通り比較的ビジネス感が弱まるから。仕事中のスーツスタイルでローファーを履いている方がいないこともないのですが、あくまでも少数派ですからね。そもそも怠け者(Loafer)なんて意味を持つローファーは本来カジュアルアイテムなんですよ。

 

実践編(コーディネート例)

ここまでお伝えしたポイントを踏まえて、2つ程コーディネート例をご紹介します。凝りすぎず、基本に忠実に。

 

まずはこれから季節を見据えた装い。フランネルウールのチェックジャケットにタートルネックとデニム、ホワイトのレザースニーカーを合わせた「THE無難」コーデ。デニムはこれぐらい深い色味だとドレス感が増して、どんなジャケットを持ってきても合うはずです。

 

また、全体をブルー系で統一しているのもポイント。ジャケットスタイルは全身を2色(モノトーン除く)以内でまとめると見栄えが良くなります。

 

こちらは初秋と春をイメージしたコーデ。千鳥柄(ガンクラブチェック)を施した薄手のジャケットに長袖の鹿の子ポロとチノスラックス、足元にはコインローファーを合わせています。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、フットカバーを使用して素足履き風に見せていることで、よりカジュアルな雰囲気が強調されます。

 

こちらはブラウン&ベージュ系統でまとめました。ブラウンはもちろんのことベージュは休日ジャケットスタイルに取り入れやすいカラーですね。

まとめ

久しぶりにHOW TO的な内容でした。普段から本ブログをご覧になっていただいている方からしたら「何をいまさら」といったことばかりですが、あくまでもこれからジャケットスタイルを始めてみたいという方に向けた入門編ということで。

 

お察しの通り、ここで挙げたことが絶対的に正解というわけではありません。実際に私自身がこの道から既に逸れてしまっています。

 

ある程度慣れてくると自分の感覚に基づいたスタイル(理論)が出来上がってくるので、この内容は叩き台となる基礎のようなもの。最初の一歩を踏み出す指針となれば幸いです。

 

今回は以上です。