ニットはハイゲージが好きで気が付けばワードローブには20枚近くもあるのですが、一方でローゲージやミドルゲージはほとんど持っていません。
厚みのあるローゲージだと着用機会が限定されそうなので、今年はまずミドルゲージを狙っていました。そして今年はタートルネックよりモックネックの気分・・・。
秋口から色々と物色していましたが、ミドルゲージといえばやっぱりココ。ZANONE(ザノーネ)の5ゲージモックネックをご紹介します。
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ザノーネについて
ZANONE(ザノーネ)は1986年にイタリアで創業したニット専業ブランドです。2003年からはSLOWEAR(スローウェア)の傘下となり、パンツ専業ブランドのINCOTEX(インコテックス)と共に同グループを牽引しています。
ニットウェア全般を手掛けるザノーネですが、その中でも高い評価を得ているのは5ゲージや8ゲージといったミドルゲージ。ここ日本ではヴァルスター型のニットブルゾン「CHIOTO(キョート)」が大ヒットしたこともあってか「ザノーネ=ミドルゲージ」の印象が特に強いのではないでしょうか。
また、ザノーネは糸へのこだわりが尋常でない程に強いことで知られており、自社開発のオリジナルファブリックも多数生み出しています。代表的なところでは化学繊維を一切使わず清涼感を持つ冷感生地の「アイスコットン」や厳選されたメリノウールに少量のナイロンを混紡することでイージーケアを実現した「フレックスウール」などが挙げられます。
先進的な素材使いが注目される一方で、ものづくりは至ってトラディショナル。時代に左右されたないベーシックなニットウェアを取り揃えています。まさにスローウェアグループのコンセプトを体現するような存在です。
ザノーネの5ゲージモックネックをレビュー
概要
5ゲージモックネックの「LUPO RAG」というモデル。
ハイゲージよりカジュアルでローゲージよりもドレッシーな趣があるこのミドルゲージニットは、ブランドの顔でもあるCHIOTO(キョート)と全く同じ物が使われています。生地の厚みが絶妙でジャケットやコートのインナーとしてはもちろん、一枚で着ても様になる、まさに主役級のニットです。
CHIOTO(キョート)以外だと5ゲージのタートルネックやクルーネックが定番として以前からラインナップされていますが、モックネックが登場したのはここ数年のことだそうです。ザノーネに限らず、どこもモックネックの取り扱いが本当に増えてきました。やっぱり使い勝手が良いんですよね。
また、程よく抜け感のあるモックネックと合わせて、袖付けにはラグランスリーブを採用することで、どことなくリラックスした雰囲気を醸し出しています。セーターはどれも似たり寄ったりの見た目になりがちですが、その中でも確かに存在感のあるデザインに仕上がりました。
カラーは最近よく手に取るモスグリーン。購入先は地元のセレクトショップで、他所のオンラインショップを覗く限り同色は見当たりませんが、秋冬の装いによく馴染む落ち着いた上品な色味です。
ディテール
ヴァージンメリノウールを100%使用した美しいミドルゲージニット。5ゲージとなると、もはやほぼローゲージなので表面はざっくりとした編み目。一方で毛羽立ちがほとんどないため、手触りは非常に滑らかで適度な光沢感も兼ね備えています。ニットの大敵である毛玉も発生しにくいとのこと。それはありがたい。程よく肉厚でハリコシのある編地なので耐久性の面でも期待できそうですね。
ちなみにヴァージンウールとは再利用されていないウールのこと。最近ではコスト面、そしてサスティナビリティの観点から再生ウールが採用されることも多いのですが、やはり純粋なヴァージンウールと比べると素材の美しさや肌触りに差が生じます。
ネック高は約6.5cmとやや高めに設定され、リブの厚みと相まってボリューム感のある首周り。適度な締め付け感もあってヨレてしまう心配は全くないですね。
身頃と袖の接合部分のファッションマーク(減らし目)を敢えて目立たせることでハンドメイド感が際立ち、全体で見た時に柔和な印象を与えてくれます。デザインとしてもいいアクセントです。
ネック同様にしっかりとした裾と袖のリブ。袖口に厚みがあるためヴァルスタリーノのようなリブブルゾンと合わせると嵩張ってしまうのは少し誤算でした。着れないわけじゃないんですけどね。
サイズ感とシルエット
実はこのニット、サイズ感にかなり特徴があって、サイズ選びには頭を悩まされました。ザノーネ自体がやや大きめのサイズ表記(表記に対して実物は小さい)をしているブランドなのですが、このモデルに関しては特にコンパクトな作りとなっていて、アームホールは小さく、着丈も大胆に短く設定されています。
上の画像では身長173cm体重65kg肩幅44cmの私がサイズ50を着用。インポートのジャケットなら基本的には46、ニットは少しだけゆとりを持たせて着たいので46若しくは48を選ぶことが多いのですが、あらゆるアイテムを通して今まで50(日本規格でXL相当)なんてサイズ手に取ったこともありません。
ただ、私の感覚だとこれがジャスト。サイズ48でも問題なく着れましたが、やはり腕周りと胸周りのフィット感がどうしても気になりました。おそらくザノーネとしてはすっきりとタイトなフィッティングを推奨しているのでしょうが、サイズ感という面では現在の私の好みとは少し違ったようですね。
ちなみに実寸で身幅51cm着丈62cm裄丈84cm程なので、ブランドによっては46やMといったサイズ表記がされる物と同等です。表記だけを見て盲目的にサイズ決めつけてはならないという教訓に改めてなりました。
コーディネート
ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
ニット:ZANONE(ザノーネ)
パンツ:BERWICH(ベルウィッチ)
このニットはジャケットのインナーとして使えなくもないのですが、どうしても多少ごわつきます。ただ、アームホールが大きくボックスシルエットのブレザーだけは例外で、なんら違和感はありません。足元にはたまたま持っていたニットと同色のリブソックスを合わせておきましょう。
コート:MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュロンドン)
ニット:ZANONE(ザノーネ)
パンツ:A.P.C(アーペーセー)
先程のようにジャケットのインナーとしても使っても良いのですが、メインで活躍するのはこのようにがばっとコートを羽織った装い。この手のコートはジャケットの上から着用することを想定しているので、ハイゲージニット1枚では少し着用感が合わない(緩い)のです。その点この5ゲージのニットなら全く問題ありませんし、室内でコートを脱いでも様になります。それにしてもこのグリーンの色味はブラウンやベージュと相性が良いですね。
まとめ
ハイゲージとは異なる魅力を持ったミドルゲージニット。秋冬らしい季節感を演出するには最適です。そして実際に暖かい。
それにしてもこの生地感が実に素晴らしい。5ゲージならではの構築感・立体感がありながら、ハイゲージニットのような光沢と発色の良さも兼ね備えています。流石はザノーネを代表するファブリック。
価格は4万円強と決して安い物ではありませんが、また買い足したいと思わせる逸品です。
今回は以上です。