このブログ上で何度も公言している通り、私は断然革靴派です。普段からクラシックな装いを好む傾向にあるので、なかなかスニーカーとは縁がありません。
ただし、レザースニーカーに関しては別。コーディネートが少し堅すぎるかなと感じる場合に投入すれば適度なカジュアルダウンに。ラフな装いでリラックスしたい日でもシンプルなレザースニーカーなら一定の大人っぽさをキープできますね。
「ドレス:カジュアル」のバランスが重要視される昨今、それを簡単に実現してくれるレザースニーカーは、ファッションの好みに関わらず重宝されることは、わざわざ言うもでもないことです。
一方でビジネスシーンに目を向けると服装のカジュアル化(オフィスカジュアルってやつですね。)が進み、タイドアップしたスーツスタイルが当然とされていた男性の装いも、ノーネクタイでジャケパンといった方がだいぶ増えてきたように見受けられます。
そうなれば足元には従来のドレスシューズよりもある程度はカジュアルな物を選びたいところ。ローファーとかUチップシューズあたりがちょうど良いのかなと思いますが、クラシカルなデザインであればレザースニーカーだってありです。
今回はそんなレザースニーカーについて。
注目のシューズブランド「SLACK FOOTWEAR(スラックフットウェア)」さんより、今年の10月に登場した新ライン「_ONE」のレザースニーカーを提供いただきましたので、レビュー記事をお届けいたします。
【SLACK FOOTWEAR オフィシャルサイト】
SLACK FOOTWEAR オフィシャルサイト/公式通販 日本発スニーカーブランド
この度、商品提供いただいたのはこちらの2足。シンプルなコート系スニーカーの「ALLOY」とウィングチップ型の「HORIZON」です。
いつも通り一切の忖度なし、正直な感想を述べていきますので、コスパに優れたレザースニーカーを探している方、そしてSLACK FOOTWEARというブランドに興味がある方は是非ご参考ください。
SLACK FOOTWEARについて
要注目、東京発のシューズブランド
SLACK FOOTWEAR(スラックフットウェア)は2017年に誕生した東京発のシューズブランドです。中心的人物でデザイナー兼アートディレクターを務める安田 和矢氏が国内の革靴ブランドを経て、大手スポーツメーカーでスニーカーのデザインを担当していた経歴からかレザースニーカーに特化したラインナップを展開しています。
ブランド名にも含まれる「SLACK」という単語を直訳すると「緩い」を意味します。パンツのスラックスもここから転じた言葉ですね。実際のところ、どのような由来なのかは分かりかねますが、物理的に若しくはイメージ的に「硬い・堅い」と捉えられがちな革靴に対してのアンチテーゼ的な意味が込められているのかもしれません。
ともかく革靴の技法やニュアンスを積極的に取り入れたハイブリットスニーカーを揃えるSLACK FOOTWEARは非常に若いブランドでありながら、各所で徐々に注目を集め始めているのです。
【SLACK FOOTWEAR オフィシャルサイト】
SLACK FOOTWEAR オフィシャルサイト/公式通販 日本発スニーカーブランド
新ライン「_ONE」とは?
2022年10月よりスタートしたSLACK FOOTWEARの新ライン「_ONE」。読み方は「アンダーワン」とのことです。そのコンセプトを公式HPから引用すると以下の通り。
『モノが溢れる時代だからこそ「生産背景」にもこだわった選択肢を作りたい。』
この一文だけを断片的に切り取っても少し分かりにくいかもしれませんが、所謂「フェアトレード」という考え方で、嚙み砕いて説明すると先進国と発展途上国の間での貿易で、弱い立場(=発展途上国)の側が経済的社会的に不利益を被らないために、強い立場(=先進国)の側が適正の賃金の支払いや労働環境の整備を行うことです。
「_ONE」シリーズにおいては生産国を従来の中国ではなく、貧困地域(ファーストモデルはバングラデシュ)に託すことで経済的な支援を試みています。
どうしても企業がサステナビリティについて取り組む際は、「エコ」や「ジェンダー平等」という観点で全面的に推進されるケースが多い(当然それらも重要であることは承知しています。)ところですが、商品の生産環境にまで配慮がなされたプロダクトは、日本においては稀有な存在と言えるでしょう。
そのような素晴らしい取り組みが根幹にある「_ONE」シリーズですが、肝心な靴そのもののクオリティだって侮れません。
「_ONE」のファーストコレクションは今回提供いただいた「ALLOY」と「HORIZON」の他にスリッポンの「HARBOR」を加えた全3型(各2色)で展開され、いずれもアッパーには本革が採用されています。それでいて価格は1万台前半~となかなかリーズナブル。
従来通り「革靴×スニーカー」のハイブリッドを信条としており、画像のように革靴とスニーカーのそれぞれで使われる技法を巧みに組み合わせることで、独特な履き味を実現しています。
また、ソールには新開発した「ハイライトIPソール」を採用することで、重厚なレザースニーカーの見た目に反して非常に軽量な仕上がりとなっています。ランニングシューズ並みに軽いので手に取った瞬間驚かされますよ。本当に。
このように「_ONE」シリーズはフェアトレードの精神で社会貢献を果たしつつ、「価格」と「機能」の面でも妥協をしない本格派のレザースニーカーを生み出す、いま注目すべき存在なのです。
【_ONEシリーズ製品ラインナップ】
_ONEのALLOYをレビュー
概要
■モデル名:ALLOY
■カラー :BLACK/WHITE
■価格 :14,080円(税込)
アディダスのスタンスミスに代表されるようなコート系スニーカーのALLOY(アロイ)。
この手のレザースニーカーはまさに王道中の王道のデザインなので、ありとあらゆるブランドが取り扱ってきました。それ故に少しでも差別化を図ろうとラインデザインやパンチング加工、目立つようにプリントされたブランドロゴなど、何かしら装飾が施されることが多いのですが、このALLOYは潔までのシンプルなルックスとなっています。
ここまでシンプルなコート系スニーカーって意外と探しても見つからないんですよね。私自身、一時こんな感じのスニーカーを真剣に探していたのでよく分かります。完成されたデザインなので「あえて何もしない」が正解です。
シルエットも程よくスリム。かといって一部の海外ブランドのように細すぎることもないので、幅広な足を持つ私達日本人でもコンフォータブルに履くことができることでしょう。
もう1つのカラーはオールホワイト(WHITE/WHITE)モデル。正直どっちもおすすめですね。コーディネート全体のトーンに応じて使い分けられるので、なんなら2色とも持っていても活躍の場には困りません。それぐらい使いやすいデザインだということです。
ディテール
アッパー素材はややシボ感のあるシュリンクレザー。それなりに「良い革」に触れてきたとの自負があるので、この素材を特別に上質と感じることはありませんが、その価格帯を考えれば出色のクオリティです。キメが細かく艶のある表面は安物の革とは明らかに異なります。
シンプルなこのスニーカーにおいて、唯一特徴的な箇所である内側面に取り付けられたベンチレーションホール。ローテクスニーカーでよく見られるディテールで、蒸れ防止のための空気孔の役割を果たしています。
ヒール付近にはひっそりと「_ONE」の文字が刻印されています。よくありがちな金色のプリントとかじゃないのは好感が持てます。
シューレースも至って普通な平紐です。
インソール及び内張も本革が使われており、摩耗の激しい踵裏はスエードが採用されています。こういった抜かりのない作りは、到底1万円台の物とは思えませんね。
こちらが例のハイライトIPソール。どうのよう理屈でここまで軽くなったのかは分かりませんが、ソールの返りがよく、クッション性も高いので履き心地は良好です。
サイズ感
まず前提として、オンラインショップにも記載がある通り、このモデルはやや大きめな作りのため普段よりサイズダウンすることを推奨されています。
そして私はコンバースのオールスターやアディダスのスタンスミスをはじめ一般的なスニーカーなら26.0cmを選ぶことが多いのでおそらく25.5cm若しくは25.0cmが適切なサイズかと思われるのですが・・・残念ながらサイズ展開が24.0/26.0/27.0/28.0となっているため私に合うであろうサイズが抜け落ちています。とりあえずは26.0cmを選ばせていただきました。
やはり少し大きいですね。紐靴なので目一杯絞れば履けなくもないのですが、それでも指先が遊んでしまう感じが気になってしまいます。
参考までに私の足のサイズの詳細です。全長は約24.5cmと平均よりも小さめ、一方で横幅は日本人らしくやや広めな足となっています。
私のよう足が小さめな男性は要注意です。場合によってはインソールやシュータンを使った補正が必要となることでしょう。平均的なサイズの方であれば、指南通りに普段からハーフサイズ若しくは1サイズ落せば問題ないかと思います。
こればかりはどうしようもないことですが、今後はサイズバリエーションの強化を期待したいところですね。
着用イメージ
ブルゾン:STUDIOUS(スチュディオス)
ニットポロ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
パンツ:A.P.C(アーペーセー)
靴:SLACK FOOTWEAR(スラックフットウェア)
極めてシンプルなレザースニーカーなので、おそらくどのような装いにも合うかと思います。まさに万能選手ですね。ここではスイングトップとジーンズを使ったカジュアルコーデに合わせてみました。普段なら足元をローファーで締めるところですが、端正なルックスのこのスニーカーなら十分に代替え可能です。
改めて履いた状態で眺めると、本当にシルエットはきれいなんですよね。シューズ自体に適度なボリューム感があるので、ジーンズなんかはハーフクッションで合わせたい気分ですね。
_ONEのHORIZONをレビュー
概要
■モデル名:HORIZON
■カラー :BLACK/WHITE
■価格 :15,180円(税込)
続いてはウイングチップのHORIZON(ホライズン)。先程のシンプルなALLOYとは打って変わって、こちらはやや装飾的なアイテムです。
所謂「革靴風スニーカー」でここ最近は多くの革靴ブランドから発売されていますが、実はと言うと私、この手の靴は苦手です。革靴に取って付けたようなスニーカーのソールがアンバランスに感じることが多いんですよね。
ただ、このHORIZONに関しては画像で初めて拝見した時からそのような違和感を覚えることがなく、素直に受け入れることができました。
その理由はちゃんとスニーカーとして成立しているから。
SLACK FOOTWEARは「革靴×スニーカー」を謳っていますが、それは素材使いや技術的な話であって、決して安易にドッキングしただけの中途半端な品ではありません。
ラスト(木型)はおそらく先程紹介したALLOYと同じ物かと思われます。アッパーのデザインとしてウイングチップを採用しているものの、つま先は丸みを帯び、捨て寸の少ないシルエットはスニーカーそのものです。
革靴的なニュアンスを適度に感じさせながらも、違和感なくスニーカーとして成立させている、非常にバランス感覚に優れた一足だと思います。
今回はスニーカーらしさを強調させるためにホワイトのソールを選びましたが、もしビジネスの場での使用を検討されているなら、よりシックな趣のあるオールブラック(BLACK/BLACK)のモデルが良いかもしれませんね。
ディテール
アッパーにはALLOY同様にシュリンクレザーが使用されていますが、パーツによってシボの具合に差を付けているので立体感があります。
ブローギング(飾り穴)の処理も丁寧。粗悪品だと左右差が出ることもありますが、手元にある物を見る限りはそのようなことはなさそうです。
この靴にどのようなシューレースを合わせるべきかは少し悩まされそうですね。
ALLOYのようにスポーティーな平紐は確かに合わなさそうだし、ドレスシューズ然とした細い丸紐も雰囲気が違う。なので、やや太めの丸紐という選択はベターだとは思います。
裏鳩目を採用してすっきりとした見た目になっている一方で、靴紐の通し方が革靴の定番であるパラレルではなく、スニーカーでよく見られるオーバーラップを採用しているあたりからも試行錯誤されたのではないかと推察できますね。
個人的には先端に金属セルが付いた紐に交換してカジュアルさを強調してみても良いんじゃないかと思いますが、シューレースだけならあまりコストをかけずにカスタムできるのでお好みで。
ヒール付近に施された「_ONE」の刻印や、インソール・アウトソールの仕様はALLOYと同じです。
サイズ感
サイズ感に関してもALLOYと同様ですが、こちらのサイズ展開を26.0/27.0/28.0のみとなっているのでご注意を。
着用イメージ
ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)
ニット:EDIFFICE(エディフィス)
パンツ:INCOTEX(インコテックス)
靴:SLACK FOOTWEAR(スラックフットウェア)
このHORIZONに関してはカジュアルな装いよりもある程度ドレス寄りのアイテムと合わせて方が親和性の高さを発揮します。ただ、流石にスーツだとミスマッチなのでこのようなジャケパンスタイルの足元にちょうど良いでしょう。
ウールのドレスパンツとの相性も良好。そしてこんなにシックな見た目なのに驚く程軽い。ある程度かっちりとした格好を求められて、かつアクティブに職務をこなさなくてはならない方なんかにはピッタリな1足ですね。(あくまでもスニーカー可の場合です。ドレスコードが革靴ならちゃんと革靴を履きましょう。)
まとめ
SLACK FOOTWEARの新ライン「_ONE」シリーズよりALLOYとHORIZONの2足をご紹介いたしまいた。
生産背景にまでこだわったという社会的に素晴らしいコンセプト、手を入れ過ぎないシンプルでベーシックなデザイン、驚く程に軽く歩きやすい機能性、そして非常にリーズナブルな価格。
「_ONE」シリーズ及びSLACK FOOTWEARの今後に要注目ですね。
【SLACK FOOTWEAR オフィシャルサイト】
SLACK FOOTWEAR オフィシャルサイト/公式通販 日本発スニーカーブランド
【_ONEシリーズ製品ラインナップ】
今回は以上です。