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品格漂うクラシックブルゾン。GRENFELL(グレンフェル)のゴルファーをレビュー!

ヴァルスタリーノに続くクラシカルなブルゾンを手に入れるというのは今年の重要なトピックの1つに挙げています。

 

そうするとバラクータのG9かG4あたりを選べば間違いないと思うのですが、あまりにも定番すぎて今のところは食指が動かず。かといって多くのブランドが模倣しているほぼ同じようなデザインのスイングトップだと面白みに欠けるよなぁと逡巡していました。

 

そこで狙いを定めたのがGRENFELL(グレンフェル)ゴルファーというモデル。確固たるオリジナリティを持った正統派クラシックブルゾンです。

 

例の如く取り扱い店を探すのに苦労しましたが、ようやく購入することができたので、満を持してご紹介します。

 

 

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グレンフェルについて

GRENFELL(グレンフェル)は1890年創業したイギリスのアウター専業ブランド。マッキントッシュやバブアーなど多くの同業ブランドが総合アパレルへと転換を図る中、100年以上もの間アウター製造一筋を貫いています。

 

そのブランド名は著名な探検家であり医師でもあるグレンフェル卿が由来となっており、極寒地への探検の際に「防水・防風機能を備えながらも湿気は外に逃がし、かつ軽量な素材を」というリクエストがあり、それを受けた開発されたのがかの有名なグレンフェルクロスでした。(グレンフェルクロスについては後述。)

 

エレベスト登頂や太平洋横断といった歴史的偉業に立ち合い、今は亡きエリザベス女王からロイヤルワラントを授かるなどグレンフェルの偉大さを物語る逸話は数多く残されています。

 

グレンフェルのゴルファーをレビュー

概要

その名が表す通り、ゴルフのプレイ時に着用することを想定して誕生したスポーツジャケット。ゴルフ由来のジャケットといえばバラクータのG9があまりにも有名ですが、実はグレンフェルのゴルファーの方が先で、その分野の元祖ともいわれています。まさにクラッシック。

大型のスタンドカラーカフスタイプの袖口が特徴的で、現在のデザインは1940年代時点でほぼ完成されていたそうです。

 

使用されている素材はもちろんグレンフェルクロス。昨年ビームスより生地をアイリッシュリネンに変更した別注モデルがリリースされていましたが、やっぱりこのグレンフェルクロスが良いんですよ。機能性はもとよりこのエレガントな光沢感が堪りませんね。

 

カラーはやや暗めなベージュ。光の加減によってはもう少し茶色っぽくも見えます。G9のアイコニックカラーである「タン」の色味にも近いのですが、それよりも艶っぽい感じです。

 

グレンフェルは英国を代表する名門ブランドの1つですが、日本での扱いは少し微妙なところで、取り扱い店も随分と限られてきます。大手セレクトショップだとビームスが有力ですが、ゴルファーに関して今季はラインナップされていません。そこで色々と調べた結果、東京のインポート系セレクトショップに在庫があることが判明。出張のついでにちゃっかりと現地で入手してきました。なのでヴァルスタリーノ同様にこれまた念願の一着なのです。

 

ディテール

そもそもグレンフェルクロスとは高密度で織られたコットン生地です。一般的に普及しているコトンギャバジンと近いのですが、より緻密に極限まで突き詰めたものがグレンフェルクロスだと私は理解しています。

高級エジプト綿を高密度で打ち込むことで美しい光沢を纏い、耐久性・防風性・撥水性といった機能が付与されます。現在の技術だと化学繊維や特殊加工を用いていくらでも高性能な生地を生み出すことは可能ですが、天然素材のみで構成された伝統的なこの生地からは「本物」にしか醸し出せない風格のようなものを感じます。マッキントッシュのゴム引きやバブアーのオイルドクロスと同じですね。本物の魅力には抗えません。

 

印象的なスタンドカラーは襟高がG9と比べるとだいぶ高めに設計されていて、このように襟を立てると首だけでなく顎まで覆い被さります。

 

強風が吹き荒れるような日は、ボタンを留めることでステンカラーコートのような着こなしをすることも可能。

 

個人的に気に入っているのはこのように襟を寝かせた状態。後ろ襟が広く取られていることもあってシャツ襟のように収まりが良いんですよね。このように襟元だけでも着こなしに幅を持たせられるのもゴルファーの魅力です。

 

袖付けはスポーティーなラグランスリーブ仕様。

 

カフスタイプの袖口は2段階で調整可能となっています。

 

裾がリブになっていない代わりに両脇にサイドアジャスターが取り付けられています。実用性はあまりないですがクラシカルなディテールはお気に入りのポイントです。サイドポケットはフラップ付きのスラント(斜め付け)ポケットとなっています。

 

ボタンは全て本水牛でブランド名が刻印されています。

 

コットン製の裏地には英国ブランドらしくハウスチェックがあしらわれています。これぐらい落ち着いた上品な色味の柄ならアクセントとしてちょうどいいですね。

 

左裏に縫い付けられたタグにはグレンフェルクロス専用ロゴが描かれ、英国製である旨が表記されています。

 

2ウェイ仕様のジップはYKK製。MADE IN ENGLANDなプロダクトでも採用されるとは流石は世界のYKK

 

ラクータのG9やG4をはじめ、スイングトップの定番的ディテールであるアンブレラヨークはありません。また、ヴィンテージのゴルファーに見られるゴルフポケット(腰付近に取り付けられたゴルフボールやピンを収納するための四角形のポケット)は現行モデルでは省かれています。至ってシンプルな後ろ姿です。

 

サイズ感とシルエット

身長173cm体重65kg肩幅44cmの私が購入したのはサイズ36。身幅には多少のゆとりはあるもののほぼジャストで、ワンサイズ上を選んでも良さそうではありますが、今回は袖丈に合わせています。ラグランスリーブなので型が突っ張ることもありません。

 

グレンフェルに限らずインポートのブルゾンは総じて袖丈が長めに設定されていて、リブタイプなら多少の誤魔化しが効くのですが、このようなカフスタイプの場合そうもいかないので、サイズ選びが少し難しいところです。同じカフスタイプのバラクータ G4が候補から外れたのも実は袖丈が合わないという問題があったからでした。

 

また、見ての通りですが襟の存在感が結構あります。好みにもよるところだと思いますが、このように襟を立たせた状態の方が「ゴルファーらしさ」を感じることができ、世に溢れるG9型、ドリズラー型のスイングトップと差別化することが可能で、一般的にはこちらの着こなし方が推奨されているみたいです。

 

一方で襟を寝かせるとこんな感じ。個人的にはこっちの方が自然な感じがします。どっちが良いとかではなく、季節や気温、それにインナーを考慮した上で使い分けていきたいですね。

 

ちなみにこの手のブルゾンの例に漏れず着丈は短めです。サイズ36で着丈は64cmしかないので、インナーをタックアウトするならバランスを考える必要があります。

 

コーディネート

ジャケット:GRENFELL(グレンフェル)
ニット:EDIFICE(エディフィス)

パンツ:A.P.C(アーペーセー)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

まだまだ寒い日が続きますので、冬から春への移り変わり、そして秋をイメージしたコーデ。インナーがタートルネックなので襟は立たせてみました。なかなか収まりが良いんじゃないでしょうか。

 

ジャケット:GRENFELL(グレンフェル)

シャツ:HITOYOSHI(人吉シャツ)

パンツ:GTA(ジーティーアー)

シューズ:JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)


こちらはインナーがシャツなので襟は寝かせています。先程とはまた少し印象が変わってきますね。スイングトップというアイテムは「おじさんくさい」という呪縛から逃れることはできませんので、シャツやスラックスを合わせるなら素材感やシルエットには気を付けておきたいところ。

 

まとめ

カジュアルなトラッドスタイルには欠かせないスイングトップ。名作と呼ばれる物もいくつか存在しますが、その中でもグレンフェルのゴルファーという選択は我ながら見事だったんじゃないかと自画自賛しています。

 

歴史的背景、洗練されたデザイン、美しい素材感・・・どれをとっても良いですね。あまり店頭で見かける機会がないというのは難点ですが、是非一度手に取っていただきたい名品です。

 

ちなみにゴルファーではありませんが、グレンフェルクロスを使用したショートブルゾン「HARRINGTON(ハリントン)」の別注モデルをビームスが現在取り扱っているようです。これはこれで良さげなのでチックしてみてはいかがでしょうか。

 

今回は以上です。