前回の記事でも書いていた通り、今回は年間購入計画の前倒しで昨年末に入手したスエードシューズをレビューします。
購入したのはBerwick(バーウィック)のサイドゴアブーツ。明確にこれを狙っていたわけではなく、漠然とスエードのサイドゴアかチャッカブーツを来年辺りに買いたいなと思っていたところ、たまたま立ち寄った百貨店の靴売り場で目にしてやられちゃいました。
バーウィックは通算3足目で当ブログでもおなじみですね。思わず衝動買いした一足をご紹介します。
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バーウィックについて
正式名称は「Berwick1707」。その表記から1707年創業と勘違いされがちですが、実際のところは1991年に誕生した比較的新しいスペイン発のシューズブランドです。
スペインの革靴は色気溢れるイタリア靴と質実剛健な英国靴の中間と形容されることがありますが、バーウィックの場合はどちらといえ英国寄り。華美になりすぎることなく、中庸でクラシカルなデザインの靴が揃い、本格紳士靴の代名詞であるグッドイヤーウェルト製法がメインとなります。
また、価格高騰が続く革靴業界において、安定したクオリティに対しリーズナブルな価格に定評があります。4万円前後がボリュームゾーンとなっていて、革靴初心者でも手に取りやすく、ここ日本でも徐々に知名度を高めている注目の存在です。
バーウィックのサイドゴアブーツをレビュー
概要
幅広いモデル展開もバーウィックの魅力の1つですが、サイドゴアブーツだけでも4型が用意されています。(475・376・548・632)
その中で今回購入したのは「376GOVIDB」というモデル。「376」がスタイル名、「GO」がアッパー素材のGO RAIN、「VI」がアウトソールのヴィブラムソール、そして「DB」はカラーのダークブラウンを表しています。毎度のことですが、バーウィックの製品名は潔く分かりやすくて良いですね。
この靴に惹かれた理由は3点あります。まず、一番大きいのはシルエット。サイドゴアブーツといえばレディースが起源ということもあってか全体的に華奢なモデルが主流です。一方でブランドストーンに代表されるようにワークブーツよろしく丸っこくてゴツイ物も多く見られます。要するに両極端。私がイメージしていたのはドレスライクでありながらもシュッとしすぎないシルエットだったので、その絶妙な塩梅が「376」にはバシッと嵌りました。着用シーンは休日、そして私の普段の装いを考えるとこれぐらいのバランスがちょうどいいのです。
ついでに他の3モデルについても言及しておく、「475」はロングノーズで甲高も低めに設計されたドレス寄りのモデル、「632」は丸みを帯びたトゥとボテットしたシルエットを持つカジュアル寄りのモデル、「548」は本品「376」と同じラストを使い筒丈を短くしたショートブーツとなっています。
話を戻すと、アウトソールがラバーであったのも重要な要素となります。表革と比べてスエードは水分にも強いので、せっかくなら雨の日要員としても活用したかったため、グリップ性の高いラバーソールを装着していることは前提条件の1つでした。
そして最後はアッパーの色味。手持ちの茶靴はやや明るめの物が多く揃っており、バランス的に暗めの方が良いだろうと考えていました。スエードはダークブラウンと表記されていてもだいぶ明るい物が多い印象ですが、これは茶色特有の赤みも抑えられて、落ち着いた焦げ茶といった感じでしょうか。
さらに付け加えると価格の面も大きかったですね。着用機会が秋冬の休日に限られる以上、そこまでコストを割くことはできません。その点、以前より値上がったとはいえ4万円台前半の価格は購入を後押しするきっかけになってることは間違いありません。
ディテール
毛足は短めですが、しっとりと滑らかな手触りを持つスエード。イタリアの新興タンナー・オペラ社による「GO RAIN」という素材で、その名の通り雨にも強いスエードだそうです。あいにく雨の日に履く機会はまだありませんが、試しに水滴を垂らしてみたところ、弾くような感じがあるので、それなりの防水性能は期待できるかもしれません。これは購入した後に知った嬉しい要素です。
コバの張り出しは控えめでドレッシーな雰囲気は崩しません。
サイドゴアブーツならではのディテールであるサイドゴア(ゴム布)とフィンガーループ(履き口のストラップ)はこんな感じ。個人的に着目したいのはフィンガーループの方で、多くのサイドゴアブーツではストラップ部分の素材はナイロンなどの化繊が使採用されていますが、このモデルではアッパーと同素材のスエードが使われています。取り付け方も輪の先端が飛び出しすぎないよう工夫されていて、全体で眺めた時に馴染みが良いですね。
【参考】
こちらは参考でクロケットのチェルシーです。ストラップの感じはこれが一般的で結構目立ちますね。購入したバーウィックの物はストラップの指を通せるスペースが小さい分、多少は利便性が落ちている可能性はありますが、私が使用している限りでは普通にズボズボと履けているので問題はないと思っています。
高級感のあるブランドロゴが刻印されたレザーインソール。使用を重ねるといい具合の飴色に変化していきます。
アウトソールはイタリア・ヴィブラム社のガムライトソールを装着。特徴はなんと言ってもその軽さ。馴染み深いダイナイトソールやリッジウェイソールと比べるとあまりの軽快さに驚かされます。ゴムを発泡させて作っているため、同じ体積のゴム材よりも約1/2軽量化されているそうです。軽すぎて最初は違和感もありましたが、これはこれで歩きやすそうで気に入りました。グリップ性も特に問題はありません。
サイズ感
参考までにこちらが私の足のサイズ。平均的な身長に対して足はやや小さめ。スニーカーだと25.5~26.0cm、革靴だとUK6.0やEU39前後を選ぶことが多いですね。
バーウィックは過去に6.0と5.5を経験しているので、今回も6.0から試着していきます。やはりバーウィックは全体的に大きめに作られているブランドなので、このラストでも6.0は結構余裕があります。いや、指が完全に遊んでいるので相当余裕があります。
次に5.5を試してみます。甲周りに適度なホールド感はあって、爪先の捨て寸もしっかりと確保されていますが、今後インソールが沈み込むことによってやや緩くなってしまう懸念はあります。若干の不安があるので、本来なら1つ下のサイズも試してみたいところですが、このモデルに関しては5.5が最小サイズのようです。まぁ、足首が固定されるブーツなのでそこまで神経質にフィッテイングを行う必要もないだろうと5.5を購入することにしました。
サイズ表記に対して大きめに作られがちなバーウィックですが、このモデルはさらにその傾向が顕著なようです。UK5.5表記でこのサイズ感は過去に経験ないと思います。とりあえずいつもよりハーフサイズは下げる意識は持っておいた方が良いでしょう。
コーディネート
ジャケット:FIVE ONE(ファイブワン)
ニット:Drumohr(ドルモア)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:Berwick(バーウィック)
ジャケットスタイルに合う唯一のブーツはサイドゴアブーツです。さすがはよく馴染んでいるかと思います。とはいえスーツとの合わせやビジネス使いは考えていません。あくまでも休日用です。
コート:MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュロンドン)
ニット:ZANONE(ザノーネ)
シューズ:Berwick(バーウィック)
サイドゴアブーツはスタイリッシュな印象が強く、細身のパンツとしか合わせにくいイメージを持っていましたが、ザンスのBAC Jのように太めのパンツでも思いの外しっくりきています。むしろこれぐらいの方がバランスが良いような気さえしています。
アウター:Jeanik(ジーニック)
ニット:ZANONE(ザノーネ)
パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)
シューズ:Berwick(バーウィック)
デニムジャケットにカーゴパンツとかなりカジュアルに振ったコーデですが、足元にこのサイドゴアブーツを持ってくることで全体的にきれいな雰囲気でまとまります。これがもっと細身でノーズの長い靴ならチグハグになってしまいそうですが、バランスを保てている辺りその塩梅が絶妙なのでしょう。
まとめ
計画前倒しで購入したバーウィックのサイドゴアブーツをご紹介しました。
正直、買ったはいいもののそんなに使う場面があるのかと懸念していましたが、ここ最近はがっつりヘビーユースしています。手が塞がりがちな子育て中の身にとって、靴ベラなしでズボズボ履けることのありがたいこと。本当助かってます。
それと守備範囲の広さは期待通りでしたね。ドレスからカジュアルまで様々な装いで気負わずに合わせられます。秋冬の休日限定にはなりそうですが、他とキャラが被らないだけに、今後もそれなりに活躍しそうです。
今回は以上です。