
前回の記事の予告通り、少し前(といっても昨年9月)に手に入れた90年代の時計をご紹介します。
SEIKO(セイコー)がかつて展開していた高級ライン「LAUREL(ローレル)」の「4S24-0050」というモデルです。
クラシカルなデザインだったり、絶妙なサイズ感だったり、やっぱりこの時代の時計は魅力的ですね。どうぞご覧ください。
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セイコー ローレルについて

「セイコーのローレル」と聞いてピンくる方も多いのではないでしょうか。「LAUREL(ローレル)」はセイコーが1913年に発売した国内初の腕時計の名称です。腕時計の歴史を解説する読み物には度々登場するので、時計に関心のある方であれば実物は知らずともどこかで名前は聞いたことはあるかもしれませんね。

こちらがローレルの実物写真。ブランドを象徴する存在でもあるので、公式サイトにも専用ページが設けられています。現在の腕時計とは違い懐中時計をレザーベルトに通したような形状をしており、「12」だけ赤塗されているアラビア数字の文字盤が特徴的です。
初代ローレルをモチーフにした復刻版は定期的に数量限定で発売されており、毎回争奪戦が繰り広げられているようですが、今回紹介する時計はその流れではなく、実質的には名前を借りているだけで直接の繋がりはありません。
セイコー内のブランドとしての「LAUREL(ローレル)」は1995年に誕生しました。数年で展開が終了しているところを見るに、当時はそこまでの人気を得るに至らなかったものと思われますが、ローレルコレクションには機械式ムーブメントが搭載されていたことが後に繋がる大きな意味を持ちます。
70年代後半から80年代にかけて自身が引き起こしたクォーツショックにより、セイコーでもしばらくの間は機械式時計の生産が中止されていました。公式サイトによるとグランドセイコーでの機械式時計の復活が98年とのことなので、95年に登場したローレルはセイコーの中でもおそらくかなり早い段階となり、「セイコーの機械式時計」ひいては「日本の機械式時計」復興の一翼を担った存在です。
そのような経緯も踏まえてセイコーにとって特別な意味を持つローレルの名を与えたのかもしれませんね。
ブランド展開が終了して30年近くが経過した現在、クラシカルなデザインと現代的な性能を持ち合わせたローレルは愛好家の間では注目を集めており、中古市場での取引も活発になってきています。
セイコー ローレル「4S24-0050」をレビュー
概要

いくつかのモデルが発売された中でも銀無垢ケースの「4S24-0040」と並び人気が高く、市場でも目にする機会の多い本品「4S24-0050」。保証書によると1996年製とのこと。目立った傷や汚れはなく、動作も良好なコンディションの良い個体です。
ケース径は36mmと現在の基準ではだいぶ小ぶりなサイズ感。ローマンインデックスを備えたクリーム色の文字盤がクラシカルな印象を与えます。
ムーブメントにはセイコー伝統の4S系キャリバーの手巻き式を搭載。キングセイコーやクレドールにも搭載されてきた高級機の系譜で、高い精度を誇り、カリカリとした感触のある軽い巻き心地は癖になります。やっぱり手巻きは良いですね。
当時の定価は6万円程度だったようですが、近年の人気ぶりを受けて状態の良い物であれば15~20万円ぐらいで取引されています。私は今回ネットオークションで落札しましたが、概ねそれぐらいの金額です。前回の記事では価格の手頃感を90年代の時計の魅力として挙げていましたが、この時計に関しては元値を考えるとそれには当てはまらないかもしれません。まぁ、約30年前の時計で元値を持ち出すのもナンセンスですが。
ディテール

日本の伝統工芸ともいえる琺瑯(ほうろう)の美しい文字盤。熟練の職人により1つずつ手作業で仕上げられる琺瑯は、柔らかな光沢と温かみのある質感が特徴的で、初代ローレルにも採用されていました。風格のある書体のローマンインデックやダーツの的のような柄がぐるっと一周するブルズアイダイヤルと相まってアンティーク調の雰囲気を感じられます。

クリーム色の文字盤にもよく映える青色の針について調べると、「青焼き」であると解説される場合と単なる塗装であると解説される場合がありますが、いずれにせよ深みのある美しい色合いです。

風防はサファイアガラスではなく、セイコー独自の強化ガラス「ハードレックス」が採用されています。強度こそサファイアガラスに劣りますが、プラスチック風防のような趣のあるドーム型に加工しやすい点はメリットといえるでしょう。曲線を組み込んだ立体的なベゼルともマッチしています。

リユーズはクラシカルな玉ねぎ型。

厚さは約10mmと手巻き式にしてはそこまで薄くはありませんが、これぐらいであれば十分扱いやすいですね。

裏面はシースルーバックになっており、整然と配置された手巻き式ムーブメントを鑑賞することができます。こういう仕様ってもう少し後ろの年代になってからと思ってましたが、90年代半ばからあったんですね。

ストラップは純正ではなく、セイコー系列のWAQUIZ(ワクイズ)の艶消しクロコダイルに交換しました。明るめのブラウンは文字盤の色味ともよく馴染んでいます。
サイズ感

比較としてフレデリックコンスタントのムーンフェイズを並べてみました。直径40mmと現代の基準であれば標準の範疇に収まりますが、36mmのローレルと並べると見た目の違いは歴然ですね。ローレルはベゼルが太めなので、文字盤が小さく見えることも影響しているのでしょう。

実際に腕に乗せるとこんな感じ。周囲が約15.7cmと平均よりも細めな私の手首にもきれいに収まるちょうどいいサイズ感です。

小ぶりな時計はドレスシャツの裾にも品よく収まります。やっぱりこれぐらいの大きさが好きだな。
まとめ
かつて90年代に存在したセイコー ローレルの「4S24-0050」をご紹介しました。
購入したのが昨年9月で、他との兼ね合いもありブログで紹介するタイミングがずれ込んでしまいましたが、実はかなり気に入っています。
私が好きな茶系の服や革靴と合わせる際はほぼこの時計ですね。未紹介につき選外となってしまいましたが、本来であれば昨年のベストバイ上位に入るべきアイテムでした。
改めて90年代の時計の魅力を認識した次第で、今後も引き続き良い出会いがないか、アンテナは張り続けていきたいと思います。
今回は以上です。