
私にとって黒のコインローファーと合わせて白のレザースニーカーは必須アイテムです。そしてグッドイヤーの革靴と違い、スニーカー(特に白)は消耗品という側面もあるので、定期的な更新も必要となってきます。
ここ数年はシップスのオリジナルブランド PIEVE(ピェーヴェ)が白スニーカー枠として靴箱に収まっており、汚れや消耗は目立つもののまだまだ履くこと可能なのですが、最近はある理由で使用頻度が落ちていました。それは「白スニーカー、白すぎる問題」です。
靴に限った話ではありませんが、ここ最近の私は装い全体の中でトーンが大きく外れるアイテムを合わせることを嫌う傾向にあり、特に真っ白のアイテムに関してはシャツにしろ、パンツにしろ気を使います。明るい白スニーカーがバシッと嵌まるコーデもいくつかありますが、それも限られており、巷で言われているような万能感は感じないというのが正直なところ。
そこで少し前からトーンの落ち着いた、私にとって本当に使いやすい白のレザースニーカーを探していました。いくつか候補が挙がる中、最終的に購入に至ったのは気鋭の国産レザースニーカーブランド YOAK(ヨーク)の「STANLEY CA」というモデルです。YOAKの代表的なモデルである「STANLEY(スタンレー)」は以前から認識はしていましたが、こちらは「革のカシミヤ」とも称されるディアスキン(鹿革)を採用したカシミヤコレクションからの一足となり、このスニーカーが持つ優しい色味と風合いは私のイメージにもぴったりと合いました。
注目のブランドYOAKについて知りたい方、そして上質なディアスキンで作られたスニーカーに興味のある方はどうぞご覧ください。
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YOAKについて

大手メーカーや商社でキャリアを積んだ広本 敦氏(代表兼デザイナー)により2015年に創業した国産レザースニーカーブランド。生産を担うのは半世紀以上続く東京・北千住の革靴工場で、一つ一つ職人の手作業により丁寧に作られています。
「シャツとジャケットに合わせるスニーカー」というコンセプトからも分かるようにシンプルで上品なデザインが最大の特徴。シンプルさを掲げるスニーカーブランドは無数にありますが、YOAKの場合それがより徹底されており、多くのモデルの場合は外から見える位置にブランドネームすら記されていません。個性的なデザインが持て囃される昨今のトレンドとは違い引き算の美学を感じられます。
ブランドを立ち上げた当初は自社のオンラインショップのみでの販売してきましたが、日本一の紳士靴売り場でもある伊勢丹メンズ館で2週間のポップアップストアを開催(現在は常設販売)したことで認知度を一気に高め、各地のセレクトショップでも取り扱われるようになりました。
この手の上質なレザースニーカーはコモンプロジェクトやサントーニなどのインポート勢が牽引しているイメージがありますが、国産にこだわるのであればYOAKは最有力候補の1つになる存在となるでしょう。
YOAKのスタンレーCAをレビュー
概要

ブランド設立初年度にラインナップされた3モデルの内の1つ「STANLEY(スタンレー)」。いわゆるコート系スニーカーに分類されますが、ラインデザインやパンチング、ブランドロゴに至るまであらゆる装飾を廃したシンプルの極みともいえるルックスとなっています。シンプルを謳っていても差別化のために何かしらの手を加えたくなるところですが、ここまで潔いスニーカーは探しても意外と見つかりません。
モデル名末尾の「CA」はカシミヤを意味しており、アッパー素材として使われているディアスキン(鹿革)が「革のカシミヤ」と呼ばれていることに由来します。ディアスキンは通気性・吸湿性に優れ、モチっとした柔らかい質感が特徴的で、私は毎年冬になると愛用しているデンツのレザーグローブでその魅力に惹かれていました。

カラーは「クリーム」と表示されていますが、実際は黄色成分はほとんどなく、薄っすらと灰色がかったオフホワイトといった感じです。分かりやすいように真っ白のスニーカーと並べてみました。こうしてみると全然違いますね。ライトグレーのようにも見えますが、外で単体で見るとちゃんと白っぽく映ります。
冒頭でも述べた通り、白スニーカーはトーンが明るすぎてコーデ全体の中で浮いてしまう可能性があるので、白でもこれぐらい抑えめな色味が使いやすいですね。

製造元が革靴工場ということもあってか、スニーカーでありながら釣り込みの工程が設けられ、木型本来のシルエットの再現性が高まり、美しいシルエットと足を包み込むようなフィット感を実現しています。インソールのクッション性も高く、こようなローテクスニーカーとしてはかなり履き心地も良い部類に入るかと思います。
なお、「スタンレー2」という従来より細身の木型を採用したモデルもありますが、本品「CA」に関しては通常のスタンレーがベースとなっているようです。
ディテール

肉眼でも確認できる毛穴とナチュラルなシボ感を持つディアスキン。スニーカーで広く見られる牛革のスムースレザーとは質感は全く異なり、弾力性のある滑らかで柔らかい手触りとなっています。
ディアスキンは牛革のように馴染みのある素材ではありませんが、通気性・吸湿性に優れ、油分を多く含むため水分にも強いと実は靴のアッパー素材としても適しています。どうしても希少で高価な素材となるため、スニーカーで採用されるケースは稀ですが、だからこそこのYOAKのカシミヤコレクションには惹かれるものがありました。

底付けはぐるりと一周縫い付けるサイドマッケイ製法を採用。マッケイ製法同様に2~3回であればソールの交換も可能とのこと。縫い目も乱れなく丁寧です。

コットン製のシューレース。ナチュラルなクリーム色が目を引きますが、個人的にはここが唯一残念なポイント。先程も触れた通り、本体カラーはクリームというよりは灰色がかったオフホワイトなので、シューレースだけ少し浮いちゃってるんですよね。もっと白に近い自然な色味の方が馴染むはずなので、時期をみて交換しようと思います。

後ろはこんな感じ。商品説明によると釣り込みの際にアッパーを木型に釘を打ち込んだ跡が残る場合があると書かれていますが、この個体では確認されませんでした。本格革靴ではよく見られる痕跡ですね。なのでもし踵に小さな穴が空いていても不良品ではありませんよ。

インソールとライニングには摩擦に強い豚革を使用。肉厚で柔軟性があるためクッション性が高く、長時間履いても疲れない安定感に繋がります。

悪目立ちせず、滑り止めとしての役割も果たすアウトソール。街履きメインなのでこれで十分ですね。
サイズ感

参考までにこちらが私の足のサイズ。平均的な身長に対して足はやや小さめ。スニーカーだと25.5~26.0cm、革靴だとUK6.0やEU39前後を選ぶことが多いですね。

YOAKのスニーカーは革靴工場で作られているので、一般的なスニーカーと比べるとサイズ感はやや大きめとなります。それを踏まえて私が選んだのは25~26cm相当のサイズ40。私がスニーカーでもタイトめなフィッテイングを好むのでハーフサイズ下も試してみたいところですが、残念ながらサイズ展開は1.0刻みとなっています。若干爪先に余裕があり、横幅も既にジャストで革が伸びた後の変化が気になるところではありますが、さすがにメンズ最小サイズの39だと厳しそうなので、選べる中では40で正解です。まぁ、革靴程神経質になる必要もないでしょう。
コーディネート

ジャケット:FIVE ONE(ファイブワン)
ポロシャツ:LACOSTE(ラコステ)
シャツ:INCOTEX(インコテックス)
シューズ:YOAK(ヨーク)
グレージュのジャケットを軸としたコーデ。真っ白なスニーカーだと浮いてしまうところですが、落ち着いた色味のこのスニーカーなら全く違和感なく馴染みます。インナーとして使うポロシャツもやはりオフホワイトを選びます。

ニット:Alessandro Luppi(アレッサンドロルッピ)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:YOAK(ヨーク)
オーバーシャツを使ったカジュアルコーデ。オーソドックスなグレーのスラックスの外しとしても使いやすいのはレザースニーカーの良いところですね。
まとめ
YOAKの白すぎないレザースニーカー「スタンレーCA」をご紹介しました。やっぱりディアスキンっていいですね。
改めて手に取って実感しましたが、YOAKのスニーカーは雰囲気があります。装飾性を極限まで削ぎ落した結果、一見すると地味にも見えますが、それだけにシルエットや素材感の素晴らしさが際立ちますね。クラシカルなランニングシューズをモチーフにした「KELLY(ケリー)」なんかも気になるところ・・・。
今回は以上です。