
8月にもなればさすがに春夏物は買い収めており、頭の中は完全に秋冬モードに切り替わりますが、実際に店頭で商品が揃い始めるのはもう少し先です。
そうなると書くことがないんですよね。毎年のことですが・・・。
ということで昨年も同じようなテーマで記事を書きましたが、より範囲を広げてファッション用語のあれこれについて考えてみようかと思います。
今回取り上げるのは同義語・類義語。ファッション業界って雰囲気だけで使われている表現が多くて、一般人の私達もなんとなくそれに追随していますが、よく考えると「これとこれって違う意味なんじゃない?」って言葉もいくつか思い浮かびます。文脈で大体意味は伝わりますが、根っからの文系でできるだけ言葉は正しく使いたい性分なので、自分の頭の中を整理する意味も込めてまとめていきます。興味のある方はどうぞご覧ください。
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ファッション用語のあれこれ

Tシャツ・カットソー
元々は下着として誕生しましたが、今となってはトップスの代表格とも言えるTシャツ。袖を伸ばして平置きした際にT字に見えることが名称の由来です。単にTシャツと呼ぶ場合はクルーネック・半袖・天竺編みであることが一般的で、そうじゃない場合は亜種扱いでロンTやらニットTなどと分類されます 。(厳密に言うとTシャツの天竺編みもニットになるのですが、普通のTシャツをニットと呼ぶ人はいないはずなので、そこは感覚的にお分かりいただけるかと。)
Tシャツのことをカットソー(Cut and Sew)と呼ぶケースも多いかと思いますが、これは「切る・縫う」という意味を持つ和製英語となります。つまり切って縫うのであれば、その生地はニットや布帛(シャツ生地)でも良いことになるのですが、専らTシャツで使われるような生地に限定されて使われがちです。ただ、カットソー=Tシャツかと言われれば少し違うようで、クルーネックの半袖に限らずタートルネックだったり、長袖だったりデザインのバリエーションは幅広くなります。
デニム・ジーンズ・ジーパン
これは昨年の記事で取り上げましたね。ご存じの通りデニムとはあくまでも生地の名称です。具体的にはインディゴ染めしたタテ糸と染色していない白い糸をヨコ糸に使用した肉厚の綾織生地のことを指しています。ちなみにタテ糸とヨコ糸を入れ替えたのがタンガリーで、タテヨコの糸は同じで織り方を平織に変えたのがシャンブレーとなります。
一方でジーンズとは5ポケットのカジュアルパンツ全般のデザイン指す言葉です。そしてそのようなパンツで使われている生地は必ずしもデニムとは限りません。つまりリーバイス501に代表されるような青色のパンツを呼ぶ場合、生地の種類である「デニム」やデザインの種類である「ジーンズ」だけでは情報が不足しているのです。まぁ、それでも大体意味は伝わるのですが、当ブログでは「デニムジーンズ」と表記して間違いのないようにしています。
また、ジーパンという呼び方も一定以上の世代では馴染み深いかと思いますが、これは完全に日本独自。なぜジーパンと呼ばれるようになったのかは諸説ありますが、アメリカ軍兵士(GI=Government issuees)が穿いていたパンツなので「Gパン」だとか、Jeans pantsの略称「Jパン」が変化して「Gパン」などの説が有名です。ジーパンと呼べば誤解なく伝わるのですが、今となってはなんとなく抵抗感がありますね。
ズボン・パンツ・トラウザーズ・ボトムス
左右の脚が分かれた下半身を覆う衣類を呼ぶ際にズボンという名称が最もポピュラーですが、これは日本でしか通じない言葉となります。その由来はフランス語でペチコート(女性がスカートの下に穿く衣類)を意味する「jupon(ジュポン)」から来ている説や穿く時の「ズボン」という擬音から来ている説があるようです。なんだかんだでズボンという言い方が一番伝わりやすいこともあって、日常生活では私も普通に使っていますが、ファッションブロガー的にはイマイチ格好がつかないので、文章にする際にはパンツという表現を主に使用しています。
そのパンツはアメリカ英語でズボンを指す言葉になります。ズボンと並んで一般的な呼称で、ファッション雑誌やネット記事ではこちらが主流です。下着のパンツと混同してしまう可能性もありますが、そこは前後の文脈で判断がつくかと思いますので、私としては特に問題に感じたことはありません。
また、一般的には馴染みは薄いかもしれませんが、ズボンやパンツと同じ意味を指す言葉としてトラウザーズがあります。パンツがアメリカ英語だったのに対してトラウザーズはイギリス英語です。特にクラシック・ドレス界隈では好まれて使われており、響き的にもなんとなくカッコいいので、私もこのブログを始める際にはトラウザーズで統一しようかとも思いましたが、実生活でそのような言葉を一度も発したことはないので止めておきました。ちなみにイギリス英語でのパンツは完全に下着のことだけを指しているため、欧州圏では注意が必要です。
最後にボトムスという言葉。「bottom(底・下部)」という意味の通り、下半身に着用する衣類の総称となります。その対義語はトップスですね。つまりボトムスにはスカートなども含まれているため必ずしもボトムス=ズボン・パンツではないということです。とはいえメンズファッションにおいては実質的に他の選択肢はないので、ボトムスと表現しても特段差支えはないでしょう。
スラックス・トラウザーズ
スラックスと聞くと皆さんがイメージするのはスーツの組下のようなパンツかと思います。その名称は「ゆるい・たるんだ」という意味を持つ「slack(スラック)」が語源となっており、スラックスがゆとりのあるシルエットで、薄手のウールなど柔らかい生地が使われてきたことに由来しているのでしょう。とはいえタイトなものであったり、デニムのような硬い生地を使っている場合でもスラックスという言葉は使われるので、現代ではテーラード仕立てのクリースの入ったドレスパンツ全般と捉えてよろしいかと思います。当ブログでもそのようなパンツを表す際にはスラックスと呼ぶようにしています。
ただ、ここ最近はスラックスタイプのパンツをトラウザーズと表現しているケースを見かける機会が増えてきました。前項でも述べた通り、トラウザーズとはあくまでもイギリス英語でズボン全般を指す言葉であり、スラックスのようなドレスパンツに限定されていません。デニムジーンズもチノパンもトラウザーズです。ここ日本でもトラウザーズを本来の意味で使っている方が一定数いらしゃる以上、トラウザーズ=スラックスという使い方は避けておくべきかと思っています。
プリーツ・タック
クラシック回帰の流れを受けて、ここ数年はプリーツパンツが人気を集めています。何気なくプリーツという言葉を使っていますが、その定義を確認すると生地を折ってひだを作り、そのまま折り目が裾まで長く伸びる様を指すそうです。プリーツスカートなんかが分かりやすいでしょうか。

こちらのスラックスでいうと赤枠で囲んだ部分ですね。生地のひだからクリースが一直線に繋がっています。

一方でプリーツとほぼ同じ意味としてタックという言葉もよく聞くかと思いますが、タックとはあくまでも生地を折り畳んだ箇所だけを指しています。先程のプリーツの上の部分、赤丸のところだけがタックとなります。
プリーツパンツのことをタックパンツと呼んでも間違いではありませんが、カジュアルなチノパンなんかで見られるクリースなしでタックだけ入るパンツはタックパンツと呼ぶのが正解なのでしょう。

そこで問題となるのが上画像で赤枠で囲んだ箇所。このようなパンツは一般的に2プリーツと呼ばれていますが、言葉の定義を考えるとそれが正しいのか微妙なところですね。まぁ、短いながらもタックから連続するように折り目が付いているので、当ブログ的にはプリーツということにしておこうと思います。
まとめ
ネタ切れによる軽いノリで書き始めた記事でしたが、予定していた内容の半分に到達した時点で3,000字を優に超えてしまったので、2回に分けて公開しようと思います。
もう少し続きますので、時間のある方は引き続きお付き合いくださいませ。
今回は以上です。