
世界で一番売れたスニーカーはアディダスの「スタンスミス」という話は有名で、ギネスブックにも正式に認定されているらしいですが、実は真の世界一は違うモデルではないかとの噂があります。もちろんそれは今回の主役コンバースの「オールスター」です。あまりにも販売数が多すぎるためカウントができていないのだとか。
感覚的には納得ですね。オールスターは誇張なしで誰もが一度を履いたことのある大定番で、私自身に当てはめても中学時代以来ほぼ途切れることなく靴箱の中にはあったように記憶しています。
現在所有しているオールスターは6年程前に購入したものになり、しばらくの間は履く機会がそこまでありませんでしたが、ここ最近になってまた出番が増えています。
既に語られ尽くした永世定番ゆえにスルーしてきましたが、このタイミングで改めて自分なりにこの靴を評価してみようかと思います。どうぞご覧ください。
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コンバースのオールスターについて

バスケットシューズからファッションアイコンへ
マーキス・M・コンバース氏により「コンバース・ラバーシューズ・カンパニー」を1908年設立。雨や雪の中でも作業ができるラバーシューズが評判を呼び事業を拡大させました。
ラバーシューズの需要が雪の降る冬場に集中していることから、通年で販売できる商品を模索していたところ、当時学生を中心に人気が高まりつつあったバスケットボールに着目します。そして1917年にバスケットボール専用シューズとしてキャンバス素材のアッパーとラバーソールを組み合わせた「CONVERSE ALL STAR」が誕生しました。

参照:コンバース オンライン ショップ | CONVERSE ONLINE SHOP
こちらは1927年に製造された現存する最古のオールスター。ハイカットのシルエットやアンクルパッチの存在など現行モデルとほぼ変わっていません。オールスターの完成度がいかに高かったのかが伺えますね。
オールスターを語る上で外せないのはチャック・テイラー氏の存在。オールスターの別称として知られる「Chuck Taylor(チャック・テイラー)」はもちろん彼に由来しています。チャック・テイラー氏はバスケットボール選手として活躍しましたが、マイケル・ジョーダンのようなスーパースターだったわけではなく、選手として一線を引いた後にコンバース社のセールス部門に就職、オールスターの普及に大きく貢献してその名を残しました。
今でこそローテクなオールスターが競技の中で履かれることはほぼありませんが、彼の功績もあり1960 年代当時のデータではバスケットシューズ市場のシェアを8割占めていたそうです。
1970年代以降はレザー素材がバスケットシューズの主流となり、キャンバス生地のオールスターは競技用としての役目を次第に終えることとなるのですが、安価で手に入りやすいことから若者達がファッションとして取り入れるようになりました。特に当時人気を集めていたパンクロックを始めとした音楽シーンとの結び付きが強く、次第にスポーツ用品からサブカルチャーを通してファッションアイコンへと立ち位置を変えて現在に至ります。
ややこしい!?オールスターのバリエーション
オールスターにはいくつかのモデル(ライン)が存在しており、現在購入検討をするのであれば主に以下の5つに分かれることになります。
■定番モデル
国内でコンバースの商標権を取得した伊藤忠商事による日本企画の定番モデル。専門店から量販店まであらゆる場所に置いており、今でも5,000~6,000円で購入することができる身近な存在で、もはや国民的なスニーカーとなっています。どうやら直近でマイナーチェンジが行われているようです。
■ALL STAR J
MADE IN JAPANのオールスター。福岡・久留米のムーンスターが製造を担います。値段はレギュラーモデルの倍以上しますが、日本製ならではの作りの良さに定評があります。
■U.S. ORIGINATOR
古き良きアメリカンヴィンテージに着想を得たモデル。洗いのかかったキャンバス生地や生成り色のラバーなど新品でありながらヴィンテージの風合い楽しむことができます。日本企画。生産国はインドネシアなど。
■CONVERSE ADDICT
その名の通りこだわりの強いファッションアディクト層に向けた特別ライン。大定番のオールスターも素材使いやデザインにアレンジを加えて毎シーズン新作が発表されています。こちらも日本企画。
■CT70
上記のモデルは全て伊藤忠商事による日本企画となりますが、こちらは本国アメリカ企画。70年代のオールスターを復刻しており、「Chuck Taylor 70's」の頭文字を取ってCT70となります。各所のディテールに違いが見られますが、やはり本国企画という響きだけでも惹かれるものがありますね。
ただ、CT70に関しては伊藤忠商事との兼ね合いもあり基本的には日本国内では流通しておりません。この辺に関してはブログ等で解説している方が多くいらっしゃるので、詳しくはそちらをご覧ください。
【TOMORROWLAND別注】コンバースのオールスターをレビュー
概要

2019年に発売されたトゥモローランド40周年を記念した別注モデル。現在は廃盤となっているオールスター100周年モデルがベースとなっています。本品はもちろんのこと、元ネタである「ALL STAR 100 Hi」も一部のショップで在庫が出回っているのみとなりますが、不変の人気を誇るオールスターシリーズ全般の話としてご覧いただければと思います。
なお、現行の定番モデルと比較した主な相違点は以下の通り。ALL STAR 100 Hiにおける変更点は「100周年」、トゥモローランドの別注ポイントは「トゥモローランド」と記載しておきます。
- インソールは一体型ではなく取り外し可能なカップインソール「REACT」を採用。(100周年)
- アウトソールは防滑性を向上させた「Traction Sole」を採用。(100周年)
- アッパーのキャンバス生地を織り目の細かい上質な素材に変更。(トゥモローランド)
- シューレースをポリエステル混からコットン製に変更。(トゥモローランド)
- メタリックなコーティング加工されたアンクルパッチ。(100周年)
- 「Chuck Taylor」と記されたヒールパッチ。(100周年)
- トゥモローランドのコーポレートカラーをイメージしたオリジナルのネイビーを各箇所に指定。(トゥモローランド)

しかし改めて見るとオールスターには不思議な魅力がありますね。
「どんな服装にでも合わせやすいシンプルなデザイン」と表現されることが多いオールスターですが、フラットな目線で見ると決してそうでもないかなと個人的には感じます。パッと目に付くアンクルパッチもそうですが、側面のラインデザインや大きめのハトメなどお馴染みのディテールも1つ1つ主張は強めです。シンプルで合わせやすいスニーカーなら他にいくらでもありますよ。
それでも多くの人が「とりあえずこれを履いておけば間違いない」という共通認識を持っているのは、オールスターが100年間で築き上げた歴史的・文化的な価値が根底にあるのではないでしょうか。
先に紹介したようにオールスターはバスケットシューズとして競技の黎明期から支えた実績があり、その後は映画や音楽、スケートボードなど様々なカルチャーを通してファッションアイコンとしての地位を確立した経緯があります。それもほとんど姿形を変えることなく。
少し小難しい話になるかもしれませんが、実用品(=バスケットシューズ)としてのデザインの正当性、あらゆる文化の象徴として受け入れられてきたニュートラルさ、時代を超えて生き残ってきたという事実など複数の要因が絡まって醸し出す空気感が現代を生きる私達にも信頼感として共有され、結果として間違いのない定番というポジションに繋がっているのではないでしょうか。定番と呼ばれるアイテムは総じてそいうった要素を持っているものですが、オールスターの場合は特にその色が強く出ていると感じます。
そんなことを考えながらオールスターを履いている人はほぼいないでしょうが、無意識のうちにそのデザインに歴史的・文化的な価値を見出しているはずです。砕けた表現をすれば「昔からみんなが良いって言うから、なんとなく魅力的に感じるんだよね。」といった具合になりますが、それを世界中で世代問わずに認識させているのはとてつもなく凄いことだと思いますよ。デザインが記号として成り立つ数少ない存在です。
では、そんなオールスターのお馴染みのディテールを改めてご覧いただながら、さらに深掘りしてみましょう。
ディテール

オールスターが誕生した当時、靴といえば革という時代でしたが、運動靴としての軽さを求めてキャンバス生地が採用されました。
現行でもモデルによって風合いが異なり、本品のベースとなる100周年モデルでは目が粗くやや厚手の生地が使われていましたが、こちらでは滑らかな質感の生地へと変更されています。
6年経過していい感じに味が出てきました。汚れが気になれば手軽に自宅で洗えるのも助かります。

つま先を覆うラバーキャップトゥ。外見上でモデルを判別する上でトゥの色味(蛍光色・生成り)や先端からの長さは見分けやすいポイントの1つとなります。

8ホールのハトメとコットン製のシューレース。安価な定番モデルだとポリエステル混紡となり、パッと見の違いは分かりにくいですが、この固体のように年数を重ねると風合いに変化が見られます。

内側にはハトメと同じパーツを使ったベンチレーションホール(空気孔)が確認されます。

最もアイコニックなディテールとなるアンクルパッチ。もともとは単なる飾りではなく、バスケットの試合中に選手同士の接触から足首(くるぶし)を守るために革製パッチが張られていたそうです。やはりデザインにはなんらかの必然性があった方が説得力が増しますね。目立つ外側ではなく、内側に取り付けられている理由もそのためです。

踵に取り付けられたヒールパッチ。本国企画のCT70は「Chuck Taylor」、日本企画では「ALL STAR」表記が中心となりますが、アディクトと100周年モデルに関してはCT70を模した「Chuck Taylor」と表記されたヒールパッチが採用されています。本来は黒ラベルとなるところ、ネイビーに変更さているのは別注ポイントの1つのようです。


硬い履き心地でお馴染みのオールスターですが、最近では全てのモデルがそうというわけではありません。100周年モデルには取り外し可能なカップインソールが採用されているのですが、これがなかなかの出来で、従来のオールスター像を覆すレベルでした。

足裏に沿った立体的な形状でしっかりとアーチサポートがされて、低反発素材のEVAが最大で2cmもの厚みがあるので、高いクッション性を発揮します。もちろん今時のハイテクスニーカーと比べたら大したことはないのでしょうが、私にとっては必要十分なレベルです。
ちなみにこちらのインソール「REACT」は100周年モデル専用として登場しましたが、その後はコンバースの他モデルでも使用できる純正インソールとして販売されるようになりました。今でも購入可能となっていますので、お手持ちのコンバースで履き心地が気になるようであれば試してみる価値はあるかと思いますよ。

アウトソールには防滑性を向上させたコンバースオリジナルの「Traction Sole」を装着。ただ、個人的にはそこまでの違いは感じませんでした。
サイズ感

参考までにこちらが私の足のサイズ。平均的な身長に対して足はやや小さめ。スニーカーだと25.5~26.0cm、革靴だとUK6.0やEU39前後を選ぶことが多いですね。
オールスターはモデルによっては木型が異なるので、サイズ感を一緒くたに語ることはできませんが、本品に関しては日本企画の定番モデルと概ね同じと認識していただければと思います。
それを踏まえて私が履いているのは26.0cmです。靴箱にある多くのスニーカーと同じサイズとなるので、ごくごく一般的なサイズ感です。強いて言えばやや幅は狭めですが、アッパーがキャンバス生地なので幅広の方でもそこまで気にはならないでしょう。
ちなみにベースとなった100周年モデルはアッパーに分厚いキャンバス生地が使われているため定番モデルより0.5〜1.0cmサイズアップさせる必要があるという意見を見聞きします。
コーディネート

ラガーシャツ:BARBARIAN(バーバリアン)
昔はジャケットスタイルの外しで足元にオールスターを合わせたりしていましたが、今は潔くカジュアルに装いたい気分。古典的なアメカジスタイルに落とし込めば間違いありませんね。

アウター:BARACUTA(バラクータ)
ニットポロ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
パンツ:LEVI'S(リーバイス)
オールスターにとって最高の相棒はリーバイス 501でしょう。説得力が違います。バラクータ G9まで合わせると少しやり過ぎな感じもしましたが、やっぱりこういうのが好きなんです。
まとめ
ブログネタが尽きたわけではありませんが、急にオールスターについて書いてみたくなったので、筆を執ってみました。
とはいえ、とてつもなく今更なのでどのような切り口でレビューしていくか悩ましいところがあり、どうしても抽象的な表現も多くなってしまいました。伝わり辛い箇所もあるかと思いますがお許しください。
まぁ、あれです。結局のところオールスターってデザインがどうとか、履き心地がどうとかを語るようなアイテムじゃないんですよ。理屈じゃありません。100年の歴史が築き上げた様式美です。
まともに反論できる自信もないので、異論はなしでお願いします(笑)。
今回は以上です。