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RING JACKET MEISTER(リングヂャケットマイスター)のカシミヤジャケットをレビュー!オリジナル素材「Balloon(バルーン)」とは?

ここ最近、ジャケットもオーダーが続いていましたが、今回は久々の既製品、そして久々のRING JACKET(リングヂャケット)です。

 

ご紹介するのはラグジュアリーな雰囲気が漂うカシミヤ100%のジャケット。リングヂャケットが以前から定番として展開を続けているオリジナル素材「Balloon(バルーン)」で仕立てれた一着となっています。

 

実はこちら今季の新作ではなく、3年前の2022年に発売されたモデルとなります。紆余曲折を経てワードローブ入りすることになった思い入れの強いジャケットをご紹介します。どうぞご覧ください。

 

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購入までの経緯

冒頭でも触れた通り、今回手に入れたジャケットは2022年に発売されたモデルです。中古ではなく完全な新品となります。「なぜ今さら3年前のものを?」と思われるか方もいらっしゃるかもしれませんので、購入までの経緯を書いておきます。自分語りパートなので興味のない方は飛ばして次項の製品レビューからご覧ください。

 

22年秋、新作として出会う

ここ数年のリングヂャケットはラグジュアリー路線を突き進んでおり、正直庶民の私からしたら完全に高嶺の花となってしまいました。予算20万円を用意して挑んでもまともに選択肢がないようなレベルです。それでも2022年頃までは頑張れば手の届く存在で、今と違い店舗にも定期的に通っていました。 

 

その頃に出会ったのがこちらのジャケット。店内でも目立つ位置にレイアウトされており、華やかなカシミヤジャケットに興味を惹かれましたが、値札に記載された金額(確か26~27万)を目にして試着すら断念。今考えるとリングヂャケット製のカシミヤ100%で30万円を切っているのであれば妥当というかお値打ちなのですが、1着の服にポンと出せるはずもありません。シーズンの終盤にはセールの対象となり30%OFFで20万円を下回るようになりますが結局決心は着きませんでした。

  

魅力的なアウトレット価格に惹かれるが・・・

そうこうしているうちに店頭は春夏物に移行してしまいましたが、リングヂャケットにはアウトレット専門のオンラインショップがあるので、案の定そちらに流れてきました。どうしても気になっていたのかその後の動きを定期的にチェックをしていて、最初は通常セール価格と同じ30%OFFでしたが、発売から1年が経った頃には50%OFFで13万円台まで下がりました。これならだいぶ現実的な価格です。

 

ただ、1つ大きな問題がありました。オンラインショップなので試着ができないことです。申し上げるまでありませんが、ジャケットで試着なしは絶対にあり得ません。リングヂャケット製品は持っていましたが、型(パターン)が違えば着用感が大きく変わってくることも実感済みで、同じブランドだからといって同一視はできないのです。最初に怯んで試着をしなかったことが後になって響いてきます。強いて言えば同型を採用するの現行品を店舗で試着すれば参考にはなるかもしれませんが、既に足が遠のいていた時期だったので、そういったことすら躊躇いを感じてしまいました。 

 

大阪で不意の再会

それから更に1年以上が経過した今年の1月。半ば存在を忘れオンラインショップの在庫をチェックすることもなくなっていましたが、不意な再開を果たします。大阪出張の前乗りで宿泊先の心斎橋近辺を散策しているとリングヂャケットの看板を見かけました。「大阪店って淀屋橋じゃなかったっけ?」なんて思いながら近づいてみると「OUTLET」の文字が・・・。知りませんでした。数年前にアウトレット専門の店舗がここにだけオープンしたそうです。

 

吸い込まれるように扉を開けて中に入るとオンラインショップで見かけたことのあるスーツやジャケットが所狭しとラックに掛けられており、その中から例のジャケットを見つけ出しました。約2年振りに実物とご対面です。念願の初試着も行い、特徴的なパターンであるためか、私の場合は通常より1サイズ上げた方が良いことが分かりました。やっぱり試着なしは危険だ。不自然なシワなどもなく袖以外のお直しは必要なさそうです。少し派手かなと思ったベージュの色味も実際に着てみると意外と悪くない。価格もオンライン同様に13万円強です。「じゃあ、これでお願いします。」と喉まで出かかりそうになりましたが、この期に及んで踏みとどまってしまいました。

 

理由は2つ。まずはあまりにも突然すぎる再開であったこと。私は結構計画立てて買い物をするタイプなので、以前から欲しかったとはいえ今年の予定に入っていないこのジャケットを思い付きで購入することに脳内でストップかかかりました。そしてもう1つは直前に大きな買い物を既に終えていたこと。ブログでも2月に紹介したJ.M.ウエストンのローファーを購入したのは、アウトレット店に入る10分前の出来事でした。シューツリーと合わせて18万円程の支払いをカードで切った私に追加で13万円のジャケットを買う余裕は懐事情的にも精神的にもなかったというわけです。

  

諦めからのラストチャンス

かろうじて衝動を理性で抑えられたものの、試着をしたがために出張から戻ってきた後も例のジャケットのことが頭から離れません。そこで私なりのけじめとして、約半年後となる8月末時点で同じ熱量が残っていて、かつオンラインショップで在庫があれば購入するという線引きをすることにしました。

 

その期限が近づいた8月の中旬、相変わらず購入意欲は高く、秋冬物のオーダーを見送ったことで予算的な余裕もあり、いよいよあのジャケットを手に入れることになるのかと胸を躍らせていましたが、オンラインショップを覗いてみると肝心の在庫がなくなっていることが発覚しました。さすがにこればかりはどうしようもない。自分で期限を決めた以上、縁がなかったものとして諦めるしかありません。

 

行き場のなくなった物欲を他の何かにぶつけるというわけではありませんが、9月に入ると秋冬物が本格的に立ち上がる時期となるので、様々な媒体を駆使して今季買うべきアイテムを物色していました。その中の1つが会員制フラッシュセールサイト「GILT(ギルト)」

 

同サイトについては過去記事で紹介をしたことがあるのでそちらをご覧いただければと思いますが、格安ではあるものの、商品説明が乏しい上に画像も不鮮明と購入に対するリスクが高いため実際に利用することはほぼありませんでした。それでも稀に掘り出し物が出品されているので、思い出した頃に覗くようにしていました。そしてそのタイミングが最高に良かった。訪れた日からちょうどリングヂャケットのフラッシュセールが始まっていたのです。

 

リングヂャケットがたまにGILTに出品していることは知っていたので、それ自体に驚きはありませんでしたが、なんと直営サイトでは欠品していた例のジャケットのマイサイズがそこに表示されていました。しかも値段はさらに下がり9万円代、そこからなんやかんやのクーポンが適用されて7万円代となっていたので、ノータイムで会計を済ませ無事購入に至ったというわけです。ここまで来れば値段が決め手だったわけではありませんが、定価の約70%OFFで買えたのまさには願ったり叶ったりでした。

 

GILT上では1点限りの出品だったようで、その後リングヂャケット公式でも在庫が復活する様子はないので、本当の本当にラストチャンスだったのかもしれませんね。

 

リングヂャケットマイスターのカシミヤジャケットをレビュー

概要

すっかり前置きが長くなってしまったので、いつものブランド紹介は割愛して早速本品のレビューといきましょう。

 

リングヂャケットの上位モデルという位置付けとなるRING JACKET MEISTER(リングヂャケットマイスター)からの一着。ベースラインとの違いは手縫いの分量にあります。着心地の差はともかく、ハンドメイドならではの柔らかい見た目は一目瞭然です。

 

オリジナル素材「Ballon(バルーン)」カシミヤ100%の生地を使用。バルーンについては後程解説しますが、ホップサックのような編みで化繊を使わずに天然のストレッチ性を持たせた素材です。表面にはっきりとした凹凸が出るので風合いとしてはややカジュアル寄りにはなりますが、上質なカシミヤを用いることでリラックス感がありながらも艶っぽいラグジュアリーな生地へと仕上がっています。   

 

色味は一見すると派手そうな明るいベージュですが、彩度が抑えめなので意外と馴染みは良く合わせやすい印象です。基本的にはビジネス使いをメインに想定しているので、シャツやパンツはシンプルにまとめておいて、ジャケットに花を持たせるような装いが正攻法でしょうか。  

 

パターンはマイスターラインで広く採用されている「NO-254」。広めに設定された肩幅とシェイプの効いたウエストが特徴的で、メリハリのある男性的なシルエットを作り出します。現在のリングヂャケットを代表する型ではあるものの、やや着る人の体型を選ぶかもしれません。ただ、シルエットは本当にきれいです。芯地がほぼ使われていない軽い仕立てではありますが、パターンの良さもあって身体に沿うようにフィットします。クラシック趣味が強く打ち出された「NO-286」と並んでお気に入りのモデルとなりました。

 

オリジナル素材「Balloon(バルーン)」

リングヂャケットでは主にイタリアやイギリスの一流テキスタイルメーカーから生地の供給を受けていますが、独自で企画開発を行った「Balloon(バルーン)」シリーズにも定評があり、長年に渡って定番としてラインナップされ続けています。

 

2011年頃に登場したバルーンの最大の特徴は「着やすさ」と「ドレス感」の両立です。主にウールの強撚糸を用いて、ホップサックに近いメッシュ状の開放的な織りで、化学繊維を使わずに高い伸縮性を実現しました。さらに通気性に優れ、シワにも強いことから日常で扱いにやすい生地となっており、多くの人々から重宝されてきました。もちろん機能性だけではなく見た目の面でもリングヂャケットならではのこだわりが詰まっています。バルーンは原則的に天然繊維だけで構成されており、自然な光沢感や滑らかな手触りなどは巷に溢れるジャージー素材とは一線を画します。


バルーンシリーズは通年で展開されており、春夏にはライトウェイトで清涼感のあるドライなタッチに仕上げ、秋冬ではやや密度の高い織りで表面にも起毛感を持たせるなどそれぞれの季節感をしっかりと感じさせてくれます。また、シーズンによっても織りや素材使いに変化が見られ、定番であり続けるためのアップデートがなされています。

 

本品で使用されているのは「Italian Balloon(イタリアンバルーン)」と銘打たれたコレクションの生地で、バルーン誕生から約10年後となる2022年に登場しました。

 

従来のバルーンは国産メーカーにより手掛けられてきましたが、イタリアンバルーンではCARLO BARBERA(カルロ・バルベラ)の創業一族が新たに立ち上げたLANIFICIO CORRADO(ラニフィーチョ コラッド)が生産を担います。それまでのバルーンの特徴であるナチュラルストレッチはそのままに、イタリア的な感性が加わり、よりラグジュアリー生地が揃うようになりました。

 

以前バルーンはベースラインのみでの展開でしたが、イタリアンバルーンが登場して以降はマイスターラインでも採用されるようになっています。それに伴い素材もウールとは限らず、カシミヤやシルクなどが使われるようになりました。

 

ただ、先日店舗の方に伺った話だとイタリアンバルーンは一旦終了、今年から再び生産を国内に戻して以前同様に「Ballon(バルーン)」名義で展開しているとのことです。

 

ディテール

イタリアンバルーンが立ち上がり最初の秋冬シーズンに登場したカシミヤ100%のホップサック。番手の太い糸を使うことでカシミヤにとって最大の弱点である摩擦に対する耐久性を高めており、繊細な高級素材を日常使いに耐えうる生地へと仕上げています。伸縮性や防シワ性も言わずもがな。

 

目付は340g/mと秋冬用としては標準的ではありますがさすがはカシミヤ、保温性能はかなり高いようです。

 

ラペル幅は8.8cmと現代の基準ではオーソドックスな幅。最近のリングヂャケットでは9.5cm前後のワイドラペルを採用するモデルも多く、個人的にもそれぐらいが好みではありますが、ジャケット全体で見ると非常にバランスは取れているように感じます。  

 

ゴージ位置はやや高め。上襟と下襟の縫合は手縫いされているためゴージラインがぼんやりと浮かび上がり優しい表情となっています。また、縁には手縫いによるダブルステッチが施されることでカジュアルな雰囲気が協調されています。「ラペルはジャケットの顔」とよく言われますが、まさにこのジャケットのキャラクターを物語っています。  

 

吊るしの画像では伝わりませんが、一枚襟を熟練した職人によるアイロンワークでクセ取りをすることで、首に吸い付くように立体的に仕上げます。柔らかい生地だからこそその技術力の高さがより伝わってきますね。   

 

襟裏はもちろん髭付き。

 

ふんわりと優雅なラぺルのロール。こちらもアイロンワークが成せる技です。   

 

手縫いによる袖付け。イセ込みがしっかりと取られており、腕の可動域も申し分ありません。好みが分かれるところではありますが、マ二カカミーチャ(雨降り袖)のギャザーがはっきりと入っています。

  

袖のボタン付けは本切羽の4つ重ね。  

 

全体的に丸みを帯びてニュアンスのあるパッチポケット。縁にはラペル同様にダブルステッチが施されます。

 

ダークブラウンの本水牛ボタン。   

 

ぷっくりと立体感のあるボタンホールも手縫いによる仕事です。

 

秋冬物ですが裏地は極力省かれた背抜き仕様。リングヂャケットのカジュアルジャケットはこの仕様が基本となります。軽やかな着心地の反面、普通なら寒さが気になるところではありますが、このジャケットの場合はカシミヤ生地の保温性を考えると大きなデメリットにはならなさそうです。   

 

そら豆型のアームホール。縦ではなく横方向に広げることで、肩回りを動かしやすくするための工夫ですが、この形状で縫い合わせるには非常に高い技術を要します。また、このモデル「NO-253」はリングヂャケットの他の型と比べてもアームホールがより小さく作られており、それにより腕を上げた際などに余計な生地が引っ張られてシルエットが崩れることを防いでいます。  

 

サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 標準体型の私が選んだのはサイズ48。過去に購入した同ブランドのジャケットはいずれも46を選んでいたので1サイズ上げています。このジャケットで採用される「NO-253」は肩幅や胸元にゆとりを持たせつつ、ウエストのシェイプは強めに効かせたシルエットとなっており、お腹周りがややタイトに感じたためのサイズアップとなりました。その代わり肩幅は普段のフィッティングと比べると数mm程度大きいように感じましたが全くの許容範囲内です。

 

ドロップ寸(バストとウエストの差を2で割った数値)は8.25。一般的なスリムフィットで8.0、所有する他のリングヂャケット製品が7.5であることを考えるとこのジャケットが抑揚のついたシルエットであることが分かりますね。

※ドロップ寸は数値が小さいほどボックス型に近づきます。 

 

フロントは3つボタンの段返りで、ウエスト位置とボタン位置はやや低め、それに伴いVゾーンもやや深めの設計となっており、大人っぽく落ち着いた印象を与えてくれます。これでワイドラペルまで付いてくると少々大袈裟な感じになりかねないので、8.8cmという標準的な範疇のラペル幅がやはり正解なのでしょう。  

 

職業柄ノーネクタイで過ごす方が多いので、その際にはこのように前は開けたままとなります。ウエストのシェイプが効いているので、ボタンを留めずともシルエットはきれいに出ているかと思います。

 

後ろ姿はこんな感じ。リングヂャケットは型によって私の体型に合わずツキジワが出てしまうこともありましたが、このジャケットではそのような心配もなく、特にお直しも必要ありませんでした。サイズを1つ上げたため着丈が普段より約1cm長めとなりましたが、むしろこれぐらいの丈感がちょうどいいのかもしれません。

 

最後におまけ。アームホールが小さく作られているという話があったかと思いますが、それがどのような効果をもたらしているのか分かりやすいように比較画像を用意してみました。

 

正面から見て右側が昨年オーダーしたフォックスブラザーズのフランネルジャケット。こちらは厚手のニットを中に着ることを前提に意図的にアームホールに余裕を持たせています。それで電車の吊り革を持ちイメージで腕を上げてみました。やはりアームホールが大きいとその分だけ生地が引っ張られやすくなってしまうようですね。一方で本品はそこまでシルエットが崩れていないことがお分かりいただけるかと思います。

 

コーディネート

ジャケット:RING JACKET (リングヂャケット)

シャツ:メーカーズシャツ鎌倉

ネクタイ:メーカーズシャツ鎌倉

パンツ:BERNARD ZINS(ベルナールザンス)

シューズ:CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

オーソドックスなビジネスコーデ。ネイビーやグレーと違い、一般的なビジネスの場では選ばれにくい華やかな色味なので、他のアイテムはシンプルにまとめています。強いて言えばシャツが白ではなく、ジャケットと馴染みのよいエクリュ(生成り色)であることがポイントでしょうか。   

 

ジャケット:RING JACKET (リングヂャケット)

ニット:EDIFICE(エディフィス)

パンツ:五十嵐トラウザーズ

シューズ:CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

同じく今季購入した五十嵐のコーデュロイパンツと合わせたカジュアルスタイル。やはりオフホワイトとの相性は間違いありませんね。

 

まとめ

3年越しの購入となったリングヂャケットのカシミヤジャケットをご紹介しました。経緯が経緯だけに余計な内容を長々と書いてしまいましたが、それだけ思い入れが強いということでご容赦ください。

 

最初は華やかなカシミヤジャケットは私のキャラクターに合ってないんじゃないかと不安もありましたが、何度か着用を重ねるうちになんとか様になってきたような気がしています。とはいえまだまだですが・・・。

 

オーダーだとなかなか自分で選ばないような生地なだけに、この出会いを大切にして着こなしの幅を広げていければと思います。

 

今回は以上です。