
これから気温が上がっていくにつれ、本格的なアウターには手が伸びなくなる一方で、トップス1枚だけだとなんだか心許ないと感じられる方も多いのではないでしょうか。
まさに私がそうで、少なくとも夏前までは何かしらの羽織りが欲しくなります。
そこで頼りになるのがリネンアウター。ウールやコットンと比べると通気性に優れ、見た目にも清涼感があるため、暑苦しい印象を持たれることもありません。
リネンアウターといえはオーバーシャツやサファリジャケットのイメージもありますが、今回私が選んだのはヴァルスタリーノのリネンモデルとなります。
ヴァルスタリーノはスエードが有名で、数年前に私も憧れの一着として購入していましたが、素材にリネンを採用したことで、また違った魅力を感じさせてくれる仕上がりとなっています。
それではどうぞご覧ください。
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ヴァルスターについて

1911年にイギリスの会社がイタリア・ミラノでレインコートの工場を設立したのが、Valstar(ヴァルスター)の始まりです。
ブランドのアイコンであるヴァルスタリーノが登場したのは1935年のこと。バラクータのG9と並び「全てのブルゾンの原型」と称されています。似たようなデザインのアウターが一般的に「ヴァルスター型ブルゾン」と呼ばれるのも当然このヴァルスタリーノが由来となります。その完成度の高さは、誕生から約90年が経過した現在でも色褪せることがありません。
現在でも本国イタリアの自社工場で一貫製造を守り続けており、ヴァルスタリーノの他、トレンチコートやタイロッケンコートなどのクラシカルなアウターでも高い評価を得ています。
リネン ヴァルスタリーノをレビュー
概要

服飾史に名を刻む名品・ヴァルスタリーノ。中でも最も広く知られているのはスエードモデルですが、その他にも展開は実に多彩です。秋冬であればスムースレザーやウール、コーデュロイといった重厚感のある素材が揃い、春夏にはコットンナイロンやポリエステル、そしてリネンなど軽やかで季節感のあるバリエーションも豊富に用意されています。
冒頭でも述べた通り、今回選んでいるのは、最も春夏色を強く打ち出しているリネンです。スエードモデルが持つ色気や重厚さとは別のベクトルで、日常に自然と溶け込むような優しい雰囲気が大きな魅力です。
リネンモデルを含めて、ヴァルスタリーノの基本的なデザインは共通となりますが、フィッティングに関してはその素材の特性を活かしたサイズ感が採用されています。
現在、日本で流通するヴァルスタリーノには大きく分かれて4つのフィッティングが存在します。
- レギュラーフィット(本国使用)
- スリムフィット(本国使用)
- ジャパンレギュラーフィット
- ジャパンスリムフィット
下へ向かうに連れて、コンパクトなサイズ感となるイメージです。
今回購入したリネンモデルでは今回購入したリネンモデルでは、レギュラーフィットが採用されています。

いわゆる本国仕様にあたるフィッティングで全体的に適度なゆとりがあり、ややリラックスした印象を受けます。とはいえ決してルーズに見えるわけではなく、ヴァルスタリーノ特有のコンパクトな着丈やリブの効いたディテールによって、バランスよく引き締まったシルエットに仕上がっています。
特にリネン素材との相性は非常に良く、この適度なゆとりがあることで、生地特有のドレープやシワ感が自然に表現され、より一層軽やかな雰囲気を演出してくれます。タイトすぎるフィッティングでは得られない、抜け感のある表情が楽しめる点は大きな魅力です。
また、通気性という観点から見ても、このフィットは理にかなっています。身体との間に適度な空間が生まれることで風が通りやすくなり、春夏シーズンでも快適に着用可能となっています。
ブラウンやオリーブなどいくつかのカラーバリエーションがある中で今回選んだのはネイビー。くすみがかってやや明るいブルーにも近い色味のため、爽やかな春の季節にもぴったりかと思います。
定価は約10万円。もちろん高額ではありますが、スエードモデルが昨シーズンは約24万円(私が購入した頃は16万円ぐらい)まで上昇していること、近年は世界的にリネンの原価が高騰していることを踏まえると、価格設定が間違えてるのじゃないかと思うほどお値打ちに感じますね。個人的な予測ですが、来年には一気に15万円近くまで跳ねてもおかしくないんじゃないかと思っています。買うなら今年ですよ。
ディテール

ひとえにリネン生地といっても性格は様々。大きく分類するとゴリゴリとした硬い質感で野性味のあるリネンと、サラッとした手触りと美しい光沢が特徴的な都会的なリネンに分けられますが、こちらの生地は明らかに後者。見た目には品格を感じられ、半袖の上から袖を通すと肌触りの良さが実感できます。
また、一日を通して着用すると、リネン特有の自然なシワが刻まれ、より一層こなれた表情へと変化していきます。朝と夕方で顔つきが変わってくるというのもこの素材ならでは。やっぱりリネンって良いですね。
目付はおそらく300g/m前後。厚すぎず薄すぎない端境期のアウターにはちょうどいいウェイトかと思います。リネンといえども重厚な生地だと普通に暑いですよ。

ヴァルスタリーノを象徴するディテールの1つ、リブ状のスタンドカラー。私が所有するスエードモデルでは主にウールが使われていましたが、こちらではコットン98% ポリウレタン2%の構成となっています。肌触りはよく、首元に直接触れてもチクつきのない快適な着用感です。春夏向けらしく軽やかな質感で、見た目にも重さを感じさせません。

スエードモデルでは重厚感のある水牛ボタンでしたが、こちらはおそらくナットでしょうか。天然素材らしい柔らかな風合いで、リネンの軽やかな質感ともよく馴染んでいます。

お馴染みのパッチ&フラップポケット。側面も隠しポケットになっており、物を入れることはないにしろ、おもむろに手を突っ込みたくなります。

袖口と裾の仕様はネックと同様に心地よいコットン製のリブ。スエードモデルのウールリブと比べると薄手なこともあってか、締めつけはそこまで強く感じません。

材の軽快さを活かすため、裏地の仕様はアンライニング。

裏側の両側面にも大型のポケットが取り付けられています。実際に使うことはほとんどなさそうですが、いざという時には頼りになるのかも。
サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 標準体型の私が選んだのはサイズ46。スエードモデルではある程度身体にフィットしたサイズ感を意識しましたが、リネンの素材感を活かすのであれば適度なゆとりは必要かと思います。とはいえ過度なサイズアップはヴァルスタリーノが持つ上品さを損ない兼ねないので、これぐらいのバランスがちょうどいいのではないでしょうか。

ボタンを留めずに前を開けてみました。こちらの方がゆったりとしたサイズ感が伝わりやすいかもしれませんね。フロントボタンは2つぐらい留めた方がシルエットはきれいに見えますが、リラックスした雰囲気を出したい場合はこういう着方も良いですね。

左:レギュラーフィット 右:ジャパンスリムフィット
おまけで私が所有しているジャパンスリムフィットのスエードモデルと比較してみました。共にサイズ表記は46になりますが、横並びで比較すると明らかに違いますね。スエードモデルに関して、今となってはもう1つ上のサイズが正解だったかなとも思いますが、それでもやはりタイトめジャストで着た方がかっこいいので、同じヴァルスタリーノといえど、素材が変わってくればフィッテイングの方針も少し変わってきます。
コーディネート

アウター:Valstar(ヴァルスター)
ポロシャツ:LACOSTE(ラコステ)
パンツ:YCHAI(イカイ)
春、ということで無難にホワイトデニムを合わせてみました。リブ状の袖口を活かしてざっくりと腕まくりをすると軽快で爽やかな雰囲気がより強く感じられますね。

アウター:Valstar(ヴァルスター)
シャツ:HITOYOSHI(人吉シャツ)
パンツ:FIVE ONE(ファイブワン)
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
もう少し暖かくなったらやってみたいオールリネンコーデ。シャツとスラックスもリネン100%です。全身に入るシワも一層味わい深いものとなるはず。足元はグルカサンダルあたりが良かったかもしれませんね。
まとめ
リネンのヴァルスタリーノをご紹介しました。やっぱりこのデザインが好きなんですよね。一方で定番のスエードモデルとは性格が明らかに異なり、単なる同型の春夏向けというわけではありません。
軽やかで涼しげ、それでいてどこか品のある佇まいは、まさに春夏の季節にぴったりです。特にリネンならではのドライな質感や着用シワによる表情の変化は、このモデルに新たな魅力を与えてくれる要素となっています。
春から初夏、そして秋口まで長いシーズンで活躍してくれる点も含めて、ワードローブに一着あると確実に重宝する存在になりそうです。
今回は以上です。