最高気温が20℃を超える日があったり、待ちに待った春本番もすぐそこまで来ています。一方で朝晩は冷え込むような日もまだあり、どんな服装をすれば良いのか少し悩まされますよね。
今回はそんな季節の変わり目のコーディネートについて。
なんでか分からないけど、コーディネートがしっくりこないってことありませんか?
それは素材感の相性が合っていないせいかもしれません。
コーディネートを組む時に何を意識していますか?
ファッションは感性(センス)よりも、ルールに則った理論を理解することが重要であるということは、最近では常識のようになりつつありますね。
■色の使い方
トーンやカラーを統一することで全体にまとまりを持たせるコーディネートはお洒落さんの常套手段です。多色使いする場合も2~3色に抑えることが良しとされています。他にもネイビーとブラウン(所謂アズーロ・エ・マローネ)のように鉄板の組み合わせもいくつか存在します。
■全体のシルエット
全身細身でスマートな印象がある「Iラインシルエット」、上半身にボリュームがあり下半身が細身でリラックスした大人っぽさを感じる「Yラインシルエット」、反対に上半身がコンパクトで下半身に太めのパンツを使いどっしりと男らしい雰囲気を醸し出す「Aラインシルエット」。自分が表現したいイメージを基にベースとなるシルエットを決めた上で、それぞれのアイテムを選ぶことは重要ですね。
■ドレスとカジュアルのバランス
ファッションインフルエンサ―のMB氏を始め、多くの方が提唱している「ドレス:カジュアル=7:3」の理論。これが必ずしも正しいとは思いませんが、日本人が「それっぽく」お洒落に見せるという意味では正解かもしれませんね。
上記した3点は特に有名なので多くの方が実践しているかと思いますが、私はこれに加えて「素材感の相性」を強く意識してコーディネートを組むようにしています。
素材感について考えてみよう
「素材感の相性」を考えるにあたって、生地を「春夏」「秋冬」「通年」の3カテゴリーに分類して考えてみます。
単純に「季節に合った素材を使いましょう」というのは当たり前の話ですが、今の時期のような季節の変わり目に、季節感の異なる生地を組み合わせるのはちょっと難しいぞという考え方です。
なお各カテゴリー内には原材料と加工法(織り方)が混在しています。本来であれば別々に語るべきかもしれませんが、ここでは一緒にさせていただこうと思います。
春夏の生地
春夏の生地は軽やかで清涼感のある素材が好まれます。手触りのイメージは「さらさら」「ざらざら」といった感じでしょうか。
代表的な生地
- リネン
- モヘア
- トロピカルウール
- 鹿の子
- シアサッカー
- コードレーン
ざっくりと織られて通気性の高い生地や、表面に凹凸を持たせることで肌との接地面を少なくしている生地など、汗をかく環境での快適性を重視した素材が並びます。
秋冬の生地
秋冬の生地では重厚感があり温かみを感じる素材が好まれます。手触りのイメージは「しっとり」「ふわふわ」といった感じでしょうか。
代表的な生地
やはりというか当然ながら起毛素材だらけになりました。保温性能もさることながらほっこりとした温もりを感じる見た目は秋冬ならではといったところです。これらが先程挙げた「春夏」の生地と相性が良くないことは想像に難くないですね。
通年使える生地
良くも悪くも季節感のない素材。ここに分類される生地は「春夏」「秋冬」の生地とも相性が悪くはないので、必然的に着用可能期間は長くなりますが、一方で極端にドレス寄り、極端にカジュアル寄りな生地が多いので、必ずしも万能というわけではないのでご注意を。
代表的な生地
- ブロード
- オックスフォード
- シルク
- サージ
- チノクロス
- デニム
- ナイロン
季節の移ろいにあまり影響されないフォーマルやワーク、ミリタリーをルーツに持つ生地が多く揃っていますね。
生地の厚みについても意識してみよう
素材感と並んで私が意識しているのは生地の厚みです。基本的には「春夏」の素材は薄く、「秋冬」の素材は厚手に生地が作られているので、特に気を付けるべきは通年使えると分類した生地です。
生地の厚みによる軽快さや重厚感は着いる本人だけではなく、意外と他者にも視覚的に伝わるものです。
リネンシャツに裏地なしの薄手のジャケットを羽織っているのに、パンツがヘビーオンスのデニムだとやっぱり違和感がありますよね。
それは極端な例だとしても、私はジャケットとパンツの生地の厚みが感覚的に大体同じくらいになるように意識しています。
優先順位は素材感(質感)のバランスですが、生地の厚みや裏地の有無にも気を遣ってみてはいかがでしょうか。
失敗例をご紹介
ここまで挙げたポイントを踏まえて、敢えて失敗例をご紹介してみようと思います。
当たり前ですが、失敗しないようにワードローブを揃えているわけなので、わざと失敗コーデを組むのも結構難しいですね・・・。
ジャケット:ウール、シルク、リネン
シャツ:リネン
パンツ:コ―デュロイ
靴:スエード
ベージュ地にブラウンのガンクラブチェックをあしらったジャケットを軸に、パンツと靴もブラウンで合わせたコーデ。ぱっと見た感じは悪くないような気がしますが、春気分全快のジャケットとシャツに対してこの色のコ―デュロイのパンツはどうもミスマッチ。
またスエードの靴でもローファーであれば春や夏に使っても問題ないと私は思っていますが、コーデュロイのパンツと合わせたら一気に秋冬の印象が強くなってしまいますね。このコーデの場合パンツをベージュチノかホワイトデニムに変えると季節感に統一性を持たせることができそうです。
ジャケット:フランネル
ポロシャツ:鹿の子
パンツ:ウール、レーヨン、ポリエステル
靴:キャンバス
こちはネイビーを基調にしたジャケパンコーデ。写真では分かりづらいところもありますが、表面に起毛感があり総裏地のこのジャケットは明らかに秋冬物。ドライなタッチの鹿の子ポロとは表情に差が付き過ぎていますね。薄手のスラックスもジャケットの重厚感と比べるとアンバランスに感じてしまいます。
靴に関しては1年中履けそうなコンバースのチャックテイラーを持ってきましたが、キャンバス地(特に白系)は春夏のイメージが強い素材です。ダメというわけではありませんが、この手のジャケットと合わせるのは少し難しいかもしれません。
チャックテイラーを始めとしたキャンバススニーカーの季節感については、素材に造詣が深いブロガーの服地パイセンさんがご自身のブログ上で詳しく言及されています。とても参考になるので、是非ともご覧になってみてください。
迷ったら先を行くべし
ここまで季節感の異なる素材は組み合わせるべきではないと述べてきましたが、では季節の変わり目にどのようなコーディネートを組むべきかという問題に関してですが、結論から言うと迷ったら先の季節を選ぶべきです。
冬と春の間なら春に、夏と秋の間なら秋に振り切った装いをおすすめします。
程度にもよりますが、世間は季節遅れよりも季節を先取りする人に寛容です。そして何よりも中途半端に混在させてしまうのが一番危険なのです。
まとめ
この時期に私が特に意識していることをつらつらと書いていきました。
気が付けば季節の変わり目というよりすっかり春の陽気が漂っていますね。記事の内容としては少し機を逸してしまった感もあります(笑)。
ただ、週末からは全国的にまた冷え込むそうなので、素材感の組み合わせについて改めて意識してみてはいかがでしょうか。
ちょっと寒くなったからといって、部分的に秋冬素材の服を引っ張ってくると、何ともしっくりこないコーディネートになってしまうかもしれませんよ。
今回は以上です。