トラッドマンに憧れて

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名作ドレスチノ。BARNSTORMER(バーンストーマー)のマッカーサー2をレビュー!

昨年の購入計画から持ち越しとなっていたBARNSTORMER(バーンストーマー)のチノパンマッカーサー2」をようやく購入するに至りました。

 

クラシカルなシルエットに本格志向のディテール、それに他では見ないような魅力的な生地の質感とやはり評判に違わぬ名作です。

 

カジュアルに装いたいけどドレスマインドも忘れたくない今の私の気分にもぴったり。そんな一本をご紹介します。

 

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バーンストーマーについて

創業は1977年。当時は今で言うところのセレクトショップにあたるメンズショップが各地で増え始めた頃でしたが、そこで取り扱われるのはインポートブランド中心で、現在と違い国産ブランドの数も限られていたそうです。

 

そんな中バーンストーマーは「MADE IN USA」に引けを取らない国産のアメトラブランドとして始動します。生地はもとよりミシンまでアメリカから取り寄せた物を使うといったこだわり様は舶来品至上主義の当時の服好きからも支持を集めました。アメリカやヨーロッパの空気感はそのままに日本の高い技術で仕上げたようなブランドは今でこそ多く存在しますが、バーンストーマーはその走りであったと言えるでしょう。

 

その頃のバーンストーマーはジャケットやシャツなど幅広いアイテムを揃えていたそうですが、元々がスーツの組下を請け負う工場だったということもあって、とりわけドレス仕立てのパンツを得意としており、ブランドの代名詞となっていました。

 

ブランドの歴史としては2000年に一度途切れてしまいますが、2014年に創業者の息子である海老根紋郎氏により復活を遂げました。

 

その経緯として紋郎氏曰く、以下のように語っています。

 

まず当たり前ですが父がやっていた「バーンストーマー」に自分自身も親しみがあったということがあります。ただ一番の理由は、自分が大人になって周りを見渡したときに、欲しいカジュアルパンツがないということだったんです。今世に出ているカジュアルパンツのほとんどは、効率の良い生産背景で非常にリーズナブルに仕上げたものか、高級な素材を使ったラグジュアリー、そのどちらかがほとんどです。ドレスパンツに引けを取らないしっかりとした縫製と生地、それでいてカジュアルな、大人がはけるものをしっかりと作ろうと思ったんです。そう考えたときに、父が創業した「バーンストーマー」とイメージが重なりました。

引用:待望の復活を遂げた「バーンストーマー」のこれから (shipsltd.co.jp)

 

やはりバーンストーマーの魅力はこの発言に凝縮されていると思います。国内外のパンツに定評のあるブランドを見渡してもドレス専業 or カジュアル専業が多く、その中間的なカジュアルなんだけど細部まで丁寧に作られていて、上品な雰囲気も兼ね備えるパンツは希少。しかも良いパンツは今のご時世平気で4万円を超えるので、おいそれと手を出せる物ではありません。

 

その点バーンストーマーが取り扱うパンツはミリタリーやワークを由来としたカジュアルパンツを中心に揃えながら、テーラードの技を駆使することによりドレッシーに仕上げています。しかも価格は概ね2万円前後。おそらく作っている物自体は70~80年代当時と大きく変わらないのでしょうが、アイビー世代だけではなく幅広い層からも支持されのも当然なのかもしれません。

 

なお、再開した当初はパンツ専業を掲げていましたが、現在はジャケットなどもラインナップされているようです。

 

バーンストーマーのマッカーサー2をレビュー

概要

バーンストーマーを代表するモデルマッカーサー2」。その名の通りGHQ最高司令官として知られるダグラス・マッカーサーが着用していたパンツから着想を得たことが命名の由来だそうです。

 

カラーバリエーションとしてはネイビーやオリーブもありますが、選んだのは最もオーソドックスなベージュ。やっぱりこの手のチノパンはベージュに限ります。そしてまたこの色味と質感が良い。トーンはやや暗めで、生地に特殊加工を施していることによって強めのハリと光沢があります。

 

2タックでゆとりのある腰周りから緩やかにテーパードのかかったシルエットはクラシカルであり美しく、同ブランドが数多く扱うチノパンの中でもひと際エレガンスな雰囲気を醸し出しています。やはりミリタリー由来とはいえマッカーサーをはじめとした上級士官のために用意されたパンツをデザインソースにしているだけありますね。

まるでブルックスブラザーズやRRLあたりで取り扱っているアイテムのような風格すら感じられますが、紛れもなく国産。アメリカの空気を纏った国産のドレスチノという唯一無二の一本です。

 

ディテール

まず特筆すべきはこの生地でしょう。一般的なチノクロスのような単糸ではなく双糸で織られたウエストポイント生地が使われており、さらにはマッカーサー元帥の時代と同じように樹脂を-16℃で凍らせながら浸透させるコールドマーセという特殊な加工が施されています。それにより表面は凹凸が少なくパリッとハリの強い独特な質感で、眩い光沢を纏うようになります。

 

2タックのインプリーツやコインポケット、長めに設定された持ち出しを配した装飾的なフロントがクラシカルな印象を与えます。このデザインを活かしてトップスをタックインさせた上で、できるだけベルトレスで穿きたいですね。

 

中央に垂れ下がる輪っかはピンループと呼ばれるディテールで、このようにベルトのピンを通してバックルを固定するための役割を果たします。ベルトを巻く場合はお忘れなく。

 

使用されるボタンはおそらく本水牛。しっかりと根巻きされていて、ボタンも留めやすいですね。側面にはブランド名ではなく「MODERN HEROIC IMAGE」という文字が刻印されています。直訳すると「現代的な英雄の象徴」。同様の文言がブランドタグにも記載されており、バーンストーマーのコンセプトを表しているのかもしれません。

 

フロントはジッパータイプで、ドレスパンツのような長めの天狗鼻も確認できます。

 

妙に存在感のあるジッパーはアメリカのヴィンテージを再現したユニバーサル製を採用。細部まで抜かりありませんね。

 

裏側にはタックインしたシャツが飛び出さないように滑り止め(マーベルト)が取り付けられています。なんとも言い難いアイボリーの色味も良いですね。また赤糸で縫われた千鳥がけは伸縮性を担保するために手間暇かけてわざわざ取り入れているそうです。

バックポケットは左側のみフラップ付き。ウエスト下には三角形のガゼットが施されています。

 

ガゼットは内股部分にも入っています。ミリタリー由来らしく補強の意味合いもありますが、腰からヒップにかけてのラインを立体的に仕上げる効果をもたらしています。

 

チノパンなので裾処理は普通にたたきが無難かもしれませんが、気分としてはドレスライクに穿きたいのでスラックスのようにダブルにしています。裾幅もいつも通り4.5cmです。

 

サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 標準体形の私が購入したのはMサイズ。いつも国内ブランドならMを選んでおけばとりあえず間違いないのですが、これは結構ウエストがタイトめ。ベルトなしで穿きたかったのである意味は都合は良いのですが、完全にジャストで油断ならない感じでもあります。ちょっと太ったらヤバいかなと(笑)。なので同じような体形の方であっても念のためLサイズも検討はすべきでしょう。

 

2タックのインプリーツを採用していることもあり、太腿周りはだいぶゆとりのある設計となっています。膝から裾にかけてもストンと落ちるシルエットとなっていますが、わずかにテーパードがかかっているので変に野暮ったくなることもありません。

 

裾幅は約21cm。世間的に人気を集めているワイドパンツとまではいきませんが、クラシカルに装うならこれぐらいの太さがしっくりきますね。

 

横と後ろはこんな感じ。実際に穿いてみるとよく分かるのですが、ヒップのホールド感が素晴らしいですね。パターンの良さはもちろん、随所に見られるアイロンワークが利いているのでしょう。まるでオーダーで仕立てた上質なスラックスを穿いているような感覚すらあります。

 

コーディネート

ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

ネクタイ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

パンツ:BARNSTORMER(バーンストーマー)

シューズ:JALAN SRIWIJAWA (ジャランスリワヤ)

 

久々にやってみたTHEアメトラなコーデ。もう間違いないですね。アメトラの雄・ブルックスブラザーズのアイテムで固められても全く違和感なく馴染むあたりは流石の一言。

 

ラガーシャツ:BARBARIAN(バーバリアン)

パンツ:BARNSTORMER(バーンストーマー)

シューズ:Berwick(バーウィック)

 

打って代わってどカジュアルなボーダーのラガーシャツと合わせてみました。上品にまとめつつも決してアンバランスにならない点はこのパンツの汎用性を表しています。先程のコーデもそうですが、普段滅多に使わない白ソックスを合わせたくなりますね。

 

シャツ:Southwick(サウスウィック)

パンツ:BARNSTORMER(バーンストーマー)

シューズ:CONVERSEコンバース

 

もう少し暖かくなればこんなか感じでシャツと合わせて軽快に。トップスとシューズはひたすらシンプルですが、パンツのデザインにある程度主張があるのでありきたりで退屈な感じにはなりません。そのためにもシャツはタックインさせた方が良さそうですね。

 

まとめ

前々から興味はあたものの、手元に似たようなパンツがいくつかあり、どうしても後回しになっていましたがやっぱり買って良かった。

 

古き良きアメリカを思わせるクラシカルなルックスはさることながら、細部まで作り込まれた仕事には驚かされました。カジュアルパンツでここまでやるとは本当に恐れ入ります。しかもこれで2万円を少し超えるぐらいの価格ですからね。

 

ここ最近カジュアル方面に力を入れているところなので、このドレスチノは出番が多くなりそう。

 

「ドレスとカジュアルのバランスが〜」なんてよく聞く話ですが、単に属性の異なるアイテムを組み合わせてもなかなかバランスを取るのが難しいので、結局はこういうパンツが使いやすいというわけです。

 

今回は以上です。