トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

アンクル丈からの脱却。いま穿きたいパンツの丈感とは?

数年前までは兎にも角にもアンクル丈が洒落ているという風潮があり、トレンドとは一定の距離を取るスタンスの私でもそれに倣いやや短めですっきりとした丈感を好んできましたが、ここ最近はどうも気分じゃない。

 

ということで、所有するパンツの一部、計9本をお直しに出してきました。今回はそのビフォーアフターを紹介しつつ、「いま穿きたいパンツの丈感」について述べていきます。

 

まぁ、パンツの丈感なんで特に「個人の好み」で済まされる箇所なので、参考程度にご覧ください。 

 

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パンツの丈感事情

メンズファッションの中でもトレンドの影響が強く出るとされるパンツ。特にシルエットやデザインについて語られることが多いのではないかと思いますが、股下の丈感についても流行り廃りは存在します。

とりわけ2010年代半ば以降はアンクル丈のパンツが持て囃されるようになり、ユニクロのスマートアンクルパンツが登場した頃には完全に市民権を得たと記憶しています。一方でマス層に浸透しきったということはトレンドサイクル的にはそろそろ終わりを迎える頃なのかもしれません。「アンクル丈はもう古い」なんて声もちらほらと聞こえてきます。 

 

実際のところ私がアンクル丈のパンツを穿くことはほとんどなかったのですが、ここ数年の間は無意識の内にフルレングスより少し短めぐらいの丈感を好んできました。具体的に言うとくるぶしの真ん中ぐらいの長さ。いわゆる9.5分丈ぐらいのイメージです。

 

短めの丈は単に時代の空気感に寄せられたという曖昧な理由ではあったものの、明確にメリットと感じるポイントもいくつかありました。

 

まずは靴とのバランスです。股下を9.5分丈ぐらいに設定すると紐靴であってもパンツの生地がアッパーに干渉することがほとんどないので、靴全体をきれいに見せることができます。特に革靴愛好者の方には短めの丈感を好むケースが多いように見受けられます。

 

もう1つはパンツのシルエットです。9.5分丈だといわゆるノークッションになるので、足元でパンツの生地が溜まることなく裾までストンと落ちた美しいアウトラインを描きます。

 

ただ、留意が必要なのは靴にしろパンツのシルエットにしろきれいに見えるのは直立状態が前提であるということ。このブログやインスタで着用写真を上げる際には基本的に直立状態ではあるものの、パンツなんて実際に動いてなんぼ。9分丈や9.5分丈だと歩いたり座ったりと動きがついた際に想定より裾が上がりすぎて、正直あまりかっこよくはないですよね。

 

なのでトレンド云々よりもその点が気になり始めて一斉お直しを決意した次第です。

 

とはいえ、がっつりクッションさせた丈感にはまだまだ抵抗があるのですが、昨年ファイブワンでオーダーしたスーツのパンツがちょうどいい塩梅だったのでそれをベースに調整をかけました。

 

こちらが実際に基準となったパンツ。ローファーなら裾がタンに軽く触れる程度、紐靴ならハーフクッションさせるぐらいのイメージです。これなら立ち姿も歩いた姿もバランス良いかなと。

 

お直しビフォーアフター

今回は丈感が特に気になった9本をお直しに出してきましたが、その中からピックアップして4本のビフォーアフターをご紹介します。直したと言っても1〜2cm程度裾出ししただけなので、パッと見じゃ分かりづらいかと思いますがとりあえずご覧ください。

 

①インコテックス 35型

■before

美脚シルエットに定評のあるインコテックスのスリムモデル「35型」。くるぶしが軽く見えるぐらいの長さがイケてると信じていましたが、ここまで短いと椅子に座った際に裾がふくらはぎの下ぐらいまで上がってくるのであまりお行儀はよくありません。

 

■after(1.5cm出し)

普通といえば至って普通なのですが、やっぱりこれぐらいの丈感が安心します。ただ、細身のパンツなのでこれ以上長くするのは逆に不格好かもしません。

 

ちなみにこちらのパンツは5年前の購入時にはシングルのハーフクッションでしたが、そこから一度ダブルのノークッションに直していたという経緯もあり、今回+1.5cmしたことで出し代は完全に無くなってしまいました。長い物を短くする分には問題ありませんが、短い物を長くする際には制限があるので、よくよく考えて裾上げをしなくちゃいけませんね。

 

②インコテックス 38型

■before

同じくインコテックスですが、こちらはあまり国内市場には出回らないレギュラーフィットの「38型」。お店で裾上げをした際にはスタッフの方とよく相談して「短すぎず長すぎず、ちょうどいい感じで~」みたいな話をした記憶がありますが、いま見ると結構短いんですよね。

 

■after(1.5cm出し)

こちらも1.5cm出していますが、裾幅とのバランス的にもう0.5cm出しても良かったかもしれませんね。まぁ、おかしくはないかと思います。

③ベルウィッチ スコッチ

■before

一世を風靡したベルウィッチの大人気モデル「スコッチ」。このモデルに関してはブランド側がアンクル丈を推奨しており、おそらく上画像のような感じが正解なはず。巷ではもっと極端に短めに合わせている方も結構見かけます。(この手のパンツとしては珍しく最初から裾処理がされており、私は2cmだけ詰めました。)

 

■after(2.0cm出し)

ただ、そんなスコッチでも丈を出します。感覚としてはもう+1.0cmぐらい長くても良いかなと思いつつ、この長さが既製の丈感で、あまり弄るとパタンナーがイメージするバランスが崩れそうなので止めておきました。

 

④ジェルマーノ カーゴパンツ

■before

このパンツは少し例外で元の時点で丈感に関してはそこまで不満はありませんでした。

■after(2.5cm出し)

ただ、深めに設定された股上を活かしてウエスト位置を上げて穿きたかったので、その分の2.5cmを出してます。ついでにあえてダブルで仕上げていた裾をシンプルにたたきに変更しました。これは完全に気分ですね。

まとめ

実際のトレンドとかはよく分かりませんが、私の気分としては気持ち長め・・・というより本来の標準的な丈感へと移ろっています。

 

お直し屋さんに一気に9本も持ち込み怪訝な顔をされ、費用も2万円以上かかりましたがその甲斐あって心はとても晴れやかです(笑)。

 

たかが数センチの差で、他の方からすれば気にも留められないレベルですが、当の本人としてはその差が無茶苦茶気になる。服好きの方なら多少は共感いただけたのではないでしょうか。

 

今回は以上です。