
「頭寒足熱」という四字熟語をご存じでしょうか。頭部を冷やすことで脳機能をクリアにしつつ、足元を温めることで全体の血行が促進させることを指しています。もともとは東洋医学的な考え方でしたが、科学的根拠もしっかりとあるようです。
子供の頃にそのことを母から度々言われており、自室で勉強する時などにはエアコンは極力控えめにして、足元をしっかりと防寒することで暖をとっていました。その習慣は今でも残っていて、冬場に自宅で過ごす際には厚手のソックスを履くようにしています。
ただ、外出時はそうもいきません。私の場合、オンオフ問わずに革靴を履いていることが圧倒的に多く、薄手のドレスソックスを合わせることを前提にフィッティングしているので、寒いからといって厚手のソックスを履くという選択肢は基本的にはないのです。
そこで頼りになるのがウール混のドレスソックス。ウールなのでコットンより暖かいということはもちろんですが、他にもメリットがあるんです。以前から愛用しているTabio(タビオ)のウールリブソックスを買い足したのでご紹介します。どうぞご覧ください。
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Tbio(タビオ)について

1968年に靴下専門問屋として創業。当時の屋号は「ダン」。創業者のその時の気持ちのまま「男一匹」の「男」を取って「dan(ダン)」と名付けたそうです。提携工場で靴下の生産を行い、デパートなどに商品を卸ていましたが、1980年代に入ると直営店の展開が始まり、1984年には福岡県久留米市でフランチャイズ形態の「靴下屋」1号店をオープンさせます。
靴下業界では安価な海外製(主に中国製)の割合が多くを占めていましたが同社では国産にこだわって、高い品質と豊富な品揃えが評判となり事業を拡大させていきました。また、2002年にはロンドン市街地に路面店をオープンさせ海外進出を果たします。店舗名は「Tabio(タビオ)」。その後も海外での店舗展開を続け現在ではイギリスの他、フランスと中国、韓国で約40店舗を構えるまでになりました。
2006年に社名をそれまでの「ダン」から海外ブランディングで使用していた「タビオ」に変更。足袋(タビ)と旅(タビ)を掛けており、「The Trend And the Basics in Order(流行と基本の秩序正しい調和)」の頭文字を取ったネーミングとなります。
2000年代には経営危機に陥った時期もありましたが、創業者の息子である現社長に変わったことを契機に様々な改革を推し進め状況は改善。更なる成長を遂げ、全国各地に約230店舗を出店するなど靴下専門店としては他に例を見ない大きな成功を収めています。
ブランドとしては大きく3つに分かれており、比較的リーズナブルでカジュアルソックスが中心となる「靴下屋」とやや価格帯が上がり大人向けで素材やデザインにこだわったソックスが揃う「Tabio」(いずれもレディース)、メンズ向けのドレスからカジュアルまで幅広く扱う「Tabio MEN」が展開されています。また店舗名も「靴下屋」と「Tabio」の2パターンを見かけますが、ターゲートと商品構成によって使い分けられているようです。
Tbio(タビオ)のウールリブソックスをレビュー
概要

数年前から仕事用のソックスはタビオに統一しており、春夏はコットン若しくはコットンリネンの薄手のものを愛用していますが、気温の下がる秋冬に重宝するのはこちらのウール素材のモデルです。混紡率はウール78% ナイロン21% ポリウレタン1%となります。服に関しては極力天然素材にこだわりますが、ソックスにおいては伸縮性と耐摩耗性という明確な必要性があるので特に抵抗は感じません。
カラーバリエーションも充実しており全13色で展開。今回はビジネス用として私の定番であるチャコール・ネイビー・ブラウンの3色を購入していますが、手違いでネイビーに関しては同じウールではあるものの、混紡率が低いモデルを手に取ってしまいました。

右側が間違って購入したソックス
配合はウール33% アクリル32% ナイロン32% ポリウレタン2%で、価格も少しだけ手頃な1,540円となっています。ウールの比率が半分以下ということもあって手触りなんかは結構違います。少しふんわりとしていて、リブのテンションも緩めです。新品時点だと見た目には大きな違いは感じませんが、洗濯を繰り返すと差が出てきそうな気配は感じました。パッと見だと判別が付きにくいので、店舗で購入する際は注意が必要かもしれません。確かに同じ色が2段あるなとは思ったような気がします。
なお、本品はいわゆるレギュラー丈となりますが、同素材で膝下丈のロングホーズモデルも用意されていますがカラーは4色のみとなり、取り扱い店舗も限られているようです。(ロングホーズ2,530円)
ウールソックスのメリット

季節を問わずにソックスの素材として最もポピュラーなコットンと比較してもウールにはいくつかのメリットがあります。まずは冒頭でも挙げた保温性の高さです。ウールの原料となる羊毛は縮れているため1本1本の隙間に空気が溜まりやすく、繊維そのものの断熱性が高いことから同じ質量でもコットンよりウールが暖の方かいことは皆さんもご存知の通り。ちょうど前回の記事でも書きましたが私の場合、職場では室内履きとしてサンダルに履き替えるので、足元の保温性は特に重要です。
また、見た目の美しさもウールならでは。ウールをはじめとした獣毛は表面にキューティクル層があるため、光を反射して自然な光沢を纏います。上質なコットンでも似たような光沢を持つことがありますが、やはりウールのそれと比べたら性質が異なります。
そして意外と見落とされがちなのが防臭性。冬場は空調によって室内で汗が滲み出るような場面も多いのではないかと思いますが、ウールはコットンと比べて明らかに防臭性に優れます。臭いの原因となる湿気に対してコットンの2倍、ポリエステルの30倍もの吸湿性を持つともいわれているようです。
ウールのニットを頻繁にクリーニングに出さずとも臭いが気にならないことを考えれば分かりやすいでしょうか。当然ソックスなので都度洗濯をしますが、継続して使用する中で防臭性の高さは大きなメリットとなり得ます。
強いてデメリットを挙げるとすればコットンと比べると耐久性にやや劣ること、そして価格が高くなることでしょうか。タビオの場合は約400円の価格差となります。(コットン1,540円、ウール1,980円)
ディテール

ベーシックな丈感のソックス。おおよそふくらはぎの下部くらいまで届く長さとイメージしてもらえればよろしいかと思います。ロングホーズではありませんが、パンツの丈をハーフ~ワンクッションで合わせていれば、足を組んだ時でも地肌は見える心配はありません。

繊細なウールを高い比率で混紡したリブ編みの生地。公式によるとSuper120’sの原料を使用しているとのこと。美しい光沢と発色の良さから素材の上質さを窺えます。手触りも滑らかで敏感な方でもチクチクと気になることはないと思います。

口ゴム(履き口)のテンションもまずまず。ある程度洗濯を重ねてもヨレることはありません。

つま先の縫い合わせは手作業によるリンキング仕様。機械縫いと違いフラットな縫い目となるので着用感の向上にも繋がっています。
サイズ感
伸縮性の高いソックスなのでそこまで気にする必要はありませんが、一応触れておきましょう。

参考までにこちらが私の足のサイズ。平均的な身長に対して足はやや小さめ。スニーカーだと25.5~26.0cm、革靴だとUK6.0やEU39前後を選ぶことが多いですね。
タビオのメンズラインにおいて、ベーシックアイテムは3サイズ(23.0~25.0/25.0~27.0/27.0~29.0)で展開していますが、本品に関しては真ん中の25.0~27.0しか用意されていないようです。私の場合、他アイテムでもそのサイズが該当するので特に問題はありませんが、足の小さい方・大きい方に関しては注意が必要かもしれません。
まとめ
秋冬に欠かせないタビオのウールソックスをご紹介しました。
別に他のブランドのものでも良いとは思いますが、身近ですぐに手に入れる利便性とリーズナブルな価格を考慮するとやっぱりタビオはベターなんですよね。ソックスはどこまで行っても消耗品なので、この手軽さは大切です。
ガチガチのドレスソックスでもないので、カジュアルな装いにちょっときれいなソックスを合わせたい方なんかにもおすすめ。テラコッタやターコイズあたりを上手く取り入れられたら最高ですね。
今回は以上です。