今回は先日購入したHITOYOSHI(人吉シャツ)のリネンシャツをレビューします。
熊本・人吉の工場で日本人のための上質なシャツを作り続けるメーカーです。
洋服好きの方の中にはご存じの方も多数いらっしゃると思いますが、取り扱うお店が限られているので、一般的な知名度はまだまだかもしれません。
私が暮らす九州に素晴らしいシャツメーカーがあることを少しでも知って頂ければ幸いです。
HITOYOSHIとは?
人吉市
参照:https://hitoyoshi-cci.or.jp/
名前のとおり、HITOYOSHIは熊本県南部の人吉市に工場を構えています。失礼ながらこれといった特産品もないので、全国的な知名度はイマイチかもしれません。
ただ、この人吉市は私と縁がある場所です。私の母は人吉市に隣接する鹿児島県大口市(現伊佐市)出身で、最初の子である私の出産のため里帰りしていましたが、大口市の中でも熊本との県境寄りの山奥に母の実家があったため、人吉市内の病院へ行き、そこで私は誕生したそうです。
産まれた場所ではありますが、その後は高速道路で通過する以外は関わりがなかったので、いつか訪れてみたいと思っています。温泉地としても有名みたいですね。
参照:https://kumamoto.guide/spots/detail/1810
親会社の倒産から独自ブランドの誕生へ
1989年に人吉ソーイングとして創業。もともとはトミヤアパレルというブランドのシャツを委託生産する専用工場でした。しかし2000年以降売上が低迷して、ついに2009年に親会社のトミヤアパレルは倒産します。
親会社を失った工場は路頭に迷うところでしたが、人吉の工場はトミヤアパレルの縫製工場の中でも特に技術力が高いことが社内でも評価されていたため、当時のトミヤアパレルの取締役でHITOYOSHI株式会社の現社長・吉國武氏が工場を買い取る形で、独立を果たし現在に至ります。
参照:https://factelier.com/factory/hitoyoshi/
参照:https://hitoyoshicorp.com/about/
HITOYOSHIのこだわり
立体裁断
立体裁断とは人体模型に生地を重ね合わせて型紙を取り裁断する手法です。日本では一般的な平面裁断と比べて、人体の細かいカーブを捉えることができる反面、一枚ずつ人の手によって切り出されるので時間を要します。当然高い技術力も求められます。
参照:https://www.izutsu.info/rittaisaidan-blouse.html
HITOYOSHIのシャツでは立体裁断の手法が採り入れることで、日本人の体に合った素晴らしい着心地のシャツを生み出しています。
緻密な運針
一般的なシャツは3cm間に16~18針縫われていますが、HITOYOSHIのシャツは24針に設定されています。
縫い目が緻密になる程、耐久性の向上はもちろんですが、見た目もの上でもドレッシーな印象に仕上がります。
フラシ芯の使用
安価なシャツでは、アイロンにより熱を加えることで表地と裏地を接合する接着芯が使われることが多いですが、HITOYOSHIのシャツでは天然素材(綿)のフラシ芯が間に挟み込まれています。
フラシ芯のメリットは立体感を出しながらも柔らかい着心地を生むところにありますが、その一方で素材自体にコストがかかり、高い技術を必要とするため、高級ブランドのシャツに採用されることが多い製法です。
少量多種生産
可能な限り品目数を絞り、1品あたりのロット数量を増やし、効率化を図ることは製造メーカーの命題でもありますが、HITOYOSHIでは顧客(販売店)の要望に応えた、少量多種生産を行っています。
大量生産体制と比べてコストがかかることは明らかですが、それでもリーズナブルな価格(10,000~15,000円程)で、こだわりのシャツを私達が手に取ることができるのは、中間業者を省き販売店と直接取引を行っているためです。
参照:https://factelier.com/factory/hitoyoshi/
HITIYOSHIのシャツはどこで買えるのか?
ここでご紹介してきた「HITOYOSHI」ブランドのシャツですが、いざ購入しようと思っても、取り扱い店は限られてます。
その中からいくつかご紹介していきます。
百貨店
HITOYOSHIにとって一番の顧客は全国の百貨店です。
・阪急百貨店
・伊勢丹
・大丸
・岩田屋(福岡県)
直営店
工場お膝元の人吉市には唯一の直営店「人吉シャリバリ」があります。
百貨店では取り扱う種類が限られているので、一度訪れてみたいですね。
オンラインストア
HITOYOSHIのオンラインストア、各百貨店のオンラインストアでも購入可能です。
オンラインストア by HITOYOSHI CO., LTD.|TOP
ふるさと納税
人吉市のふるさと納税の返礼品としてもHITOYOSHIシャツを選ぶことができます。
今年こそはふるさと納税デビューを果たしたいと画策していたところなので、是非とも検討していきたいですね。
HITOYOSHIのラインナップ
HITOYOSHIのシャツは使い勝手の良い、無地の白とサックスブルーが多数を占め、色や柄のバリエーションはあまり多くありません。その変わりに生地やディテールの違いによる種類が幅広く揃っています。
その中から、ほんのごく一部をご紹介します。
ドレスシャツ
最もスタンダードなレギュラーカラーのホワイトシャツ。美しいシルエットが協調されるスリムフィットはおすすめです。
前身頃と襟が一体化したワンピースカラーはエレガント雰囲気があります。ワンピースカラーのボタンダウンって珍しくないですか?こちらはややゆったりめのコンフォートフィット。
コンフォートフィットをベースに、英国紳士さながらにタイドアップすることを前提にした襟型と、しっかりと打ち込まれた重厚な生地が特徴です。
カジュアルシャツ
ポリエステル混合でさらりとした着心地と伸縮性を持った、小洒落たバンドカラーシャツ。こちらは着丈がやや短めなカジュアルフィットです。
今回私が購入したリネン100%のシャツです。表記はドレスシャツですが、カジュアルフィットでサイズ表記も「S・M・L・LL」表記なので、カジュアルシャツと勝手に認識しています。もちろん説明書きにもあるとおりスーツに合わせてビジネス使いも可能です。
最後はふるさと納税の返礼品から。シンプルなオックスフォード生地のボタンダウンシャツですが、胸ポケットからはくまモンがチラリと顔を覗かせていますよ。
ふるさと納税以外では、地元熊本の鶴屋百貨店のオンラインサイトでも取り扱いがあるようです。
リネンシャツをレビュー
もともとリネンシャツを一枚は買い足そうとは思って色々と物色していましたが、このHITOYOSHIのリネンシャツはなかなか良いですよ!
リネンシャツはレギュラーカラーかボタンダウンが多いですが、品のあるカッタウェイの襟と風合いのある生地に一目惚れでした。
生地
リネンは白かネイビー、それか爽やかなパステルカラーのイメージが強いですが、こういうライトグレーも使い勝手良いんですよね。
リネン特有の不均一に濃淡のある生地はとても表情豊かです。
ボタン
本格シャツの標準装備とも言える白蝶貝ボタンが取り付けられています。
注目して欲しいのはボタンの付け方です。ボタンの縫い付け方といえば、糸が「×」印になる縫い方が主流ですが、このシャツでは「鳥足付け」が採用されています。
鳥足付けとは一つの穴に他の3穴から出た糸が集中して縫い付けられる手法です。名前の通り、正面から見たら鳥の足のような形をしています。
その効果としては、一つの穴に力が集中することで、側面が少し浮き上がりボタン留めがしやすくなると言われています。正直、特別ボタンが留めやすいとは思いませんが、一般的なボタン留めより手間がかかる手法なので、本格志向にこだわる姿勢を感じさせられます。
襟/前立て
シャツの顔である襟は前身頃からきれいに広がっています。カッタウェイのシャツはカジュアルな着こなしに合わせてもエレガントな雰囲気が残るので、ビジネスシーン以外でも重宝しています。
また、ドレスシャツ然りとした、裏前立てに胸ポケットなしの仕様となっています。
裾
なだらかにラウンドしている裾の縫い代はガゼットで補強されています。
あまり目立ちませんが、ガゼットにはブランドロゴの「H」の文字がうっすらと刻印されています。
縫製
写真では分かりにくいかもしれませんが、細かいピッチで丁寧に縫製されています。
後付け袖
シャツのボディと袖の縫い付け方の話ですが、一般的には工程上の効率を図るためにボティと袖が同時に縫い付けつけられています。
そのため、写真のように縫い目がボディから袖にかけて一本のラインとなります。
一方でHITOYOSHIが採用する後付け袖はボディと袖を別々に完成させ後に縫い付けています。
写真のように縫い目がズレているのが分かるでしょうか?袖を前方に捻ることで、立体的でより自然な動きやすさを実現させているのです。
サイズ感
こちらのシャツは「S・M・L・LL」表示になります。
身長173cm、体重65kg、肩幅44cmの私はMサイズを購入しました。
まだ未使用の状態で写真を撮りましたが、洗濯で縮みやすいリネン100%の生地なので、丈は1.5cm~2cm程度短くなると見てください。
カジュアルフィットということで、短めの着丈ではありますが、タックインをしてもギリギリ問題のない長さです。
コーディネート
ジャケットのインナーとして
ジャケット:アーバンリサーチ
シャツ:HITOYOSHI
チノパン:シップス
靴:IL MOCASSINO
ベルト:ユニクロ
ドレスシャツとしての側面も強いシャツなので、当然ジャケットスタイルとの相性は抜群です。リネン混の薄手のジャケットとシャツは、素材感・色味のバランスが取れていますね。
シンプルにモノトーンで
シャツ:HITOYOSHI
スラックス:エディフィス
靴:ジャランスリワヤ
ちょっと地味すぎるような気もしますが、5~6月にはこんな感じがちょうど良いです。
夏本番はこんな感じで
シャツ:HITOYOSHI
スラックス:グリーンレーベルリラクシング
サンダル:ビルケンシュトック
時計:オメガ
夏には腕まくりをして着たいですね。涼し気なリネンシャツとサンダルを合せても、ドレスな雰囲気を残しているのは、カッタウェイの襟のおかげです。
まとめ
リネンシャツの購入レビューというより、HITOYOSHIのシャツ全般についてご紹介してきました。
贔屓目なところも存分にありますが、手頃な価格とインポートブランド顔負けの本格的な仕立ては、国内でも屈指のシャツメーカーの1つだと私は思っています。
HITOYOSHIのシャツは仕事用のドレスシャツのイメージが強かったですが、カジュアルスタイルにもおすすめですよ。
このリネンシャツもこの夏活躍してくれそうです。
今回は以上です。