トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

UKロックカルチャーのアイコン フレッドペリーの名作ポロシャツ「M12」

私がこよなく愛するものは、ファッション全般と野球に車、そして洋楽です。

 

洋楽といっても最近のものには疎く、よく聞いているのは80年代後半から00年代初頭のUKロックです。

 

今回はそのUKロックを含むイギリスのサブカルチャーと深い繋がりがあるフレッドペリーのポロシャツ「M12」をご紹介します。

 

 

フレッドペリーのポロシャツ

フレッドペリーラコステと同じく、その出自はテニスにあります。

 

史上初のグランドスラムを達成した伝説的テニスプレイヤーであるフレデリック・ジョン・ペリー氏が引退後に自身の愛称を冠してたテニスウェアブランドフレッドペリーを設立しました。

 

◆現役時代の フレデリック・ジョン・ペリー

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参照:FRED PERRY JAPAN | フレッドペリー日本公式サイト

 

既にラコステのL1212が登場した後であったので、テニスウェアとしてポロシャツは定着していましたが、当時のポロシャツはゆったりとしたサイズ感のものが多く、フレッドペリーから登場した体のラインにフィットしたポロシャツはすぐに人気を博すこととなり、月桂冠ロゴマークはテニスプレイヤー達の憧れの象徴だったそうです。

 

フレッドペリーのポロシャツにはM3M12という2大モデルが存在します。

 

 ◆M3

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参照:THE FRED PERRY SHIRT - M3 | FRED PERRY JAPAN | フレッドペリー日本公式サイト

 

◆M12

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参照:THE FRED PERRY SHIRT - M12 | FRED PERRY JAPAN | フレッドペリー日本公式サイト

 

Mの後に表記される数字は、創業者のフレデリック・ジョン・ペリー氏がデザインした順番を意味し、M12よりM3の方が歴史のあるモデルとなります。

 

M3は無地にブランドロゴの月桂冠を左胸に配しただけのシンプルなデザインで、M12と比べるとややゆったりとしたサイズ感のクラシックモデルです。

 

 

UKサブカルチャーとM12

実はサッカー由来のM12

テニスウェアとして作られたフレッドペリーのポロシャツですが、M12の誕生にはサッカーが関係します

 

印象的な襟と袖に施された二本ラインは、あるサッカーファンが贔屓にするクラブのチームカラーをポロシャツに加えることが出来ないかと、スポーツ用品店に相談をしたことに端を発します。そのため、一番最初に登場したM12にはそのロンドンのクラブのチームカラーであるアイスブルーとマルーンのラインが入っていました。

 

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 参照:THE FRED PERRY SHIRT - M12 | FRED PERRY JAPAN | フレッドペリー日本公式サイト

 

今なお階級社会が根深く残るイギリスにおいて、スポーツにも階級分けが存在すると言われています。

 

王族や貴族の系譜を継ぐ上流階級はポロやハンティング、社会的地位の高い職業に就く中産階級はテニスやラグビー、そして肉体労働者中心の労働階級にはサッカーが親しまれてきました。

 

労働階級から熱烈に支持されるサッカーとの関わりがあったからこそ、その後のモッズ達からの支持へと繋がったのではないでしょうか。

 

モッズカルチャーとしてのM12

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参照:モッズをテーマにした名作映画「さらば青春の光」より

 

そもそもモッズとは?

 

簡単に説明すると50年代後半~60年代中頃にイギリスの労働者階級の若者に流行した音楽とファッションが融合した文化です。

 

彼らの愛した音楽は黒人文化に影響を受けたリズム&ブルースで、イギリスのバンドでいうと初期のザ・フーキンクスが代表されます。

 

モッズ達の制服とも言えたのが、ダークトーンの三つボタンスーツで、特に細身でスタイリッシュなのものが好まれました。スリムなシルエットが特徴のM12が彼らに愛されたのも納得です。

 

ロックスター達に愛されたM12

ポール・ウェラー

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参照: 永遠の定番ができるまで。 | THE RAKE JAPAN | The Modern Voice of Classic Elegance

 

モッズムーブメント自体は60年代後半には下火になりますが、当時の影響を受けたミュージシャンが続々と登場します。

 

その代表格がポール・ウェラーザ・ジャム/ザ・スタイル・カウンシル)です。バンドデビュー当初はパンクの括りとされた音楽性でしたが、ファッションにおいはモッズスタイルを貫いた彼は、当然フレッドペリーのM12も愛用していました。

 

UKロック界のファッションアイコンとなったポール・ウェラーの影響は、モッズムーブメントを通っていない世代にもおよびました。

 

リアム・ギャラガー(オアシス)、デーモン・アルバーン(ブラー)、トム・ヨークレディオヘッド)ら名だたるUKロックスター達がM12を着用して、ロック界ならずUKサブカルチャーのアイコンとしての地位を確立していきました。

 

フレッドペリー「M12」をレビュー!

M12を代表するブラック×シャンパンゴールド

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私のワードローブには黒の服はわずか数着しかありません。黒は色味が強すぎてコーディネートの難易度が高いと感じているからです。2年前にこのポロシャツを購入して以降は一度も黒の服は買ってないと思います。

 

普段は黒を避ける私ですが、このポロシャツは店頭で一目惚れでした。珍しくコーディネート云々を考えずに買った一着です。

 

このブラック×シャンパンゴールドはブランドとしても特別な存在なようで、公式HPにはM12のこのカラーについての特集記事が掲載されています。

 

以下公式HPの特集記事より抜粋です。

 

サムシング・オブ・ザ・ナイト | FRED PERRY JAPAN | フレッドペリー日本公式サイト

ゴスファッションが1980年代を定義するスタイルの一つとなるまで、シンプルなブラックのシャツは容易に見つかるものではなかった。

 

(省略)

 

モッズ(モデット)、スキンヘッズ、スウェードヘッド、ペリーボーイズ、カジュアルズと何世代にもわたって、サブカルチャーの流れに黒のシャツをガツンと注入したのは、他でもないフレッドペリーだ。クラシックな白のテニスシャツに代えて「ブラック/シャンパン/シャンパン」のスタイルを生み出したのは、衝撃的で究極の反体制的な展開だった。

アーカイブをくまなく探してさまざまな時代の色見本を見てみると、「ブラック/シャンパン/シャンパン」は1950年代に登場した、最初のカラーシャツとして認められている

要約すると、今では当たり前となったブラックのシャツをカジュアル、スポーツシーンに持ち込んだのはフレッドペリーであると自負して、ブランドとしても誇りを持っているということです。

 

そういえば、このカラーを買った人限定でノベライズ(多分冊子とステッカー)を貰ったと記憶しています。

 

ディテール

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生地はポロシャツの定番であるコットン100%の鹿の子編み。一般的な鹿の子ポロと比べて肉厚でしっかりとした生地が特徴です。

 

印象的な月桂冠ロゴもとても丁寧に縫製されています。

 

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袖の付け方にも特徴があり、一般的なポロシャツより袖口が下方向に向いています。写真ではラコステのL1212を下に重ねていますが、M12はL1212と比べて肩から袖口にかけてのラインが下がっているのが分かりますね。

 

体にフィットしたシルエットが真髄のフレッドペリーのポロシャツにとって、腕を下した状態で生地のもたつきを減らして、すっきりとした見た目を生む効果があります。

 

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ボタンはプラスチック製で「FRED PERRY」と刻印されています。

 

ちなみに、ポロシャツのボタンの留め方は人それぞれ好みがあるでしょうが、M12に関しては全てのボタンを留める着方が正しい作法だと個人的には思っています。

 

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ポロシャツの裾にはスリットが入ることが多いですが、フレッドペリーのポロシャツにはスリットが入りません。あまり意識するポイントでないので、個人的にスリットの有り無しはそこまで気になりません。

こだわりのMEDE IN ENGLAND

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フレッドペリーはイギリスに本拠を置いていますが、他のブランドの例に漏れず、多くの製品を中国やポルトガルなど本国よりもコストの掛からない場所で生産しています。

 

一方でブランドを象徴する一部のアイテムは今でもイギリスでの生産を続けいて、ポロシャツではM3とM12がそれに該当します。

 

もちろん、イギリス製だから無条件に質が良いとは思っていませんし、なんなら日本製の方が信頼出来そうですが、やはり本国生産のロマンイギリスという国の文化への憧れがあるのです。

 

ちなみにM12をベースにしたM102という日本製モデルのありますが、カラーバリエーションやサイズ感が違います。

 

サイズ感

身長173cm体重65kg肩幅44cmの私はサイズ38を着ています。洗濯を繰り返しているので、完全に縮みきった状態です。個体差はあるでしょうが、着丈・身幅ともに購入時から1.5cm~2cmは縮むとイメージしてください。

 

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オーバーサイズ全盛の昨今ですが、M12に関してはジャストサイズであることがマスト。

 

私が普段着ているラコステのL1212(日本製)のサイズ2と比べると着丈は同等、身幅は気持ち細めです。

 

コーディネート

鉄板デニムコーデ

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ポロシャツ:フレッドペリー

パンツ:A.P.C

靴:PIEVE

時計:オメガ

 

いつもなら夏場はデニムを履きませんが、往年のロックスターに倣ったこのコーデはもはや鉄板です。 デニムに限らず、このポロシャツには細身のパンツを使ったIラインコーデがよく合います。

 

ブラック×ゴールドを活かして

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ポロシャツ:フレッドペリー

パンツ:シップス

靴:ジャランスリワヤ

時計:オメガ

 

ブラックとゴールドの組合わせは間違いなくカッコいいのですが、どちらも主張が強すぎてコーディネートに頭を悩まされます。そんな時は主役となるアイテムの色を拾ったコーディネートがおすすめ。靴と時計のベルトで黒を、時計のケースや針でゴールドを拾っています。パンツまで黒にするとモード色が強くなるので、オフホワイトで中和しました。

 

私は持っていませんが、イエローステッチが特徴のドクターマーチンの3ホールシューズもこのポロシャツと色味的に合いそう。同じUKブランドですしね。

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参照:1461Z 3ホールシューズ | ドクターマーチン公式オンラインショップ|Dr.Martens (drmartens.com)

 

まとめ

普段からブランドの歴史やバックボーンを調べることが好きな私ですが、フレッドペリーのM12に関しては、10代の頃から夢中になっているUKロックと深く繋がっており、その思入れには特別なものがあります。

 

もちろん、そういった私情を抜きにしても、若々しくスポーティーでありながらもどこか上品な、定番のラコステとも違った魅力があり、万人におすすめできるポロシャツです。

 

今回は以上です。