トラッドマンに憧れて

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端正な英国カントリー。CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)のペンブローク2をレビュー!

少し前にクロケット&ジョーンズの価格改定を伝える記事を書きましたが、当の私も値上前にちゃっかりと確保させていただきました。

購入したのはの華やかなフルブローグが特徴的なウィングチップペンブローク2(PEMBROKE2)というモデル。

 

既に所有しているモールトンキャベンディッシュと比べると同ブランドの中でもややマイナーな存在ではありますが、カントリーシューズらしい無骨さと名門ならではの端正な佇まいが同居する名作です。こういうのありそうで意外とないんですよね。

 

ここ最近の個人テーマとして掲げている「カントリージェントルマン」を体現する上でも鍵となりそうな一足をご紹介します。

 

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クロケット&ジョーンズについて

ジョンロブ、エドワードグリーン、チャーチ等々・・・紳士靴の本場であるイギリスには長い歴史を持つ名だたる有名シューズブランドが居並びますが、クロケット&ジョーンズも例に漏れず1879年に創業と150年近い歴史を誇ります。

 

しかし、その一方でクロケット&ジョーンズが世間に認知され始めたのは2000年以降になってからのこと。というのもそれまではジョンロブの既成ラインを始めとした他のブランドの革靴製造を請け負うOEMを事業の中心に添えいたからで、そのノウハウを活かし近年では自社の名を前面に押し出したブランディングへとシフトさせました。

 

クロケット&ジョーンズは長年に渡り数多くのブランドのOEMを手掛けてきたという経緯から、膨大な種類のラスト(木型)を所有しており、その数は世界一とも言われています。

 

豊富に揃う木型を使い分け幅広いラインナップを展開するクロケット&ジョーンズですが、その中でもイギリスの革靴ブランドらしく、堅実な造りのドレスシューズを得意としており、ここ日本では特に高い人気を集めています。

 

クロケット&ジョーンズのペンブローク2をレビュー

概要

全体に散りばめられたブローキング、大きく張り出したコバなど典型的なカントリーシューズの特徴を備えたペンブローク2。末尾に「2」と付くだけあって木型が日本人向けにアップデートされたモデルとなっています。

英国カントリー的な靴といえばトリッカーズのバートンやジョセフチーニーのエイボンあたりが特に有名ですが、それらと比べるとシルエットはどこかスマートな印象を受けます。それもそのはず、実はこのペンブローク2で採用されている木型「375」はタッセルローファーのキャベンディッシュ3と同じなんです。

 

ラスト375に関しては以前キャベンディッシュ3のレビュー記事で絶賛した通り長すぎず短すぎず、そして太すぎず細すぎない実に絶妙な塩梅のシルエットとなっています。購入直前までキャベンディッシュ3とラストが共通していることを知らず、ただただ「バンランスも良いし、なんか妙に惹かれるフォルムだなぁ」と感じていましたが、もはやそれも当然のことだったようです。

 

アッパーにはいかにも英国らしさが漂うスコッチグレインレザー(シボ革)を使用。カラーはタン(ライトブラウン)を選びました。最初はダークブラウンを買うつもりでしたが、店頭で実物を見て心変わり。画像に映るよりも深みがあり、何よりも魅力的な経年変化を予感させるのはこちらのカラーの方でした。暗めのクリームを塗りこみ、少しずつ色味に変化をつけていく予定。

 

適度にボリューム感のあるダブルソール。グリップ性能に優れたラバーソールを採用することで、多少の悪路や雨天でもしっかりと歩行をサポートしてくれます。レザーソールも好きですが、この手の靴であれば機能性は軽視できませんね。ただ、必要以上に重厚でゴツくなりすぎていないのは好感が持てるポイントでもあります。

 

ジャンルとしてはカントリーシューズになりますが、時折気品を感じさせるような端正な一面も兼ね備えているので、カジュアルな装いだけでなくジャケットやきれいなウールパンツなんかとも合わせやすいかと思います。

 

ディテール

どうしてもシボ革なので質感を伝えるのが難しいのですが、凹凸のある見た目以上に手触りは滑らかで、銀面も透き通るように美しく、これまで私が触れてきたシボ革とは全く異なる印象を受けました。シボ革は汚れにくいとか傷に強いなどの機能面ばかり注目されがちですが、型押しの革とはいえ上質な物だとちゃんと違いが伝わってきますね。

 

非常に丁寧に処理されたブローキング。この処理が粗い靴もあって、それが味として賞賛されることもありますが、やっぱり私はきれいな方が良い。また、穴の直径や深さもちょうどいいですね。度々比較に挙げて申し訳ないですが、バートンのように主張の強いブローキングは少し苦手です。

 

力強く張り出したコバと雨水の侵入を防ぐストームウェルト。ここら辺はカントリーらしさを感じさせるディテールとなっています。

 

個人的に気に入っているのが内ハトメになっているところ。この手の外羽根フルブローグだと多くの場合は外ハトメを採用して無骨さを演出していますが、あえて金具(ハトメ)を内側に隠すことで落ち着いた顔つきになっています。特にこのモデルはアッパーがシボ革なので、外ハトメになると一気に土臭さが強調されて全体の印象も変わってくるのかなと。

 

ペンブロークはメインコレクションに分類されるモデルになるので、ハーフインソールにブランド名が印字されたいつもの仕様です。

 

アウトソールにはグリップ性に優れながら、厚みをそこそこに抑えたダイナイトソールを採用。ここのところ気が付けばダイナイトソールと縁があります。やっぱり見た目の美しさと機能性のバランスが良いんですよね。だから各ブランドの様々なモデルで挙って取り入れられるわけです。

 

サイズ感

参考までにこちらが私の足のサイズ。平均的な身長に対して足はやや小さめ。スニーカーだと25.5~26.0cm、革靴だとUK6.0やEU39前後を選ぶことが多いですね。

当然といえば当然なのですが、選んだサイズはキャベンディッシュ3と同様にサイズ6となりました。

 

先代モデルで採用されていたラスト325をベースに日本人向けに改良して踵とアーチをコンパクトに絞った設計となっているので、つま先やボールジョイントに多少の余裕がある割には高いホールド感を得ることができています。やはりラスト375は私に合っている。

 

ただ、ローファーと紐靴の違いもあってか、キャベンディッシュよりは甲の部分が多少圧迫される感じはありました。それでもサイズアップさせるほどではないでしょう。

 

ついでにおまけの比較。同じ木型で同じサイズのキャベンディッシュ3を横並べにしてみました。写真だと少し分かりづらいかもしれませんが、コバが張り出している分ペンブロークの方が一回り大きく見えます。実際にアウトソールの直径は1cm程の差があるので結構違いますね。このボリューム感もペンブロークの特徴の1つです。

 

着用イメージ

まずはシューズ同様にカントリーテイスト溢れるガンクラブチェックのウールパンツと合わせてみました。この相性の良さは想像に難くなかったですね。

 

色味やアッパーの質感からは秋冬を連想させる靴なので、起毛感のあるフランネル素材のスラックスともよく合います。逆に春夏素材のリネンやトロピカルに嵌るイメージは今のところないですね。

 

当然ながらデニムとも相性抜群。ネイビーとブラウンのコントラストが絶妙。それでもラギッドな感じになりすぎないところもこの靴らしい。

 

まとめ

モールトンやキャベンディッシュが何にでも合うオールラウンダーだとしたら、このペンブロークは活躍の場が限られるけど、嵌った時の爆発力が凄まじい一芸に秀たスペシャリストといったイメージを勝手に持っています。

 

おそらく他のカラー(ブラック、ダークブラウン)だとまた印象が違うのでしょうが、タン(ライトブラウン)の色味が特にそう感じさせるのかもしれません。

 

季節でいえば秋冬。ツイードのジャケットとかバブアーオイルドジャケットを取り入れたようなある意味野暮ったく、洗礼されすぎていないけど、しっかりと品格は感じさせるような装いと相性が良さそう。冒頭でも軽く触れたカントリージェントルマン的なスタイルがまさにそうですね。

 

かくいう私は、まだまだこの靴を上手く履きこなせる自信はありませんが、長い目で付き合っていければと思います。

 

今回は以上です。