トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

メリノセーターがユニクロ史上最高傑作である理由について語る。

常々ユニクロ史上最高傑作はメリノセーター(旧称:エクストラファインメリノセーター)だと述べてきたわけですが、改めてワードローブを整理してみると同シリーズのニットを12着も持っていました。少し前に何着か処分していたので、まだこんなに手元にあるとは自分でもちょっと意外です。

なんだかんだでほぼ毎年買い足していますからね。気が付けばこんな枚数になっていました。

 

そんなユニクロの定番かつ傑作なニットについて。過去にもいくつかレビュー記事を書いていますが、今回はより深くその魅力について語ります。

 

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メリノセーターの魅力

美しいハイゲージニットの生地感

以前は製品名にもなっていた「エクストラファインメリノ」とはユニクロの造語ではなく、歴とした素材の名称です。そしてあまりにも馴染すぎていますが、これって実は結構な高級素材なんですよ。

 

主にオーストラリアやニュージーランドで飼育されるメリノ種という羊の毛を使ったウールで、その中で繊維が細いものを「ファインメリノ」と呼び、さらに細いものが「エクストラファインメリノ」に分類されます。ニットで使われるウールは繊維が細いほど光沢が強く滑らかに仕上がるので、より高級とされています。つまりざっくりいうとエクストラファインメリノとは超上物なメリノウールというわけなのです。

 

そんなエクストラファインメリノを原料とした糸を高密度で編み上げたのが本製品のニット生地。いわゆるハイゲージニットです。ご存じの通り、ゲージとは1インチ(2.54cm)間に編み機の針が何本あるかを表しており、数字が大きくなるにつれ編み目が細かく手触りは滑らかに、表面には光沢を纏うようになります。一般的には12ゲージ以上からハイゲージとみなされ、ジョンスメドレーの30ゲージニットあたりは特に有名ですね。ユニクロのメリノセーターはゲージ数こそ公表されていませんが、おそらく20ゲージ以上(24ゲージぐらい?)の高いゲージ数ではないかと推測されます。

 

上質で繊細なメリノウールを緻密に編み上げたニットは実に美しく、よく言われる「生地だけ見たらジョンスメドレーと区別が付かない」というのも強ち間違ってはいないのかなと。もちろん見る人が見たら全然違うとは思うのですが、私も含めた一般人の眼だと一定レベル以上のニット(特にハイゲージ)の優劣を見極めるのは難しい。つまるところユニクロのメリノセーターの生地感は一般消費者が判別可能な上限に達していると言っても差支えはないのではないでしょうか。これより上は玄人の世界、若しくは気持ちの問題です。

 

万人に合う普遍性の高いシルエット

シャツやカットソーと比べてニットのシルエットが語られることはあまりないような気がしますが、私が感じるエクストラファインメリノセーターのシルエットの特徴はアウトラインが直線的であるということです。

 

価格が10倍ぐらい違うインポートのニット専業ブランドだともう少し曲線を組み込んだニュアンスのある美しいシルエットを描きますが、メリノセーターをはじめとしたユニクロのニットウェア全般は脇の下から裾にかけてストンと真っ直ぐ落ちています。だからといってシルエットに大きな違いが生まれるわけではありませんが、やはり比較するとその差に気が付かされます。

直線的なラインは意図的なのか、はたまた生産効率的な事情なのか定かではありませんが、結果として癖がないシルエットとなるため、あらゆる体型の方でも着用可能な普遍性の高さを発揮しています。もはや国民服であるユニクロは特定の層に向けて100点の服を作るのではなく、万人に向けて80点の服を提供する必要があるので、これはこれで正解なのかなと思います。

 

及第点以上の縫製レベル

ユニクロ製品の例に漏れずメリノセーターの縫製は頑丈に作られています。今まで縫い目が裂けたなんて経験はないですね。実用品としては申し分ありません。

一方で技術力の高さを示し、着心地と見栄えを左右するリンキング(各パーツ編みにより繋ぎ合わせる技法、上画像参照)においてはジョンスメドレーやグランサッソなど縫製に定評のあるブランドと比べるとやや見劣りします。ただ、流石にこれは仕方ない。なんせ価格が全然違いますからね。ユニクロよりずっと高価格帯で、もっと処理が雑なブランドだっていくらでもあるので、むしろよくやってる方だと評価すべきでしょう。

 

自宅で洗濯可能なイージーケア

数年前からメリノセーターでもマシンウォッシャブルが謳われるようになりました。一昔前ならウールのニット製品はドライクリーニングだけが正解のような感じでしたが、自宅で、しかも手洗いではなく洗濯機可とは便利になりましたね。

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こちらの記事でも取り上げていますが、実際に洗濯機洗いした様子を載せています。結果として、防縮加工されているおかげもあり縮みはほとんど発生しませんでしたが、毛羽立は結構目立ってしまいました。人にもよるかもしれませんが、私は毛羽立が気になるので、大人しくクリーニング屋さんにお願いしようかと思います。

 

豊富なデザイン

年々充実してきたデザインのバリエーションもメリノセーターの魅力です。

 

昨年のメンズ展開は以下の7種類。

  • クルーネック
  • Vネック
  • タートルネック
  • Vネックカーディガン
  • モックネック
  • ニットポロシャツ
  • ポロカーディガン

ただ、残念ながら下3つに関しては現時点でラインナップから確認できないので、おそらく今年はもう発売されないのでしょう・・・。モックネックは過去2年で4枚も買う程お気に入りで、ニットポロも他ブランドでは扱いが少ない貴重な存在。昨年登場したばかりのポロカーディガンは未購入ながら各所で良い評判を聞きました。是非来年に期待したいところですね。お願いですよ、ユニクロさん!

 

選べるカラーバリエーション

ユニクロはアイテムの人気とカラーバリエーションが露骨に比例するので、特に売れ筋のクルーネックの場合、今年なら13色が展開されています。毎年微妙に色味も変えてくるので、ついつい買い足したくなってしまいますね。

一方で私が大好きなタートルネックはそんなに人気がないのか、5色だけの展開となっています。しかも、どれもベーシックカラーばかりなので、もう手元にあるから買う必要もないんですよね。ニットウェアなんて毎年買い替えるような物でもないので、カラバリを充実させたら、新しい需要も生まれてもう少し売れるような気もするんですが、どうなんでしょう?

 

価格破壊を起こす圧倒的コスパ

結局はこれですよ。メリノセーターが1万円以上したらここまで持ち上げません。実は昨年から1,000円値上がりしているのですが、それでも3,990円

生地のクオリティは数万円するような高級ニットと判別するのは難しいレベルで、実用品として申し分ない耐久性の高い縫製。どう頑張っても普通なら10,000円とか15,000円ぐらいですよ。同じ製品を数年に渡って大量生産し続けるユニクロだからこそ成せる価格設定なのでしょう

 

メリノセーターのようなハイゲージニットはインナー使いがメインとなり、どちらかというとアウターを支える脇役的な立ち位置なので、ともかくカラバリを揃えることが大事です。その点でこの価格はとにかくありがたい。挑戦的な色でもあまり躊躇することなく買い足すことができますね。

 

また、ただでさえリーズナブルなこの価格も毎年恒例11月の感謝際と年末年始のセールでさらに安くなる(おおよそ1,000円OFF)ので、その機会を狙ってみるのも良いかもしれません。

 

メリノセーターを取り入れたコーデ例

最後にメリノセーターを取り入れたコーディネートをいくつかご紹介します。一枚で着ることはほとんどないので、基本的にはインナー使いです。いやらしい話、ニット以外はそれなりの物を合わせているのですが、それでも全く見劣りしないのは本製品のクオリティの高さがゆえでしょう。

 

ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)

ニット:UNIQLOユニクロ

パンツ:HNAD ROOM(ハンドルーム)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

タートルネックジーンズを合わせたオーソドックスなジャケパンスタイル。ニットの色味も真っ白ではなく、やや黄みがかったオフホワイトなのでブラウンやベージュ系のジャケットとは相性が抜群。

 

ブルゾン:VALSTAR(ヴァルスター)

ニット:UNIQLOユニクロ

パンツ:BERWICH(ベルウィッチ)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

上質なスエードブルゾンにも馴染む、上品で深い色味のニットをイン。スタンドカラーのアウターにはモックネックの収まりが良いですね。

 

ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

ポロシャツ:UNIQLOユニクロ

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

シューズ:G.H.BASS(ジーエイチバス)

 

私としては少し挑戦的だったパープルのニットポロ。紺ブレと相性が良くて結構気に入っています。足元はニットと色味の近いワインレッドのローファーと合わせました。

 

ブルゾン:GRENFELL(グレンフェル)

ニット:UNIQLOユニクロ

シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

基本的にクルーネックの中にはシャツを着ます。そうすることでコンサバな雰囲気が増すので、こんな感じのスイングトップとよく合いますね。

 

スーツ:GLOBAL STYLE(グローバルスタイル)

ニット:UNIQLOユニクロ

シャツ:Maker’s Shirt 鎌倉(鎌倉シャツ)

シューズ:Berwick(バーウィック)

 

私服だとカーディガンを着ることはほぼないのですが、肌寒くなるとベスト変わりにスーツと合わせることがあります。ノータイならこれぐらいカジュアルダウンさせても良いでしょう。ダークブラウンには深めのレッドがよく映える。

 

まとめ

ユニクロにはジーンズやTシャツにも名作と呼ばれるアイテムがいくつかありますが、私の価値感だけで見るとやっぱりこのニットが頭一つ抜けていますね。それは今後も変わらないと思います。

 

もちろんお金をかければもっと良い物も手に入りますが、限られた予算で枚数を揃えるとなるとユニクロのメリノセーターに勝るニットはそうそう現れないでしょう。お洒落なあの人もハイゲージニットは実はユニクロなんてこともよくあるみたいですよ(笑)。

 

今回は以上です。