ブログを始めて3年半ほど経過したこともあり、それ以前から持っていた主だった服は一通り紹介したつもりでしたが、大切なアイテムをすっかり忘れていました。
このブログやひっそりと続けているインスタで載せているコーデ画像で頻繁に登場しているINCOTEX(インコテックス)のコットンスラックスです。正確に集計したわけではありませんが、肌感覚としては一番出番が多いかもしれませんね。合わせるパンツ迷ったらついつい手に取ってしまうワードローブの優等生です。
有名な「100型」や「35型」と違いインコテックスの中でもそこまで知名度があるモデルではありませんが、非常に使いやすいベーシックな一本となっていますので、どうぞご覧ください。
【関連記事】
インコテックスについて
1951年に警察官や鉄道会社職員のユニフォームを製造する工場として創業。1970年代に入ってからはパンツ専業となり、長きに渡り熟練したイタリアの職人による高品質のパンツを作り続けています。PTトリノやGTAなどイタリアのパンツ専業ブランドはここ日本でも高い人気を集めていますが、それを牽引してきたのは間違いなくインコテックスと言えるでしょう。
現在インコテックスでは3つのラインに分類されています。
■INCOTEX 1951 COLECTION
ブランドの中核を成すドレスライン。単にインコテックスと呼ばれる場合はここを指します。スリムテーパードの「35型」やそれの1プリーツモデルの「31型」が特に有名ですね。
■INCOTEX SLACKS
スラックスという名称がややここしいのですが、いわゆるカジュアルラインに当たります。アイコン的存在の美脚チノパン「100型」もこちらのラインに分類されます。
■INCOTEX BLUE DIVISION
2022年SSよりスタートしたデニムジーンズ専用ライン。ドレスパンツの名門らしくサルトリアテイストの感じるデニムジーンズを取り揃えています。
いずれのラインにも共通することですが、インコテックスが扱うパンツはシンプルなデザインにスリムなシルエットの物が中心となります。ドレスパンツも現在のトレンドでいえば2プリーツやサイドアジャスターなど装飾的なディテールを備え、やや緩めのシルエットが主流となってきており、インコテックスにもそのようなパンツがないこともないのですが、やはり時代に左右されない普遍的なカッコよさのある美脚パンツこそがインコテックスの象徴ですね。
数あるパンツブランドの中でもインコテックスは特にお気に入りで、これまで過去に何本か買ってきましたが、ここ最近はちょっとご無沙汰気味。定番の「100型」や「35型」は今の気分的に少し細すぎるというのもありますが、それ以上にネックになっているのは価格です。
私も5年ぐらい前に購入した「35型」の現行(24AW)モデルを確認してみると定価が6万円以上してビビりましたよ。徐々に価格高騰傾向にありましたが今季は一気に跳ねましたね。数年前は3万円ぐらいで「高けーな、おい」と思いながら頑張って買っていましたが、さすがにパンツに今の金額はおいそれと出せないので、直近で仕事メインに使うスラックスを探していた際にも最初からインコテックスは候補を外れていました・・・。
まぁ、物自体は間違いなく良いのでパンツに5~6万出せるという方にはおすすめですね。個人的にはそこまで出すならオーダーを検討します。
インコテックスのコットンスラックスをレビュー
概要
記憶が曖昧ですが2020年頃に地元のセレクトショップで購入。タグには「1W0038 9098」という型番が記載されているので、ドレスラインの他のモデルに倣うと「38型」となるのでしょうか?現行だとほとんど見かけませんね。
この「38型」はレギュラーフィットの位置付けのようで、定番の「35型」「31型」とはパターンが異なり、渡りから裾にかけてややゆとりがあるシルエットとなっています。とはいえ美脚パンツの王者インコテックスなのでレギュラーフィットといっても十分スタイリッシュで、裾幅も18.5cm程度と他所のブランドならスリムフィットとして扱われても全然おかしくないですね。図らずも私がよく言う「ちょうどスリムパンツ」の範疇に収まっています。
他の「38型」を知らないので、どのよな素材バリエーションがあったのかは分かりませんが、本品は見ての通りベージュのコットン生地が採用されています。一応春夏向けらしく、やや薄手でトーンも明るめではありますが、特別季節感がある生地でもないので真冬以外は普通に穿いています。
いわゆるチノクロスになるので、大枠で捉えるとこれもチノパンに分類されますが、仕立ては完全にドレスパンツそのもの。一般的にイメージするカジュアルなチノパンとは全くの別物です。そのドレスとカジュアルの塩梅がちょうど良く、使用頻度の高さに繋がっているような気がします。
メンズドレスの世界ではパンツの素材がコットンの時点でスポーティだとかカジュアルだと言われて格式が下がります。つまり同じようなジャケパンスタイルでもパンツをウールからコットンに変えるだけで、一気にビジネス感が薄れて、私服としてジャケットと合わせる時なんかに活躍するのです。
一方でドレス感のあるスラックスタイプでありながら、ベージュのチノパンなので大抵のカジュアルアイテムともよく馴染みます。ブルゾンなんかと合わせるにしてもオーソドックスなチノパンより数段洒落て見えるんじゃないでしょうか。そりゃ出番も増えますよ。
インコテックスである必要はないですが、ベージュのコットンスラックスを持っていると確実に重宝するので、ワードローブに一本は揃えて置きたいところです。
ディテール
インコテックスのオリジナルファブリック「ROYAL BATAVIA」を使用。細番手の糸に少量のポリウレタンを混紡した艶やかな見た目と適度なストレッチ性を兼ね備えた春夏の定番素材です。「35型」や「31型」では割と見かけますね。
1プリーツのベルトループ付き。どうやら同パターンでノープリーツになると「39型」になるっぽいですね。
インコテックではお馴染みのディテールになるピンループは鮮やかなネイビー。もしかして気付いた方もいるかもしれませんが、インコテックスのピンループは本来だと上向きなんですけど、これは逆向き。もともとは普通に上を向いて付いていたのですが、使用しているうちに一度ピンループが取れてしまって、お直しに出した際に私が細かく指定しなかったせいで逆さに付いちゃったんですよね。まぁ、実用面ではどちら向きでも問題はないのでそのままにしてます。
左側に配されたコインポケットもインコテックスのドレスパンツではお馴染みですね。各所に見られる手縫い風のステッチ(AMFステッチ)もなかなか雰囲気があります。
ボタンはおそらく本水牛。
裏側のさすがは丁寧な作りですね。
裾処理はいつも通りダブルの4.5cm。今年の春先に他のパンツと合わせて裾を出したのですが、どうしてもコットン生地の場合は跡がうっすらと残っちゃいますね。
サイズ感とシルエット
身長173cm 65kg 標準体型の私が着用しているのはサイズ46。スリムフィットの「35型」でも同じくサイズ46を穿いていますが、それと比べるとウエストはだいぶ余裕があります。ただ、サイズを落とす程ではないでしょう。
股上はやや深め。プリーツ入りということもあって渡りにしっかりと余裕があり、穿いていて突っ張るような感覚はなく快適です。一方で膝から裾にかけては自然なテーパードがかかっており、インコテックスならではの美しいシルエットとなっています。
「35型」や「31型」などインコテックスのスリムフィットは「らしさ」を感じてやっぱりカッコいいなと思いますが、一方で少し頑張りすぎてるようにも見えてしまうので、今の気分でいえばこちらのレギュラーフィットがしっくりきますね。
コーディネート
ジャケット:RING JACKET(リングヂャケット)
パンツ:INCOTEX(インコテックス)
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
ブラウンやグレージュのジャケットを軸にすることが多い私にとって、明るめのベージュパンツはブルーデニムジーンズやグレースラックスよりも使いやすい存在かもしれません。
ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
ポロシャツ:LACOSTE(ラコステ)
パンツ:INCOTEX(インコテックス)
シューズ:JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)
適度にゆとりがあるパンツなので、クラシカルなボックスシルエットのブレザーと合わせても問題なくバランスが取れています。これ、パンツが細すぎると凄いチグハグになるんですよねー。
ポロシャツ:JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)
パンツ:INCOTEX(インコテックス)
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
まだ暑さの残る今の時期なら、こんな感じでニットポロとも合わせます。
まとめ
身近な存在ゆえに、危うく忘れてしまいそうになっていた愛用の一本をご紹介しました。
ドレスとカジュアルのバランスに優れたコットンスラックスの有用性もさることながら、見落とされがちなインコテックスのレギュラーフィットのシルエットが抜群に良くて本当に気に入っています。
このシルエットの感じが好きすぎて、以前スーツをオーダーした際にテーラーに持ち込んで参考にしてもらったことがあるぐらいです。
価格上昇が著しく、残念ながらインコテックスは気軽に手が出せなくなってしまいましたが、レギュラーフィットを是非とも日本でも積極的に展開して欲しいものですね。トレンド云々ではなく普遍的な魅力を感じています。
今回は以上です。