先に断っておきますが、私はデニムマニアではありません。もちろん嫌いというわけでもありませんが、数あるパンツの中の1つという位置付けです。
それにも関わらず、トップ画像のように一見すると同じようなデニムジーンズを複数本所有しています。色の濃淡やダメージ加工の有無、極端なシルエットの違いはありませんが、それでも不思議なことに使い分けはできているんですよね。
似ているようでそれぞれの役割があります。
今回は私なりのデニムジーンズを使い分けるための考え方を述べていきます。ロジックとしてはデニムジーンズに限らずパンツ全般に当てはまる内容だと思いますので、興味のある方はご覧ください。
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似たようなデニムジーンズをどう使い分けている?
対象はこちらの3本
左:ハンドルーム スリムフィットジーンズ 中:リーバイス 501 MADE IN THE USA 右:五十嵐トラウザーズ 5Pデニムトラウザーズ
「濃紺のデニムジーンズ」という括りでは手元に計5本あるのですが、その中でも現在稼働率の高い3本に絞って、それぞれの役割と使い分け方をコーデ例をご覧いただきながらご紹介します。
【レビュー記事はこちらから】
ハンドルーム:スリムフィットジーンズ
サイズ:M 裾幅:17.5cm 渡り幅:31.0cm
私世代だと一番馴染み深いオーソドックスなスリムジーンズ。現在主流のリラックスシルエットと比べると細身ですが、一昔前に人気を博したバチバチにタイトなスキニーとも全く異なる、ちょうどいい塩梅のきれいなスリムシルエットに安心します。
一方で表面が毛羽立った生地や隠しリベットのようなディテールなど本格派の要素も兼ね備えており、ある意味デニムジーンズらしいカジュアルさも存分に感じられるので、3本の中でもコーデの幅は最も広いのではないでしょうか。
シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
パンツ:HAND ROOM(ハンドルーム)
シューズ:JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)
私の中で最もベーシックな装いという位置付けのシンプルスタイル。カジュアルの象徴であるデニムジーンズにドレス要素の白シャツと革靴にを合わせてバランスを取るのはもはや常套手段ですね。すっきりとしたシルエットのシャツとボリュームの少ないローファーに合わせるなら、間を繋ぐデニムジーンズも細身な物が無難でしょう。
ブルゾン:VALSTAR(ヴァルスター)
シャツ:Drake’s(ドレイクス)
パンツ:HAND ROOM(ハンドルーム)
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
主役はコンパクトなレザーブルゾン。スリムな身幅もそうですが、丈もだいぶ短いのでパンツにボリューム感があると途端にアンバランスで野暮ったい印象になってしまいます。この手のアウターはあくまでもスタイリッシュにまとめるのがベターです。
ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)
ニット:EDIFICE(エディフィス)
パンツ:HAND ROOM(ハンドルーム)
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
ジャケットをデニムジーンズでカジュアルダウンさせるコーデも王道ですが、その組み合わせは何でも良いというわけではありません。ここで使っているラルディーニのジャケットはややタイトめで、生地の特徴(色柄、毛羽立った風合い)が比較的にカジュアルということもあり、後で登場する五十嵐トラウザーズではなくこちらを合わせました。
リーバイス:501 MADE IN THE USA
サイズ:W31 L34 裾幅:19.5cm 渡り幅:31.0cm
ご存じデニムジーンズの元祖にして象徴的な存在。こちらは近年のモデルで、シルエットも幾らかは現代的にアップデートされていますが、私が所有する他のデニムジーンズと比べると直線的で無骨な印象を受けます。決して洒落感のあるパンツではありませんが、オリジンとしての唯一無二の雰囲気を持つ特別な1本です。
主にアメトラ・アメカジ的な要素のあるコーデを組みたい時に使用していますが、引っ越しや地域の清掃活動などの際には、ルーツである作業着としても重宝しています。タフな生地はもちろんのこと、適度にゆとりのあるシルエットは動きやすさにも繋がります。
シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
パンツ:LEVI'S(リーバイス)
先程と登場した白シャツスタイルと同様にブルックスブラザーズのBDシャツを合わせたコーデになりますが、こちらのシャツは一世代前のややゆとりのあるクラシカルなシルエットであったため、バランスを取って適度に太さのある501を選びました。タックインとかロールアップなどの着こなし的なところの違いは無視してください。
ラガーシャツ: BARBARIAN(バーバリアン)
パンツ:LEVI'S(リーバイス)
バーバリアンのラガーシャツにコンバースのオールスターときたら合わせるデニムは501じゃないとむしろ不自然に感じるぐらい。あまりそのような機会はありませんが、アメカジするなら清く501が良いでしょう。
ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
ポロシャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
パンツ:LEVI'S(リーバイス)
シューズ:JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)
個人的な考えとしてはジャケットスタイルに野暮ったい雰囲気の強い501は合わせません。ただ、これは例外。ボックスシルエットの紺ブレを使って王道のアメトラを楽しむのであれば501が正解です。こればかりは理屈じゃないんでいよね。
五十嵐トラウザーズ:5Pデニムトラウザーズ
サイズ:46 裾幅:19.0cm 渡り幅:32.0cm
ドレスパンツのビスポークで名を馳せる五十嵐トラウザーズが手掛けるデニムジーンズ。私が所有しているのはオーダーではなく既成モデルです。デニムジーンズたらしめる要件は揃っているものの、パターンや細かい作りは完全にテーラード仕様となっています。
そのため着用場面も限定されており、基本的にはスラックス代わりにジャケットと合わせることを念頭に置いて購入しました。他のデニムジーンズとは少し毛色が異なります。
ジャケット:RING JACKET(リングヂャケット)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:JALAN SRIWIJAWA (ジャランスリワヤ)
太めのラペルが印象的なクラシカルなジャケットにも全く違和感なく合わせられます。股上が深く、流麗な曲線を描くシルエットもそうですが、センタークリースが入っていることもあって、ほぼドレスパンツ感覚で穿いていますね。とはいえ、あくまでもジーンズということもあって、それなりにカジュアルっぽくもなるのでオフのジャケパンスタイルで重宝します。
コート:FIVE ONE(ファイブワン)
ニット:ZANONE(ザノーネ)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
軽快なコットンのコートやカジュアルなダッフルコート辺りなら501でも問題ないですが、この重厚感のあるポロコートにあえてデニムジーンズを合わせるのであれば、手持ちの中ではテーラード仕様の五十嵐トラウザーズが一番相性は良いかと思います。
「Y」や「A」より「I」、そしてテイストを揃えることが基本
最後にここまで登場した例にも共通する、コーデを組む上で私が大事にしている基本的な考え方を2点ご紹介しておきます。
Yライン、Aライン、Iラインという言葉はご存じかと思いますが、上下でシルエットに差を付ける「Y」や「A」より、上下に連続性を持たせて縦のラインを協調する「I」がコーデを組む際の基本だと私は考えています。「Y」や「A」はある種の違和感を持たせることでお洒落に見せることができますが、シンプルにかっこよく仕上げるのであれば「I」が間違いないでしょう。
私の場合はコーデを上半身から考えることが多いので、トップスやアウターのシルエットにパンツを合わせることになります。モダンでスリムなジャケットには細身のパンツを、クラシカルなジャケットには適度にゆとりのあるパンツをといった具合です。これはデニムジーンズに限らず、スラックスやチノパンにも当てはまります。
また、それぞれのアイテムのテイストに差を付けすぎないことも重要です。ここでいうテイストとはドレスとカジュアルのこと。そもそもデニムジーンズを取り入れたジャケパンスタイルをはじめ、ドレスとカジュアルをミックスしたコーデの有用性は広く認知されるようになっていますが、その差が大きくなりすぎるとやはり違和感が生じて、難易度が上がってしまいます。
シルエットにしろテイストにしろ、ある程度統一感を持たせることが基本です。違和感をお洒落に転換するのにはそれなりの技量が必要でしょうし、そもそもかっこよく見せることとお洒落に見せることは別物です。私は後者の方にはそこまで興味はないので、基本に忠実なコーデ組みを意識してパンツも選んでいます。
まとめ
「何にでも合う」と形容されるパンツはよく見かけますが、突き詰めると万能の1本なんて物は存在しないのではと思います。もちろん「何にでもある程度合う」で良ければそれなりにあるのでしょうが。
とはいえデニムジーンズに関しては手持ちの物でひとまず完結した感はあるので、一旦打ち止めです。
あぁ、でも淡いブルーデニムなんかは使えるかもなぁ・・・。こんな調子だからどんどん数が増えていくんでしょうね(笑)
今回は以上です。