男性が持つあらゆる鞄類の中でも最も流行に左右されやすく、好みの差がでやすいクラッチバッグ。
私もクラッチバッグは一つ持っていますが、正直出番はほとんどありませんでした。ところが、先日久しぶりにクラッチバッグが必要となる機会があり、改めて持っていて良かったなと感じ、今回のテーマに選んだ次第です。
気になる「クラッチバッグは時代遅れ?ダサい?」という観点についても触れてみましょう。
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クラッチバッグの流行の変遷、現在のイメージ
もともとクラッチバッグは女性がパーティで持つバッグとして生まれたそうです。そのため実用性よりアクセサリーとしての意味合いが強く、華奢なデザインのものが中心でした。
女性用であったクラッチバッグですが、次第に日常使いの鞄として男性にも普及するようになってきました。一般的に女性より男性の方が荷物が少ないので、クラッチバッグが男性に好まれるようになったのは理に適っていますね。ところで「クラッチバッグ」という呼称は最近になったからで、当時は大きな鞄の中に入れて持ち運ぶこともあったため、「セカンドバッグ」と呼ばれていました。
そのセカンドバッグは昭和末期から平成初期にかけて全盛を迎えますが、次第に廃れていき、2000年頃には既に過去の遺物となっていました。時代遅れとなったセカンドバッグは「昭和のおじさん」を象徴するアイテムとして度々ネタにされてきました。個人的には世間に認知され始めた頃のアンタッチャブル・山崎が白シャツ白ネクタイに合わせてセカンドバッグを持っていた姿が印象的です。
揶揄されるにつれて、負のイメージが増していったセカンドバッグは、若い世代からは「ダサい」という印象を植え付けられていくのです。(私もその一人)
「流行は繰り返す」とはよく聞く言葉ですが、散々馬鹿にされたセカンドバッグもクラッチバッグと名前を変えて、2010年代初頭にレディースから注目を集めだし、その後メンズにも飛び火して2015年頃には再びトレンドアイテムとして台頭します。
リバイバルヒットを果たしたクラッチバッグですが、セカンドバッグと呼ばれたバブル期当時との一番違いはその「厚さ」にあります。
かつてを連想させる厚みのあるセカンドバッグ
最近のクラッチバッグと比べると当時のものはかなり厚みがあってようです。このようなバッグは今でも稀に売っているので、手に取ってしまった場合、一気に昭和のおじさん感があふれ出るので要注意。個人的には嫌いじゃないんですけど、パブリックイメージには逆らえませんね・・・。
そして2021年現在、クラッチバッグはトレンドアウトしたように感ますが、だからといって一昔前のように「時代遅れ」と揶揄されるようなことはないでしょう。流行から定番へと立ち位置が変化したのです。正確に言えば定番へとなりつつあるといった方が正しいかもしれませんが、ともかく簡単に時代に左右されるアイテムではなくなったのです。
これには薄型のスマホやタブレットの普及、キャシュレスにより財布の小型化もしくは不要となってきたという背景が大きいかもしれません。
記事冒頭で私はクラッチバッグをほとんど使わないと書きましたが、その理由は流行云々ではなく、普段から荷物が多い私のライフスタイルに合わないからというだけ。選ぶモノさえ間違えなければ「時代遅れ・ダサい」などということはありませんので、荷物が少なめなスマートな方であれば、クラッチバッグという選択肢も大いにありでしょう。
クラッチバッグが活躍する場面とは?
前項でクラッチバッグは「時代遅れじゃない、ダサくない」と結論付けましたが、使いにくさを感じるのも事実。
私のように荷物が収まらないという問題以外にも、クラッチバッグには必ず片手が塞がるという欠点があります。
例えば雑多な服や小物が並ぶセレクトショップに買い物をしに来たとイメージしてください。ラックにかかっているジャケットをかき分けたり、折りたたまれたシャツやパンツを広げて手に取るなら両手を使うことが自然です。クラッチバッグでも脇に抱えれば一応両手は空きますが、腕が伸ばせず動きは制限されて、ストレスを感じることになるでしょう。一方で同じように片手を使うトートバッグは一般的に肩掛けが可能なので、クラッチバッグ程に不便を感じることはないはずです。
「買物に行く」「小さい子どもを連れている」「途中で荷物が増える予定がある」といった場面ではクラッチバッグは不向きなのかもしれません。スマートな見かけと引き換えに、片手が確実にふさがってしまうことは大きなデメリットと言えるでしょう。
しかし、「それでもやっぱりクラッチバッグが必要だ」と感じさせられる場面があります。そう、結婚式を始めとした宴席の場です。
冒頭でも触れた久しぶりにクラッチバッグが必要となる機会とは、友人の結婚式のことでした。コロナ禍の影響で誰かの結婚式に参加するのは実に2年ぶり。そしてクラッチバッグの使用もその時以来でした。
結婚式に参加する場合の荷物を考えてみてください。携帯電話と財布はもちろんのこと、ご祝儀袋やハンカチも必須です。それらをスーツのポケットに収めることも出来なくもないのですが、明らかに不格好。かといってブリーフケースだと仕事中抜け出してきたみたいで、トートバッグだとカジュアルすぎるし、バックパックなんてもっての外。フォーマルな場で男性が持つべき鞄はかなり限定されてしまいます。そこでクラッチバッグの出番なのです。
女性用とはいえ、クラッチバッグの出自はパーティーバッグ。結婚式など華やかなフォーマルシーンに合わないはずがありません。
こちらは実際の当日のコーデ。この光沢感の強いブラックスーツも普段の仕事では着ないので約2年ぶりの出番でした。そして左手で抱えたクラッチバッグは多少のデザインが入っていますが、悪目立ちせず、シックな装いにもキマります。
ちなみにクラッチバッグの中身はこんな感じ。
- スマートフォン
- 財布
- 招待状
- ご祝儀袋
- ハンカチ
- 目薬
- 家の鍵
普段よりは、かなり控えめで最低限の荷物です。これくらいならバッグが膨れ上がることもないですね。
そして結婚式においてのクラッチバッグの利点はスマートな見た目だけでなく、そのコンパクトなサイズ感ゆえの邪魔にならないところにもあります。受付を済ませた後は鞄をクロークに預けてもよいのですが、スマホやハンカチぐらいは手元に残しておきたいものです。トートバッグなんかを持っていけば、会場でその置き場に困ることになりますが、クラッチバッグであれば膝元や背もたれの間など、他者からは目に付かず、かつすぐに取り出せる位置に置いておけます。まさに宴席にぴったりな鞄ですね。
所有するクラッチバッグをご紹介
先程の写真でも登場したクラッチバッグを簡単に紹介しておきましょう。こちらはご存知、COACH(コーチ)のクラッチバッグ。4年程前に購入したと記憶しています。購入当初はプライベートでもそこそこ使っていましたが、冒頭から書いているように、収納力の低さゆえ、今では専ら結婚式専用バッグと化しています。ただ、モノ自体は悪くはありません。
サイズは実寸で約30㎝×20㎝と最近のクラッチバッグとしてはやや小ぶりのサイズ感。使用される素材はぺブルレザーと呼ばれる、型押しされシボ感が強く出ている革です。コーチではよくみかける素材ですが、その特徴は傷や汚れが付きにくい(目立ちにくい)ということ。気負いなく日常使いが出来るというのはバッグとして重要な要素ですね。もちろんそれだけではなく、柔らかく表情のあるレザーの質感はそれなりに高級感があります。
マチ幅は約5㎝としっかりしているので、財布やスマホを入れても膨れ上がって形が崩れる心配はありません。一方でこれ以上厚みがあると野暮ったい雰囲気が一気に増す可能性があるので注意が必要かもしれませんね。
内側にもポケットが2つ。鍵やハンカチなどの小物はここに入れるイメージです。ちなみに一般的なタブレット端末もギリギリ収まりますが、取り出しにくいうえに他のものがほぼ入らなくなるので、あまりおすすめはしません。というかタブレットを持ち歩きたい人は大人しくトートバッグでも選んだ方が無難でしょう。
おすすめのクラッチバッグ3選
私の場合、クラッチバッグの出番はたたでさえ少ないので、新しく購入することはこの先しばらくないのでしょうが、もし買い替えるならと仮定して、3つほどピックアップしてみました。
参照:ブラックヌメ スリムケース – 土屋鞄製造所 (tsuchiya-kaban.jp)
日本を代表する鞄メーカー・土屋鞄製作所のシンプルでスリムなクラッチバッグ。マチがないタイプなので、身の回りの最低限の物しか収まりませんが、これぐらいスッキリしていると、結婚式はもちろんのこと、どんな場面でも重宝しそうですね。
◆ア二アリ
参照:16-08000 クラッチ | aniary(アニアリ) OFFICIAL WEB STORE [メーカー公式通販]
私もトートバッグを愛用しているaniary(アニアリ)より。ここのブランドの特徴は本革と思えないほどとにかく軽い仕上げになっているということ。表面がワックス加工されているので、経年変化を味わうといった類ではありませんが、耐久性は高そうですね。2万円以下に設定されたリーズナブルな価格もポイント。
◆ガンゾ
参照:GUD(ジーユーディー) クラッチバッグ|最高級のメンズ革製品・革財布 GANZO公式WEBサイト
結局全て国内ブランドになりましたが、最後はGANZO(ガンゾ)からセレクト。使用する革には尋常ではないこだわりを持つブランドですが、このクラッチバッグに使われているGUDレザーとは原皮にある傷やシワをそのまま残して処理した革で、個体差が大きく、独特な風合いを楽しめます。上2つ違いしっかりとマチ幅があるので使い勝手も良さそうですね。
まとめ
長らくクローゼットの奥に眠っていたので、危うくその存在を忘れてしまいそうでしたが、それでもクラッチバッグは必要だというお話でした。
私はハンカチすら服のポケットに入れたくない性分なので、外出する時には何かしらのバッグは必須です。とはいえ「大は小を兼ねる」で容量が大きければ良いというものでもないし、本文中で何度も触れた通り、バッグにもTPOは存在します。
保管スペースの問題もありますので、むやみに数を増やしたくはありませんが、場に応じて適切に使い分けられるだけのバッグは揃えておきたいですね。クラッチバッグもその内の一つですよ。
今回は以上です。