「史上最も歓迎されていないオリンピック」と揶揄された東京オリンピックですが、いざ開幕すると連日の日本勢の大活躍で、手のひらを返したように国民は熱狂しています。
それについての如何は置いといて、今回はオリンピック中継でやたらと見かけるあのブランドについてのお話です。
オリンピック公式パートナー
「オリンピック公式パートナー」という言葉はここ数年、様々な企業のCM等で見聞きしますね。いわゆるスポンサー企業のことで、企業はスポンサー料を支払う対価として、自社製品にオリンピックロゴを入れたり、競技場に広告を出すことが可能となります。
開幕の少し前にスポンサーのアサヒビールに忖度して、会場でのアルコール提供を強行しようとして話題にもなっていましたが、そういった表沙汰には出来ないようなメリットもあるのでしょう。
国内外の多くの企業がスポンサーに名を連ねていますが、実はスポンサーには序列が存在します。
序列の最上位は国際オリンピック委員会(IOC)と契約している「ワールドワイドオリンピックパートナー」で、それ以降は東京オリンピック大会組織委員会と契約する「ゴールドパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」の順となります。序列に応じてスポンサー料と使用できる権利が異なるみたいです。
ワールドワイドオリンピックパートナーには大会の中で契約カテゴリーごとに独占的な権利が与えています。
例えば、大会が手配する車両関係はトヨタ車に限定されたり、(無観客になってしまいましたが)会場でのノンアルコール飲料の販売及び持ち込みはコカ・コーラ社製のものしか認められないというものです。
同じくワールドワイドオリンピックパートナーであるオメガ社が与えられた独占的な役割は「オフィシャルタイムキーパー」となり、会場の時計機器やテレビ中継画面のタイマーにオメガのブランドロゴと名称が表記されています。
競技観戦に集中していると、意識せずともあらゆる場面で見かけることになるので、全スポンサーの中でもプロモーション効果は随一ではないでしょうか。
参照:「ボルト後」の最速王者はイタリア人 陸上王国不発で勢力図に変化も(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
オリンピックとオメガ
参照:オメガ・ウォッチ: オリンピック | OMEGA® (omegawatches.jp)
オメガは言わずと知れた、スイスの高級時計ブランドです。少し前にレビューしたシーマスターとドレスウォッチのデ・ヴィルの2本を所有しており、個人的にも思い入れの深いブランドになります。
以前は競技ごとにタイムキーパーを務める時計ブランドが分かれており、過去にはセイコーやロンジン、タグ・ホイヤーもオフィシャルタイムキーパーを務めていましたが、近年ではその役目をオメガが独占している状態です。
参照:オリンピック競泳 瀬戸大也 予選敗退「自分でも信じられない」 | 競泳 | NHKニュース
以下、オメガより東京オリンピック公式HPへ寄せられたメッセージです。
宇宙旅行、数々の精度記録、深海探査、そして画期的なイノベーション。さまざまな分野でパイオニアとして世界的な名声を誇るスイスの時計メーカー、オメガは長年に渡り輝かしい歴史を刻まれてきました。
1932年以来、オメガは28回ものオリンピック大会でオフィシャルタイムキーパーを務めて頂きました。エレクトリックスターティングピストルや競泳用のタッチパッド、1秒間に最大10,000フレームのデジタル画像を撮影できる写真判定カメラ「スキャン-O-ビジョン ミリア」など、世界最先端のスポーツ計時テクノロジーも数多く開発され、導入されています。
29回目となる東京2020大会でも、世界最高峰のアスリートたちをサポート頂きます。この契約は、オフィシャルタイムキーパーとして100周年を迎える2032年まで既に延長されています。
夏冬通じて今回が29回目。さらに2032年まで契約が決まっているということで、時計業界において「オリンピックといえばオメガ」というイメージは十分に確立出来ているのではないでしょうか。
高級時計ブランドにとって、その性能や品質と同じくらいに逸話やヒストリーというものはステータス性をもたらす重要な要素です。
オメガといえば「アポロ計画」「ジャック・マイヨール」「007」ですが、「オリンピック」はそれらに並ぶブランドの象徴と呼べるかもしれません。
東京オリンピック特別コレクション
大会ごとにオメガから特別なコレクションが発表されています。いつもならこの手の記念モデルは気にも留めませんが、今回は日本をモチーフにしたデザインが散りばめられていて、少しだけ気になりますね。
特別コレクションの中から1部をご紹介。
◆シーマスター アクアテラ
参照:Seamaster Aqua Terra 150M 東京 2020 リミテッド エディション - 522.12.41.21.03.001 | OMEGA® (omegawatches.jp)
東京オリンピックのエンブレムに採用された日本の伝統柄「市松模様」が文字盤にあしらわれています。
◆シーマスター プラネットオーシャン
参照:Seamaster Planet Ocean 600M 東京 2020 リミテッド エディション - 522.33.40.20.04.001 | OMEGA® (omegawatches.jp)
オールホワイトの文字盤とベゼルに日の丸をモチーフにした秒針がよく映えます。「20」だけ赤く刻印されてセラミックベゼルもカッコいいですね。
◆シーマスター オリンピック オフィシャルタイムキーパー
参照:スペシャル オリンピック オフィシャルタイムキーパー オリンピック コレクション | OMEGA® (omegawatches.jp)
1948年のロンドンオリンピックで採用されたオメガのストップウォッチをモチーフにしたモデル。こちらは五輪カラーをイメージした5本セットです。いくらするんだろ・・・(笑)
オリンピック以外のオフィシャルタイムキーパー
オリンピックに限らずあらゆる分野スポーツと時計ブランドは蜜月な関係にあります。
参照:TAG Heuer Japan / タグ・ホイヤー ジャパン 公式Twitter
2016年よりJリーグ初のオフィシャルタイムキーパーをタグ・ホイヤーが務めています。近年タグ・ホイヤーはサッカーとの繋がりを深めており、イギリスのプレミアリーグやドイツのブンデスリーガなど世界各国の名だたるトップリーグのオフィシャルタイムキーパーを担っています。
他にもタグ・ホイヤーと言えば外せないモータースポーツでも複数の大会でタイムキーパーを任されています。
◆FIFAワールドカップ×ウブロ
参照:世界最高峰のスポーツイベント、FIFAワールドカップ™とウブロのパートナーシップ | Gressive ~YOSHIDAで体験する高級時計への旅 第6回~
オリンピックと並び世界的スポーツイベントのサッカーワールドカップのタイムキーパーは、2010年以降ウブロが任されています。先進的でスポーティーなイメージが強いこのブランドにはピッタリな役目でしょう。
◆テニス4大国際大会×ロレックス
参照:ウィンブルドンの最新情報をロレックスがデジタルコンテンツで配信
ウィンブルドン選手権・全仏オープン・全米オープン・全豪オープンからなるテニスの4大国際大会のオフィシャルタイムキーパーはロレックスが務めています。特に最も格式が高いとされるウィンブルドン選手権(イギリス)では、タイムキーパーとして1978年より長きに渡り関わっています。テニスコートにはロレックスグリーンがよく似合いますね。
テニス以外ではゴルフ界との繋がりも有名で、全米オープンやマスターズ・トーナメントのオフィシャルタイムキーパーを担います。
参照:100年で1秒短縮…陸上男子100メートル世界記録の変遷|【SPAIA】スパイア
東京オリンピックのオフィシャルタイムキーパーの座を狙っていたと噂されるセイコーですが、オメガの壁は高かったようです。しかしセイコーは世界中の様々な競技で存在感を示しています。この黄色のスポーツタイマーはどこかで見たことがあるはず。有名どころで言えば世界陸上でしょうか。ウサイン・ボルトのこのシーンは何度も映しだされました。
全く同じ物ではありませんが、セイコーのスポーツタイマーは市販されていますので、イメージ戦略の意味合いが強い、海外の高級時計ブランドと違って、実用品のプロモーションという側面もあるかもしれません。
まとめ
オリンピックが始まったら書こうと思っていた内容でしたが、気づけばもう後半戦です。
大規模なスポーツイベントにはタイムキーパーの他にも、ユニフォームや移動用のスーツなどに有名ブランドが関わっていたり、ファッション好きとしても見どころがたくさんあります。こういう視点でのスポーツの楽しみ方もアリではないでしょうか。
今回は以上です。