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フレデリックコンスタントのクラシックムーンフェイズをレビュー!ロマンに魅せられた「月と時計」。

秋も終わりを迎えいよいよ冬本番。月といえば秋のイメージが強いものですが、個人的にはより空気が澄んだ冬の夜空に浮かぶ月の方が好きだったりします。先日、帰宅中にキレイな満月が出ていたので、ふとそんな事を思いました。

 

ということで、今回は月にまつわる時計のご紹介。

 

「月と時計」と言われたら真っ先に思い浮かぶのは、オメガのスピードマスターやブローバのルナ・パイロットのように宇宙飛行士と共に実際に月に降り立った、いわゆるムーンウォッチのことですが、それ以外で月にまつわる時計のギミックについて。そう、ムーンフェイズです。

 

私が所有する中でムーンフェイズ機構を持つ唯一の時計、フレデリックコンスタントクラシックムーンフェイズをご紹介します。合わせて「手が届くラグジュアリー」をコンセプトに注目を集めているフレデリックコンスタントの魅力についてもお伝えしていこうと思うので、最後までお付き合いください。

 

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フレデリックコンスタントについて

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参照:https://frederiqueconstant.jp/brand/

創業理念は「手の届くラグジュアリー」

100年、200年と歴史を持つメゾンがゴロゴロと存在する時計業界において、FREDERIQUE CONSTANT(フレデリックコンスタント)は1988年にスタートした比較的に若いブランドです。

 

1988年、スイス・トアネに創業したフレデリック・コンスタントは「スイスの高品質な腕時計を、手の届く価格で多くの人に楽しんでもらいたい」というピーター・スタースと、その妻アレッタの情熱から誕生しました。

ピーターとアレッタがまだ若いビジネスパーソンだった30歳の頃、ジュネーブの時計店を見て歩いたとき、スイス製のクラシカルな素晴らしい時計の数々に魅了されました。ただとても高価で手が届かない。それなら、自分たちで手の届く価格のスイス製時計を作り、より多くの人に楽しんでもらいたいと思いからブランドを立ち上げました。
「手の届くラグジュアリー」。この理念が創業から現在まで貫く変わらぬ時計作りのベースにあります。

引用:FREDERIQUE CONSTANT MANUFACTURE | FEATURES | フレデリック・コンスタント

 

スイス製の機械式時計、特にクラシックな分野は一般の方からしたら驚くような価格で販売され、庶民が簡単には手が出せれる品ではありません。だからこそ、創業者の実体験に基づく「手の届くラグジュアリー」というコンセプトが、コアな時計フリーク以外の方に刺さったのです。

 

とはいえ、歴史が物を言う時計業界において、新参者のフレデリックコンスタントがここまでの立ち位置を確保するのは簡単なことではありません。基本的には創業理念にある通り、手頃な価格で高品質の時計を提供し続けたことが支持を得た理由ですが、それとは別にブランドの価値を高める2つの契機がありました。

 

世界初、オープンハートの発明

時計の心臓部ともいえるテンプを文字盤から眺めることが出来る通称オープンハートと呼ばれるデザインは、あらゆる価格帯の時計ブランドで採用される人気のディテールです。そしてそのオープンハートは1994年にフレデリックコンスタントが発表した「ハートビート」というモデルが世界初とされています。フレデリックコンスタントといえばオープンハートと言っても過言でないほどに、ブランドを象徴するアイコニックな存在となっています。画期的なデザインのハートビートでしたが、なぜか商標権を登録しなかったために、後に模倣品があふれ出ることになりました。

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1994年に発表された世界初のオープンダイヤルウォッチ「ハートビート」

引用:FREDERIQUE CONSTANT MANUFACTURE | FEATURES | フレデリック・コンスタント

 

時計界の称号、マニュファクチュール化へ

スイスの時計業界では伝統的にムーブメント、文字盤、ケースなどそれぞれの分野を専業で行う工房による分業制がとられていました。特により専門的な技術を必要とするムーブメントに関しては、多くの時計ブランドが外注に頼っています。その中でムーブメントを含む全パーツの製造から時計の組み立てまで自社で一貫して行う「マニュファクチュール」と呼ばれる時計メーカーは特別な存在とされ、時計業界において称号のような意味合いを持っています。

 

フレデリックコンスタントも当初は全てのムーブメントを外注していましたが、2004年に完全自社製のムーブメントを開発しかてマニュファクチュールブランドの仲間入りを果たしました。正直に言うとマニュファクチュールだからといって目に見える利点はほとんどありませんが、実用性に劣る機械式時計を愛でている時点でそれは野暮なお話。ロマンですよ、ロマン。

 

実はある事情から、ここ数年で多くの時計ブランドがマニュファクチュール化を果たしていますが、いち早く自社製ムーブメントの開発に成功したフレデリックコンスタントはその価値を高めることになりました。

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引用:FREDERIQUE CONSTANT MANUFACTURE | FEATURES | フレデリック・コンスタント

シチズンとの関係

現在多くの時計ブランドは大資本の傘下に収まっています。オメガやハミルトンがスウォッチグループIWCカルティエがリシュモングループといった具合に、ほとんどの有名ブランドもどこかのグループの傘下に入っているのです。

 

フレデリックコンスタントは創業以来、30年近く大手の資本を受け入れることなく独立を保っていましたが、2016年にシチズンの傘下に入ることとなりました。西洋の大グループではなく、日本のシチズンの資本を受けたのには理由がありました。

 

まずは一つはシチズンが機械式ではななく、クォーツ式の時計を主力にしているということ。互いに客層が被らないので限りなく対等な関係でいられるというのです。また、他にオファーがあったグループの傘下に入っていたら機械式時計を主力にするブランドとしては優先順位が下位になってしまうが、シチズングループであれば機械式の一番手。あまたの時計ブランドに埋もれるよりは、存在感を誇示出来るシチズン傘下の方が独自性を保てると考えたのです。

 

そしてもう一つは流通面。それまでのフレデリックコンスタントは北米での売上に苦戦していました。そこで北米で充実した販路を持つシチズンの力を借りようというのです。また、北米ほど重視はしていないはずですが、伸び悩んでいた日本での売上向上にも繋がりました。私達にとって、シチズンの傘下入りは店舗で実機に触れる機会が増え、アフターサービスが充実したという恩恵をもたらしてくれたのです。

 

フレデリックコンスタントの主要モデル

ここからはフレデリックコンスタントの主要モデルをご紹介していきます。「手の届くラグジュアリー」とういコンセプトを掲げているこのブランドですが、価格帯は様々。目安として、汎用ムーブメント搭載モデルが15万円~20万円、マニュファクチュールモデルで40万円~50万円くらいがボリュームゾーンとなっています。

 

クラシック カレ オートマチック ハートビート

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参照:FC-310MC4S36 | 製品詳細 | フレデリック・コンスタント

 

ブランドの中核をなすクラシックコレクションから、人気の角型モデル「カレ」。ハートビートも搭載された、フレデリックコンスタントを代表するモデルです。

 

クラシック インデックス オートマチック

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参照:FC-303MS5B6 | 製品詳細 | フレデリック・コンスタント

 

同じくクラシックコレクションからラウンド型の3針ウォッチ。癖がないシンプルなデザインで、並行輸入であれば10万円以下で購入出来ることから、機械式初心者におすすめのモデルです。

 

スリムライン パワーリザーブ マニュファクチュール

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参照:FC-723WR3S6 | 製品詳細 | フレデリック・コンスタント

 

自社製ムーブメントを搭載したマニュファクチュールモデル。中身だけではなく、クロコダイルストラップを採用するなど、クラシックラインよりも全体的に高級感を感じるワンランク上のグレードです。

 

ハイライフ トゥールビヨン パーペチュアルカレンダー マニュファクチュール

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参照:FC-975N4NH6B | 製品詳細 | フレデリック・コンスタント

 

自社製のトゥールビヨンを搭載したモデル。トゥールビヨンがなんたるかは長くなるので割愛しますが、時計好きの方ならこの機構を自前で用意する凄さを理解いただけるかと思います。その代りに価格も300万円オーバーと凄いことになっていますが、それでもお値打ちというのが恐ろしい。

 

クラシック カレ レディース

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参照:FC-200MCD14 | 製品詳細 | フレデリック・コンスタント

 

実はレディースラインも魅力的なフレデリックコンスタント。機械式モデルも一部存在しますが、メインはクォーツです。クラシックで上品なデザインにダイヤを散りばめたモデルでも現実的な価格なのは流石ですね。

 

ムーンフェイズとは?

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参照:ロンジン マスターコレクション L2.909.4.78.3 を見る | Longines®

 

実機レビューの前にムーンフェイズ機構について簡単に触れておきましょう。

 

ムーンフェィズは文字盤の12時または6時方向に取り付けられた、夜空を模したディスクが、時間の経過によりゆっくりと回転することで、月の満ち欠けをギミックです。1/4回転かけて新月から満月に移り変わり、多くのムーンフェィズは約29.5日で半周するように設計されています。この29.5という数字は、新月から次の新月を迎えるまでの期間が29.530589日であることに由来します。そのため、小数点第2位以下の差がある分にどんなに正確に稼働しても約3年間で1日のズレが生じるそうです。

 

「月の満ち欠けが分かる」ムーンフェィズですが、だから何の意味があるのかと言えば特にありません。強いて言えば月の満ち欠けは潮の満ち引きと関係しているので、航海士や漁師にはムーンフェィズが必要とされる場面もあったそうですが、それは大昔の話。なので、基本的には単なる飾りなのです。

 

そんな事を言ったら身も蓋もありませんが、ではなぜ私を始め多くの人がムーンフェィズに魅了されるのか。それは結局ロマンです。

 

記事冒頭で触れた、月に降り立ったムーンウォッチ然り、古代より月は我々人類にとって特別視され、憧れ(ロマン)の対象なのです。そして非合理的の極みのような存在である機械式時計を愛する者にとって、ロマンを抱く気持ちは不可欠。要するにロマンという曖昧なものによって存在価値が支えられているもの同士、月と機械式時計は相性が良いのかもしれませんね。

 

フレデリックコンスタントのクラシックムーンフェイズをレビュー

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前置きが長くなってしましましたが、ここからは私が所有しているフレデリックコンスタントのクラシックムーンフェィズをご紹介します。

 

フレデリックコンスタントのベーシックラインに相当する「クラシックコレクション」からの一本。公式サイトの製品情報にも掲載がないので、既に廃盤になっているかもしれません。3年程前に正規取り扱い店で購入。当時で20万円くらいだったと記憶しています。ケースはステンレススチール製で風防はサファイアガラス。マニュファクチュールモデルではないので、セリタ社製の汎用ムーブメントが搭載されています。

 

上の画像で25の数字を指すしている4本目の針は、ポインターデイトと呼ばれて、日付を表示しています。ポインターデイトはパイロットウォッチ発祥のディテールですが、クラシックなドレスウォッチにも好まれて採用されています。

 

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クラシックと銘打つだけあって、文字盤や針の細部にわたって伝統的な意匠が施されています。

 

格子柄に彫り込まれたギョーシェ彫り、先端付近に円状に穴が開いた時針と分針。時計好きの方が見たら一発で分かるはずでしょう。世界5大時計ブランドの1つ、ブレゲのパクr・・・もといリスペクトを感じさせるデザインです。ちなみにこのような形状の針は、そのままブレゲと呼ばれています。

 

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ブレゲを代表する名作「クラシック5157」

参照:ブレゲとクラシック 5157の物語。天才時計師が築いた名門に迫る | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]

 

1988年に時計ブランドとしてスタートしたフレデリックコンスタントですが、その前身は1904年創業の文字盤工房で、当時はブレゲの文字盤製造にも携わっていたそうです。そういった経緯が関係しているのかは定かではありませんが、ギョーシェ彫+ブレゲ針のデザインはブランド初期より多様されています。プアマンズブレゲと揶揄さることもありますが、文字盤の美しさはこの価格帯のブランドでは他の追随を許さない本物です。そもそもブレゲなんて買えるわけがないので、プアマンズ(=貧乏人)と言われようが、現実的な価格でそのエッセンスを感じられるだけで十分。少し意味合いが違うような気がしますが、「手の届くラグジュアリー」を体感させてくれています。

 

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6時に位置するムーンフェィズはこれ以上なくシンプルなデザイン。月面に顔が描かれた昔ながらのムーンフェィズも私は結構好きなのですが、日常使いするにはちょっとクドいかもしれません。

 

ローマンダイヤルにポインターデイト、ギョーシェ彫とブレゲ針、さらにはムーンフェィズまで搭載してクラシックな要素てんこ盛りですが、それらが上手くまとまっているデザインは見事です。

 

ちなみに、12時の位置がオープンハートになっているモデルも存在しましたが、文字盤上の情報量が多過ぎてバランスが崩れているように感じたので、選択肢にはありませんでした。ここのブランドでオープンハート以外のモデルを選ぶ人は少数派かもしれませんね。

 

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サファイアガラス製の裏蓋からは、ローターとムーブメントを鑑賞することが可能です。正直あまり専門的なことは分かりませんが、整然と配された歯車や優雅に回転するテンプは眺めているだけでもよいものですね。

 

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ケースの厚みは10.5mmと自動巻きとしては薄めの範疇に入るかもしれませんが、個人的にはもう少しでけ薄い方が好み。ケースの厚みだけの問題ではありませんが、横から見た時に野暮ったい感じは否めません。

 

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純正のレザーベルトのカラーはネイビー。白色のステッチも相まってカジュアルに寄ってます。時計本体が完全なドレス顔なので、ここはベルトも端正なブラックが正解でしょう。ネイビーはネイビーで私服との合わせやすさを感じますがドレスウォッチと考えると微妙。いずれベルトは交換しようと思いながら3年経過しました。また、型押しカーフレザーの質感も正直イマイチ。文字盤が素晴らしいだけに、値段相応なケースの仕上げとベルトの質感は目立ってしまいます。

 

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ベルトのバックルは尾錠式でしたが、最初から純正のDバックルを購入して交換しています。

 

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リストショットはこのような感じ。ケース径は40mmとなっています。細腕の私でも違和感はありませんが、ドレスウォッチであれば38mmぐらいがベストかなと思っています。ただ、本体はとても軽くて着け心地は良好です。

 

まとめ

正直どこかで飽きてしまうのかなと内心思っていましたが、今でもオンオフ問わずに色々な場面で愛用し続けています。

 

やっぱりムーンフェィズは良いですね。機械式腕時計の魅力を語る上で最終的に「ロマン」という言葉に行きつくのですが、そのロマンを凝縮した存在がムーンフェィズなのかもしれません。一度止まると月齢カレンダーを確認しながら月相を合わせるのが大変ですが、それすらも愛おしく感じます。

 

今までの人生で使った分量以上に、この記事で「ロマン」という文字を打ったような気がします。(笑)

 

スポーティなクロノグラフやタフなダイバーズもカッコいいですが、次の一本にはクラシックなムーンフェィズはいかがでしょうか?

 

今回は以上です。