トラッドマンに憧れて

自分なりのトラッドスタイルを模索する30代のリアルな服・靴・時計etc…について

麻布テーラーで春夏用のスーツ作ろう! 完成編

忘れていたわけではありませんが、直しに出していた麻布テーラーのオーダースーツの完成品を少し前に受け取ってきました。

 

tradman-dc.com

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 ※「オーダー編」は大幅に加筆しました。

 

先週何度か着用した上でレビューしてみます。

 

 

こんな感じに仕上がりました。

 

ベースとなったモデル

麻布テーラーのスタンダードモデルとされる「クラシコイタリア」を選択しました。

高いウエスト位置が特徴で、ウエストラインに合わせてボタンやポケットの位置もやや高い位置に取り付けられています。

 

本来このモデルは厚みが1cmの肩パッドを使用していますが、自然な肩周りが好みなので、3mmのパッドに変更しています。

着用した限りだと1cmのパッドはかなり存在感がありました。まぁ、そこは好みの問題かとは思いますが。

ちなみち、希望すれば肩パッドなしのいわゆる「雨振り袖」に変更することも可能です。

 

ジャケット

 ○前から

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肩パッドを薄めに変更していますが、肩回りの構築感はしっかりとキープされています。

エスト回りはくびれがきれいに出ているかと思います。やりすぎない程度が良いですね。

 

このモデルの場合はラペル幅は一般的な8.5cmとなっています。

一方でゴージラインはやや高めでしょうか。

 

フロントボタンは3つボタンの段返りです。機能的なメリットはありませんが、よりクラシックな雰囲気を感じられる要素なので、積極的に取り入れています。

 

その他で目につくポイントでいえば、今回はチェンジポケットを採用しました。

  

何も考えずにチェンジポケットを付けると、ジャケット全体のバランスが崩れる可能性もありますが、このモデルはボタンの取付け位置もやや高めであることあって、チェンジポケットとのバランスも取れていると思います。

 

ちなみにチェンジポケットの別途料金は不要です。数千円のオプションとなっていることが多いのでありがたいですね。

 

○横から

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背中に反ったきれいなシルエットです。

 

○後ろから

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ベントはいつものサイドベンツで、着丈はギリギリお尻が隠れる長さです。

数年前まではもう少し短い丈が流行っていましたが、最近はこのくらいの丈感が一般的です。

個人的にはもう少し長くても良かったかなと思いましたが、軽快さが損なわれそうなので、春夏用の生地にはこの丈感で正解な気がします。

 

背中の部分は裏地を使っていないのである程度は仕方がありませんが、シワが出てしまいますね。

私の写り方にも問題もあるのでしょうが、理想を言えば下の画像のようなバックショットです。

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参照;https://otokomaeken.com/mensfashion/15051

首下の引っ張りシワも少し気になります。

着用した感じでは決して肩回りのキツさはありまりないのですが、シワが出るといことは完全にはフィットしてしないのでしょう。

人の体は平面ではなく立体なので、単純に横幅は少し調整しただけのパターンオーダーでは限界もあります。

もちろん、パターンオーダーだから必ずこうなるというワケではありませんが、突き詰めるならばフルオーダーを検討した方が良いでしょうね。予算があればの話ですが。

 

スラックス

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ダブル幅はスタンダードな4.5cmです。

パンツの裾をダブルで処理する場合は、足元をすっきりさせたいのでノークッションでお願いしています。

 

腰回りにはそれなりにゆとりがありますが、裾幅が18cmとやや狭めにしているので、きれいにテーパードがかかっています。

 

ディテールのご紹介

パッと見て分かりにくい細部をご紹介します。

生地

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イタリアの老舗生地メーカー「カノニコ社」のトピカルウールを使用しています。

ビジネススーツでよく使われる光沢の強い「サージ」や秋冬の定番で起毛した生地が特徴の「フランネル」は縦・横の糸を2本ずつ飛ばして織られる綾織ですが、トロピカルウールは縦・横を1本ずつ交差させる平織となっています。

文章では伝わりづらいので、下のイメージをご覧ください。

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参照;http://www.norikaiya.net/

 

綾織は縦糸が多く表面に露出するので、光沢や起毛などの糸自体が持つ特徴がよりはっきり表れます。一方で織りの組織点が少ないため隣り合う糸同士が近づこうとして、密度の高い生地が出来上がります。

一方でトロピカルウールのような平織は、糸の結束が強く、一つ一つの糸にも隙間が生まれるので、ハリがあり通気性に優れた生地に仕上がります。

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画像は実際の生地ですが、ザラっとした質感は伝わるでしょうか。

特別涼しいというワケではありませんが、ハリのある生地は気分もシャキっとしますね。

 

ボタン

スーツ全体の印象を大きく左右するボタンは、艶消しの本水牛です。

色は選択可能な中で最も暗い色味のボタンを選びました。

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前回の「お直し編」でも書きましたが、最初は下写真の白に近い本水牛ボタンを付けていましたが、明るい生地と相まって想像以上に華やかな見た目になったので、仕上がり後にボタンを付け替えることになってしまいました。

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 7,000円程の余分な出費でしたが、結果大正解だったなと思っています。

 

本切羽

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実際に袖口のボタンを外すことはありませんが、せっかくのオーダースーツなので、本切羽でお願いしています。有料で3,300円となります。

ボタンホールも丁寧に処理されていますね。

 

襟裏

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オーダーする際に襟裏については特に意識していませんでしたし、聞かれることもなかったのですが、襟裏の素材指定や表生地の折返し(髭)も有料で選択できるみたいですね。後から調べて気付きました。

指定しない場合は写真のように素材は表生地と同系統色のフェルト、髭はなしで仕上がります。

襟裏の素材にはこだわりがありませんが、「良いジャケットの証」と言われる髭は1,000円で追加できますので、オプション選択しても良さそうですね。

 

裏地

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ジャケットの裏地は無難に同系統色かグレーにすることが多いですが、今回は初めてオーダーの場に同席した妻に選んでもらいました。

 

自分ではなかなか選ばなさそうな明るい色味ですが、たまにはこういうのも良いんじゃないかと。

 

素材は有料オプションのキュプラです。

ポリエステルがダメというワケではありませんが、袖を通したときの柔らかいタッチはキュプラならでしょう。

 

またキュプラを選択しても袖裏はポリエステルのままのお店もありますが、麻布テーラーは胴裏・袖裏ともしっかりとキュプラで仕上げてくれます。

これで3,000円以下なので選んで損はないと思います。

 

春夏用ということで、背抜き仕様となっています。

 

また、ほとんど使わないディテールですが、内ポケットが右側に付けてもらいました。

 

普通は左側に付く内ポケットですが、担当のフィッターさんが、私が左利きであることに気付いて提案していただきました。

 

実用性は低くとも、ちょっとした特別感が嬉しいですね。

 

芯地はまさかのフル毛芯

完成したスーツを取りに行った際になんとなく店員さんに芯地について尋ねたところ、「基本的にはフル毛芯」との回答で少し驚きました。

 

スーツ・ジャケット好きの方はご存知かと思いますが、芯地とはジャケットの表地と裏地の間に挟まれる部位で、平面な生地を立体的に仕立て上げるための重要な役割があります。

 

毛芯には「接着芯」と「毛芯」に分かれます。

 

接着芯とは名前の通り、薄い合成樹脂を挟みこみアイロンプレスにより熱を加えることで接着させる方法です。

手間はかかりませんが、熱を加えてるだけなので経年により接着が剝れることもあり、また厚みがないのでのっぺりとした仕上がりになります。

 

一方で毛芯とはウールや綿を混紡した素材を表地と裏地の間に挟み込むことで、構築的で立体感のあるフォルムを作ります。接着芯と比べると耐久性に優れますが、総重量も重くなります。

 

肩から裾までジャケットの前身の全てに毛芯が詰まっている仕立てを「フル毛芯」、前身の半分のみに毛芯が使われラペルから下に接着芯が用いられる仕立てを「ハーフ毛芯」と呼ばれます。 

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参照;https://www.ringwood.jp/feature.html

 

低~中価格帯のパターンオーダーではハーフ毛芯が基本でフル毛芯は有料オプションということが多いのですが、麻布テーラーはまさかのフル毛芯が基本とのことです。

 

ただ、軽い着心地を売りにする「ジェットクルーズ」のみハーフ毛芯のようです。

 

あらためて調べるとHPにも毛芯の使い方について記載がありました。

麻布テーラーだからこそ実現する「仕立て」の多様性 | オーダースーツ・オーダーシャツの麻布テーラー|azabu tailor

 

店員の方に言われてフル毛芯であることに気付いたくらいなので、私はそこまで違いが分かる男ではないのですが、こういった手の込んだ仕立ては好印象です。

 

コーディネート

 

タイドアップして

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スーツ:麻布テーラー

シャツ:鎌倉シャツ

ネクタイ:シップス

ベルト:シップス

靴:ジャランスリワヤ

時計:フレデリックコンスタント

 

妙な社風のせいでタイドアップする機会も少なく、ネクタイのバリエーションも手薄いのですが、合せるならやはりブルーの入ったネクタイですね。

 

こうして見るとあらためてボタンを交換して正解だったと思います。

黒の靴・ベルトともしっかり馴染みます。

 

ノータイでカジュアルに

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スーツ:麻布テーラー

シャツ:鎌倉シャツ

ベルト:不明

靴:ユニオンインペリアル

時計:オメガ

 

「アズーロ・エ・マローネ」的なコーディネート。

イタリア人が大好きな「ネイビー×ブラウン」の組み合わせですね。

まぁ、ネイビーというよりブルーですが…

シャツのストライプも分かりにくいですが、ブラウンです。

 

まとめ

自分史上で最も明るい色味のスーツなので、ビジネスの場でどうなのかなという不安もありましたが、周囲からは概ね好評です。

 

よく考えれば、バイデン大統領や安倍元総理をはじめ各国の政治家がオフィシャルな場に好んで着用する色なので、悪い印象を与えるカラーではありませんよね。

 

今回初めて麻布テーラーを利用しましたが、その仕上がりと対応には十分に満足しています。

 

が、次もリピートするかと言われれば迷いますね。

 

普通に考えて満足しているなら、そのお店で作り続ければ良いのですが、もっと他を経験してみたいという欲もあるんですねー。

 

といっても予算はアンダー10万円なので、選択肢も限られてきますが…

 

次は秋冬用にミディアムグレーのスーツを作る計画がありますが、どこにお願いするか悩ましいですね。

 

今回は以上です。