男のワードローブに必須のアイテムと言われたら何を連想しますか?
ジャケット?デニム?確かにどちらもないと私は困りますが、人によってはそこまで重要視されなさそうですね。
その点ボタンダウンシャツは、服の好みどころかオンオフも問わずに着用する機会があるので、まさに人を選ばないベーシックな存在です。メンズクロージングの基本中の基本と言っても差支えはないでしょう。
今回はそんなボタンダウンシャツの元祖であり、永世定番の地位を不動のものにしているBROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)のポロカラーシャツをご紹介します。
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全てのボタンダウンシャツの原点
冒頭でも触れた通り、世界中の男性が着用している全てのボタンダウンシャツの原点はブルックスブラザーズにあります。
19世紀末、創業者の孫であるジョン・E・ブルックスは、イギリス遊覧中に訪れたポロ競技を観戦している際に、選手が着用しているユニフォームの襟が風であおられないように、襟先がボタンで留められていることに注目しました。
それに着想を得たジョン・E・ブルックスは本国アメリカで襟先をボタンで留めたシャツの製造・販売を開始します。そのシャツこそが全てのボタンダウンの始まりです。
また、当時の逸話から現在に至るまで一貫してブルックスブラザーズではボタンダウンシャツのことを「ポロカラーシャツ」と呼んでいます。
ブルックスブラザーズのポロカラーシャツをレビュー
モデル概要
ブルックスブラザーズを象徴するアイテムであるポロカラーシャツ(ボタンダウンシャツ)は、実に多くのバリエーションが揃っています。
その中でも大きく分類するとドレスシャツとカジュアルシャツに分かれていますが、ここではドレスシャツを取り上げていきます。
アメトラの王者であるブルックスブラザーズも近年では他国生産の割合が圧倒的に増えており、ポロカラーシャツもその例外ではありませんが、このモデルは生地の原料から縫製まで「MADE IN USA」にこだわった、同ブランドの中でもアイコン的存在の一着となっています。
ディテール
ボタンダウンシャツとしては最もスタンダードなオックスフォード生地ですが、アメリカが誇る高級綿・スーピマコットンを贅沢に使用しているため、とにかく柔らかい着心地となっています。一般的にイメージするソリッドなオックスフォード生地と比べると手触りも滑らかでほのかに光沢も感じられますね。
だからといって、ピンオックスのように細番手の糸が使用されているというわけではなく「40番手×10番手」としっかり太めの糸でオックスフォード生地ならではの雰囲気は損なわれていません。いかに上質な素材が使われているか実感させれます。
スーピマコットンといえば高級綿の代名詞である一方で、最近ではユニクロを始め多くのブランドが手頃な価格帯で提供しているため随分と身近な存在になりました。
ただ当然ながらスーピマコットンにも様々なグレードが存在していて、身の回りに溢れるスーピマコットンの生地が必ずしも上等な物とは限りません。
しかし、そこはブルックスブラザーズです。アメリカ服飾業界の顔でもある同ブランドが、お膝元の希少素材を優先的に確保するルートを持っていることは想像に難くありませんね。同じスーピマコットン使用を名乗る製品でも手に取ってもらえらばその違いが分かるはずです。
語るべきディテールが数多くあるこのシャツですが、その中でも特筆すべきはやはりこのポロカラーでしょう。その美しいロールは唯一無二。
その秘訣は一般的なボタンダウンシャツと比べてもかなり長めにとられている襟の長さ(8.6㎝)と芯材を使用しない柔らかな仕立て「フルロール」にあります。
タイドアップはもちろんのことノータイでカジュアルに着こなしても様になります。むしろ個人的には襟元のロールが綺麗に見える第一ボタンを外した着方が一番カッコいいと思っています。
取り付けられるボタンはもちろん天然貝ですが、その中でも最高級と呼ばれる白蝶貝を使用しています。白蝶貝は真珠を作る母貝(マザーオブパール)としても知られており、虹色に輝く光沢は真珠のような高貴な雰囲気が漂います。
ドレスシャツらしくボタンのサイズ感は小ぶりで薄めです。個人的にはもう少し厚めでも良かったかなと思いますが、それはそれで主張が強すぎるのかもしれませんね。結局これが正解なのでしょう。
カフスにも芯地が使われていないためとても柔らかく、普段着ているビジネス用のドレスシャツとは明らかに着用感が異なります。
また一般的は付いているガントレットボタン(カフスより肘寄りについてるボタン)は大体のブルックスブラザーズのシャツには付いていません。カフスボタンも1個だけです。きっとこれが伝統的なアメリカ流なのかもしれません。
ノープリーツですっきりした見た目やボディラインに沿うように入ったダーツは、ドレスシャツ然とした端正な背姿を演出しています。
こちらは裏地。前見頃と後見頃の接合部分ですが、縫い目を隠す巻き伏せ本縫いを採用しています。この箇所だけでなく全体に渡って生地と生地を縫い合わせる部分で巻き伏せ本縫いで処理されているため、袖を通した時の肌ざわりがさらっと快適なんです。
もちろんその分手間がかかるわけですが、こういう細かい所にも余念がないのは流石ですね。
裾には星条旗とともにアメリカ国内生産であることを明記したタグが。基本的にタックインするので、他人からは見えませんが所有欲を刺激されるちょっと特別感のあるディテールですね。
サイズ感とシルエット
ブルックスブラザーズのドレスシャツには、レギュラーフィットに相当するリージェントフィットとスリムフィットに相当するミラノフィットがありますが、私はいつもミラノフィットを選びます。米国ブランドあるあるですがベースがゆったりとしたサイズ感なので、ミラノフィットで国内ブランドのレギュラーフィットぐらいの感覚と思っていただいて良いでしょう。
身長173㎝体重65㎏肩幅44㎝の私が着ているのは「15½-32」です。身幅は細すぎず太すぎず。ジャストフィットですね。
何度も洗濯を繰り返しているので、完全に縮みきっているとイメージしてください。アメリカ製のシャツは縮みが大きいという噂も耳にしますが、袖丈で1.0㎝~1.5㎝程度の縮み幅だったので、一般的な範囲ではなないかなと思います。
先程このシャツをミラノフィットと紹介しましたが、正確には「ニューミラノフィット」という名称で、2019年に新しく登場したみたいです。従来と比較すると現代的な細身のサイズ感に調整されていて、着丈に関してはタックアウトも可能な長さに変更されたとのこと。確かに裾を外に出してもあまり違和感はないですね。
着用イメージ
過去にも何度も登場しているコーデ。基本的にはタイドアップを前提せ設計された襟の長さなので、ネクタイを包み込むように収まりが良いですね。ただ、柔らかすぎる襟元と袖口はかっちりとしたスーツとは合わないような気がします。ドレスシャツといえどもカジュアルなジャケパンスタイル向きのシャツですね。
タイドアップしないでも様になるのがこのシャツの良いところ。むしろ襟元の雰囲気が出るこっちの着方の方が好きかもしれません。一般的なシャツより第一ボタンと第二ボタンの間隔が広いので、きれいな襟元を作るには少しコツが必要です。台襟の部分を軽く折り曲げて癖を付けてあげると美しいロールが完成します。
まとめ
ラコステL1212やリーバイス501然り、やはり元祖や原点と呼ばれる物は琴線に触れますね。男ってそんなもんだと思います。
頂点というのは少し言い過ぎたかもしれませんが、現実的に手に入るシャツの中ではかなりハイクオリティで、歴史的な価値も踏まえると決して過大評価ではないでしょう。
本文中で言及するのを忘れていましたが、このシャツには胸ポケットが付いていません。私が購入したタイミングではどちらも選べたのですが、現在は胸ポケット付きしか製造してないみたです。(ポケットなしは過去の在庫?)
私としてはシャツの胸ポケットは不要派なのですが、最近になってブルックスブラザーズのこのシャツの場合はポケット付きのほうが「らしい」雰囲気があって惹かれるなと心変わりしつつあります。
ということで、次は現行のキャンディストライプを狙っています。こんなの何枚あっても困りませんからね(笑)。
今回は以上です。