ネクタイで有名なDrake’s(ドレイクス)のシャツを購入しました。まぁ、割とシャツの方でも有名ですかね。
今回手に取ったのは至ってベーシックなオックスフォード生地のボタンダウンシャツで、この手のシャツはブルックスブラザーズやラルフローレンを筆頭にどこかアメリカンなイメージを持つところですが、ご存知の通りドレイクスは英国発のブランドです。しかもわずかにしか存在しない(2~3社)という貴重な国内のシャツ工場で作られた正真正銘の英国モノ。
ドレイクスが手掛ける英国製のボタンダウンシャツ。これがなかなか良い感じでした。決してネクタイだけじゃない、魅力的なドレイクスのシャツをご覧ください。
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ドレイクスについて
アクアスキュータムのアクセサリーコレクションを担当していたマイケル・ドレイクス氏により1977年創業。まずはスカーフやマフラーで知名度を高めますが、80年代半ばに入るとブランドの代名詞となるネクタイが大ブレイクして、その後は「ドレイクス=ネクタイ」というイメージが完全に定着しました。
転機が訪れたのは2010年。マイケル・ドレイクス氏が引退することとなり、長年同ブランドのデザイナーを務めていたチャールズ・ヒル氏の息子であるマイケル・ヒル氏と新進気鋭のクリエイティブディレクターとして注目を集めていたTHE ARMOURY(アーモリー)のマーク・チョー氏が経営を引き継ぐことになります。当時のマイケル・ヒル氏が30代前半、マーク・チョー氏は20代後半。非常に若かった彼らはドレイクスに確変をもたらします。(余談ですが、マーク・チョー氏は私が敬愛するウェルドレッサーの一人で、そもそもドレイクスのシャツを気にかけたのは彼きっかけでした。)
まず手始めにロンドンに路面店を構え、2012年には主にネクタイを手掛けていた自社工場を移転させ生産能力を拡大、さらに翌年には英国・サマセット州にある老舗シャツメーカー「CLEEVE OF LONDON(クリーブ オブ ロンドン)」を買収します。以前からドレイクスでもシャツを取り扱っていたものの、基本的にはイタリアの工場による外注品でしたが、より英国色を強く打ち出す方針のもと時代を逆行をするように内製化が進められました。(スーツやジャケットは現在でもイタリア製)
いまだにネクタイ専業と勘違いされがちなドレイクスですが、優れた若き経営者の手腕によりモダンクラシックを体現するトータルブランドとしての地位を着実に築き上げています。
ドレイクスのボタンダウンシャツをレビュー
ドレイクスのシャツ部門を象徴するアイテムがオックスフォード生地によるボタンダウンシャツです。
ボタンダウンシャツを大まかに分類すると生地はオックスフォード中心で表前立てや胸ポケット、ボックスプリーツなどのディテールが特徴的なアメリカ式とブロードなどの光沢の強い生地が好まれ、裏前立てで胸ポケットも省かれすっきりとドレスシャツ然としたデザインのイタリア式に分けられますが、それでいうとドレイクスのボタンダウンシャツは完全にアメリカ式に当てはまります。
というのも共同経営者のマーク・チョー氏は「基本的にはボタンダウンかタブカラーしか着ない」と発言するほど1950年代、60年代のアイビースタイルに影響を受けているそうなので、彼の趣味が反映されているとすれば英国ブランドでありながら、アメリカ的なボタンダウンシャツをラインナップの中心に添えているのにも納得できますね。
ただ、単に古き良きアメリカを模しているわけではありません。堅実な縫製やスマートなシルエットなんかを見るとやっぱり英国ブランドだなと思わさせるポイントもいくつか見受けられます。
ところでドレイクスのシャツってそこそこのお値段で、購入価格は約3万円と「シャツは消耗品」が信条の私にとっては結構高い買い物でした。ではなぜそこまでして購入したかというと、先に触れた通りドレイクスのシャツに興味があったからというのとは別にこの生地の色見が決め手でした。
どうでしょうか、この絶妙なクリーム色。表記としてはオフホワイトとなっていますが、だいぶベージュ寄りの色味です。私のワードローブの多数はベージュ~ブラウン系が占めていて、オーソドックスな白シャツだと浮いちゃうんですよね。もっと白っぽい、もしくは黄色っぽいシャツはいくつかのブランドで見かけたものの私がイメージする色味と完全に合致したのがドレイクスのこのシャツだったのです。
あとシルエットも秀逸でした。現在国内でドレイクスのシャツを取り扱うのは主にビームスになるのですが、日本人向けに別注をかけているので懸念していたサイズ感や着心地にも問題はありませんでした。私のようにインポートシャツはちょっと苦手って方も試してみる価値はありますよ。
ディテール
適度に粗く「らしさ」を感じるオックスフォード生地。一方で手触りはそこまでザラつくことはなく見た目以上に滑らかで、初めて袖を通した時にはそのギャップに驚かされます。まさに品格あるオックスフォードって感じですね。
本家ブルックスブラザーズ顔負けの美しいロール。副素材としてフラシ芯が使用されているようで、いわゆるフルロールではありませんが英国的な硬い芯ではないので、柔らかく優雅な曲線を描いています。長めに設定された襟羽根も特徴的です。
これも余談ですが、芯地なしのフルロールはノータイでジャケットを合わせると首回りの収まりが悪いので、最近では柔らかい芯地が入ったボタンダウンを選ぶようにしています。
個人的にはなくても良いのですが胸ポケットが配されています。形状はクラシカルなホームベース型。ラウンド型よりはこっちの方が好きですね。
当然ながらボタンには高級シャツの証である白蝶貝が採用されています。薄すぎ厚すぎないちょうどいい感じ。
ボタン付けはしっかりと根巻きされています。細かいところも抜かりなしですね。
袖口はオーソドックスな1つボタンのラウンドカフス。
背後は王道のセンターボックスプリーツを採用し運動性能を高めています。
襟の後ろを留めるボタンはアイビースタイルで特に好まれたディテールです。モデルによってはハンガーループも付くそうですが、別注品ということだからなのかこのシャツでは省かれていました。
イタリアの高級ブランドや異常な職人気質の日本ブランド程ではないにしろ緻密な運針によって縫製されています。目立った解れなどもなく仕上がりはなかなか丁寧ですね。肌触りが良くなるように生地の端を折り隠す「巻き伏せ本縫い」を採用しているのはこの価格帯だと当たり前か。
サイズ感とシルエット
身長173cm 体重65kg 標準体型の私が購入したのはサイズ39。インポート物ですがビームスが日本人向けにボディサイズを変更しているので、普段手に取っているシャツと同じネックサイズで問題ないかと思います。ただ、袖丈がちょっと長いかもしれません。画像は未洗濯の状態で、洗いをかけると1.5cm程縮みましたがまだほんの少し長い気がします。直しに出すか、乾燥機にかけるか検討中。ちなみに着丈は78cmあるので完全にタックイン専用です。
パターンとしてはアメリカ的なボックスシルエットではありませんが、適度にゆとりのある無理のないフィット感となっています。ぴったりしたシャツは気分じゃないのでこれぐらいが私にはちょうどいいですね。
また、第一ボタンを外した際の胸元の開き具合も気に入っているポイントです。生地のハリやボタンの配置が絶妙なのか特に手を加えずとも理想的なニュアンスを再現することができています。
コーディネート
ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)
シャツ:Drake’s(ドレイクス)
ネクタイ:メーカーズシャツ鎌倉
ネクタイのドレイクスが提案するシャツなので、やはりタイドアップが様になりますね。カジュアルなイメージもあるオックスフォード生地のボタンダウンシャツですがジャケットスタイルと合わせたくなるような品格を持っています。もちろんビジネス使いもOK。
コート:FIVE ONE(ファイブワン)
ニット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
シャツ:Drake’s(ドレイクス)
シャツの色味にこだわっていたのはこのコートとチルデンニットと一緒に合わせることを想定していたから。目論見通り上手く馴染んでいるかと思います。
ブルゾン:VALSTAR(ヴァルスター)
シャツ:Drake’s(ドレイクス)
ブラウンのスエードブルゾンにも合わせるシャツは真っ白より、こんな感じの色味の生地の方が馴染みは良いかと。
まとめ
オーソドックスなボタンダウンシャツですが、英国クラシックのフィルターを通すとまた雰囲気が変わってくるものですね。
そしてなによりイメージ通りの色味が手に入って良かった。素材的には通年物ですが特に秋冬の装いと高い親和性を発揮することになるでしょう。
ちなみに今回ご紹介したシャツは昨年12月初頭に購入した物となり、残念ながら全く同じ物は在庫切れとなっていますが、定番品なのでおそらく春頃になればまた入荷されると思うので、気になった方は頃合いを見てビームスのオンラインショップを覗いてみてください。
いつの間にかブリティッシュメイドがドレイクスのシャツを取り扱わなくなったので、今となってはビームスに頼るしかないんですよねー。
今回は以上です。