トラッドマンに憧れて

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さらばホワイトハウスコックス!!147年の歴史に幕が下りる前に名作メッシュベルトを購入。

Whitehouse Cox(ホワイトハウスコックス)が2022年末日をもって事業停止。」

 

ymfresearch.info

 

普段から交流させていただいているブログ仲間のYMさんの記事にて知ることになった、この衝撃的なニュース。

 

実は私、ホワイトハウスコックスの製品を一度も所有したことはないのですが、財布やカードケースなどの革小物を購入する際は必ず候補に入っていたブランドでした。

 

希望カラーの店頭在庫がなかった、サイズ感が用途に少しだけ合わない等の理由で見送ってきましたが、それだけにいつかは・・・と思っていたので、長年の愛用者程ではないにしろ感慨深いものがあります。

 

これで終わり。そう思うと急に物欲を搔き立てられたのは私だけではないはず・・・。

 

ということで、ホワイトハウスコックスの長い歴史に幕が下ろされてしまう直前に、ブランドを代表する名作メッシュベルトを購入してきましたのでご紹介いたします。

 

 

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ホワイトハウスコックスについて、なぜ廃業?

1875年にイングランド北西部に位置するウォールソールという町で誕生。現在に至るまで英国の自社工場で熟練の職人によるハンドメイドを信条としており、オイルを多分に含み耐久性に優れたブライドルレザーを使ったアイテムを中心に日本でも絶大的な人気を誇るレザーブランドです。

 

創業の地・ウォールソールは炭鉱の町と知られており、採掘された石灰を輸送する手段として馬の需要が増したことから手綱や鞍などの馬具を製造していて、英国軍に納める軍需品も請け負っていましたが、次第に民間人向けの革製品の製造へとシフトしていきます。

 

同社にとって大きな転機となったのは1970年代後半。イギリスの高級百貨店ハロッズにて、あのラルフローレン御大がペット用品売り場に置いてあったホワイトハウスコックス社製の犬用リードのクオリティに感銘を受け、メッシュベルトの製作を依頼。もちろん人間用です。結果は大ヒットとなり世界的にホワイトハウスコックスの名が知れ渡ることになりました。

 

さらには1980年代にはエリザベス女王に愛犬の首輪と真紅のハンドバッグを献上し評価を高めていきます。(その女王陛下が崩御された年にブランドの歴史に終止符を打ったことは少なからずとも因縁を感じずにはいられません。)

 

本格的な日本展開が始まったのは1990年代に入ってから。ファッション誌「Begin」の猛プッシュもあり、百貨店の紳士売り場や大手セレクトショップならほぼどこでも取り扱いがある程に私達にとっても身近な存在になっていたのですが・・・。

 

まさかの廃業。

 

近年のホワイトハウスコックスは売上全体の内かなりの割合を日本市場が占めていたといわれ、そして少なくともこの国での人気は健在のはず。では、なぜ?

 

ステファン・コックス氏による事業停止を告げる書簡

参照:Whitehouse Cox ホワイトハウスコックス Whitehouse Cox、SETTLERに関する重要なお知らせ | フレーム【FRAME】

 

既に多くのメディアが報じている通り、その理由はなんとマネージングディレクター(経営最高責任者)を務めるステファン・コックス氏の後継者が見つからなかったからとのこと。もちろん他にも公にできない事情も抱えていたこととは思いますが、後継ぎ問題による廃業と聞くと何とも言い難い気持ちになりますね。

 

また、冒頭でご紹介させていただいたYMさんの記事でも語られていますが、キャッシュレス決済の普及、本革が忌避されエコレザーが持て囃される風潮、非効率の極みとさえ思える職人によるハンドメイド・・・等々、あらゆる面でホワイトハウスコックスにとっては不利な時流にあり、その中でも自らの「あるべき姿」を譲らなかった結果、事業停止という道を選ばざるえなかったのかもしれません。

 

真意は分かりませんが、私としてはホワイトハウスコックスの矜持をとくと受取り、その最後を見届けようと思います。

 

ホワイトハウスコックスの28mmメッシュベルトをレビュー

概要

さて、最後にホワイトハウスコックス製品を買おうと決めたものの、財布やカードケースは手持ちの物で間に合っており、手頃なところでシューホーンにでもしようかと思いましたが、せっかくならブランドを象徴するようなアイテムがいい・・・ということでメッシュベルトを選びました。(メッシュベルトも間に合ってるんですけどね笑。)

 

例のラルフローレン氏とのエピソードにある通り、メッシュべルトはホワイトハウスコックスを世に知らしめた重要な存在です。一つ一つ職人の手によって編み込まれ、クラフト感が溢れるメッシュベルトは特に人気が高いアイテムとなています。

 

ホワイトハウスコックスのメッシュベルトは幅が32mm28mmの2パターンが用意されています。一般的なドレスベルトが30mm程度なので、それぞれやや太め or やや細めといった感じです。

 

この数ミリの差が絶妙で、どちらも様々なシーンで着用可能ですが、ジーンズなどのカジュアルパンツ中心に合わせるなら32mm、スラックスなどのドレスパンツ中心に合わせるなら28mmを選べばよろしいかと思います。

 

私の場合、どのようなパンツを履くかというより、基本的にはジャケットを合わせることが多いので、主張控えめな28mmを選びました。スリムなメッシュベルトって意外と他にはありませんからね。

 

ディテール

ホワイトハウスコックスといえばブライドルレザーですが、製品情報を確認する限りメッシュベルトでは一般的な牛革が使われているみたいです。ただ、油分を多めに含んでいるのか、しっとりとした手触りで適度な光沢感があり、その上質さを窺えます。

 

手編みのメッシュはマシンメイドの物と比べるとわずかな遊びがあります。この遊びがあるおかげで、着用時にかかるテンションが分散され耐久性を高めているという副産物的な効果があるそうです。

 

職人により鏡面仕上げされた美しい真鍮バックル。細部まで余念がありませんね。

 

裏側には所有欲を満たしてくれるブランドロゴが刻印されています。

また、この手のベルトは長さを調節することができないので、しっかりとサイズを合わせる必要がありますが、サイズ展開が28~40インチまで2インチ刻みの全7種と豊富に揃っているので、きっとジャストサイズが見つかるはずです。

 

着用イメージ

カジュアル要素の強いメッシュベルトは本来ならドレスパンツとは合わせづらいアイテムですが、美しい素材感と28mmというすっきりとしたフォルムのこのベルトなら、ドレッシーなウールスラックスとだって相性がいいんです。

 

もちろんデニムとだって合います。手元にあるメッシュベルトはいずれも30~32mmの物になりますが、数ミリ細くなるだけで印象が随分と変わってきますね。

 

まとめ

最後の最後に駆け込みで購入したホワイトハウスコックスのメッシュベルトをご紹介しました。

 

やっぱりこのメッシュベルトは名作ですね。人気が出るのも頷けます。

 

今回の購入先はホワイトハウスコックスの正規代理店「グリフィンインターナショナル」が運営する福岡のセレクトショップ「FRAME」です。実店舗でスタッフの方にもお話を伺いましたが、やはりホワイトハウスコックスは事業譲渡等は行われずに正式に廃業、もうしばらくの間は在庫製品が供給されるが、それもいつまで続くかは明言できないとのこと。

 

私のような駆け込み需要を見越して、各ショップともある程度の在庫は確保しているようですが、人気アイテムは徐々に欠品が目立ち始めています。

 

メッシュベルトも28mmのブラックやダークブラウンのゴールデンサイズ(30~34インチ)はもうほとんど市場にはなさそうですね。(32mmの方はまだ見かけます。)

 

本当にこれで終わり。気になる方はお早めに。

 

今回は以上です。