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洒脱なワイドパンツ。BERNARD ZINS(ベルナールザンス)のBAC Jをレビュー!

いわゆるトレンドとは一定の距離を取るスタンスでいるのですが、ことパンツに関しては少しだけ事情が違い、適度に時代の流れ汲んだアイテムを選ぶ傾向にあります。

 

今回購入したBERNARD ZINS(ベルナールザンス)「BAC J」もまさに近年のトレンドであるワイドシルエットのスラックスになるのですが、巷に溢れる単なる流行り物とは一線画します。これは本物です。

 

ゆったりとしているけどエレガンス、時代を捉えているけど不変的。日本のメンズドレス界において、もはや定番モデルの1つと数えられるようになった名作パンツをご紹介します。

 

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ベルナールザンスについて

1967年にフランス北部の街 ランスにて創業したパンツ専業ブランド。フランスといえば「ファッション発祥の地」と称されるほど歴史的にも洋服との結びつきが強く、現在でも数多くのハイブランドを擁する国です。そのフランスでベルナールザンスはあらゆるビッグメゾンのOEMを手掛けてきました。エルメスルイ・ヴィトンイヴ・サンローランも彼らの顧客だったそうです。

 

現在では自社ブランドに専念しおり、高い技術力と経験に裏打ちされた穿き心地の良さと美しいシルエットが評判を集め、世界各地の服好きから支持を得るようになりました。

 

私にとってベルナールザンスのパンツはこれが2本目。最初に手にしたのは6~7年前で、だいぶ派手めなタータンチェックのスラックスでした。たまたまどこかのアウトレットで見かけた物に一目惚れして購入しましたが、当時の日本ではあまり認知されておらず、ネットで検索しても碌な情報が引っかからなかったことを覚えています。世代的に知らなかったのですが、日本でも90年代に一度脚光を浴びた時期があったものの、しばらくの間はメインストリームから姿を消していたそうです。

 

それから数年後、ゆったりとしたシルエットのモデルを中心に揃えていたベルナールザンスは、リラックスフィット全盛を背景に再び多くのセレクトショップで取り扱われるようになります。作っている製品自体は昔とほぼ変わらないものの、たまたま時代の流れと合致してリバイバルした格好となりました。

 

ベルナールザンスのBAC Jをレビュー

概要

日本におけるベルナールザンスの基幹モデル「BAC J」。本国フランスでは80年代より定番として愛されてきた2プリーツスラックスの「BAC」を日本人向けにやや細めにアレンジしたモデルとなります。

 

この「BAC J」の最大の特徴はストンと落ちた美しいワイドストレート。本来ワイドパンツは穿きこなすのが難しいアイテムです。そこでベルウィッチのスコッチに代表されるように分かりやすく洒落感のあるワイドテーパードが持て囃されるようになったわけですが、それらともまた違います。実際はわずかにテーパードがかかているものの、あくまでも自然な感じ。ほぼストレートに見えるようなシルエットでありながら一切野暮ったさがなく、むしろ洗練された雰囲気すら漂います。まさにパターンの妙といったところでしょうか。

 

その美しいシルエットを際立たせるのはフランネルの生地感です。柔らかくほんのりと光沢を纏った上質なフランネルはドレープを生み、より優雅に印象付けます。やはり「BAC J」をはじめとしたベルナールザンスのパンツ全般はパリっとした春夏生地より、ふんわりと優しい秋冬生地の方が相性が良いかなと個人的に思っています。

 

色味はくすみがかったベージュ。オーソドックなグレーも検討しましたが、これからの季節に軸となるブラウン~ベージュ系との馴染みが良いこちらを選びました。ここ最近特に好きな色ですね。

 

ディテール

適度に厚みのあるフランネル。しっかりと重みがあるので裾に向かって真っ直ぐ落ちる特徴的なシルエットがきれいに出ます。生地の風合いも良いですね。

 

腰回りの2プリーツは深めのインプリーツとなっていて、より穿きやすく、クラシカルな雰囲気を感じさせてくれます。「BAC J」にはサイドアジャスターモデルも存在しますが、こちらはベーシックなベルトループモデルです。

 

右側にはひっそりとウォッチポケットが付いていました。

 

前開きは実用的なジップフライ。あまり見かけない斜めに取り付けられた天狗鼻はウエストのフィット感をより高めてくれます。

 

裏側を覗くと丁寧な縫製が見て取れます。

 

裾処理はいつも通りダブルの4.5cmでお願いしましたが、このパンツの場合は5.0cmとかでも合いそうですね。

サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 標準体型の私が選らんだのはサイズ40。フランスサイズなので少し分かりづらいかもしれませんが、【M】【46】【30 or 31】あたりを普段穿いてる方であればちょうどいいかと。

 

散々書いてきましたが、ともかくシルエットが秀逸なこのパンツ。ボリュームのある腰回りから裾までストンと落ちた直線的なラインが美しい。イタリア的な曲線美ともまた違う、なんというか頑張ってないけど洒落てるんでよね。パンツに限らずフランスのブランドはこういう雰囲気のアイテムが多いように感じます。

 

ワイドパンツの文脈で語られることが多い「BAC J」ですが、裾幅は21cmと取り立てて太いというわけではありません。現代的なドレスパンツは18cm前後が主流なので、それらと比較する確かに太いのですが、昔はこれぐらいが普通だったと思います。そもそもベースとなっている「BAC」自体は80年代から続く定番モデルなので、当時の基準からすれば別にワイドパンツとして世に送り出したつもりはないはず。今となってはリーバイスの501が太く感じるのと同じようなものでしょうか。

 

まぁ、でも横から見るとやっぱり太さを感じますね。そこが良いのですが。

 

これぐらいボリュームのあるスラックスなら丈感はノークッションよりもハーフクッションで合わせるのが無難でしょう。

 

 ゆとりのある渡り幅に対してヒップは意外とコンパクトに設計されているので、だれることなく後ろ姿もきれいに映ります。

 

コーディネート

ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)

シャツ:メーカーズシャツ鎌倉

パンツ:BERNARD ZINS(ベルナールザンス)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

ウールシャツを取り入れたジャケパンスタイル。目論見通りブラウン~ベージュ系との相性は良さそうですね。

 

ブルゾン:VALSTAR(ヴァルスター)

ニット:GRAN SASSO(グランサッソ)

パンツ:BERNARD ZINS(ベルナールザンス)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

「BAC J」はドレス畑にありながら、カジュアルアイテムと非常に親和性の高いパンツです。こんな感じでブルゾンと合わせた上品なオフスタイルもどうでしょうか。

 

まとめ

ワイドパンツといえばミリタリーやワーク、またはストリート的なイメージを連想しますが、それらとは全く違った洒脱な雰囲気を感じるのは、日本人が弱い「フランス」というワードに惑わされているわけではありません。この美しいパンツは本物です。

 

私の基本はほどよいスリムテーパードで、この太さには馴染が薄く上手く合わせられるか不安もありましたが、想像していた以上に使いやすく、スタイルの幅を広げるという意味でもワードローブにおける重要な存在になりそうです。

 

これは買い足しの可能性もあるなぁ。どうせなら次は柄物が良いですね。例えばブラックウォッチとか・・・。まぁ、今季の予算はほぼ尽きたのでまた来年の話ですが(笑)。

 

今回は以上です。