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リングヂャケット謹製!Brilla per il gusto(ブリッラ ペル イル グスト)のネイビージャケットをレビュー!

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少し前に書いたこちらの記事でもキーアイテムとして登場した無地ネイビーのジャケット。実はビジネス使いにちょうどいい物が手元になく、ここ最近で用意した物でした。

 

購入したのはBrilla per il gusto(ブリッラ ペル イル グスト)のネイビージャケットです。Brilla per il gustoはビームス内のレーベルの1つで、このジャケットはいわゆるセレオリになるのですが、だからといって侮ってはいけません。何を隠そう製造元はリングヂャケットとのことなので、そのクオリティは折り紙つきです。

 

ネイビージャケットはまさにメンズファッションの基本中の基本。シンプルゆえに差別化が難しいのですが、だからこそ上質な一着を選びたいところ。なので最初はオーダーを検討していましたが、既成品で良い物が見つかるのであればそれに越したことはありませんね。価格的にも納期的にも。

 

仕事用としてはもちろんのこと、オフの日にも活躍中。なんてことないように見えて細部までこだわりの詰まったネイビージャケットをご紹介します。

 

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Brilla per il gustoについて

日本を代表する大手セレクトショップBEAMSビームス)」。服好きの方であれば大なり小なりどこかでお世話になってきたことでしょう。ビームスといえばアメカジをベースとしたカジュアルスタイルを得意とするイメージがありますが、Brilla per il gustoはヨーロッパのクラシックスタイルを意識したビームスのドレスラインを担うレーベルです。

 

そういえば似たようなコンセプトのBEAMS F」というレーベルもあるのですが、Brilla per il gustoとの棲み分けはどうなってるんですかね?私はいまいち把握してません。というこで公式の紹介文を見比べてみましょう。

 

BEAMS F】

1978年、“FUTURE”のFをレーベル名に掲げて始まったレーベル。アメリカンカジュアルウェアの<BEAMS>から、より幅広い世界を展開すべく ヨーロッパのクラシックをベースに、常に現代的な解釈を加えたスタンダードを提案しています。着心地と作りの良さを追求した重衣料と、大人のためのエレガントなカジュアルウェアの品揃えで構成しています。

 

【Brilla per il gusto】

2003年、独自のスタイルを持ち趣味や遊びに情熱を注ぐ大人たちが、さらりと着こなせる服を提案するレーベルが誕生しました。単なるブランドバリューや流行などの情報に頼ることなく、大人の男の色気や遊び心を表現できるアイテムを展開しています。

 

・・・うーん、やっぱよく分からんな。両レーベルのセレクト品やオリジナルアイテムの傾向を比べてもほぼ違いはないのですが、強いて言えばBEAMS Fの方が癖も少なくベーシックで、Brilla per il gustoはよりクラシカルで趣味性が強く打ち出されているイメージがあります。

 

Brilla per il gustoのネイビージャケットをレビュー

概要

Brilla per il gustoのスーツやジャケットはレーベルを立ち上げた当初からリングヂャケットが製造を担っています。ハンド感のある縫製柔らかい仕立てはまさにリングヂャケット印といったところでしょうか。

 

生地にはロピアーナホップサックを採用。ホップサックといえばもう少しざっくりとした質感でカジュアルなイメージもありますが、このジャケットはちょっと雰囲気が違いますよね。それもそのはず、こちらの生地は厳選されたSuper 150'sのオーストラリア産のウールで織り上げた「AUSTRALIS(オーストラリス)」というファブリックで、一般的なホップサックでは見られないような美しい光沢ドレープ感が特徴的です。

 

一応秋冬物というカテゴリーで店頭に並んではいますが、繊細な糸で構成されているゆえに生地はそこまで厚手ではなく、裏地も半裏仕様となっているので、実質夏以外の3シーズン着用可能となっています。それも購入の決め手の1つでした。

 

本当にベーシックなネイビージャケットだからこそ生地の質感が際立ちます。そして日本人の体型の特徴を捉えたパターンの美しさも流石の一言。生地の柔らかさも相まってバストからウエストにかけて流麗なラインを描きます。

 

価格は11万円と決して安くはないのですが、ラグジュアリー路線を突き進む近年のリングヂャケットだとまずこの値段では買えませんし、使用している生地のグレードを考えるとよくこの価格設定で勝負できるなと関心します。そういった点も含め総合的にバランスの取れた良いジャケットです。

 

ディテール

 イタリアの名門 ロピアーナ社AUSTRALIS(オーストラリス)によるホップサック生地。シルクかカシミヤでも混紡されているんじゃないかと思う程に眩い光沢を纏っていますが、ウールのみで構成されています。本来であればこんな感じの艶っぽい生地は少し苦手なのでまず手に取らないのですが、ホップサックとうのが実に絶妙。色気を醸し出しながらも凹凸のある生地感がカジュアルダウンの効果をもたらしています。これが表面のつるっとした綾織の生地とかなら印象も全然変わってくるでしょうね。

 

また、Super 150'sの原糸ということで耐久性の面が気になるところですが、強撚糸を撚り合わせたホップサックの特性上、その弱点もカバーできるかと考えています。シワに強いのも良いですね。繊細な素材をタフなホップサックで仕上げた非常に良い塩梅の生地です。

 

やや太めのラペル幅(約9cm)でゴージラインも現在主流の気持ち低めな位置。ラペル縁のステッチは手縫いならではの柔らかな印象を与えてくれます。

 

吊るしだと分かりにくいかもしれませんが、立体的な首回りやふんわりとしたラペルから見事なアイロンワークを見て取れます


襟裏の髭は当然としてフラワーループまで付いてますね。いずれも実用性はありませんが、こういうの見つけると少し嬉しくなります。通常リングヂャケットではフラワーループはないはずなので、ビームス側からわざわざリクエストがあったのでしょうか。

 

このいせ込み量こそリングヂャケットの神髄ですね。ふっくらと立体的な肩周りは可動域を確保して、快適な着心地に直結します。雨降り袖も雰囲気があります。

 

真上から見て湾曲したショルダーラインは前肩の証です。日本人は腕が前寄りに付いた前肩が多いといわれており、その体型に沿ったジャケットを作るには前身頃を小さく後身頃を大きくする必要があるのですが、分量の異なる生地を縫い合わせるのには高い技術を要します。

 

袖のボタンはいつも通り重ねの本切羽でお願いいました。

 

フロントダーツやパッチポケットの縁周りに走るステッチは流石にミシン(AMF)かと思いますが、まるで手縫いのような雰囲気がありますね。ちなみにボタンホールは手縫いみたいです。

 

実質通年物なので半裏仕様となっています。このアングルだとギリギリ透けない程度の生地の厚みが伝わるでしょうか。

 

一般的にアームホールは小さい方が腕を動かした際に余計な生地が引っ張られずに所作が美しくなるといわれていますが、一方でただ小さくするだけだと窮屈になり逆に着心地を損ないます。そこでこのように楕円形のアームホールを採用することで入口を小さくしつつも運動性能を損なわないように工夫がなされています。とはいえ袖自体は筒状の円柱なので、形状の異なる楕円形のアームホールと縫い合わせるためには、これまた高い技術が求められのです。リングヂャケットではこれが標準仕様ですが決して当たり前のことではないんですよね。

 

サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 肩幅45cm 標準体型の私が選んだのはサイズ46。リングヂャケットの主力モデルと比べるとややコンパクトに作られているように感じますが、サイズアップさせる程ではありません。

シルエットそのものは至ってオーソドックス。普通といえば普通なのですが、柔らかい生地と軽やかな仕立て、そして優れたパターンが生み出す自然で美しいラインは見事ですね。袖丈以外は調整を入れていませんが身体に合っているかと思います。

 

ノーネクタイでの着用を想定しているので、基本的にはボタンを留めないことが多いのですが、前を開けたままでも適度にウエストがシェイプしているのでシルエットが崩れることはありません。

 

既成品だと物によってはツキ皺が出ることもあるのですが、見る限りでは変なシワもなくなかなか良い感じです。着丈はあと1~2cmぐらい長くても良いかなとも思いますが、ちゃんとお尻は隠れているので問題はないでしょう。

 

コーディネート

ジャケット:Brilla per il gusto(ブリッラ ペル イル グスト)

シャツ:メーカーズシャツ鎌倉

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

シューズ:Berwick(バーウィック)

 

ビジネス使いを想定したベーシックなジャケパンスタイル。普通すぎて言うことないです。

 

ジャケット:Brilla per il gusto(ブリッラ ペル イル グスト)

ニットポロ:Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)

パンツ:HAND ROOM(ハンドルーム)

シューズ:PIEVE(ピエーヴェ)

 

こちらはニットポロとデニムを合わせたカジュアルスタイル。普段はあまりしないのですが、ジャケットのきれいな色味を活かしてネイビーのワントーンでまとめてみました。

 

まとめ

ブリッラレーベルのセレクト品はいくつか持っていますが、オリジナルアイテムを購入したのは何気に初めてでした。どこかで「いまさらセレオリはなぁ・・・」という気持ちもあったのかもしれませんが、やはり侮れません。リングヂャケットの仕事ぶりはさることながらビームスの企画力の高さを感じさせられました。

 

使い勝手の良さは言うまでもない基本のネイビージャケット。間違いなく出番は多くなるので、これから重宝することになりそうです。

 

今回は以上です。