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復活を遂げたアメトラの名門。Southwick(サウスウィック)のボタンダウンシャツをレビュー!

「Southwick(サウスウィック)」と聞いてピンとくる方はそれなりのアメトラ通。

 

1929年にマサチューセッツ州で創業したサウスウィックは、アメリカを代表するテーラリングファクトリーとして、数多くの有名ブランドのOEMを手掛けてきました。

 

特に有名なのはブルックスブラザーズとの仕事で、同ブランドの最上級ライン「ゴールデンフリース」のスーツやジャケットを手掛けていたのも実はここ。

 

ところが2020年、コロナ禍での売り上げ不振によるブルックスブラザーズ経営破綻」という衝撃的ニュースが世界中を駆け巡る裏で、当時ブルックスブラザーズ傘下にあったサウスウィックの工場には閉鎖の決定が下されることになります。

 

ご存知の通り、ブランドとしてのブルックスブラザーズは現在も継続されていますが、サウスウィックを始めとしたいくつかのアメリカ国内の工場を手放したため、古き良きアメトラを愛するコアなファンからは悲しみの声が上がっていました。

 

そんなアメトラの名門・サウスウィックが2022年の春に復活を遂げました。そしてその影にあるのは、お馴染みのあのセレクトショップだったのです。

 

この度、サウスウィックのシャンブレーボタンダウンシャツを入手しましたので、復活の経緯とあわせてご紹介していきます。

 

 

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シップスが継承した新生サウスウィック

サウスウィック復活の経緯

冒頭でも触れたと通り、ブルックスブラザーズ傘下にあったサウスウィックは2020年にその長い歴史に一度幕を下ろします。

 

その後しばらく音沙汰がありませんでしたが、やがて「シップスがサウスウィックの商標権を取得」というニュースを私達は耳にすることになります。お馴染みの大手セレクトショップ SHIPS(シップス)です。

 

なぜ、シップスはサウスウィック獲得に動いたのか。正直、最近のシップスからは「アメリカの匂い」はそこまで感じ取れません。どちらかといえばヨーロピアンテイストの強いセレクト及びオリジナル製品の展開を行っているショップというイメージがあります。

 

実際のところは、シップスの子会社がかつてサウスウィックの日本での代理店を務めていたという縁があったから今回の話が進んだそうなのですが、やはりシップスが「アメトラの血」を取り入れることに意味がありました。

 

というのもシップスの前身であり、日本初のセレクトショップとして知られているミウラ&サンズ」はリーバイスコンバースをいち早く持ち込んだゴリゴリのアメリカ派。シップスへと業態が引き継がれた後はテイストがドレスよりに変化しますが、紺ブレを中心に添えた王道のアメトラスタイルを提案してきました。

 

時代が進むにつれ多様なジャンルを取り入りこむことで、その要素は薄れてきましたが、ミウラ&サンズからシップスへ続く系譜にはアメリカ文化の存在は欠かすことはできません。つまり、サウスウィックへの接近はある意味原点回帰であり、十分な必然性があったのではないかと感じています。

 

かくして復活を遂げサウスウィックですが、留意いただきたいのは、あくまでもシップスは商標権を獲得しただけということ。

 

閉鎖したサウスウィックの縫製工場が再稼働したわけではなく、アメリカ国内で協力工場をイチから探してきたのだそうです。もちろんアメトラの名門を継ぐににふさわしいファクトリーを厳選したこととは思いますが、全くそのまま復活したということではありません。

 

ただ、今回の「サウスウィック再建」はシップスとしても社運をかけた一大プロジェクトです。名前を借りてきただけなんてはずがありません。

 

旧サウスウィックから技術的継承がどの程度行われているかは定かではありませんが、当時の雰囲気や細かなディテールを高いレベルで再現して、オールドファンを唸らせています。原則アメリカ製(一部除く)にこだわるのもその土地でしか生まれない「らしさ」を求めるからなのでしょう。

 

新生サウスウィックのラインナップ

今年の春から始動したシップスによる新生サウスウィックは、紺ブレやボタンダウンシャツといった定番アイテムからスタートしました。その後も順調に展開を拡大し、現在では伝統的なアメトラワードローブを一通り完成させる程度にはラインナップが充実しています。

 

ここではコレクションの中から象徴的なアイテムをいくつかピックアップしてご紹介します。

 

■ネイビーブレザー

参照:Southwick: CAMBRIDGE ウール ネイビー ブレザー: アウター/ジャケット SHIPS 公式サイト|株式会社シップス

 

旧サウスウィックの代名詞である「CAMBRIDGE(ケンブリッジ)」を忠実に再現。ナチュラルショルダーのボックスシルエット、3パッチポケットにフックベントと王道のアメトラ要素をフルコンプリートしています。縫製はもちろんのこと、生地やメタルボタンまでMADE IN USAの逸品です。

 

シアサッカージャケット

参照:Southwick: CAMBRIDGE コットン シアサッカー 3B ジャケット: アウター/ジャケット SHIPS 公式サイト|株式会社シップス

 

夏のアメトラといえば爽やかなシアサッカー素材です。型は先程の紺ブレ同じ「CAMBRIDGE」を採用。紺ブレは既に持っているので、しばらくは縁がなさそうですが、実はこのシアサッカージャケットはかなり気になっていたりします。

 

オックスフォードボタンダウンシャツ

参照:Southwick: オックスフォード ボタンダウンシャツ: シャツ/ブラウス SHIPS 公式サイト|株式会社シップス

 

やっぱりシャツはボタンダウン。そしてこちらは定番のオックスフォード生地です。今回私が購入したシャンブレーシャツと型は同じものとなっています。詳細は後程。

 

■チノパン

参照:Southwick: コットン ウェポン 1タック IVY トラウザーズ: パンツ SHIPS 公式サイト|株式会社シップス

 

腰周りに適度なゆとりのあるテーパードシルエットが特徴的な1タックチノパン。サウスウィックのアーカイブからの復刻品です。高密度で打ち込まれた生地は上品な光沢を放っています。

 

■レップタイ

参照:Southwick: レジメンタルストライプ ネクタイ: スーツ/ビジネス小物 SHIPS 公式サイト|株式会社シップス

 

アメトラスタイルの仕上げには右下がりのストライプ柄を描くレップタイです。こちらはアメリカでも数少ないネクタイ専業ファクトリーで製造されているそうです。

 

サウスウィックのシャンブレーBDシャツをレビュー

概要

新生サウスウィックでも定番として扱われるボタンダウンシャツ。同じ型でもオックスフォード生地の他にブロードやコットンフランネルなどが用意されていますが、今回はシャンブレーのシャツを購入しました。

 

今年は既にデニムシャツを2枚買っていますが、シャンブレーはやっぱり別物ということで・・・。(ご存知かと思いますが、デニムとシャンブレーでは使用する糸の種類が同じで、織り方が異なります。)

 

デザインとしては「THEアメトラ」なボタンダウンシャツ。昔ながらのボックスシルエットを採用していますが、ドカンと太すぎるというこはなく、現代的な解釈でアップデートされています。

 

やはりこれもアメリカ製。具体的な名前は公表されていませんが、名門シャツファクトリーにて縫製を行っているとのことです。

ディテール

20番手のムラ糸が高密度で打ち込まれ、パリっとしたハリ感のあるシャンブレー生地は日本製。ムラ糸とは生地を織るための一本の糸に太さの強弱を意図的につけた素材で、紡績技術が未熟だった時代の糸を再現しています。それ故に生地の表面には凹凸があり、ヴィンテージライクな風合いを感じ取れます。所々で見られるネップも良い味となってますね。

 

長く伸びた襟が描く美しいロールはまさに私好み。ブルックスブラザーズに代表されるようなアメリカのBDシャツに多いフルロール(芯地なし)ではなく、しっかりと芯地の入った襟なので、ノータイで着ても襟元の立ち上がりはきれいに決まります。

 

ボタンは天然貝のようにも見えますが、プラボタンかもしれません。いずれにせよ、そこそこの高級感はありますね。

 

良くも悪くもアメリカ製のシャツには縫製が雑なイメージもありますが、見た目の上では特に気になるようなところはありません。まぁ、裏側の仕上げは若干怪しい箇所もありましたが、基本的には丁寧に作られていると思います。

 

表前立てに胸ポケット付きとカジュアルなディテールを備え付けていますが、アメリカのドレススタイルではこれが正統派。ラウンド型のポケットは素朴な感じがして良いですね。

 

袖口の雰囲気はこんな感じ。襟や前立て同様にカフスにも芯地が入っているので、質感はやや硬めです。

 

ヨーク幅は狭めで、アメリカのシャツらしくボックスプリーツが入ります。一方でバックダーツは入っていません。

 

サイズ感とシルエット

身長173cm、体重65kg、肩幅44cmの私が選んだのはサイズ38。おそらく現時点では日本でのみの展開となっている新生サウスウィックですが、サイズ感はあくまでもアメリカン。やはり全体的に大きめな作りとなっているので、普段よりワンサイズ下げることをおすすめします。

 

ちなみにこれでも袖丈は1.5cm程詰めています。袖丈に合わせてさらにサイズを下げるとボックスシルエットの「らしさ」が損なわれるので致し方なし。

 

一方で着丈は74.0cmとそこまで長さはありません。基本的にはタックインが前提だと思っていますが、この着丈ならタックアウトしてみても良さそうですね。

 

コーディネート

ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

シャツ:Southwick(サウスウィック)

ネクタイ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

靴:JALAN SRIWIJAWA (ジャランスリワヤ)

 

王道アメトラコーデ。とりあえずこのコーデせをするために買ったようなものです。シャンブレーの生地で使われいるインディゴ染色した糸の色味が明るめなので、サックスブルーのシャツのような感覚で合わせられますね。

 

ジャケット:RING JACKET(リングヂャケット)

シャツ:Southwick(サウスウィック)

パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)

靴:IL MOCASSINO(イルモカシーノ)

 

実は同じ日に購入したワードローブ同期のこのジャケットとも相性は良好。

 

まとめ

シャンブレーのボタンダウンシャツは程よくカジュアルなので使い勝手が良いんですよね。アメトラスタイルに限らず、色々なコーデに組み込めそうです。もちろん一枚で着てシャツスタイルの主役に添えても様になるでしょう。

 

それと、ブランドとしてのサウスウィックにも要注目です。

 

当初は「必ずしもアメリカ生産にこだわらない」とのアナウンスが出ていましたが、今のところはラインナップのほとんどをアメリカ製が占めています。個人的にはそこまで生産国に執着しない方ですが、サウスウィックに関してはその名を継承する以上、MADE IN USAを堅持してもらいたいものですね。

 

今回は以上です。