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国産プレタポルテの最高峰。RING JACKET MEISTER(リングヂャケットマイスター)をレビュー!

年初に「年間購入計画」なるものを掲げ、本当に必要な物・欲しい物だけを吟味した上でワードローブに迎い入れるという誓いを立てました。

 

これまで無計画に散財を繰り返していた私なので、自分でも半ば計画倒れするのだろうと高を括っていましたが、今のところ予定から大きく外れることなく順調にことが進んできています。

 

一方「今年買うべき物」とは別に「いつかは手にしたい物」が誰しも存在するわけで、その機会は急に訪れることだってあります。

 

・・・で、一体何が言いたいのかいうと、タイトルの通り買ってしまいました。RING JACKET MEISTER(リングヂャケットマイスター)のジャケットを。

 

リングヂャケットは過去にも記事で取り上げましたが、こちらは上級グレードとなるマイスターラインからの一着です。

 

もちろん通常ラインも十分に素晴らしいのですが、より細部にまでこだわったマイスターラインこそ、現在のリングヂャケットの本領なのです。

 

「国産プレタポルテ(既製服)の最高峰」とも称されるリングヂャケットマイスターの魅力をお届けします。

 

 

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RING JACKET MEISTERとは? 各ラインの違いと合わせて解説

ブランドとしてのリングヂャケットについては過去記事でも触れているので簡単に。

 

1954年大阪にて創業。スーツなどの紳士服といえばオーダーメイドが当たり前だった時代に「高級既製服」という分野で頭角を現し、多くの有力ブランドのOEMを手掛けてきました。

 

1980年代になると軽やかな仕立てのイタリア式に着目して、現地で技術指導を受けるなど、国内でもいち早く本場仕込みのテーラリングを修得します。リングヂャケットは後のクラシコイタリアブームを牽引する存在となり、1996年には満を持して自社ブランド「Sartoria Ring(後にRING JACKETに改名)」が登場。その後いくつかのレーベルに細分化されながら現在に至ります。

 

では、現存する4つのレーベルについて解説していきます。

 

■RING JACKET

サルトリアリング時代から続くベースグレード。縫製はマシンメイドを基本として、カノニコやレダなど海外の中堅テキスタイルメーカーや、評判の高い自社オリジナルの国産生地が採用されています。ただ、ラグジュアリー路線を推し進める近年のリングヂャケットの中では存在感が薄れつつあり、年々ラインナップの比率は減少傾向です。

 

RING JACKET MEISTER

通常ラインと違い、熟練された職人によるハンドメイドを軸とした上級ライン。生地や副素材(ボタンや芯地)もより厳選された物を使用しています。前述の通り、ブランドとして高級志向へ舵を切っているため、現在ではこのマイスターラインが実質的な主力レーベルへと立ち位置が変わってきています。

 

RING JACKET MEISTER 206

2016年に登場したリングヂャケットのハイエンドレーベル。マイスターラインがベースとなっているので、基本的なところは変わりませんが、この206ラインでのみ上襟を身頃に後付けする「かぶせ襟」という手法を採用しています。「かぶせ襟」の詳細については割愛しますが、この技術を取り入れることで首回りのフィット感が圧倒的に変わってくるのだとか。よく「襟が首に吸いつく」なんて表現をされていますね。残念ながら206ラインに関しては東京・青山と大阪・淀屋橋の店舗でしか取り扱いがないため、私のような地方在住者には試着すら敵わぬ高嶺の花。でもいつかは・・・。

 

■RING JACKET Napoli

ここまでの挙げた3つのレーベルは全て国内の自社工場で作られていますが、この「ナポリ」だけは本場イタリアの一流ファクトリーと協業して生まれたレーベルです。手縫いのシャツやカジュアルなブルゾンを得意としていて、メインラインとはまた違った趣で服好きから高い評価を得ています。

 

この他にも「RING JACKET NAVY LABEL」という廉価ラインも存在していたのですが、少なくとも今年に入ってからは新作が発表されていないので、ラグジュアリー化の波に飲み込まれて消滅してしまったのかもしれませんね。

 

通年使える? ホップサックジャケットをレビュー

概要

手元のジャケットから考えて、次の一着は無地のブラウンと決めていました。しかも単なる無地でなく、表情の感じられる無地です。その点でいえば、このホップサック生地のジャケットはほぼイメージ通り。

 

そして春夏向けに仕立てられたジャケットですが、ホップサックという素材自体は通年物。まぁ、流石に冬本番は無理だとは思っていますが、私が暮らす九州・福岡という土地柄、ツイードフランネルみたいに完全な秋冬素材のジャケットは着用機会が限られるので、ちょうど良いんですよね、こういうのが。濃いめのブラウンという色味も相まって11月中旬まで活躍するのではと期待しています。(最近は秋も普通に暑いですからね・・・。)

 

ジャケットの型は「NO-286」というクラシックモデルを採用。ラペル幅は広めで、ウエストのシェイプも控えめ。クラシック趣味を強く打ち出したデザインは近年のトレンドでもありますが、決してあからさまではないので時代を問わずに長く愛せる一着となるはずです。

 

今回はマイスターラインということで、過去に紹介した通常ラインのジャケットとは随所に違いが見られますが、その中でも特に分かりやすいポイントとして挙げられるのは職人による手縫い箇所の多さではないでしょうか。袖付けやラペル周りはもちろんのこと、着心地に影響する部分は全てハンドメイドで仕上げているそうです。

 

ところで、手縫いの方が手間とコストがかかることは容易に想像できますが、そのメリットはどこにあると思いますか?

 

よく言われているのは、手縫いは機械(ミシン)よりも縫い目が甘くなるので、経年変化によって着用者の身体にフィットしていくということ。でもそれってどうなんですかね?普通は縫い目にテンションがかかる程タイトに着るものでもないので、違いを感じるような変化が起こりうるのか言われると微妙。個人的には半分迷信みたいなものと思っています。

 

それよりも手縫いの魅力は、ハンドメイドならではの柔らかな見た目にあります。均一でカッチリと縫われたミシン縫いには耐久性の面では劣るのかもしれませんが、一針ごとにピッチが異なり、ふっくらと仕上がった手縫いは実に表情豊か。そしてそのような手縫い箇所を積み上げることによってジャケット全体で眺めた時の雰囲気も変わってくるのです。

 

まぁ、いくら文面で説明しても伝わりにくいと詳しくは次項でご覧いただきましょう。

 

ディテール

購入の決め手となったのは、何と言ってもこの生地。イタリアを代表するテキスタイルメーカーとして知られるErmenegildo Zegna(エルメネジルドゼニア)「BIELMONTE」という素材を使用しています。ゼニアといえば如何にもイタリアらしい強い光沢感とソフトな手触りの生地を得意としていますが、この「BIELMONTE」に関してはハリコシの強い質感となっています。どちらかといえば英国産の生地のようなイメージですね。

 

素材比率はウール90%、シルク10%となっています。ざっくりとした生地感ながら上質なウールにシルクを混合しているので、適度に光沢を持っています。また、メランジ感のある素材なので、表面の凹凸と合わせて無地でありながら様々な表情を見せてくれますね。

 

先にも触れた通り、この生地はホップサックと呼ばれる平織で仕上げられています。ホップサックという名は、ビールの原料でお馴染みのホップを収穫する時に使う麻袋に由来し、ざらざらとした手触りで目が粗く通気性に優れた生地です。その特徴から春夏シーズンに好まれますが、使われる素材によっては季節を問わない通年物とみなされています。

 

おそらくこの生地もリネンが混合されていたら、もっと春夏っぽい感じになったのかもしれませんが、ウールとシルクだけで構成されているので、また少し印象も変わってきますね。「通年使える」と称してみたのもそういう理由です。こういう微妙な素材感の違いは意識しておきたいところ。

 

ラペル幅は9.4cmと広めですが、最近だとこれぐらいも珍しくありませんね。それよりも特徴的なのは、なだらかにカーブを描きながら、急な角度で下がっているゴージ(上衿と下衿の繋ぎ目) 。このゴージラインは印象を左右するポイントで、位置が低く、角度が急な程にクラシックで落ち着いた雰囲気となります。

 

今度はもう少しアップで。ゴージと縁周りはもちろん手縫いです。縫い目がぼんやりとして、どこか優しいこの雰囲気が伝わるでしょうか。ラペルはジャケットの顔です。ゴージラインの位置や縫製について意識みると、少しだけ見え方が変わってきますよ。

 

ラペルに関して言えば、秀逸なアイロンワークによる、ふっくらとしたロール具合も魅力的。立体的なラペルも良いジャケットに欠かせない要件です。逆にクリーニングをどうするか悩ましい。

 

襟裏はこんな感じ。もちろん髭付きで見えないところも抜かりなしです。

 

肩パットを廃したナチュラルショルダーには所謂「雨降り袖」が確認できます。個人的にはその有無はあまり気になりませんが、好きな人は結構いらっしゃるみたいですね。そんなことよりも注目すべきはこの「いせ込み」です。「いせ込み」とは肩の可動域を確保するために平面である生地を立体的に仕上げる技術。ふっくらとボリュームのある肩周りは快適な着心地を実現します。

 

立体感のあるボタンホールも手縫い仕様。職人の技を感じられますね。

 

一頭から数枚しか採取できないという舟型の本水牛ボタンはリングヂヤケットのオリジナルだそうです。

 

袖ボタンの処理はいつも通り重ねの本切羽でお願いしました。

 

一応春夏向けのジャケットなので、裏地は背抜き仕立てとなっています。色は表地と馴染みの良い同系統色。私としては特にこだわりはありませんが、台場仕立てはここの標準仕様です。

 

こちらは腕の入り口、アームホールの様子。一般的にアームホールは円に近い形状をしていますが、ご覧の通りこのジャケットはそら豆型です。この形にすることによって肩の前方にゆとりが生まれ、腕を動かした時にストレスがなく、そして生地が引っ張られにくくなるので、何気ない所作も美しく見えるようになります。

 

このアームホール、ただ形を少し変えただけと思われるかもしれませんが、実はこれがなかなか高度な技術。なんせ袖は円柱状であることには変わりないので、そら豆型に切り抜いた身頃へ取り付けるためには、形状が違う物同士を縫い合わせる必要があるからです。それ故にそら豆型のアームホールは「良いジャケット」を見分けるポイントの1つとされています。

 

サイズ感と着用感

身長173cm体重65kg肩幅44cmの私が着ているのはサイズ46。前回リングヂヤケットで購入したジャケットは色々と直しをいれましたが、今回は型(NO-286)が身体に合っていたのか、袖丈以外は特に手を入れていません。純然たる既成品ですがサイズ感は問題ないと思います。

 

Vゾーンはやや深め、ウエストのシェイプは控えめなので、好みは分かれそうですが、落ち着いた雰囲気はこれから年齢を重ねるにつれて似合ってくるようになるでしょう。

着心地に関しては、とにかく軽いの一言に尽きます。もちろん物理的重量の話ではなく、身体に沿って立体的なフォルムに仕上がっているので、動作の中で生地が引っ張られるような感覚はほとんどありません。「服を纏う」ってこういうことなんだなと思わさせられます。

 

もう少し近くからご覧いただきましょう。肩から胸にかけてのラインは立体感があり、身体に吸い付くような着心地。仕立ての良さを実感できます。また、前述した「いせ込み」によるふっくらとした肩周りも実際に袖を通すとより分かりやすいですね。

 

こちらはバックショット。背中の裏地がないので、多少のシワは入りますが不自然さはないと思います。着丈はお尻がギリギリ隠れる程度の長さ。個人的にあともう少しだけ長くても良いかなとは思いますが、きっとこれぐらいがベストバランスなのでしょう。

 

コーディネート

ワイドラペルのジャケットなので、大剣幅が広いネクタイがよく似合うと思いますが、残念ながら私の会社はジャケパン不可(スーツ着用)。いつも通り、ここではカジュアルシーンを念頭に置いたコーデをご紹介します。

 

ジャケット:RING JACKET(リングヂャケット)

シャツ:HITOYOSHI(人吉シャツ)

パンツ:GTA(ジーティーアー)

靴:JALAN SRIWIJAWA (ジャランスリワヤ)

 

ブラウンジャケットを使ったコーデといえば、やはりアズーロ・エ・マローネ。発色の良いデニムシャツのネイビーがよく映えています。暖かい時期を想定した装いなので、パンツにはライトグレーのスラックスを選んでみました。ホワイトデニムとかでも良いかもしれませんね。

 

ジャケット:RING JACKET(リングヂャケット)

シャツ:メーカーズシャツ鎌倉

パンツ:INCOTEX(インコテックス)

靴:IL MOCASSINO(イルモカシーノ)

 

こちらは秋を意識したコーデ。全てのアイテムをブラウン系統でまとめてみました。トーンで差をつけるワンカラーコーデは比較的取り入れやすいのでおすすめです。

 

ジャケット:RING JACKET(リングヂャケット)

ポロシャツ:LACOSTE(ラコステ)

パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)

靴:CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

最後は趣を変えて、ミリタリーパンツを持ってきました。ポロシャツもパンツも色味がシックなの、クラシックなジャケットと合わせても違和感はないはずです。

 

まとめ

購入してから数週間経ちましたが、改めて仕立ての良さを感じさせられるジャケットだと思います。

 

まだまだ暑い日が続くので、実際に外で着用するのはもう少し先ですが、今から着こなしを考えるだけでも楽しいですね。

 

ところで計画外にも関わらず、なぜ今年買ったのかということを最後に触れておきましょう。

 

イメージしていた条件に合致して、実際に試着した上で気に入ったというのは大前提ですが、最後の決め手は今後の価格上昇を見据えてでした。

 

本文でも触れた通り、近年のリングヂャケットはラグジュアリー路線を突き進んでおり、価格は年々右肩上がりを続けています。さらにリングヂャケットに限らず、生地価格の上昇に伴い、今年の秋冬物からアパレル業界全体で見ても例年より価格を上げざる得ない状況となっているそうです。

 

こういった影響からか、リングヂャケットの最新コレクション(22FW)では今まで以上に攻めた価格設定がなされています。生地にもよりますが、マイスターラインのジャケットだと20万円前後がボリュームゾーンのようです。

 

今回購入したジャケットは30%OFFのセール価格で10万円を超えていますが、それでも来シーズン同じような物があったとして、到底この値段では手に入らないだろうとの戦略的判断が働いたのです・・・。

 

まぁ、言い訳なんですけどね(笑)。

 

今回は以上です。