ミリタリーの世界は奥が深いですね。実用品やデッドストック、それらを元にしたレプリカブランドなど、好きな人は堪らないでしょう。
実は以前から私もミリタリーウェア(特にパンツ)には興味を持っていましたが、最近の私のコーデだと本格ミリタリーは簡単には取り入れづらく、かといって太めのパンツにポケットをたくさん付けただけのなんちゃってミリタリーでもテンションが上がらないというジレンマを感じていました。
そんな中で見つけたのが、今回ご紹介するGERMANO(ジェルマーノ)のカーゴパンツです。以前から記事の中でも気になるアイテムとして挙げていましたが、少し前に購入に至りました。本格的なディテールを備えながらもイタリアブランドらしい色気と品の良さを感じさせるドレス派にこそおすすめの逸品となっています。
※こちらは秋冬モデルです。
ジェルマーノについて
GERMANO(ジェルマーノ)は1952年にイタリア・ナポリ近郊で創業されてパンツ専業ブランドです。イタリアのパンツ専業ブランドらしく上質な生地を使用した美しいシルエットのパンツを得意としていますが、同業の有名どころであるINCOTEX、PT TORINO、GTAと比較するとイタリアメイドでありながら手頃な価格が魅力でここ日本でも人気を拡大させています。
主力はスラックスを始めとしたドレスパンツですが、2020AWよりスタートした「CHOICE」シリーズでは、ヴィンテージのミリタリーパンツを再構築したモデルがラインナップされています。今回ご紹介する「5BVG-2955」も「CHOICE」シリーズからのアイテムとなります。
ジェルマーノのカーゴパンツをレビュー
今回取り上げるジェルマーノのカーゴパンツ「5BVG-2955」は9月頃に購入した21SSモデルです。現行の21AWモデルとは色味が異なるものの、シルエットやディテール、生地の質感に関してはおそらく違いはないはずなので、現在購入検討の方にもご参考にはなるかと。
ディテール
まずは全体から見ていきましょう。わたり幅は約35cmとミリタリーパンツらしくワイドなシルエットとなっていますが、ゆるやかにテーパードがかかっているおかげで、太いのにどこかすっきりとした印象を与えてくれますね。股上は約33cmとかなり深めに設定されているので、着用時のウエスト位置はやや高めになります。
このパンツのデザインソースは1960年代のオーストラリア軍で採用さたミリタリーパンツで、腰回りのディテールや左脚にのみ配されたカーゴポケットなどが忠実に再現されています。米軍や欧州諸国ではなくオーストラリア軍に着目するところがまたシブい。
参照:Australian Army / Gurkha Trousers - UNCLE SAM【アンクルサム】 大阪 アメリカ村のセレクトショップ / Online Store
ちなみに、こちらが元ネタであるオーストラリア軍のグルカトラウザーズです。 確かにその意匠はしっかりと反映されていますね。
生地はヘビーオンスのコットンギャバジンを使用。一応春夏モノなのですが実質オールシーズン用と見て問題ないでしょう。むしろ夏にはちょっと厳しいかと。ちなみに現在展開中の21AWは生地感はそのままで色味のトーンが暗くなっています。
染色は縫製後に色を染める製品染めが採用されており、その独特の風合いとムラのある色味がヴィンテージさながらの雰囲気を醸し出しています。
ボタンルーフにサイドアジャスター、さらに2プリーツと個性モリモリの腰回りです。普段はシンプルなベルトルーフ付きの1プリーツパンツを好む私にとってはかなり挑戦的なデザインかもしれません。今ふと気付いたのですが、サイドアジャスターが内側を向いていて、普通とは逆ですね。先程の元ネタの画像も外向きなのでオリジナルを再現したというわけでもなさそうですが、何か意味はあるのでしょうか?
前開きは当時を再現したボタンフライ。ちなみに前開きを含め全体で12個も取り付けられているボタンは全て本水牛のようです。ここら辺は好感が持てますね。
バックポケットは軍パンらしくフラップ式です。
左脚にのみ取り付けれられた大型のカーゴポケットは実寸で25cm×8cmと存在感があります。カーゴパンツとしては異色の片側ポケットですが、これが単なるファッション的なデザインではなく、実際に使用された軍パンがモチーフになっていることが説得性を持たせてくれるのです。まぁ、元ネタの方がなぜ片側カーゴポケットになったのかはよく分かりませんが、ともかく洋服のデザインにおいてはバックグラウンドがあるということが大事だということですね。
当然裾は未処理の状態なわけですが、仕上げをどうするか。これがかなり迷いました。ドレスパンツならダブル、デニムや5ポケットパンツならたたきでお願いするところですが、この手のパンツはどうする?
重厚な生地感やミリタリーという出自を考えれば、たたき仕上げをラフにロールアップしてもカッコいいし、クリース入りでサイドアジャスター付きといったドレスライクな要素もあるので、9分丈のシングルでもしっくりくる。悩んだあげく選んだのは4.5cmのダブル。そういつものスラックスの仕上げと一緒です。
半ば直感で決めましたが、ジャケットと合わせることを前提としているので、一定のドレス感は持たせたいことと、存在感のある腰回りに負けないボリュームが足元にも欲しかったという2つの理由がありました。好みの問題なので、どれを選んでも正解とは思いますが、何度か着用した上で私はダブルに仕上げて間違いなかったなと感じています。
サイズ感
身長173cm体重65kgの私はサイズ46を購入。ジェルマーノは他のイタリアブランドと比較して大きめのサイズ設定だと言われることがありますが、このモデルに関してはウェストの実寸が約78cmとむしろややタイト。試着するのが一番ですが、ネットで購入する場合はサイズ表をよく確認しておいた方が良いでしょう。
私の場合はサイズ46でジャストフィットでした。せっかくのサイドアジャスターも出番はなさそうです。サイズ表の数字だけ見るとかなり太いのですが、シルエットがきれいでクリースも入っているのですっきりと見えますね。
こちらは横から。ストンと落ちるストレートというよりは、緩やかにテーパードがかかっているのが分かるでしょうか。裾のダブルも我ながら良いバランスだと思います。
コーディネート
ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
ニットポロ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)
時計:OMEGA(オメガ)
もともとブレザーに合う太めのパンツを探していしたところ、選んだのがこのパンツでした。シルエットのバランスが取れてて、ほぼイメージ通りです。やはり「紺ブレ×軍パン」は鉄板でしょう。
ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)
ニット:EDIFICE(エディフィス)
パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)
靴:REGAL(リーガル)
特徴的な腰回りのデザインを活かすなら、インナーをタックインさせても良い感じ。ちなみに普段ならニットのタックインは苦手だったりしますが、このパンツだと意外と抵抗ありませんでした。
ジャケット:TOMORROWLAND(トゥモローランド)
ニット:ユニクロ
パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)
靴:REGAL(リーガル)
久々に登場したド派手柄のシャツブルゾン。チェックの緑と赤を拾ってみました。もちろんカジュアルなコーデにも使えますね。
まとめ
おそらく中学時代以来のカーゴパンツでした。当然その頃とは趣味嗜好は全く違いますが、ジャケットを中心とした現在のスタイルにも嵌る汎用性の高い一本と言えるでしょう。
実はここ最近ドレスミリタリーをコンセプトにしたパンツが人気を集めているようです。私自身トレンドを意識しているわけではありませんが、マンネリになりがちなパンツにおいて新しい選択肢となり得るので、この流れは歓迎するところですね。
ただ、種類が増えつつあるドレスライクなミリタリーパンツの中でもより本格志向なジェルマーノの「CHOICE」シリーズは一線画す名品ではないかと思っています。
もちろんカジュアル派の方にもおすすめですよ。
こちらは「CHOICE」シリーズのもう一つのモデル。イタリア海軍のカーゴパンツがモチーフとなっているみたいです。
今回は以上です。