突然ですがピークドラペルのジャケットは持っていますか?
今回はワードローブで唯一のピークドラペルであるTOMORROWLAND(トゥモローランド)のテーラードジャケットを取り上げます。
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ピークドラペルのイメージは?
まずはピークドラペルとは何なのかということに一応触れておきましょう。
参照:スーツの襟(ラペル)・ポケットのお洒落なデザインは?ピークドラペルなど種類ごとに紹介! – ENJOY ORDER!MAGAZINE
こちらのような一般的によく見かけるラペルはノッチドラペルと呼れます。皆さんのお手元にあるジャケットのほとんどがこの形をしたラペルだと思います。
参照:スーツの襟(ラペル)・ポケットのお洒落なデザインは?ピークドラペルなど種類ごとに紹介! – ENJOY ORDER!MAGAZINE
一方このように剣先が上を向いているラペルがピークドラペルです。おそらくこのようなラペルを持つジャケットを仕事やプライベートで着ている方は少ないはずです。というのもピークドラペルには以下のようなイメージがあるからではないでしょうか。
パーティーシーンを連想させる華やかさ
ピークドラペルはタキシードやモーニングコートなどフォーマルウェアで好まれるディテールです。そのためビジネスやプライベートで普段使いするには華やかすぎるという印象があります。
威厳を感じさせる重厚感
年配の方や社会的地位の高い方(?)が着ているイメージが強いダブルブレストのジャケットではピークドラペルが主流になっているように、ピークドラペルには「威厳」や「重厚感」といったワードがつきまといます。ここら辺もピークドラペルへの取っつきにくさに繋がる一因でしょう。
このような理由からビジネスの場ではピークドラペルは避けた方が無難ですが、オフにファッションとして楽しむなら話は別。ファッションとは本来自由なものです。
ピークドラペルは英国式ジャケットを象徴するディテールであることから、ブリティッシュトラッドを楽しむには見逃せない要素です。それにワンパターンになりがちなジャケットスタイルに変化をつけることだって可能なので、ピークドラペルをフォーマルやダブルブレスト以外で諦めるのは惜しい気がします。
ただ、やはり気をつけるべきポイントは幾つか存在します。
カジュアルな素材感で
前述の通り、ピークドラペルはフォーマルを連想させる要素なので、それに拍車をかけるような光沢感の強い生地や、ブラックに近いチャコールやダークネイビーの生地(特に無地)は避けるべきでしょう。少しブリティッシュテイストが強くなりますが、軽く起毛したトラッド柄のジャケットなどが取り入れやすいかと思います。
ラペルのサイズは控えめに
ただでさえ主張の強いピークドラペルですが、中に剣先が肩にまで達するような巨大なラペルを持ったジャケットも存在します。
参照:ピークドラペルガンクラブチェックジャケット(JACKETS / ジャケット)|STRASBURGO OUTLET
これは少し極端な例ですが、存在感のあるピークドラペルを一般人が着こなすのは難易度が高いものです。特にシングルブレストとなれば控えめなサイズ感の方が使いやすいでしょう。
これらのポイントを踏まえて、私が唯一所有するピークドラペルのジャケットをご紹介します。
トゥモローランドのピークドラペルジャケットをご紹介
こちらは3年前に購入したピークドラペルジャケット。トゥモローランドはヨーロピアンテイストの強いセレクトショップですが、特に2018年当時は英国趣味を反映させたアイテムが多く、このジャケットもその一つと言えるでしょう。
まず特徴的なのはこちらの生地。グレー×ホワイトの異なる2色で依った糸(メランジ糸)はテーラードジャケットであまり見かけないような太番手が使われて、ふんわりと起毛した生地はカジュアルで独特な風合いがあり、その上からさらに薄っすらとブルーの格子柄が入ります。遠目から見たら無地のグレージャケットですが、近くで見るほどに表情があるちょっと不思議な生地です。
本記事の主題であるピークドラペルについて。このジャケットのラペル幅は8.5cmと普通のラペル(ノッチドラペル)とも変わらない大きさなので、華やかな印象も控えめです。正直このサイズ感なら普段からジャケットのラペルに関心を持って見ているような人しか違いに気が付かないでしょうが、それぐらいがちょうどいいのです。
ラペル裏には本格的なテーラードジャケットの証とも呼べる「髭」がちゃんと確認出来ます。
ピークドラペルと並び英国的なディテールであるチェンジポケットです。今となっては直近2着続けてオーダースーツにチェンジポケットを選ぶぐらい、お気に入りのディテールですが、その影響はこのジャケットからでした。
ちなみにチェンジポケットはもともと釣り銭入れで、当然現代では実用性皆無ですが、ウエスト位置を高く見せて視覚的にスタイルを良く見せる効果があると言われています。
本水牛のボタンはフロントに2つ、袖に4つ取り付けられています。よく見かける段返りの3つボタンや、重ね付けの袖ボタンはクラシコイタリア系のジャケットの特徴なので、英国式を意識したこちらのジャケットは採用されていません。
英国式の特徴といえば、肩パッドと芯地をしっかりと使った構築的なジャケットですが、このジャケットは裏地と肩パッドを廃して、芯地もラペルとフロントにしか使われていない、軽やかなアンコン仕立てとなっています。伝統的な英国式ジャケットは風格があって確かにカッコいいのですが、カジュアルで使うにはやはり難しいものです。一方でこのトゥモローランドのジャケットはディテールやシルエットで英国的な要素を感じさせながら着用感は現代的というあたりが上手いですね。
実際に着用するとこんな感じ。サイズ46を選んで肩周りはピッタリなのですが、ウエストのシェイプがかなり強めに入っているので、ややタイトの着用感です。3年前は特に違和感はありましたが、今はちょっとウエイト周りがきついので、基本的に前は閉めません。うーん、ちょっと絞らないとなぁ。(笑)
フロントボタンを留めない状態でもくびれがはっきりと確認出来ますね。私が所有するジャケットでここまでウエストがシェイプされたものは他にありません。ちなみにウエストが強調されたシルエットも英国式ジャケットの特徴の一つとされています。
コーディネート
ジャケット:TOMORROWLAND(トゥモローランド)
ニット:EDIFICE(エディフィス)
パンツ:INCOTEX(インコテックス)
靴:PIEVE(ピエーヴェ)
時計:FREDERIQUE CONSTANT(フレデリックコンスタント)
このジャケットを使って一番よくするコーデがこちら。ジャケットの柄で使われる青を拾って、ロイヤルブルーのニットを合わせています。その他はモノトーンでシックに。
ジャケット:TOMORROWLAND(トゥモローランド)
ニット:ユニクロ
パンツ:A.P.C(アーペーセー)
時計:OMEGA(オメガ)
今度はデニムのネイビーでジャケットのチェックを拾ったコーデ。そして同じく他はモノトーンで固めます。グレー万能説はよく聞きますが、私はあまり色数を多く使うコーデが苦手なので、必然と1色+モノトーンの組み合わせが多くなってしまいます。
話は変わるけど・・・
少し前の記事でトゥモローランドが今季別注したバブアーが気になるということを書きましたが、先日店舗へ立ち寄った際に試着させていただきました。
いやー、期待してた以上に良かったですね。今まで様々な別注バブアーを見てきましたが、その中でもベストかもしれません。ウールコットンの生地はかなり強めに織り込まれているようで、しっかりとハリ感があり上品な雰囲気を感じられます。ブラウンに近いカーキの色味もなかなか。
全部で4型展開されていますが、一番のお気に入りはこちらのビデイル。やはり人気が高いようで、オンラインショップでは既に売り切れていますが、まだ店舗によって在庫があります。
残念ながら予算的に私は諦めざるえませんが、今年バブアーの購入を検討されている方は候補に入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
最後に少し話が逸れましたが、トゥモローランドのピークドラペルジャケットのご紹介でした。
着丈がちょっと短めで、全体的なサイズ感が最近の私の好みから外れていたので、着用機会は減っていましたが、やっぱりモノは良いですね。随所に巧さが光るテーラリングはなかなか見所があります。
なんだかんだでピークドラペルのジャケットは異色な存在ですが、一着持っていると気分的にも変化がつくので挑戦してみる価値はあるかと思いますよ。
今回は以上です。