いつもこのブログをご覧いただいている方からすれば、少し意外かもしれませんが実は持ってるんです、RED WING(レッドウィング)のブーツを。
というのも購入したのは8年ぐらい前。当時は今と違ってアメカジ寄りのスタイルを好んでいたこともあって秋冬にはよく履いていました。
近年は趣味が変わったこともあり、登板機会も年に数回程度と限られていますが、それでもお気に入りの一足。入れ替わりの多いシュークローゼットの中でもリリースされることなく貴重なブーツコーナーに鎮座し続けています。
表題の通り、私が所有しているのはレッドウィング屈指の人気モデル「ベックマン」です。
実はこのベックマンを取り巻く環境は私が購入した当時とは随分変わっているみたい。日本市場からは正規品が消え、廃盤になってしまったのではないかとも噂さえれています。
今回はその点も踏まえながら所有品をご紹介していきます。
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概要
レッドウィングの創業者チャールズ・ベックマン氏の名を冠するベックマン。アイリッシュセッターやアイアンレンジャーなど本格的なワークブーツを得意とする同ブランドの中でも比較的上品な佇まいが印象的なモデルです。
それもそのはず、実はこのベックマンのデザインソースは1920年頃のドレスシューズなんです。当時のアメリカは未舗装の道路が多く砂埃が立ちやすかったため、人々が履く靴は丈の長いブーツ型が基本だったそうです。そのためフォーマルな場面に赴く際には普段使いのワークブーツとは違った、よそ行きのきれいめなブーツを履いていたのだとか。
また、ドレスライクなデザインと合わせて、このブーツを語る上で欠かせないのはフェザーストーンと呼ばれるベックマン専用レザーの存在です。原皮からわずか5%しか取れないという希少な素材を自社タンナーで鞣した特別な革で、アイリッシュセッターなどで採用されるオイルドレザーと異なり、艶やかな光沢感を持っています。
私が所有しているベックマンの型番は「9016」というモデル。最後の番号がカラーを表す数字で、このモデルの末番「6」はシガーと呼ばれるブラウンを指しています。その他は人気No.1の「9011/ブラックチェリー」、ライトブラウンの「9013/タン」、シックな雰囲気が増す「9014/ブラック」の全4色で展開。
なお、2018年に型番変更(モデルチェンジ)が行われ、それぞれ9411・9413・9415・9416へと引き継がれています。主な変更点はアウトソールなので基本的な外観やアッパー素材等は変わりません。詳しくは後述。
2017年には同じくベックマンの名を冠した「ベックマン フラットボックス」が登場しますが、私が持っているのはあくまでも昔ながらの普通のベックマン。
ベックマン フラットボックスとは従来では使われている先芯(つま先を保護するためのワーク由来のディテール)を排したモデルです。先芯がなくなることでベックマンの特徴でもある丸みを帯びたトゥが徐々に沈み込んでいきます。
「アニキ」こと片野英児さんが自身のYouTubeチャンネルでフラットボックスを取り上げた辺りで人気に火が付いたと記憶しています。
■経年変化したフラットボックス
参照:Beckman Flatbox | レッドウィング オフィシャルサイト(公式ブランドサイト&通販)
画像はレッドウィング公式より拝借。くたっとした雰囲気は本家ベックマンの経年変化とはまた異なる趣があります。そもそもシングルソール仕様でもあることから、同じベックマンという名称だとしても、基本的には全くの別物と考えていいでしょう。
本当にベックマンは廃盤となったのか?
冒頭でも触れた通り、ベックマンは日本版公式オンラインショップで取り扱いがない状況が続いてます。
正真正銘の大人気モデルであるベックマンがなぜ販売停止となったのか。その理由はなんとサイバーテロに遭い生産工程を管理するシステムにアクセスできなくなったからなのだそうです。老舗を襲ったなんとも現代的な悲劇。
そのような経緯で生産が止まってしまったベックマンですが、今後の行く末については様々な憶測が飛び交っています。
- 完全に廃盤となりベックマンはラインナップに戻ってこない。
- フェザーストーンを使わない形で次世代モデルへと引き継がれる。
- 時期を空けて従来と同じモデルが復活する。
- 実は現在でも少数量生産されており海外では流通している。
・・・正直どれが真実なのかは分かりませんが、いずれにせよ多くのファンから復活が待望されているモデルであることには違いありません。
ちなみにフラットボックスの方はごく稀に新品が入荷されることもありますが、その人気故に入手難易度はかなり高くなっています。
では次項にて、今後は希少価値がより高まる可能性のあるベックマンの詳細をご覧いただきましょう。
ディテール
ベックマンといえばなフェザーストーンレザー。非常に滑らかな銀面と美しい光沢が特徴的です。メンテナンスは一般的なスムースレザーのドレスシューズのようにクリームを使ってケアすることが推奨されており、私もそのように扱ってきましたが、敢えてミンクオイルを染み込ませてラギットに仕上げてもカッコいい。
先芯の入ったラウンドトゥとミッドソールを使った二重構造のダブルソール。クラシックドレスを謳っているベックマンですが、レッドウィングらしいワークブーツとしての要素も兼ね備えています。
6ホールの鳩目と艶のあるコットン製の蝋引き平紐。ちなみに本来のシューレースはブラックでしたが、純正のダークブラウンに交換しています。革紐にしていた時期もあったり、ちょっとしたカスタムもワークブーツの面白いところですね。
レザー製のインソールにはブランドロゴが刻印されています。
ハーフラバータイプのアウトソール。機能的なワークブーツ然としたトレッドパターンですね。
記事の前半で私が所有する「9016」を含む「901×」系列は旧モデルで、後継の「941×」へと引き継がれたと説明しましたが、モデルチェンジに至った理由は加水分解しやすいソールにありました。
素材がウレタンからラバーに変更となったことで最新(最終?)モデルではその問題は概ね解決していますが、私のベックマンは旧モデルなので、加水分解の懸念は抱えたままです。
購入から8年。着用頻度がそこまで高くはないこともあって、ボロボロに崩れ落ちたりはしませんが、少し怪しい気配は漂っています。これからも履き続けるのであれば近い将来ソールの張替えは必須ですね。
サイズ感
あまり参考にはならなそうですが、一応サイズ感にも触れておきましょう。所有品はレングス(長さ)がUS 8.0(UK7.0/JP26.0)でウィズ(横幅)がDとなっています。
当時は本格的に革靴への興味を持つ前で、しかも初めてのブーツということもあってか、スニーカー感覚で選んだ結果、だいぶ大きいサイズを選んでしまいました。これも若気の至りですね。
ちなみにこちらが私の足のサイズ。スニーカーなら26.0、革靴なら24.5 or 25.0相当のサイズを選ぶことが多いので、着脱の煩わしさを考慮してもUS7.0 or 7.5が正解だったのかなと思います。
ただ、ウィズがDと細めなこともあってか、厚手の靴下を履けば意外と履けないこともないんですよね。
また、グッドイヤーウェルテッド製法ですが、ソールの沈み込みはそこまで大きくはないのかなという印象です。
私は身長に対して足が小さめなのですが、この手のブーツは多少大きめな方が見た目の上では様になるのかもしれませんね。いずれにせよ、足首をがっちりホールドできるタイプのブーツなので、短靴やローファーほどサイズに対して神経質になる必要はないような気もします。
コーディネート
ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
パンツ:LEVI'S(リーバイス)
靴:RED WING(レッドウィング)
このブログで王道のアメカジコーデを載せても芸がないので、ベックマンのルーツを重んじてアメトラテイスト強めな装いを。現代的シルエットのジャケットだと流石のベックマンでも合わせづらさを感じますが、ある意味野暮ったさの残るボックスシルエットのブレザーなら相性は悪くないですね。パンツはリーバイスの501でとことんアメリカンに、そしてクラシックに。
コート:LONDON TRADITION(ロンドントラディション)
パンツ:A.P.C(アーペーセー)
靴:RED WING(レッドウィング)
このブーツはチノパンでも軍パンでも、なんならスラックスでも合わせられる懐の深さを持っていますが、私は専らジーンズを選びます。結局それが一番。ただ、先程の501とは違ってこちらはスリムテーパードのプチニュースタンダード。ボリュームのあるアウターとブーツを合わせてメリハリのあるシルエットの完成です。
まとめ
この記事を書くにあたり今季初めて靴箱から取り出しましたが、改めて向き合うと決して現在私が志向するスタイルと合わないわけでもないんですよね。これからコートを着るような季節には活躍の場を得そうです。
物理的にちょっと邪魔だなと思った時期もありましたが、やっぱり良いブーツだなと再認識した次第です。
ベックマンはこのまま廃盤となるのか、はたまた復活を果たすのか定かではありませんが、手元にある物は大切に使い続けたいですね。
ソールの張替えどうしょっかなぁ・・・。
今回は以上です。