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3万円台の本格派!JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)のストレートチップをレビュー!

ビジネスシーンはもちろんのこと、冠婚葬祭あらゆる場面で重宝する黒のストレートチップ。職種やファッションの趣味に関わらず、男なら必ず1足は持っておくべきといっても過言ではないでしょう。当然私も持っています。

 

所有しているのは高コスパで知られるインドネシア発の革靴ブランド JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)の物。かれこれ4年以上は愛用しています。

 

ここ数年でどんどん価格が上昇している革靴業界。このモデルも購入時よりいくらか値上がったとはいえ、いまだに3万円台半ばで手に入り、そして安定のクオリティ。ジャランスリワヤが日本で持て囃されるようになってもう随分と経ちますが、長く履いているからこそ感じる魅力もあります。(ジャランスリワヤはコインローファーも5年以上愛用中)

 

手頃な価格で良さげなストレートチップをお探しの方、そしてジャランスリワヤについて興味のある方にとっては参考になるかと思いますので、よろしければご覧ください。

 

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ジャランスリワヤについて

ジャランスリワヤのルーツは1919年に設立された革靴製造工場。当時のインドネシアはオランダ植民地だったということもあり、外国人向けの軍靴をメインに製造していたそうです。

 

工場の歴史は一度途絶えますが、1970年代に入り「フォルトゥナシューズ社」として再開します。当初はインドネシア国内向けにサンダルや子供用の靴をメインに展開していましたが、経営者の息子であるルディ・スパーマン氏がイギリスのノーザンプトンで修業を積み、フランスで皮革の生産を学んだことで、本格紳士靴の生産に取り組み始めます。

 

安価な人件費でありながら、本場仕込みのハンドソーンウェルト製法を駆使したクオリティの高い靴が評判を呼び、有名ブランドのOEMを手掛けるようになりました。

 

その後、日本の輸入業者が先導するような形で2003年にオリジナルブランド「JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)」が誕生。高コスパをセールスポイントとして多くの百貨店やセレクトショップで取り扱われるようになり、今となってはすっかり定番ブランドの1つとして地位を確立しています。

 

ジャランスリワヤのストレートチップをレビュー

概要

ジャランスリワヤを代表するドレスシューズ専用ラスト「11120」を採用したストレートチップ。私が所有している物はユナイテッドアローズ系列のグリーンレーベルリラクシング別注モデルとなっていますが、インラインの「98321」とはアウトソールとインソールの仕様が若干異なるだけなので、基本的には同じ物としてご覧ください。

 

ラウンドしたやや長めのノーズ、広めにとられたボールジョイントからギュッと絞られた土踏まずにかけてのラインが美しいドレスシューズ然としたシルエット。奇をてらうことなく至っで普遍的なデザインなので、フォーマルさを求められるストレートチップにおいて、まず間違いのない選択肢になり得るかと思います。

 

実質日本専用ブランドということもあってかフィット感は上々。甲は低めに抑えられているので人によって最初は圧迫を感じるかもしれませんが、インソールが無茶苦茶沈み込むのでそれで大丈夫。詳しくは後述します。

 

製法はお家芸ハンドソーンウェルト製法を採用。そもそもハンドソーンウェルトとはなんぞやということに軽く触れておくと、本格革靴で広く取り入れられているグッドイヤーウェルト製法の原型とされる古典的な手法で、最後の出し縫い以外は全て手作業で行われています。

 

当然ハンドソーンの方が手間はかかるわけですが、その利点はグッドイヤーで必要となるリブというパーツを省くことができるためソールの返りが良くなることであったり、手作業ゆえに木型のシルエットをより忠実に再現できることにあるとされています。後者に関しては迷信めいたところもありますが、ソールの返りの良さという点では私が所有するジャランスリワヤの2足でも実感することができます。

 

そんなハンドソーンウェルト製法は、現在では一部のハイエンドモデルやビスポークシューズなど数十万円するような限られた高級靴でしか見られませんが、ジャランスリワヤは3万円台で提供しているので、その特異性がピックアップされるわけなのです。

 

まぁ、個人的にグッドイヤーとの違いをそこまで感じていないので、別にハンドソーンである必要性はないのですが・・・。とりあえず希少ということでありがたみだけ感じております(笑)。

 

ディテール

ジャランスリワヤを語る上でハンドソーンウェルト製法と並び取り上げられるのが、アッパーの革質の良さについて。何を隠そうエルメスやジョンロブ、JMウエストンと同じデュプイ社からレザーの提供を受けています。もちろん先に挙げた高級ブランドとは等級が異なるので同等の革質なわけがありませんが、こちらのカーフも購入から4年以上経過して日々雑に扱っていながら、今でもさっと磨けば美しい輝きを放つあたりポテンシャルの高さを窺えます。少なくとも値段なり以上のクオリティといえるでしょう。

 

エレガントな印象を与える流麗なトゥのシルエット。キャップの大きさはもう少し短い方が良いとか逆に長い方が良いとか好みが分かれそうではありますが、個人的にはこれぐらいが一番バランスが取れているかと。

 

インソールは別注仕様で「JALAN SRIWIJAYA」と「UNITED ARROWS green label relaxing」のダブルネームが筆記体で印字されています。こういうプリントってすぐ消えるものかと思いましたが、意外にも長持ちしています。全然擦れてないですね。

 

アウトソールにはレザーソールを採用。確かインラインだとダイナイトソールかハーフラバーだったはずなので、おそらくここも別注ポイントかと思われます。ちなみにオールソールはまだしていませんが、トップリフトだけ交換済みです。

 

サイズ感

参考までにこちらが私の足のサイズ。平均的な身長に対して足はやや小さめ。スニーカーだと25.5~26.0cm、革靴だとUK6.0やEU39前後を選ぶことが多いですね。

 

通常ジャランスリワヤではUKサイズ表記されますが、グリーンレーベル別注ではなぜかEUサイズで表記されています。私が購入したEU40はUK6.5相当です。

 

正直に言うとサイズ選ぶには失敗しました。そもそもジャランスリワヤはモデルを問わず小さめに作られているブランドなので、試着時に足入れした際に普段UK6.0を履くことが多い私がUK6.5相当のサイズがジャストだと感じたこと自体は間違っていないのですが、問題はジャランスリワヤのインソールって無茶苦茶沈み込むことなんです。

 

グッドイヤーにしろハンドソーンにしろ経年によりインソールの下に敷き詰めたコルクがいくらか沈み込むことを前提にサイズを選ぶことは常識ですが、その常識の範疇を大きく超えて沈むので、今となってはだいぶ緩くなってしまいました。おそらくこの1つ下のサイズが正解でしょう。ちなみにこのいストレートチップの1年前に購入したローファーも同じ目に遭っています。

 

確かにジャランスリワヤの靴は小さめに作られていますが、ある程度長い目で見るのであれば数年後にインソールが大きく沈み込むことを見越してタイトめなフィッティングをするべきなのかもしれません。難しいところではありますが。

 

そもそもハンドソーンウェルト製法だと逆にインソールが沈みにくいと聞きますが、なぜジャランスリワヤはこんなにも変化するのか、その辺はちょっと謎です。

 

コルク漏れについて

ネット上で何度か見かけたことがあるのが「ウェルトとアウトソールの隙間からコルクが漏れてきた」という意見。ジャランスリワヤのネガティブな要素として度々槍玉に上げられる問題です。

 

その原因としてコルクの質が悪く経年により粉々になってしまうだとか、出し縫いで使用される糸が細くて擦り切れやすいだとか、ウェルトとアウトソールの接着が甘いだとか色々と考えられます。残念ながらコルク漏れが発生すると対処方法はオールソールする他ないそうです。

 

幸いにも私が所有する2足はそのような事象は発生しておらず、にわかに信じがたいのですが、こうも多くの声が上がるということはリスクの1つとして把握しておくべきでしょう。

 

まとめ

最後にネガティブな意見も付け加えておきましたが、それでもなおこの価格帯を維持し続ける限りはコスパの高い優良ブランドの1つになるかと思います。

 

このストレートチップとそれより少し前に購入したコインローファーは私が革靴に興味を持ち始めた頃に手に入れた靴でしたが、今でもかなりの高い頻度で使用していてます。オールソールするかは微妙なところですが、まだしばらくはお世話になりそうです。

 

ジャランスリワヤの靴は多くのお店が取り扱っていますので、革靴初心者の方にこそぜひ一度手に取っていただきたい。もしかしたら「こっち側」に来るきっかけになるかもしれませんね(笑)。

 

あ、でもサイズ選びだけは要注意ですよ。

 

今回は以上です。