「経年変化」って素敵な言葉ですよね。それを肯定的に捉えらるかどうかで物に対する接し方は全く異なってくるかと思います。
今回ご紹介するのはまさに経年変化の魅力を存分に味わえるアイテム。今や日本を代表するレザーブランドの1つとなったSLOW(スロウ)のトートバッグです。
購入から約5年。だいぶ良い具合に育ってきましたよ。
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SLOWについて
老舗鞄メーカー「井野屋」により2008年に創業。比較的若いブランドではありますが、国産にこだわりクラフト感溢れる革製品は早い時期から愛好家の間で評判となり、現在では直営店の他、全国の百貨店やセレクトショップ、さらにはショッピングモールに出店しているような鞄専門店でも取り扱われるようになり、その知名度を高めています。
「SLOW」というブランド名の由来はSports、Luxury、Outdoor、Workのそれぞれの頭文字から取られており、また移り変わりが激しい時代の中でもゆっくりと創作を追及していきたいというモノ創りのスタンスを示しているそうです。
このブランドが生み出す製品の最大の魅力は長く使うにつれ味わい深く経年変化を遂げる素材使いです。特に多くのアイテムで使用されSLOWを代表するファブリックである栃木レザー製のフルベジタブルタンニンレザー(100%植物性で鞣された革)は年月を重ねるほどに革が本来含んでいる油分が滲み出て、色艶が増し唯一無二のエイジングを見せてくれます。
直営店では数年使用された製品が展示されているように、SLOWというブランドは経年変化ありきといっても過言ではないでしょう。
デザインとしての特徴にも触れておくと、SLOWの鞄や財布は手作り感のある柔かい雰囲気を纏った物が多く、私の主観ではイギリスやイタリアというよりは古き良きアメリカ的なニュアンスを感じています。用途としてはビジネスよりもカジュアルな場で合うようなアイテムが多く揃っています。
また、満足度の高いクオリティに対して価格がこなれている点も人気の秘訣。並べて名前を挙げられることが多い国産名門ブランドの「土屋鞄」と比べると感覚的に3~4割程度は低い価格設定がなされています。
SLOWのルボーノ トートバッグをレビュー
概要
栃木レザーのヌメ革を使用したSLOWの定番シリーズであるrubono(ルボーノ)のレザートートバッグ。約5年前に福岡の直営店で購入しました。専ら休日専用ですが、使用頻度は高く愛着のある鞄です。
ボディカラーはキャメル。購入時はもう少し明るいオレンジのような色味でしたが、徐々に深みを増しています。
こちらのトートバッグはSとLの2サイズ展開で、私が所有する物はSサイズ。といってもスペックではH30cm×W46cm×D16cmとそれなりにボリュームがあり、容量的にも普段使いにはまず困らないでしょう。確かLサイズはかなり大きかったんですよね。
ちなみに写真では自立しているように見えますが、中にタオルを詰めて壁に立て掛けているだけ。最初の頃はもう少しコシのある質感だったような気がしますが、今はもうふにゃふにゃです。
当時の購入価格は3万円強。現在でも4万円を切っているので、コスパに優れた本格レザートートを探している方にはおすすめです。
ディテール
SLOWの代名詞ともいえる栃木レザー製のフルベジタブルタンニンレザー。革本来の自然な風合いを感じることができ、手触りはしっとりと柔らか。最初の頃はもう少しザラついた質感だったと思うのですが、革の内側からオイルが滲み出てきた結果でしょうか。表面の色ムラと合せてエイジングの成果を目に見て取れます。
最も手に触れるハンドルは特に経年変化が顕著ですね。
鈍い輝きを放つ真鍮バックル。こちらも購入時より少し黒ずんできました。このバックルにより持ち手の長さを7段階で調整可能となっています。
鋲なしの底面。割と気にせず床に直置きするので、擦り傷や変色の様子は他の箇所とは異なってきます。
内側には布製のライニングが張られています。収納は大型のジップポケット1つと小型のポケットが2つ。これで十分です。ブランドロゴは外から見えないのも好印象。
このようにジップアップすることでフラップを閉めることも可能。普段は使っていませんが、雨か降っている時などは助かります。
メンテナンスについて
あくまで自然なエイジングを進めたいので、手を入れ過ぎないのがポイント。メンテナンスの頻度は半年に1回程度に留めています。
使用するクリームは自然な風合いを維持する成分が配合されているというSLOWオリジナルの物。その効果がどれ程なのかは分かりませんが、市販の無色クリームでも代替可能でしょう。
サイズ感と使用例
身長173cmの私が手に持ってこのサイズ感。本当に過不足ないちょうど良い大きさ。これでSなのでLはやっぱり結構デカいですね。
ナチュラルな風合いと全体的に丸みのあるデザインからカジュアル要素が強めなバッグなので、スーツとの相性はあまり良くなさそうですが、このようなジャケパンスタイルと合わせると適度なドレスダウンに一躍買っています。服装によってはビジネス使いも十分に可能でしょう。(特にキャメル以外を選んだ場合。)
もちろん休日のカジュアルスタイルであればこれ以上ない程に良く合うレザートートです。
ハンドルの長さは7段階中上から3番目に合せていますが、これでも一応肩掛けは可能。ただ少し窮屈さを感じるので肩掛けメインで使うならハンドルの長さを好みで調整しましょう。
ちなみに重量は1kg以上あるので軽くはないです。(このサイズのレザートートにしては特別に重いわけでもないのですが。)
まとめ
約5年間愛用しているSLOWのレザートートをご紹介しました。
だいぶエイジングが進んできましたが、ネットで見かける8年・10年と使い込んだ個体と比べるとまだまだ。
物理的に破損しているような箇所は一切見当たらず、これからも長く活躍することは間違いなさそうなので、さらに魅力的な経年変化に期待したいところですね。
今回は以上です。