トラッドマンに憧れて

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憧れのポロコートをFIVE ONE(ファイブワン)でオーダー!【完成編】

ついに完成しました!

 

紆余曲折を経てFIVE ONE(ファイブワン)でオーダーすることに決めた憧れのポロコートですが、結論として大満足の仕上がりとなりました。

 

オーダーするまでの経緯や注文の様子は前回の【オーダー編】をご覧いただくとして、さっそく手元に届いたポロコートをご紹介いたしましょう。

 

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ファイブワンのポロコートをレビュー

概要

ファイブワンのポロコートにはアルスターカラーやターンナップカフス、インバーテッドプリーツなどポロコートたらしめるディテールが全て兼ね備わっているので、細かい部分を除きデザイン面で私が手を加えた箇所はほとんどありません。まさに王道の一着。

 

そしてなんと言ってもこのコートのこだわりは生地です。これまで何着もオーダーを経験してきましたが、生地を決めるまでに過去イチ時間がかかったかもしれません。でも、これがまさに大正解。最終的に選んだのはロピアーナのPECORA NERA(ペコラネラ)というシリーズのものになります。このペコラネラは厳選されたニュージーランド産黒羊の羊毛を一切の染色を行わずに使用したファブリックで、色はライトベージュ~ダークブラウンの範囲でしかバリエーションが存在しません。

 

この生地の色味は表現が難しく写真で伝えるのも一苦労なのですが、イメージとしてはやや赤みがかったグレージュという感じでしょうか。光の当たり方や撮影の条件によってだいぶ見え方が変わり、記事の中で掲載している画像も一部色味にばらつきが生じていますが、上の画像は比較的実物に近い気がします。

 

無垢素材ならではのナチュラルな風合いも相まってとても柔らかい雰囲気が出ているかと思います。その柔らかさというのが重要。というのもポロコートはそのデザインから「男らしさ」と「華やかさ」が強調され、威厳すら感じさせられるのですが、それゆえに誰にでも似合うコートではなく、特に私のような若輩者だと貫禄が足りず「服に着られている」ような状態に陥りがち。定番のキャメル素材だとその傾向がより顕著に出てしまいます。そこで柔らかい雰囲気の生地でバランスと取ろうという発想に至ったのですが、思惑通りに仕上がったかと思います。

 

完成の連絡を受け、店舗で初めてこのコートに袖を通して驚いたのですが、とにかく着心地が良い。オーダーだから当たり前だろなんて思われるかもしれませんが、今までの私の経験だとコートはざっくりと身を包む衣類であり、身体に沿うように緻密に作り込まれたジャケットとは全くの別物という認識だったのですが、ファイブワンのコートは至るところでテーラードの技が駆使され、構築的な着用感となっています。まるでよく出来たジャケットを着ているような感覚です。

 

ちなみにこのコートは重さが2Kg以上あるのですが、実際に着用してその重量をそこまで感じさせないのは仕立ての良さを表しているのではないでしょうか。

 

ディテール

希少なメリノ羊の羊毛を染色せずにそのまま使用したロロピアーナのPECORA NERA(ペコラネラ)。表面には適度な起毛感がありながら、手触りは非常に滑らか、というより少ししっとりしています。無垢素材だからなのか、一般的なウールよりも羊毛本来の質感に近いのかもしれません。艶やかになりすぎない自然な光沢も美しいですね。

 

目付は600g/mとコート用としてもやや重めですが、生地そのものは柔らかいので仕立てた際には優雅なドレープを生みます。ちなみにこの生地はダブルフェイスとなっており、裏面の色味はライトベージュになるのですが、総裏仕立てのため1ヶ所を除き片側の面を目にすることはありません。

 

大型の上襟が特徴的なアルスターカラーはポロコートの顔です。ラペル幅も約12cmと存在感がありますね。また、ポロコートはスポーツ由来のコートということもあって、ラペル縁のステッチは内側に入れてカジュアルさを演出しています。両側に設けられたフラワーホールはポロコートではよく見られるディテールですね。

 

襟裏はカラークロスではなく共地にしました。ポロコートなので襟を立てることはないかと思いますが、なんとなく気持ちの問題です。

 

胸ポケットはなだらかなカーブを描くバルカポケット。

 

コートの胸ポケットにはこんなふうにレザーグローブを挿したらかっこいいのですが、ポケット自体がそんなに大きくないので、やや窮屈な感じ。アンライニングなのでなんとか入っていますが、ボリュームのあるカシミヤライニングのグローブとかなら難しいかもしれませんね。オーダーする時点で相談していましたが、ここは残念ながら調整不可とのこと。

 

既製品、特にイタリア物だとフロントダーツが入ることが多いのですが、ファイブワンではダーツなしが標準仕様です。

 

袖付けはマニカカミーチャとなっています。ここに関して特にこだわりはなかったのですが、サンプル品の雰囲気が良かったのでそのまま取り入れました。たっぷりとしイセ込みはコートであっても着心地に直結します。肩パッドは抜いていますが、それでもショルダーラインには一定の構築感があり、まさに仕立ての良さを感じさせられますね

 

ポロコートならではのフレームドパッチポケット(上)とターンナップカフス(下)。巷にはポロコートを名乗っておきながらこのディテールが省かれていることが多いのですが、これが本物ですよ。

 

ボタンは生地に馴染むように明るめの本水牛を選びました。

 

正面以上に特徴的なポロコートの後ろ姿。背中のアクションプリーツは肩の可動域を広め、下半身のインバーテッドプリーツはベントのような切込みを入れ運動性能を向上させつつ、両側に広がりすぎないように生地をひだ状に折り畳みボタン留めされています。ポロ競技由来のコートなので、いずれも機能性を高めるスポーティなディテールとなるのですが、図らずも現代においてはクラシカルでエレガンスな印象を与えています

 

背中のバックベルトはポロコート以外でもよく見かけるディテールですね。ウエストの位置を高く見せ、視覚的にスタイルアップを狙うだけでなく、実際に着用するとこのベルトが身体に沿うようにフィットして、より着心地を高めていることが分かります。バックベルトは単なる飾りのことも多いのですが、このコートは違いますね。ちゃんと意味があります。

 

裏地は生地と同系統色のシャンパンゴールドを選びました。当然キュプラです。それと画像中央の生地が白っぽくなっている部分が分かりますかね?これがダブルフェィスの片面が確認できる唯一の箇所となります。背中のアクションプリーツの裏側ですね。

 

サイズ感とシルエット

オーダーなのでサイズ感も何もないのですが、ジャケットや厚手のローゲージニットを着てジャスト、ハイゲージやミドルゲージ一枚だと少しゆとりがあるようにフィッテイングを行っています。

 

先にも触れましたが、私が持っていたコートの概念が変わるほど着心地に優れた一着。よく良いジャケットを表現する時に「身体に吸い付くような」と形容しますが、本当にそんな感じ。巧なアイロンワークが駆使されクセ取された首周り、身体に沿うように立体的に仕立てられた肩から胸のライン。スーツ同様にファイブワンファクトリーの真髄をコートでも体感できました。

 

シルエットにも時間をかけこだわっています。まずはウエスト。やりすぎない程度に絞っています。でも、この加減がなかなか難しい。店主と相談して姿見の前で何度が調整を繰り返しましたが、イメージ通りの良い塩梅に仕上がったかと思います。フロントダーツを廃しているので、大袈裟にならないんでしょうね。

 

着丈も悩みました。ここ最近はクラシック回帰の流れもあり、膝下15cmぐらいのコートが人気で、私もそういうのは好きなのですが、スポーツ由来のポロコートはあまり着丈を長くしてもそのキャラクターを損ねてしまうと考え、最終的には膝下ジャストの丈感に落ち着きました。また、裾周りは基準から数cm広げ、自然なフレアを描くシルエットに変更しています。

 

ポロコートはフロントボタンを留めて着用するイメージが強いものの、ボタンを外してもなかなか良い感じ。ウエストのくびれもきれいに出ていて、Vゾーンも広くなるので少し印象が変わります。

 

初めて後ろ姿を見た時点で「勝ち」を確信しました。この美しい後ろ姿のためにわざわざオーダーしたといっても過言じゃないですね。

 

少し動きがつくだけで広がるプリーツもポロコートならでは。実際に着て、そして動いてカッコいいコートだと思います。

 

コーディネート

コート:FIVE ONE(ファイブワン)

スーツ:麻布テーラー

シャツ:メーカーズシャツ鎌倉

ネクタイ:メーカーズシャツ鎌倉

シューズ:Berwick(バーウィック)

 

タイドアップしたスーツスタイルにも良く合うポロコート。最近はこういう装いをする機会はあまりないのですが、シンプルにかっこいですね。

 

コート:FIVE ONE(ファイブワン)

ニット:Drumohr(ドルモア)

パンツ:BERNARD ZINS(ベルナールザンス)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

ニットもパンツも靴も全部このコートに合わせるために用意していた物。完成する前に買い揃えていたので、多少の不安もありましたが、しっかり嵌ってくれました。この生地にはオフホワイト〜ベージュ〜ブラウンの色味と抜群に相性良さそうですね。

 

まとめ

念願叶い手に入れたポロコートをご紹介しました。

 

過去最高額の出費となりましたが、それに十二分に見合う大満足の出来。イメージ通りだった生地の雰囲気、時間をかけて試行錯誤した理想的なシルエットはもちろんですが、着心地の面では完全に想像以上です。改めてファイブワンの実力の高さを思い知らされましたよ。

 

今後長らく私のワードローブを象徴する一着となることは間違いないでしょう。

 

 

今回は以上です。