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世界最古のニットブランド Drumohr(ドルモア)の8ゲージタートルネックをレビュー!

今季のニット第2弾。本命のミドルゲージタートルネックは予定通りDrumohr(ドルモア)のニットを購入しました。

 

ドルモアといえば世界最古のニットブランドとして知られる名門。そんな老舗で新たに定番としての地位を確立している8ゲージタートルネックをご紹介します。長い歴史に裏打ちされた技術力と現代的な感性による洗練したデザインが融合した名作です。

 

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ドルモアについて

この記事のタイトルが既にそうなのですが、ドルモアを語る上で枕言葉のように使われる「世界最古のニットブランド」というキラーワード。

 

その歴史は遡ること今から約250年前の1770年、ニットの聖地スコットランドにて創業しました。「世界最古」の定義は曖昧ですが、同じく英国の名門ニットメーカーとして知られるジョンスメドレーが1784年設立とのことなので、老舗がひしめく同国の中でも際立って長い歴史を持っていることには違いありません。

 

そんなドルモアの特徴は徹底的にこだわったディテールにあります。その1つとして挙げられるのが、縫い目をなくすことによって、着心地を良くするホールガ―メント製法を取り入れていることです。実はシームレスのニットを世界で初めて考案したのもドルモアであるとされており、その功績は数多くのブランドに影響を及ぼしています。

 

また、英国王室とも密接な関係を築いたことでも有名で、古くはジョージ5世やウインザー公爵に愛用され、皇太子時代のチャールズ国王がダイアナ元妃との婚約発表の場で揃ってドルモアのニットを着用して世間の注目を集めたこともありました。当然の如く王室御用達の証であるロイヤルワラントを授かっていました。かつては・・・。

 

というのも、ドルモアは2001年にイタリアのニットメーカー「Ciocca」に買収され、同グループの傘下となり、現在では生産拠点もイタリアに移しています。つまり現在は英国発のイタリアブランドという立ち位置にあります。それまでも英国での生産を続けていたので、ブランドの歴史が分断されたわけではないのですが、90年代までのドルモアと現在私達が目にするドルモアはある程度別物と考えるべきでしょう。英国の古豪にイタリアの血が多く入ったことで賛否があったことは想像に難くありません。

 

ただ、だからこそ現在におけるドルモアの躍進があったのも事実。「世界最古のニットブランド」という重厚な看板とは裏腹に、クラシックをベースとしつつもデザインの自由度が高く、シルエットにも時代の空気感がしっかりと反映されています。一方で英国時代から引き継いだ伝統的な技法や素材使いは健在なようです。こうして英国の伝統とイタリアの現代的な感性が融合したドルモアのニットは唯一無二の存在となっています。

 

ドルモアの8Gタートルネックをレビュー

概要

ドルモアのアイコンといえばローゲージのケーブルニットですが、それと並びここ最近定番となっているのが8ゲージニットです。8ゲージといえばいわゆるミドルゲージのレンジに属しますが、その中でもちょうど中間に位置するゲージ数となります。つまりバランスが良い

 

ジャケットのインナーとしてもギリギリごわつきを感じませんし、目付のしっかりとしたウールのコートの中に着ても適度に肉厚なので、アウターの生地感に負けることはありません。それにハイゲージニットよりボリュームがあるので、一枚で着ても様になります。

 

(実際の色味はこの画像が一番近い)

クルーネックやジップアップブルゾンなど複数のバリエーションが揃う8ゲージシリーズですが、今回は最も定番的なタートルネックを購入しました。ご覧の通りボディとは編み方を変えたネックは非常にボリューミーで存在感がありますね

カラーは黄みがかったホワイト。エクリュとかアイボリーのイメージです。カラーコードは「125」が割り振られており、ビームスなどが展開する「ホワイト/109」とは少し異なる色味となっています。ちなみに「109」の方は私が購入した「125」と比べて黄色成分が少なめで、代わりに少しだけ灰色がかったオフホワイトと思っていただければ良いかと。個人的にはブラウンやベージュには「125」、ネイビーやグレーには「109」が合うのかなと思います。

 

誰かが「白って200色あんねん」と言ってましたが、微妙なニュアンスの差が装いの中で違いを生むわけですね。まぁ、それだけカラバリが充実している点もこのニットの魅力の1つということ。今回は最初からホワイト系狙いでしたが、イエローやターコイズなど鮮やかなカラーもとても発色が良くおすすめです。

 

ディテール

希少なメリノウールを原料としたニット生地。流石に8ゲージともなれば一般的なハイゲージニットと比べるとざっくりとした仕上がりで編み目もはっきとしますが、意外にも手触りは滑らかで、適度な光沢を纏っています。もちろん上質な素材を使っているからというのもあるのでしょうが、どうやら編み上げた後に独自の艶出し加工を施しているみたいですね。ただ、それも至ってナチュラルな風合いで、色々な意味でドルモアの上手さを実感できます。

 

滑らかなボディに対して、非常に存在感があるリブ編みのネック。このボリューム感、ネックだけ見るとローゲージニットのそれなんですよね。だからこそ厚手のコートなんかとも相性が良いんです。ただ、ネック高もしっかりと長めに設定されているので、人によっては好き嫌いが分からるかもしれません。

 

先述の通り、ドルモアはホールガーメント製法によるシームレスニットを生み出した世界初のブランドとして知られています。そして当然このニットにもその技法が取り入れられています。上画像ではニットの脇が正面になるように平置きしました。一般的なニットで見られる前身ごろと後ろ見ごろを繋ぎ合わせる縫い目がないことが分かるでしょうか?

 

多分見にくいので、ズームでグッと寄ってみます。縫い目はありませんが代わりに小さな穴がポツポツと並んでいるのが分かりますね。これはホールガーメントの編立て時の減らし目によって生じる穴だそうです。

 

こちらは裏面。縫製による突起物がないので着心地が良くなるという寸法です。まぁ、実際のところ素肌でニットを着るわけではないので、その点で恩恵を受けることはないんですけどね(笑)。ただ、この製法の利点は縫い目をなくすことだけではありません。それについては後程。

ボディだけではなく袖もシームレスなので、ホールガーメントの跡が確認できます。

 

当然ですが、ボディと袖の結合はシームレスではないのでリンキングが行われます。ドルモアのリンキングってあまり語られることがありませんが、とても丁寧な仕事が施されてますね。

 

裾と袖口の雰囲気はこんな感じ。リブ幅は結構長めですね。私は好きなタイプです。

 

サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65Kg 肩幅45cmの私が購入したのはサイズ46。ザノーネやグランサッソなどイタリアのニットブランドは全体的にコンパクトに作られているので、大体は1~2サイズアップして着ていますが、ドルモアの場合はその必要がなく、いつものサイズで大丈夫そう。着丈も63cmと私にとって一番ちょうどいい長さですね。1サイズ上で気持ちゆったりで着ても良いですが、ジャケットのインナーとしてきれいに着ることを考えるとやはりこのサイズがベストです。

シルエットは自然なスリムフィット。肩周りや胸元がピッタリしすぎずに、一切無理なく着心地は良いですね。そしてこの着用感はパターンの良さだけではなく、ホールガーメント製法特有の立体的に編み上げる作りが包み込まれような着心地を実現しています。正直ニットの場合は着心地の良し悪しを判別しづらいところですが、このニットは明らかに優れています。流石はこの製法の本家本元、単に縫い目がないだけじゃありませんね。

 

コーディネート

 

ジャケット:LARDINI(ラルディーニ)

ニット:Drumohr(ドルモア)

パンツ:BERNARD ZINS(ベルナールザンス)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

きっと嫌いな人はいないジャケットとタートルネックの組み合わせ。ただ、いつものハイゲージニットと比べると首元のボリュームがあるので雰囲気は少し違いますね。色味もはっきりとしたホワイトではなく、黄みがかった生成り色なので、ブラウン~ベージュ系のアイテムとよく馴染みます。

 

ブルゾン:VALSTAR(ヴァルスター)

ニット:Drumohr(ドルモア)

パンツ:HAND ROOM(ハンドルーム)

シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

 

スエードブルゾンにデニムのようなカジュアルな装いでもほどよくエレガンスにまとめてくれます。大人のオフスタイルに使いやすい一着ですね。

 

まとめ

きれいめハイゲージもほっこりローゲージも好きですが、両者一長一短。その点で8ゲージのニットはまさに良いとこ取りといった感じです。まぁ、7~8ゲージのニット自体珍しいものではありませんが、生地の質感はやはり群を抜いて素晴らしいように感じます。このレンジで名作と呼ばれる所以でしょう。

 

それと本文中でも触れていますが、このニットはネックのボリューム感がポイントですね。コーデを載せ忘れましたが、存在感のある首周りはコートスタイルとも滅法相性が良いんです。ライトアウターでもヘビーアウターでも合わせられるニットって意外と希少だと思いますよ。

 

生成っぽいホワイトという使いやすい色味も相まって、この秋冬は活躍すること間違いなさそうですね。

 

今回は以上です。