
タートルネックのデザインが好きなので、できるだけ長い期間着ていたいところですが、ウールニットだと例え薄手であっても気温が20℃を前後になると結構暑さを感じます。
同じニットでもコットン素材であればだいぶ違うのですが、タートルネックとなれば選択肢は限られ、そもそもニットだと洗濯の面で何かと気を使わざる得ません。
そこで使い勝手が良いのがタートルネックのカットソーです。首元を覆っているとはいえ保温性はそこまで高くはなく、カットソー生地なので着用後は何も考えずに都度洗濯機に放り込めばOK。
ただ、意外とイメージするような物が売ってないんです。タートルネックのカットソー自体は各ブランドで取り扱いがありますが、私が考える条件に合致する物がなかなか見つかりません。(そこまで真剣に探していなかったというのもありますが・・・)
そうこうするうちに2年以上経過してしまいましたが、ようやく理想とする一着に出会えました。フランスのカットソーブランド Armor-lux(アルモリュクス)のタートルネックです。季節の変わり目となる春秋のインナーでお悩みの方には特におすすめですよ。
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理想とするタートルネックカットソーの条件
まずは冒頭でも触れた「理想とするタートルネックカットソー」の条件を挙げていきます。これのせいで見つからないわけですが、私としてはどれも譲れません。逆にご紹介するアルモリュクスのタートルネックは全てクリアしているといことです。
緩すぎない首元
ニットの場合ハイゲージならぴったりと首元にフィットしていて、ミドルゲージやローゲージなら物によるというイメージですが、カットソーとなると急に首元が緩いモデルばかりになってしまいます。それはそれでニュアンスがあって良いのですが、私はある程度フィット感があった方が好き。ネックの折り返し部分に存在感がありすぎると全体のバランスを取るのが難しいからですね。
すっきりとした身幅
タートルネックネックに限らず、カットソー全般は近年のトレンドを意識してか身幅がゆったりとしたリラックス感のあるシルエットが多いように感じます。1枚で着る分には私もそれでも良いとは思うのですが、あくまでもインナー使いがメインなので、ジャケットの下で生地がもたつかないようにすっきりとしたシルエットが好ましい。別にピタピタである必要はありません。適度なゆとりのある普通の身幅で良いのです。
リブ仕様の袖口
袖口のリブも必須です。個人的な感覚にはなりますが、ジャケットから数センチ見えるインナーの袖がピラピラしているのはあまりかっこよくはありません。ニットやロングポロもリブで締まっており、シャツだってカフスで絞れているので、やはりカットソーもそれが自然でしょう。
カジュアルすぎない生地感
ニットの代わりにドレスっぽく合わせることも想定しているので、あまりにもカジュアル感の強い生地は向いていません。例えばセントジェームスのウェッソンのようなザラっとした生地感です。かといって高級メゾンが扱ってそうな極端にシルキータッチな物も少し違うので、その塩梅が意外と難しい。
他にも着丈やネックの高さなど細かいこだわりはありますが、上記の4点は必須です。
アルモリュクスについて

1938年、フランス北西部のカンペールにて創業。当初は肌着の製造を行っていましたが、1947年にオリジナルブランド「Armor-lux(アルモリュクス)」を立ち上げ、現在に至るまでアイコンであるバスクシャツを中心としたカットソーを数多く手掛けています。「Armor」は海、「Lux」は光を意味しているそうです。
アルモリュクスの強みは生地生産から縫製までをフランスの自社工場にて一元管理している点が挙げられます。企画(デザイン)・生地・縫製・がそれぞれ別々ということも珍しくはない服飾業界において、生産に関わる全てを掌握して徹底したクオリティコントロールを行うことができます。母国フランスでは海軍や郵便局、鉄道をはじめとした公的機関の制服に採用されてきた実績がその信頼の証でしょう。
フランスのカットソーといえばセントジェームス・オーシバル・ルミノアの御三家が有名で、それらと比べると日本での知名度には劣りますが、近年本格的な進出が始まり、セレクトショップでも目にする機会は徐々に増えてきています。ちなみに現在はジョンスメドレーと同じ代理店が取り扱っているそうなので、今後の展開にも注目ですね。
アルモリュクスのタートルネックカットソーをレビュー
概要

定番のバスクシャツと同様の生地を使用したタートルネックのカットソー。その特徴は「理想とするタートルネックカットソー」の条件でも挙げた通り。
緩すぎないネック、すっきりとした身幅、リブ仕様の袖口、ごわつきのない生地感等どこを取ってもほぼ理想的ですね。自分で見つけたのではなく、馴染みのショップで紹介されたのですが、試着室で「あ、これじゃん」と思わず呟いちゃいました。

バスクシャツでお馴染みのボーダーが人気なようですが、今回購入しているのは無地のホワイト。パキっとした白というよりはトーンは気持ち抑えめな感じ(オフホワイトではない)でインナーとしては使いやすそうです。
定価は25,300円と御三家(セントジェームス・オーシバル・ルミノア)と比較してもやや強気な価格設定ではありますが、生産背景や細部までこだわり抜かれたクオリティを考えれば妥当なのかもしれません。色々な意味で御三家とは少し性格が異なるのでしょう。
ディテール

適度な厚みがありながら、ふっくらと柔らかいオーガニックコットン100%の生地。どちらかというと目に詰まったハイゲージニットのような質感です。アメカジ的なガッシリとした生地とは全く異なる印象を受けますね。

ネック高は折り曲げた際にバランスの良い14cm。首元の締め付けはもう少しあっても良いかなと思いつつ、ニット程の伸縮製はないので、カットソーのタートルネックはこれぐらいが限度なのでしょう。とりあえず首元が緩くて気になるということは全くありません。

ふと気が付いたのですが、タートルネックの縫い目は左側面にあることが一般的なところ、本品では真後ろに位置していました。それが意図するところは分かりませんが、ネックを折り曲げずにクシュッとさせる場合には見え方がきれいかもしれませんね。

袖口はリブ仕様ですが、テンションはそこまできつくはありません。リブの少し上にはブランドイニシャルが刺繍されています。裾はリブではなく普通のカットソー仕様(あれ何て言うんだろ?)。スリットも入りません。

裏面の縫製を確認しても一切の乱れはなく、非常に丁寧な仕事ぶりを見て取れます。
サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 標準体型の私が選んだのはサイズ4。
アルモリュクス製品は基本的にユニセックスで、サイズは1〜7ぐらいまでが展開されていて、サイズ4はメンズのS〜Mに相当します。バスクシャツのように1枚で着るならサイズ5を選んでいたかもしれませんが、タートルネックはあくまでもインナー使いなのでジャストのサイズ4にしました。(参考までにですが、セントジェームスのウエッソンはサイズ5を着ています。)
わずかに肩が落ちていますが、決してオーバーサイズではなく、身幅はボディラインを拾わない程度に適度なゆとりがあります。タックインでもアウトでも使える着丈もバランスが良いですね。
ちなみに画像は未洗濯状態ですが、洗濯後も大きな縮みは見られませんでした。この手のカットソーだと1サイズ小さくなるなんてことも珍しくありませんが、着丈が1cmちょっと短くなるだけなので、その点は安心してください。
コーディネート

ジャケット:RING JACKET(リングヂャケット)
カットソー:Armor-lux(アルモリュクス)
パンツ:GTA(ジー ティー アー)
シューズ:PIEVE(ピェーヴェ)
何度か書いていますが、私はジャケットにクルーネックは絶対に合わせません。あたかも定番のように取り上げられることが多いですが、首元の汚れを考えるとちょっと厳しいですね。その点タートルネックなら心配は不要。カットソーならではの軽やかさは春のジャケットスタイルにもピッタリです。

アウター:VALSTAR(ヴァルスター)
カットソー:Armor-lux(アルモリュクス)
パンツ:INCOTEX(インコテックス)
シューズ:CROCKETT&JONES(クロケットアンドジョーンズ)
秋冬用と割り切っていたラインドのヴァルスタリーノもインナーをニットではなくカットソーに変えることで春先まで延命できるかもしれません。ショートブルゾンに合わせる際にはタックインが無難でしょう。
まとめ
アルモリュクスのタートルネックカットソーをご紹介しました。見つかりそうで見つからなかった理想的な一着です。
今の時期タートルネックのカットソーは使い勝手が良いですね。先日、気温が上がって20℃を超えた日にもジャケットのインナーとして着ていましたが、過不足なく本当にちょうど良かった。3月に入ると気温的にも気分的にもウールのタートルネックはちょっと違うので。
多分4月の後半にはもう出番がなくなりそうですが、秋口を含めて季節の変わり目には重宝することになるかと思います。
今回は以上です。