
3年連続で年間購入計画していながら、いつまで経っても実行に移せていなかったコーデュロイパンツ。ようやくワードローブに迎え入れることができました。
選んだのは以前から狙っていたビームスF別注の五十嵐トラウザーズのもの。一昨年に購入したフレスコ生地のモデルと基本的には同じになるかと思います。
色はオフホワイト。過去記事で「秋冬こそ白パン」と提言したこともありましたが、実際にコーディネートを組む上では白でも落ち着いた色味の方が使いやすいのではないでしょうか。しかも素材がコーデュロイとなれば季節感も申し分ありません。まさに秋冬に馴染む白パンです。ではどうぞご覧ください。
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五十嵐トラウザーズについて

創業者の五十嵐 徹氏は大学在学中よりテーラリングの修行を開始し、2014年に世界的にも稀有なパンツ専業オーダーメーカーのIGARASHI TROUSERS(五十嵐トラウザーズ)を立ち上げます。
設立した当初は五十嵐氏の年齢がまだ若く、非常に珍しいパンツ専業ということもあって、周囲からは怪訝な目で見られることも多かったそうです。やはりテーラードの世界では主役はジャケット、パンツは脇役といいう認識が強かったのでしょう。
ただ、当時と比べビジネスカジュアルやクールビスが台頭したことでパンツ単品の需要が高まり、さらにはオーダー文化が以前より身近になったことも後押しして、パンツ専業で勝負する五十嵐トラウザーズは次第に注目を集めるようになりました。
たった一人で始めた工房も数名の従業員を雇うようになり、2018年には拠点を東京から山梨に移転して法人化。現在では年間2,000本以上ものトラウザーズを手掛けるだけではなく、コートやブルゾンなどのアウターを手掛けるビスポークブランド「Ignore(イグノア)」を展開しています。
ビスポークとパターンオーダーが本業の五十嵐トラウザーズですが、近年ではレディメイド(既成品)にも注力しています。オーダーメイドではなくとも今まで多くの顧客と向き合い、集積された情報に基づいて生み出された日本人の体形を知り尽くしたパターンは流石の一言。インポートブランドでしっくりきていない方なんかは是非試していただきたい。
五十嵐トラウザーズのコーデュロイスラックスをレビュー
概要

ここ数年、ビームスのドレスライン「ビームスF」が定番として扱っている五十嵐トラウザーズの既成スラックス。2プリーツとサイドアジャスターを備えたクラシカルな一本です。ビスポーク由来のディテールも見応えがあります。
本品は新作ではなく、おそらく2年前に発売されたモデルになるのかと思いますが、セールやアウトレットではなくキャリー品として今季も店頭に定価で並べられています。
どうやら今年の春夏より別注イガトラはワイドシルエットに変更されているみたいです。私の好みとしては適度な太さの旧モデルだったので、キャリー品として持ち越されてくれたのはラッキーでした。

冒頭でも触れた通り色はオフホワイト。これからの時季、本当に使いやすい色味です。秋冬ワードローブの中心となるブラウン・ベージュ系は当然のこと、ネイビーやグレーといった寒色系のアイテムと合わせても季節感を加えた上でしっかりと馴染んでくれます。やっぱり白パンは穿くだけで洒落て見えますね。
カジュアルな雰囲気を纏うコーデュロイ生地ですが、ビスポークテーラーとして名を馳せる五十嵐トラウザーズが手掛けることによって、見事に上品な仕上がりとなっています。ウールのドレススラックスとは一味違った魅力の感じられるパンツです。
ディテール

細畝で適度に厚みのあるコーデュロイ生地。畝の太さは印象を大きく左右する要素で、遠目からでも存在感のある太畝だと一気にラギットな感じになってしまいそうです。ほんのりと纏う光沢が素材の上質さを物語っています。

今となってはすっかり定番となった2プリーツ&サイドアジャスター。長めに設定した持ち出しをループに通す私が好きな仕様です。2年前に購入したフレスコモデルはアウトプリーツでしたが、こちらはインプリーツとなっています。何か意図するところがあるのでしょうか。タックの先端が閂(かんぬき)で補強されるなど細かいところまで手が込んでいますね。

尾錠タイプのサイドアジャスター。調整可能範囲は3cmとそこまで広くはありません。そもそも生地に厚みがあるせいか、非常に扱いにくい。なのでウエストはある程度シビアに合わせておく方が良いでしょう。

ジッパー式の前開きの上部にボタンとボタンホールが付いているのが分かりますでしょうか。こちらはウエスト周りのホールド感をより高めるためのディテールで、結構効果はあるなと実感しています。他の既成品ではまず見かけませんね。

ピスポケットは右側のみ。ボタンもフラップも付かない極めてシンプルな後ろ姿となっています。ビームスF別注に限らず五十嵐トラウザーズの既成モデルは基本的にこの仕様となっているようです。ヒップのホールド感に定評のある同ブランドのこだわりなのでしょうか。

裾処理はいつも通りダブルの4.5cm。
サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 標準体型の私はドレススラックスの場合基本的に46を選ぶのですが、こちらの別注イガトラに限っては前回同様に48を購入しています。ウエストだけでみれば46がジャストなのですが、ヒップをコンパクトに作りホールド感を高める設計なので、私の場合だとお尻の形が出すぎていて、ちょっと品がないなと感じて1サイズ上げた形になりました。その代わりにウエストは3cm詰めています。
腰周りにしっかりとゆとりを持たせてから徐々にテーパードがかかる美しいシルエット。裾幅は19.5cmと決して細いわけではありませんが、それでもすっきりと見えるのは五十嵐トラウザーズが手掛けるパターンの特長です。逆にサイズが46だと少し細いかなという印象を受けたので、全体的なシルエットを見ても48の方で正解でした。

横から見たシルエット。この角度からだとそれなりに太さがあることが分かりますね。最近の好みを反映させて股下もしっかりと長さを持たせています。

このモデルの肝となるお尻周りのフィッティング。パツパツにならない程度にホールド感があり、着心地も見た目も上々です。
コーディネート

アウター:Valstar(ヴァルスター)
ニット:EDIFICE(エディフィス)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
カジュアルワードローブのエース格・ヴァルスタリーノを使った間違いのないコーデ。ブラウンによく馴染む色味もそうですが、太すぎない流麗なシルエットが良いんですよね。

ジャケット:FIVE ONE(ファイブワン)
ニット:ZANONE(ザノーネ)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
グレーを軸としたモノトーンコーデ。色合わせとしては真っ白でも悪くはないのですが、どうしても寒々しい印象は拭えません。その点では黄みがかったオフホワイトなら温かみも感じられますね。フランネルジャケットの起毛がかった風合いにもコーデュロイの柔和な雰囲気がよく合っています。

ジャケット:FIVE ONE(ファイブワン)
ポロシャツ:LACOSTE(ラコステ)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
上2つのように秋冬らしいアイテムと組む装いが鉄板かと思いますが、コーデュロイ自体は真夏以外ならOKという素材なので、春夏生地のジャケットや鹿の子ポロと合わせることも可能です。10月末のちょうど今頃はこんな感じがちょうどいいかもしれませんね。
まとめ
五十嵐トラウザーズのコーデュロイスラックスをご紹介しました。なんだかんで白パンは難易度が高いアイテムですが、馴染みの良いオフホワイトで季節感のあるコーデュロイ生地となればだいぶ取り入れやすいという印象です。想像していた以上に使い勝手が良いですね。
私が購入した10月初頭は在庫も揃っていましたが、今さっき見たところサイズ欠けも目立ち始めているようです。気になる方はお早めに。
今回は以上です。